転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4612話

「じゃあ、ヒロアカ世界でシャドウミラーとしての初めての任務……任務? まぁ、とにかくそれに近いのが無事に終えたという事で、乾杯」

『乾杯』

 

 俺の言葉に合わせ、コップを掲げた面々は近くにいる者達とコップをぶつけてから、その中身を飲む。

 コップの中身は幾つか種類があるが、俺が選んだのは黒烏龍茶となる。

 この黒烏龍茶も当然ながらこのマンションの1階にあるスーパーで買ってきたもので、普通よりも高めの黒烏龍茶だ。

 もっとも、値段が高い=美味いとは限らないのだが……まぁ、公安の支払いなので、どうせなら高い黒烏龍茶を買った方がいいだろう。

 ただ、こうして飲んだ限りだと普通のウーロン茶とそう違いがあるようには思えないが。

 あくまでも俺にとってはであって、他の者……もっと味覚の鋭い者なら、違うかもしれないな。

 そんな風に思いつつ、まずはローストビーフとタマネギと夏野菜のサラダを食べる。

 木乃香が作ったこの料理は、ローストビーフという洋風の肉料理を使っているのに、ドレッシングは青じそを使った和風ドレッシングで、それがまた美味い。

 ピーマンやトマト、そして当然ながらローストビーフに合う。

 また、荒垣が買った枝豆も塩ゆでにしてサラダの中に入っており、濃厚な豆の味が和風ドレッシングと合う。

 

「美味いな」

「えへへ、アクセル君に褒めて貰って嬉しいわ」

 

 思わず呟いた言葉に、木乃香が嬉しそうに笑みを浮かべる。

 

「桜咲はいつもこういう料理を食べてるんだろ? 羨ましいな」

「それは、その……はい。毎日このちゃんの手料理を美味しく頂いてます」

「せっちゃーん!」

 

 木乃香が桜咲の言葉に感動した様子で、抱きつく。

 

「うわっ、ちょっ、このちゃん!?」

 

 桜咲はそんな木乃香を受け止めるものの、いきなりだった為か、倒れ込まないようにするだけで精一杯らしかった。

 そんな様子を見つつ、次に俺が箸を伸ばしたのは小さな……一口サイズの揚げ物。

 ウスターソースを掛けてから口に運ぶと、口の中一杯に豆の味が広がる。

 なるほど、これはコロッケ……それも枝豆を潰して作ったコロッケか。

 ちょっと変わったところでは、小さな角切りベーコンも入っていて、豆だけではなく肉の味も楽しめる。

 

「どうだ?」

 

 当然ながら、このコロッケを作ったのは、枝豆を買う事に拘った荒垣。

 

「美味い」

 

 枝豆を潰すというのでは、いわゆる『ずんだ餡』というのも有名ではあったが、当然ながらこの枝豆のコロッケは塩胡椒で下味がつけられ、ベーコンの味もあり、そしてウスターソースもいい感じで用意されていて、悪くない。

 とはいえ、見た目的にはそこまで派手な料理……打ち上げとかで主役を取れるような料理ではない。

 いやまぁ、実際に食えばしみじみと美味いんだが。

 また一口サイズなのもあってか、食べやすいし見た目も可愛いけど……やっぱり、豪快とかそういう感じじゃないんだよな。

 ただ、美味いのは間違いのない事実だったが。

 そんな訳で、次に俺が箸を伸ばしたのは、オウカの作った料理だ。

 焼きそば……というか、焼きそうめん? そんな感じの料理。

 どことなく沖縄風の味付け……と言えばいいのか?

 いわゆるそうめんチャンプルー的な?

 とにかくそんな感じの料理なのは間違いないのだが、そうめんなのに、これをおかずにして飯を食べたくなるような、そんな感じ。

 炒飯とラーメンとか、焼きそばをおかずに飯を食べるとか。

 

「その、どうでしょう?」

「ああ、美味いぞ」

 

 オウカが恐る恐るといった様子で尋ねてくるが、その料理は普通に美味かった。

 その言葉を聞いたオウカは、安堵した表情を浮かべる。

 ……ただし、オウカにとっては問題がなくても、イザークにとっては話が別だったらしい。

 俺に向かい、不満そうな視線を向けてくる。

 多分これ、オウカが俺に料理の味はどうだったのかと聞いたからなんだろうな。

 自分の恋人が自分以外の相手にそういう風に尋ねるというのは、面白くないのだろう。

 そして次に俺が箸を伸ばしたのは、巨大なエビフライ。

 スーパーで既に揚げられていたので、レンジで少し温め、それからオーブントースターで焼く事によって、揚げ立てのサクサク感を取り戻したエビフライだ。

 勿論本当の意味で揚げ立てを取り戻せた訳ではないのだが、それでも十分美味いと思えるくらにはサクサクになっている。

 ウスターソースとタルタルソースのどちらにするのか迷ったが、ここはタルタルソースだろう。

 ちなみにこのタルタルソースも1階のスーパーで購入した奴で、市販の……全国的に売られているようなものではなく、店のオリジナル商品だ。

 いわゆる、プライベートブランドって奴か?

 ゆで卵やタマネギ、ピクルスといった一般的にタルタルソースに使われている具材以外にも幾つかの具材が追加されており、それこそ場合によってはこのタルタルソースだけでサラダと認識してもおかしくはない、そんな豪華なタルタルソースだ。

 元々海鮮系のフライとタルタルソースの相性はいい。

 そんな中で巨大なエビフライと、極上のタルタルソース……この組み合わせが不味い訳がなかった。

 サクリとした衣の食感の後に、プチリと噛み千切られたエビの食感や甘みが口一杯に広がり、すぐにタルタルソースの濃厚な味がエビフライを包み込む。

 

「……美味い」

 

 いつまでも味わっていたかったエビフライだったが、いつまでもそうしている訳にはいかず、飲み込む。

 もう一口……ずっと食べていたいと思える、そんなエビフライの味を楽しみつつ、呟く。

 そうしてある程度腹を満たすと、自然と今日の戦い……ヴィラン連合の面々との戦いだったり、何よりもAFOとの戦いについての話になる。

 

「ヴィラン連合の方は、俺が戦った限りでは複数人を相手にしてもどうにか出来ると思ったな」

 

 自信満々な様子でイザークがそう言うものの、その言葉は実際に間違ってはいないだろう。

 イザークはプライドが高いものの、だからといって自分の実力を過信しすぎるといったことはない。

 ……以前、俺がSEED世界に行って遭遇した時は、そういう感じもあったのだが。

 ただ、SEED世界で色々とあって、シャドウミラーに入り、鍛えた結果、そういうのはなくなっている。

 SEED世界に俺が関与した時は、コーディネイター至上主義というか、ナチュラルを見下していたイザークだったが、シャドウミラーの場合はナチュラルであっても普通にイザークより強い奴は多いしな。

 それこそコーディネイターでは赤服でエリートだったイザークが、必死に訓練をして、それでも実働班の中では平均くらいの強さしかないのを思えば、実働班に所属する者達が一体どれだけの強さを持っているのか、分かりやすいだろう。

 そんな訳で、イザークは客観的に自分の実力を判断出来て、そのイザークから見て複数のヴィラン連合の幹部を相手にしてもどうにかなると断言出来ているのだから、それを思えばその言葉は決して間違いではないだろう。

 

「ちなみにだが、量産型Wを出したらどうなると思う?」

 

 ふと、量産型Wについて気になり、そう尋ねる。

 金ぴかの細胞を使い、ガンドも使え、魔力や気を使った攻撃も可能だ。

 銃火器の技術も高いが……ヒロアカ世界においては、スナイプのような例外を除いて銃火器を使うのは少し難しいだろうしな。

 その辺りについて考えると、本当の意味で量産型Wが全力を出せるって訳にはいかないだろうけど。

 

「そうだな。最初は有利に戦えると思うが、慣れると難しいだろうな。ただ、防御に専念させて、1人に対して2人、あるいは3人を当てれば十分の足止めは出来るだろうし、場合によっては倒す事も可能だと思う」

「なるほど。そんな感じか」

「勿論、シャドウを使ったりすれば、1人でヴィラン連合全てを相手にする事も出来るだろうが」

「あー……うん。それはちょっとな」

 

 イザークの言いたい事は分かるが、この世界で人型機動兵器の類は未発達だ。

 いやまぁ、雄英の入試や体育祭で使われた巨大ロボもあるから、その辺が全く未発達って訳でもないんだろうけど。

 ただ、それでもシャドウミラーの人型機動兵器を使うのは、それはそれで不味いと思う。

 

「まぁ、量産型Wについては分かった。取りあえず時間稼ぎとして使うには十分な訳だ。……明日菜、そっちはどうだった?」

「え?」

 

 チーズとスモークサーモンの一口サンドを食べていた明日菜が、まさか自分に話を振られるとは思っていなかったのか、驚きの声を上げる。

 いや、お前も今日の戦いには後衛とはいえ参加したんだから、きちんと話に参加して欲しいんだが。

 

「量産型Wだよ。そっちにも脳無は出たんだろう? その脳無を相手に量産型Wはどうだった?」

 

 一応、明日菜と桜咲が木乃香の護衛としていたが、量産型Wもそちらに回していた。

 であれば、脳無と量産型Wの戦いもその目で見ている筈なのは間違いない。

 

「えっと……そうね」

 

 ごくん、と口の中のサンドイッチを飲み込んでから、明日菜は口を開く。

 

「脳無だっけ? それも色々な外見の奴が出て来たけど、基本的に量産型Wは問題なく戦うことが出来ていたわよ」

「桜咲は?」

「私も明日菜さんと同じ意見です。量産型Wの強さを考えれば、脳無を相手に十分戦えるでしょう」

 

 うーん……まぁ、バーに出て来た脳無とかも、脳無と一口に言っても、かなり弱い脳無だったしな。

 それこそ量産型Wに対する量産型脳無的な?

 実際、ステインとの戦いの時に出て来た脳無も、今回出て来た脳無も、弱い個体はかなり弱かった。

 かといって、USJで出て来た脳無はかなりの強さだったのは間違いないけど。

 その辺について考えると、やっぱり脳無と一口に言っても色々な種類……というか、ランク? グレード? そういうのがあるんだろう。

 つまり、雑魚脳無を相手にするには十分な訳だ。

 

「ちょっと、アクセル。刹那さんに聞くのなら、何で最初に私に聞いたのよ」

 

 不満そうな様子で明日菜が言ってくる。

 明日菜にしてみれば、ここで桜咲に聞くのなら自分に聞く意味はないと、そんな風に思ったのだろう。

 

「この場合はどっちの意見も必要かと思ってな」

 

 これは誤魔化しとかそういうのではなく、実際に俺が本当にそのように思っている事でもある。

 桜咲からは本職としての意見を聞く事が出来るが、明日菜の場合は戦闘が本職という訳でもないので、予想外の意見を聞けたりもする。

 そういう意味では、やっぱりどちらからも意見を聞くというのは間違っていない訳だ。

 ……本人がそのように言われて、素直に納得するかどうかは微妙なところだが。

 

「ふーん……」

 

 幸いなことに、明日菜は完全にではないにしろ、俺の言葉を素直に受け入れる。

 これ、多分だけど他の面々の前だからここで素直に納得したけど、もし俺と明日菜だけだった場合は、素直に納得しなかったと思う。

 もっとも、その辺りについては、俺がここでどうこう言っても意味はないと思うけど。

 

「ともあれ、ヒロアカ世界において量産型Wがそれなりに役立つのは分かった。となると、公安とか警察とかそういう場所に量産型Wを貸し出したりしてもいいかもしれないな。勿論その場合は何らかの対価を有するだろうけど」

 

 特に警察はプロヒーローが倒したヴィランを受け取る役割になっていると言われる事が多い。

 そうなると、脳無と互角に戦える量産型W……それも数なら幾らでも用意出来る量産型Wは、警察にとって喉から手が出る程に欲しい戦力であってもおかしくはない。

 

「母上に話してみたらどうだ? 俺としては上手くいくと思うが、それでも確実にとは言えない。実際に政治班の方で検討し、その後で提案するといった事になると思うが」

 

 イザークの言葉に、俺もだろうなと頷く。

 量産型Wを貸し出すというのは、あくまでも思いつきでしかない。

 その辺りの判断については、イザークの母親であるエザリア率いる政治班が検討し、それでいけると思ったら貸し出したりすればいいんだうし。

 もっとも、そうなったらそうなったで色々と問題も起きるだろうから、その辺については……いや、量産型Wだけではなくコバッタも貸し出すサービス……というか、半ば強制? でやっている世界はあったな。

 それこそSEED世界なんかはまさにその典型だろう。

 そのお陰で、いわゆる勝ち組と呼ばれるような者達は法律違反が出来なくなり、あるいはそれでも無理をして法律違反をどうにかしようとして、量産型Wやコバッタに摘発されるなり、捕まるなりしていた訳だ。

 そう思えば、この世界でも量産型Wを貸し出す事によってAFOとの内通者とか、あるいは地位を利用して犯罪を揉み消すとか、そういうのをしている相手の対処が出来たりするかもしれないな。

 そんな風に思いつつ、俺は打ち上げ……と言ってもいいか微妙だが、とにかく打ち上げを楽しむのだった。

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