転生とらぶる2   作:青竹(移住)

1984 / 2196
4619話

 オルフェンズ世界においてトールギス・グレイルの試乗……というか、ゲリラに襲撃されて撃退――正確には殲滅――し、それが終わるとホワイトスターに戻ってきた。

 一応、鉄華団に俺がゲイレール5機と戦った座標については教えておいたので、回収するだろう。

 パイロットは全員殺したので、尋問をして情報を聞き出すといった事は出来ないが、エイハブ・リアクターは残っている。

 基本的にエイハブ・リアクターはオルフェンズ世界の技術では破壊が不可能な代物なので、トールギス・グレイルの攻撃……具体的にはドーバーガンの最大出力による攻撃であっても、破壊することは出来なかった。

 そしてエイハブ・リアクターというのは、間違いなくお宝なのだ。

 何しろエイハブ・リアクターを別のMSに搭載すれば、そのMSは普通に動く。

 あるいはギャラルホルン以外では唯一MSを製造可能なテイワズだが、そのテイワズもあくまでも製造出来るのはMSのフレームとか装甲とか武器とかで、エイハブ・リアクターはテイワズでも製造出来ない。

 現在エイハブ・リアクターを製造出来るのは、ギャラルホルンだけだ。

 後は、オルフェンズ世界以外という意味ではシャドウミラーがそれに当たる。

 実際、トールギス・グレイルに使われている2基のエイハブ・リアクターは、シャドウミラー製なのだから。

 ともあれそういう事もあり、テイワズはエイハブ・リアクターを集めている。

 鉄華団があの5機分のエイハブ・リアクターを入手すれば、それをテイワズに売る事により、多少なりとも利益となるだろう。

 

「アクセル代表! どうでしたか!?」

 

 魔法区画にある魔法球の中、技術班の本拠地とも呼ぶべきそこに入ると、待ってましたと言わんばかりに男が1人……トールギス・グレイルの設計をした男が俺を見付けると瞬動で近付き、聞いてくる。

 いや、瞬動を使う程なのかよ。

 そう突っ込みたかったが、この男にしてみれば自分が開発したトールギス・グレイルについての説明を少しでも早く聞きたかったのだろう。

 

「悪くなかったと思うぞ。50Gの加速もそれなりに使いこなせたと思うし」

「……えっと、その、いきなり使いこなせたんですか?」

 

 唖然といった様子で、男がそう聞いてくる。

 恐らくこの男にしてみれば、俺がトールギス・グレイルを操縦する際、混沌精霊なので50Gの加速には耐えられるものの、その圧倒的な……それこそ一般人が使えば文字通りの意味で殺人的な加速によって、使いこなすのは難しいと思っていたのだろう。

 50Gの加速に耐えられても、50Gの加速を使いこなすのは難しいと。

 

「ああ、特に問題なく使いこなす事が出来たぞ」

「……そうですか」

 

 がっかりとした様子を見せる男。

 いや、そこまで露骨にがっかりするというのはどうなんだ?

 そうも思ったが、この様子からすると突っ込まない方がいいか。

 ここは少し、話を変えるか。

 特にこの男が興味を持ちそうな方向に。

 

 

「オルフェンズ世界でトールギス・グレイルを試していたんだが、その途中でゲリラに襲撃されてな」

「ゲリラに……ですか? オルフェンズ世界の火星ですよね? 今はその、アクセル代表の恋人でもあるクーデリアさんによって治められている筈では?」

「そうだな。だが、火星は広い。そしてクーデリアのような若い女が火星を治める大統領……女王とでも呼ぶべきか? とにかくそういうのになるのが面白くないと思ってる奴もいるんだよ。あるいは以前はギャラルホルンと癒着していたのが、今となってはそういう事も出来なくなった奴とか」

「うわぁ……」

 

 研究者の男は、俺の言葉に驚く。

 まぁ、それはつまりシャドウミラーを敵に回すという行為に等しい訳で、そうなると自殺行為のようにしか思えないのだろう。

 

「そういう連中がいたお陰で、トールギス・グレイルの予期せぬ初実戦となったんだけどな」

「……どうでした?」

 

 数秒前のゲリラ活動をしてる連中に対する驚きを一瞬にして忘れたように、そう聞いてくる。

 この男にしてみれば自殺行為としか思えないような行動をしている連中の事よりも、自分が設計したトールギス・グレイルの方が気になるのだろう。

 技術班の研究者として考えてみれば、それはそれでおかしな事ではないのだろうが。

 

「そうだな。オルフェンズ世界のMSが相手だけに、当然ながらドーバーガンはそのままだと効果がなかった。まぁ、俺の特殊能力を使えばどうにかなったけど。……その辺については、一応コックピットに映像データを残してあるから、見てみるといい。機体は置いていった方がいいんだよな?」

「あ、はい。アクセル代表が実際に乗ってみた事によって、機体の方……特に関節部分にどのくらいの負荷が掛かるのか確認して、許容範囲内でしたら問題ありませんが、許容範囲外であった場合は、改修するなりなんなり、相応の対処をする必要がありますから。それにトールギス・グレイルとゲリラとの戦闘映像もしっかりと確認したいですし」

「分かった。……取りあえず、実際に乗ってみて実戦で戦ってみた感想としては、悪くなかった」

 

 ドーバーガンとかが効かなかったのには思うところもあるのだが、その辺は敵がオルフェンズ世界のMSだったと思えば、どうしようもない事だろうし。

 その辺は仕方がないと割り切る事にする。

 また、機体の反応速度もニーズヘッグではない以上、俺の反応に追いつけないのは仕方がない。

 これについては、ニーズヘッグとそれ以外で既に諦めているので、不満はあるが口にはしない。

 あるいは阿頼耶識を使えば反応速度も多少はマシになるかもしれないが、それはあくまでも多少はの話であって、俺が満足するようなものではない。

 

「そうでしたか。アクセル代表の目に適って良かったです。結構無理を通したので、もしこれで実はアクセル代表にとっては駄作でしかないと言われたら……一体レモン様にどんな目に遭わされていたことか」

 

 安堵しつつ、どこか遠い場所を見るかのように視線を逸らす男。

 そんな男の様子に、まぁ、それはそれで仕方がないかとも思う。

 レモンは普段は優しい……というか、そこまで細かい事は言わないが、一線を越えてしまった場合は容赦がないし。

 恐らくこの男はそうなってしまった時の事を考えているのだろう。

 そして、実際にそのようにならなくて良かったと。

 

「安心しろ。トールギス・グレイルは悪くない。……もっとも、俺が操縦するのを前提にして作られているから、実質的な専用機といった扱いで、その上で俺が操縦をするとなると……それで駄目なようなら、ちょっと洒落にならなかっただろうけどな」

「いえ、その……まぁ、トールギス・グレイルがアクセル代表の専用機であるというのは否定しませんが、加速力にリミッターを付ければ他のパイロットも操縦出来ますよ」

 

 そう言う研究者の言葉に、他の研究者がジト目を向けていた。

 まぁ、分からないでもない。

 それだとトールギス・グレイルの最大の売りである加速力や機動性を十分に発揮出来ないということを意味しているし、その上で操縦するパイロットは魔力や気による身体強化が必須となる。

 あるいは、それにプラスしてISCが必要になるか。

 ともあれ、やはりトールギス・グレイルは俺が操縦する事で最大限の性能を発揮するのは間違いなく、それがないとなると……うん、色々と言いたい事があってもおかしくはない。

 もっとも、それを言うのならガンダムフレームを使ったコンペ……というか、くじ引き? で負けてしまったのがそもそも悪い。

 あるいは不満そうに見ている者は最初の書類選考で弾かれて、くじ引きまでいけなかった奴なのかもしれないが。

 

「他に何か気が付いた事はありませんか?」

「ライフルだな。ダインスレイヴの技術を使っているだけあって、ナノラミネートアーマーの装甲を持った敵を相手にしても一撃で倒す事が出来た。もっとも、ダインスレイヴ並の威力とまではいかなかったけど」

「それは……まぁ、小型化しましたから仕方がないかと。ですが、MSを倒すのに十分な威力は持っていたのですよね?」

「そうだな。ダインスレイヴの場合は上半身を粉砕するといったような威力を持つが、あのライフルの場合はナノラミネートアーマーを貫いてコックピットのパイロットを殺せるといったところか」

 

 俺の説明に、男は興味深そうな様子を見せる。

 どうやらこの男にとって、ダインスレイヴの技術を使ったライフルというのはかなり興味深い代物だったらしい。

 まぁ、無理もないか。

 ダインスレイヴというのは、オルフェンズ世界における最強の武器だ。

 強力すぎて、ギャラルホルンが使用禁止にした程の威力を持つ武器だった。

 ……実際には使用禁止にしたギャラルホルンが自分から使うといった事をした辺り、笑えるというか、笑えないというか、色々な意味で微妙な感じではあるが。

 とはいえ、それでも弾頭が高硬度レアアロイ製という意味で特殊ではあるが、結局のところダインスレイヴそのものはレールガンの類でしかない。

 オルフェンズ世界においてはレールガンの類はダインスレイヴという存在の関係上、殆ど技術的な発展はしなかったみたいだが、他の世界にしてみればレールガンというのはそこまで珍しいものでもない。

 なので、ダインスレイヴの技術を使ったライフルとはいえ、それで重要なのはあくまでも高硬度レアアロイによって作られた弾丸なのだ。

 

「撃った時の衝撃とかそういうのはありましたか?」

「いや、ない。……正確には普通のライフルと同じか、少し強いくらいの反動はあったかもしれないが、普通に操縦する分には問題ないな」

「そうですか。……一応、高硬度レアアロイの弾丸を作った時に試射はしてみて問題ないというのは分かっていましたが、それでもこうして実際に聞かされると助かりますね」

 

 試射をした後ならその辺についてはもう特に気にする必要はないんじゃないか?

 そう思ったが、きちんと諸々の準備をした後で行う試射と、実戦で実際に使ってみるのとでは、そこには大きな違いがある。

 この男が聞きたかったのも、その辺が理由だろう。

 

「高硬度レアアロイの銃弾は、普通に今まで使っていた銃弾の上位互換になるな。それこそシャドミラーの実働班……後は精霊の卵が使っている実弾兵器の弾丸全てを高硬度レアアロイの弾丸にしてもいいと思うくらいだ」

 

 実働班と精霊の卵の中には、実弾兵器を好んで使う者もいる。

 残弾の心配とかそういうのをしなければならない実弾兵器は、それなりに使いにくい代物ではある。

 しかし……それこそビームを無効化するナノラミネートアーマーとかそういうのを考えれば、実弾兵器もあってもいいとは思う。

 実際には重力波砲があればナノラミネートアーマーが相手でも問題なかったりするのだが、ナノラミネートアーマーの場合はそれでいいとして、この先、重力波砲でも無効化するような技術を持っている敵が出て来ないとも限らない。

 そうなった時の事を考えれば、やはり実弾兵器もそれなりに重要視した方がいいのは間違いない。

 ……もっとも、その実弾兵器を無効化するPS装甲とかもあるのを考えるとやはり何か1つの武器に集中するというのは不味いだろうとは思うが。

 満遍なく、多種多様な武器を用意するのが最善なのだ。

 普通の組織だと、予算や時間の関係でそういうのを完全にやるというのは無理なのだが。

 どうしても優先順位を付けて、その順番通りにやっていく必要があるのだ。

 だが、シャドウミラーは違う。

 何しろ予算という意味では無制限だし。……だからといって無駄遣いしてもいい訳でもなく、やりすぎるとそれこそレモンによる制裁とか、そこまでいかなくてもエキドナを始めとした者達の制裁が待っていたりするが。

 また、時間についても魔法球と時の指輪の受信機があれば、こちらもまた本当の意味で無制限という訳ではなく限度があるが、とにかくある程度は時間を自由に使えるのは間違いない。

 

「うーん……アクセル代表の仰りたい事も分かりますが、高硬度レアアロイの弾丸を作るとなると、かなりのコストが必要になります。いえ、コストだけならどうとでもなるのですが、弾丸に加工するのにどうしても時間が必要になるんですよ」

「なるほど」

 

 男の説明に納得する。

 エイハブ・リアクター、それもガンダムフレームの例を見れば2基があってもその出力に耐えられる程の強固さを持ち、しかも数百年程度では殆ど経年劣化をしないという特殊合金だ。

 それを思えば、弾丸状に加工するのが難しいというのは納得出来る。

 

「となると、エース級……実働班の面々だけの武器、それも全てじゃなくて、特定の武器とかならどうだ?」

「それなら、まぁ……何とかなると思います」

「なら、レモンに話をしてみてくれ。それで問題ないようなら、そのまま頼む」

 

 俺の言葉に、男は頷くのだった。

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