転生とらぶる2   作:青竹(移住)

1986 / 2196
4621話

 相澤、プレゼント・マイク、ミッドナイトの3人に案内され、俺は雄英の中にある会議室……この前、林間合宿から戻ってきた時に俺の事情を話した時と同じ会議室に到着する。

 いや、この会議室で話をするのなら、別にわざわざ相澤とかが迎えに来る必要はなかった気がするんだが。

 扉を開き、会議室の中に入ると……

 

「待っていたよ。アクセル代表」

 

 根津校長が、真っ先に俺を見てそう声を掛けてくる。

 

「悪いな、ちょっと遅れたか?」

「いやいや、問題ないよ。大体予定通りだしね」

 

 そう言う校長の言葉に、会議室の時計を見ると、午前10時30分少し前といったところ。

 取りあえず校長がそう言うのなら問題ないだろうと思い、部屋の中を見回す。

 部屋の中には、校長、オールマイト、リカバリーガール、ブラドキング、そして俺を案内してきた相澤、プレゼント・マイク、ミッドナイト。

 後はこの世界における俺の後見人として、龍子と優、リューキュウとマウントレディの2人がいる。

 少し意外だったのは、グラントリノもここにいた事だろう。

 もっともグラントリノはオールマイトの師匠だったらしいし、そう考えればいてもおかしくはない。

 そしてこれもまた意外だったが、エンデヴァーやプッシーキャッツの面々がいない事だろう。

 エンデヴァーの性格を思えば、俺達が一体何だと、絶対に話を聞きに来るだろうと思っていいたし、プッシーキャッツの面々も今回の一件に深く関わっているだけに、しっかりと話を聞きたいと思ってもおかしくはない。

 ミルコがいないのは……まぁ、この会議に出ても蹴る事は出来ないだろうからと考えると、そんなに不思議ではない。

 警察の塚内はともかく、公安の中では俺の担当的な存在である目良の姿がないのは少し意外だったが。

 

「プッシーキャッツの面々は?」

「ラグドールの付き添いよ。こっちにも来たがっていたけど、ラグドールの件を考えるとしょうがないでしょ」

 

 龍子が俺の言葉にそう答える。

 けど、なるほど。

 プッシーキャッツにしてみれば、昨日の件で色々と聞きたいのは間違いないだろうが、ラグドールを放っておく訳にもいかないのだろう。

 聞いた話によれば、プッシーキャッツは4人全員が高校の同級生らしい。

 そして今の年齢を考えると……10年以上一緒に活動してきた仲間が、今回のような一件に巻き込まれた以上、その件に色々と思うところがるのはおかしくない。

 ましてや、ラグドールはAFOに個性を奪われている。

 AFOがサーチの個性を使った以上、それは確定だ。

 AFOによって個性を奪われた者が一体どうなるのか……それは俺にも分からない。

 特に何もデメリットはないのか、あるいは精神的にダメージを受けるのか。

 あるいはデメリットがないとしても、今まで普通に自分の中に存在した個性が奪われるのだ。

 当然ながらその事によって何らかの体調不良とか、そういうのになってもおかしくはない。

 だからこそ、今は何かあった時の為に、ピクシーボブ、マンダレイ、虎の3人はラグドールと一緒にいるのだろう。

 また、友情的な意味でもそうだが、実務的な意味でもラグドールのサーチを奪われた今の状況は、大変な事になる筈だ。

 プッシーキャッツがヒーロービルボードチャートにおいて上位――それでもトップ10とかには入れなかったが――に位置した理由は、プッシーキャッツを構成する4人のプロヒーローの個性の組み合わせが良かったというのもある。

 ピクシーボブの土を操作する個性、マンダレイのテレパシー、虎の軟体、そしてラグドールのサーチ。

 単純に考えるのなら、まずはピクシーボブの個性によってヴィランの足止めをし、ヴィランの個性をサーチで見破ってラグドールに話し、ラグドールはテレパシーでその情報を伝え、虎がその情報を元に弱点を突くなりなんなりして攻撃する。

 ざっと思いつくだけでもこれだ。

 もっとコンビネーションを考えれば、他にも色々と連携があるだろう。

 だが、その連携の肝がラグドールの個性であるサーチなのだ。

 そのサーチがなくなった以上、プッシーキャッツは今までと同じような連携は取れなくなる。

 その辺をどうするか……その辺りが、プッシーキャッツの難題だろう。

 

「やっぱりアクセルもプッシーキャッツが心配なのかしら?」

 

 自分用に用意された席に座ると、ミッドナイトがそう俺に聞いてくる。

 その声で我に返ると、俺もまた1つだけ空いている席、恐らくは俺の為に用意された席に向かいつつ、ミッドナイトの言葉に頷く。

 

「そうだな。ラグドールが連れ去られたのは林間合宿の時……俺もいた時の事だったしな。完全に裏を突かれた形だ」

 

 とはいえ、あの時襲ってきたヴィラン連合……いや、当時は開闢行動隊か。

 その開闢行動隊にしてみれば、本命は爆豪だったと思ってもいい筈だ。

 ラグドールはあくまでも出来ればといった可能性だった……と思う。

 爆豪の性格を表面的にしか知らなければ、爆豪を説得してヴィラン連合に引っ張り込む事も可能だろうと、そのように思ってもおかしくはないのだから。

 また、この世界に原作があって、緑谷が原作主人公であると考えると、その緑谷のライバル的な存在である爆豪が狙われるというのは、十分に納得出来る。

 ……まぁ、ラグドールにとって不幸中の幸いだったのは、AFOが興味があったのはあくまでもラグドールの個性だけだったという事だろう。

 こちらがヴィラン連合の拠点を襲撃するのも早かった事もあり、ラグドールがヴィランに乱暴される――貞操的な意味で――ような事がなかったのは、ラグドール的に大きいだろう。

 

「ともあれ、ラグドールはAFOによって個性を奪われてしまった。……ちなみにオールマイトとグラントリノに聞きたいんだが、AFOから個性を取り返す事は出来るのか?」

 

 俺の言葉に、オールマイトは難しい表情を浮かべ、口を開く。

 

「難しいだろうね。今まで私が戦ってきた経験からすると、まず無理だと思う」

「ああ、オールマイトの言う通りだ。勿論、それが出来るか否かで言えば、出来るだろうけどな」

 

 オールマイトの言葉を捕捉するようにグラントリノが言う。

 だが……そうか。話を聞く限りだと、やっぱり難しそうだな。

 個性的な意味では問題ないが、実際にAFOがそれをやるかどうかとなると、それは難しいのだろう。

 ……いっそ、鵬法璽を使うのはありか?

 頭の片隅でそう思ったが、すぐに却下する。

 何もAFOを自分に絶対服従させる事を忌避した訳ではない。

 鵬法璽を使う上で重要なのは、相手にそれを承知させる事だ。

 AFOの性格を考えれば、とてもではないが俺の思い通りになるとは思えなかった。

 それこそ個性を使ってどうにか誤魔化し、表向きは俺に従っているように見せて裏では何かを企む……そんな事を普通にやりそうなんだよな。

 

「取りあえずAFOについては現状のままって事か。……いっそ、AFOをシャドウミラーに預けるって手段もあると思うんだが、どうだ?」

 

 単純に技術班の研究で……という訳ではなく、AFOがタルタロスにいるのを考えると、タルタロスで何かを企む可能性は十分にあった。

 だが、それがホワイトスターなら?

 例えばAFOが何らかの手段でタルタロスの外と連絡をしていても、それがホワイトスターならどうしようもない。

 ……まぁ、その分AFOがホワイトスターの内部で暴れるといったことをされると困ったりするのだが……まぁ、その辺についてはシャドウミラーならそれこそ量産型Wやコバッタを使って、あるいは妖精の卵とか、実働班の面々で押さえられると思う。

 AFOはヒロアカ世界では大きな力を持つ存在だが、それはあくまでもヒロアカ世界での話だ。

 ホワイトスターのように、文字通りの意味で世界の違う存在がいれば、どうしようもないだろう。

 また、昨日の戦いでボコボコにされたのも、大きく影響してるだろうし。

 ただし、こっちは時間が経てば回復するだろう。

 あるいはAFOが再生とかそっち系の個性を持っていたりすれば、あまり意味がなかったりするが。

 

「個人的には、アクセル代表の考えは悪くないと思うよ。ただ……シャドウミラーの存在を知っている者が少ないので、それは難しいと思うけど」

 

 校長の言葉に、その件もあったなと思う。

 未だに、シャドウミラーの存在は公にされてはいない。

 その点もあって、ホワイトスターにAFOを運び込むのは難しいのだろう。

 

「昨日AFOとの戦闘がTVに流れたのは知ってるな?」

 

 相澤が確認の意味を込めて尋ねてくる。

 俺は当然のようにその言葉に頷きを返す。

 

「当然知っている」

「あの戦いにはアクセルを始めとして、シャドウミラーの者達が映し出されていた」

 

 そう断言するのは、相澤も自分で直接昨日の映像を見たからこその言葉だろう。

 まぁ、特番では何度も繰り返しあの映像を見せていたし、ネットとかでも同様だ。

 であれば、あの映像を見るのはそう難しくはないだろう。

 

「問題なのは、オールマイトやエンデヴァー、ミルコといった面々の他に、アクセルを含めたシャドウミラーの面々も映されていた事だ。現在、シャドウミラーの面々はどこのプロヒーローなのかという事で騒ぎになっている」

「それは、また……」

 

 いやまぁ、それはしょうがないのか?

 大袈裟でも何でもなく、昨日の戦いにおいてイザーク、オウカ、ムラタ、荒垣はその辺のプロヒーロー以上の活躍をした。

 No.2ヒーローである、エンデヴァーよりも活躍したのではないだろうか。

 であれば、それが一体どのようなプロヒーローなのかというのを知りたいと思うのはおかしくはない。

 それに……イザークとオウカは見るからに顔立ちが整っているし、ムラタは日本刀を使って普通にAFOを斬っており、荒垣にいたってはペルソナを使っていた。

 4人が4人とも目立っていたのを考えれば、少しでも情報を知りたいと思うのはおかしな話ではない。

 明日菜達が他の場所で待機していたのは、せめてもの救いか。

 何しろ回復系の個性というのは非常に希少だ。

 もう老婆であるリカバリーガールが未だに第一線で働いているのを見れば、それは分かりやすいだろう。

 そんな中で、回復系の個性――正確には魔法なのだが――を使う木乃香の存在が公になれば、間違いなく混乱が広がるだろうし、ヴィランの中には……あるいはヴィランではなく権力者であっても、何とか木乃香を手に入れたいと考えてもおかしくはない。

 そういう意味では、明日菜達がTVに映らないで本当に良かった。

 ……もっとも、この手の情報というのは知ってる者が多くなればなる程に隠すのが難しくなる。

 昨日のヴィラン連合の拠点であるバーの襲撃に関与した人数を考えれば、シャドウミラー云々という存在はともかく、リカバリーガールと同じ……いや、より強い回復系の個性を持つ木乃香という存在については、いずれどこかから情報が広がるだろう。

 もっともその情報が広がっても、既に木乃香はヒロアカ世界には存在しないのだが。

 

「そうなると、シャドミラーの件について大々的に公表してしまった方がいいんじゃないか? ヴィラン連合に逃げられた件についても、ある程度は誤魔化せるだろうし」

「その話は分からないでもないよ。けど……やっぱり異世界という存在については、大きすぎるんだ。そう簡単に公表出来ることじゃない。政府は勿論、他国ともその辺については考える必要があるだろうしね」

 

 校長の言葉に、部屋の中にいる面々がそれぞれ頷く。

 どうやらシャドウミラーの事について公表するには、他の国についても色々と相談をする必要があるらしい。

 このヒロアカ世界において、日本という国はそれだけ小さいのだろう。

 その辺りについては、仕方がないと思わないでもない。

 オールマイトがいるとはいえ、それでも日本の国力は決して高くはないのだろうから。

 

「まあ、それはこの世界の判断である以上、俺からは何も言わないけどな。昨日の戦いで関与した俺達を見つけようとする者達が騒がしくなるだけで」

 

 それこそ、具体的にはマスゴミとかな。

 マスゴミにしてみれば、未知のヒーローを見つけたというのは、視聴率的に大きいだろう。

 あるいは……ヒーロー免許を持っていない存在、いわゆるヴィジランテが俺達の正体だと思ってもおかしくはなく、そうなるとヴィジランテの問題が色々と公になりそうだが。

 それでも構わないというのなら、俺には何も言うつもりはない。

 ……ヒロアカ世界において、ヴィジランテの問題はそれなりに大きいというのが、この世界で半年ちょっと暮らしてきた俺の感想だ。

 ヴィジランテ、つまり無免許のヒーロー活動は当然ながら犯罪になるのだが、実際にはそのヴィジランテの行動によってプロヒーローの手が回らない状態であっても助かった者がいるのも事実。

 プロヒーローが多すぎるという話もあるのに、それでも手が回らないのはどうなっているのやら。

 そう、思うのだった。

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