転生とらぶる2   作:青竹(移住)

1989 / 2196
4624話

 雄英での会議が終わると、俺は影のゲートを使ってマンションの側まで転移する。

 どうせこのマンションの解約をするのなら、防犯カメラに残る云々といったような事を考えずとも、直接部屋に転移してもよかったんだが。

 ……それに昨日からの一件もあって、もう入ったり出たりしていない者が俺の部屋に出入りしているというのが、既にマンションの防犯カメラに録画されている可能性は十分にあるのだから。

 であれば、今からそのようなことをわざわざ考える必要もないと思う。

 まぁ、けど……そうだな。スーパーにでも寄ってみるか。

 マンションの1階にある、高級スーパー。

 何だかんだと、このスーパーを利用する機会は多かった。

 何しろマンションの1階にあるので、学校帰りに寄るとか、ちょっと夜に用事がある時とか、便利だったんだよな。

 高級マンションの1階にあるだけあって、スーパーも高級志向で基本的に高価だったものの、高価な分だけ品も良かったし。

 これで値段は高いが2流の品、3流の品が売られているとかなら、さすがにこのスーパーを使いたいとは思わなかったが、そういう事はないし。

 クロマグロの……それも冷凍をしていない生の刺身、赤身、中トロ、大トロとかが普通に売られているし、ネギトロも高いが売られている。

 ちなみにこのネギトロ……普通の、一般的なスーパーとかで売ってるネギトロは、マグロの赤身を叩いて食用油とかを使っているような奴が売られていたりする。

 本物のネギトロ……正確にはネギは入っていないので剥き身? とかそういうのは、どうしても一匹のマグロから採れる部位は少なく、高級になってしまうのだ。

 そんなネギトロ――ネギ抜き――が、このスーパーでは普通に売られていたりする。

 あ、でもこういうネギトロなら、ペルソナ世界でマヨナカテレビの一件で泊まっていた場所にあったジュネスの食品売り場でも売られていたのを見た事があるな。

 まぁ、田舎にあるデパートの食品売り場と、雄英の近くにある高級マンションの1階にある高級スーパで売られているネギトロ……どっちの方が品質が上なのかと言われれば、やっぱり俺は高級スーパーだと思う。

 そんな風に思いつつ、スーパーに入る。

 店員とかも、普通の……一般的なスーパーであればパートとかバイトとか、そういう面々だが、この高級スーパーにおいては普通に店員がいる。

 それもこういうスーパーで働いているだけあって食品に対しての知識もきちんとあり、例えば青椒肉絲に使う肉でお勧めは? と聞けば、即座に教えてくれたりする。

 そんな店員なので、俺を見ると頭を下げてくる。

 俺はこのスーパーをそれなりに利用しているし、それも万単位……場合によっては10万単位の買い物をする事も多いので、店員からは上客として認識されているのだろう。

 また、今の俺の姿は10代半ばで、この店を普段から使う人……それこそどこぞの会社のお偉いさんの妻とか、そういう人物とは明らかに年齢が違うので、どうしても目立つというのもある。

 

「お、この冷凍エビ……でかいな」

 

 買い物かごを持って鮮魚コーナーにいくと、そこには冷凍されたエビのパックが売っていたのだが、その1匹1匹がどれも大きい。

 頭部がない状態で冷凍されているのは残念だが。

 エビの頭部は出汁を取るにもいいし、じっくりと低温で揚げれば殻ごと食べられるってのを少し前にネットで見たので、試してみたいと思っていたんだが。

 ともあれ、その冷凍エビのパックを5つ程買い物かごに入れる。

 他にもさっき考えたネギトロもあったので、これも買い物かごに入れて……

 

「帆立か……ありだな」

 

 ついでとばかりに帆立を、他もツブ貝や赤貝、珍しいところでサザエの刺身なんてのも買い物かごに放り込んでいく。

 このスーパーにはいつまで来られるか分からない。

 であれば、思う存分ここで買い物をしていった方がいいだろう。

 もしくは、茨の見舞いに何かを買っていっても……やっぱ見舞いとなると、メロンとかそういう果物がいいのか?

 適当に果実も買い物かごに入れていく。

 当然ながら、このスーパーにある果実の類はブランドものが多く、その分値段も高い。

 とはいえ、それはつまりそれらが美味いという保証でもある。

 その辺のスーパーで、しかも安売りをしている奴を買ったりしたら、外見は悪くないのに中身は悪くなっていた……そんなのも珍しくはないし。

 食費を節約しなければならなかったりする場合は、それでも構わないとは思うが。

 ともあれ、そうして好き放題に購入し、清算を終えてスーパーを出る。

 それもマンションの外じゃなくて、中に入るような形でだ。

 そのままエレベーターに乗って俺の部屋のある階まで移動すると……丁度そのタイミングで、電話に着信があった。

 ちなみに当然ながら毎回ホワイトスターとヒロアカ世界を行き来する度に、電話の着信履歴があったり、もしくはLINに未読があったり、あるいはメッセージが送られてきていたりする。

 特に昨夜はAFOの件もあったりし、中でもヤオモモは何故か俺を怪しんでいる……といった表現は正しくないか? ともかくそんな感じで色々とあったのだが、緊急のもの以外は基本的にスルーしていた。

 それでも今回電話に出る気になったのは、その相手がヤオモモだったからだ。

 昨日の説明で納得出来なかったのか、それとも何か別の理由からなのか。

 それは分からないが、取りあえず電話に出る事にする。

 

「もしもし」

『アクセルさん、少しよろしいでしょうか? 実は現在、マンションの前まで来ているのですが』

「……そうなのか?」

『はい。少しアクセルさんとお話がしたくて。ただ、その……拳藤さんも一緒にいるのですが』

「何でまた?」

 

 話があるという事は、恐らく昨夜の一件によるものだろう。

 一応昨日の夜……丁度この部屋で打ち上げをしている時にヤオモモから連絡があって話したが、それでも納得出来なかったのか。

 ヤオモモの性格を思えば、そのようになってもおかしくはない。

 おかしくはないが……それはともかく、何故拳藤も一緒にいるのか。

 ヤオモモが拳藤も誘ってきた……という可能性もあるが、昨夜の一件について聞きたいのなら、わざわざ拳藤を連れてきたりとかはしないと思うんだが。

 となると、偶然一緒になったのかもしれないな。

拳藤は俺の部屋を知っているし、今まで何度か来た事もある。

 もっともそれを言うのならヤオモモだって別に俺の部屋に来るのはこれが初めてという訳ではなかったりするのだが。

 

『その、それで……どうしましょう?』

「いや、それを俺に聞くのか? ……まぁ、俺に聞くしかないか」

 

 俺の部屋に来たんだから、よく考えるまでもなく俺に聞くしかないのは明らかだ。

 だからといってどうするかとなると……

 

「そうだな、取りあえず今俺は丁度部屋の前にいるから、そっちの扉を開けるよ」

 

 このマンションは高級マンションらしく、外から来た者は内部から扉を開けて貰わないと中に入れない。

 ……いやまぁ、他の誰かが扉を開けたのをドサクサ紛れに一緒に入ってくるとか、そういうのも出来たりするんだが。

 ただ、マンションに入ってすぐに場所に管理人がいるから、場合によってはそういう者達は止められるだろう。

 それでも強引に中に入ろうとした場合は、それこそ警備会社に連絡するなり、警察に連絡するなり、もしくはプロヒーローに連絡をするなりしてもおかしくはない。

 なので、そういう風にならないようにする必要がある訳だ。

 部屋に入り、それを察知してロボット掃除機がこっちにやってきたのを見ながら、買い物袋を纏めて空間倉庫に収納する。

 その後で早速扉を開ける操作をし……

 

「さて、それで結局何の為に来たのかは分からないけど、適当に飲み物辺りは用意しておくか」

 

 昨日この部屋の打ち上げでやった飲み物の残りは冷蔵庫に入っているので、それを出せばいいだろう。

 本来なら茨の見舞いにでも行こうかと思っていたんだが、それは後回し……ああ、もしかして拳藤が来たのは茨の見舞いに一緒に行かないかと誘いに来たのかもしれないな。

 ともあれ、ヤオモモにしろ拳藤にしろ、何をしに来たのかは話を聞けば分かるだろう。

 そうして待っていると、やがて玄関のチャイムが鳴り、そちらに向かう。

 するとそこでは、何故か雄英の制服姿のヤオモモと、夏らしく動きやすい……つまり、峰田辺りに見せると興奮してもおかしくはない、そんな服装の拳藤の姿。

 

「外は暑かっただろ。入ってくれ。ウーロン茶だが、冷たい奴を用意してある」

 

 そう言うと、ヤオモモは小さく頭を下げる。

 

「ありがとうございます、アクセルさん」

「ありがと、アクセル。……それにしても、今年は暑いね」

 

 ヤオモモに続き、拳藤もそうして感謝の言葉を口にし、2人は部屋に上がる。

 当然のように俺の側にはロボット掃除機がいたのだが、顔見知りの人物であると登録しているのか、それとも見て問題ない人物だと判断したのか、あるいは俺が特に何も対応していないと考えたのか、とにかく優にやるように体当たりをしたりとか、そういう事をしたりはしなかった。

 この辺りの判断力は、さすがだと言えばいいのか、それともロボット掃除機が攻撃するなと言えばいいのか……その辺りの判断は、微妙なところだ。

 ともあれ、2人が部屋の中に入ってリビングにあるソファに座る。

 そんな2人の前に冷えたウーロン茶をコップに入れて出し、自分の分のウーロン茶も同様にコップに入れる。

 

「さて、それで……2人は一体何をしに来たんだ? 勿論、ただ遊びに来たというだけでも歓迎はするけど」

「私は昨日の件でもう少しお話をしたいと……」

 

 ヤオモモが先に言う。

 どうやらヤオモモが来た理由は予想通りだったらしい。

 拳藤は一体何の事かといった具合に、ヤオモモを見ていたが。

 この様子だと、どうやらヤオモモはあの件について……俺が昨日のAFOとの戦いに参加したアクセル……20代のアクセルが同一人物であるというのを、誰にも言っていないらしい。

 とはいえ、ヤオモモは拳藤と仲がいい……それこそ俗に言ういつメンって奴ではあるが、拳藤そのものは昨日の騒動には参加していないので、ヤオモモも話していないだけという可能性もあるが。

 それはつまり、昨日一緒にいた面々についてはもしかしたら話しているといった可能性もある訳だ。

 

「ヤオモモの用件は分かった。拳藤は?」

「え? 私? 私はその……少しアクセルと話をしたいなと思って。その、ほら……昨夜から色々とあっただろ? その件で」

 

 これはちょっと意外だったな。

 茨の見舞いかと思っていたんだが、まさか昨夜の件で来るとは思わなかった。

 ……というか、その場合であれば来る前に俺に前もって連絡をしておくとか、してもいいんじゃないのか?

 もっとも、もし連絡があったとしてもホワイトスターとヒロアカ世界、あとはトールギス・グレイルの試験でオルフェンズ世界に行ったりしていたので、連絡はつかなかったかもしれないが。

 

「それは……まぁ、色々と思うところがあったのは間違いないけどな」

「オールマイトの活躍もそうだけど、エンデヴァーやミルコといったようなトップヒーローの活躍は凄かったよね。……ただ、何人か全く知らないプロヒーローもいたけど。ただ、私はあまりプロヒーローに詳しくないから、単純にマイナーなプロヒーローなのかも……でも、その割には強かったよね?」

 

 そんな拳藤の言葉に、何と言えばいいのか迷う。

 拳藤が言ってるのは、恐らく……いや、間違いなく俺、イザーク、オウカ、ムラタ、荒垣だろう。

 

「けど、見た感じヒーローコスチュームを着てるようには見えなかったんだよな。けど、プロヒーローと一緒に活動していたのを考えれば、まさかヴィジランテとかじゃないだろうし。……アクセルはどう思う?」

「私もそれは気になっていました。アクセルさん、どう思いますか?」

 

 うわ、ヤオモモが拳藤の質問に便乗してきた。

 ヤオモモにしてみれば、どこまでの確信があるのかは分からないが、あのアクセルが俺だという可能性が高いと思っているのだろう。

 どう答えるべきか、悩むな。

 いっそ、ここであれが俺だと、異世界からやってきた国の代表だというのを説明するか?

 そうも思ったが、今この状況でそのような説明をするのは色々と不味いのも事実。

 であれば、ここはやはり……

 

「ヴィジランテという事はないだろ。ただ、ヒーローコスチュームを着ていなかった事を思えば、プロヒーローでもない。だとすれば……オールマイトの私的な知り合いに援軍に来て貰ったとか、そういう事じゃないか?」

 

 うん、まぁ……嘘は言っていない。

 俺達がオールマイトの知り合いだし、イザーク達は俺を通したオールマイトの知り合いで、そんな俺達がオールマイトの援軍として活動したのだから、嘘は言っていない筈だ。

 そんな風に思いつつ、俺は冷たいウーロン茶を飲むのだった。

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