転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4625話

 オールマイトの知り合いという言葉に、ヤオモモと拳藤は納得した様子を見せる。

 実際に俺は嘘を言った訳ではなく、俺もまたオールマイトの知り合いだったのは間違いないのだから。

 また、グラントリノもオールマイトの伝手で味方になってAFOと戦ったのは間違いない。

 そういう意味では、俺の言葉は正しいのだ。

 また、実際にオールマイトなら日本中に……いや、アメリカや世界中に知り合いがいて、協力を要請すれば引き受けてくれるのは間違いないという思いもそこにはあった。

 

「オールマイトなら、そういう味方が幾らいてもおかしくはないと思わないか?」

 

 ついでとばかりに、話の矛先を逸らす。

 とはいえ、無理矢理にという訳ではなく、オールマイトならそういう事があっても不思議ではないと思う者も多いので、ヤオモモと拳藤は特に疑うような事もなく話に乗ってくる。

 

「I・アイランドでも、オールマイトの友人というか、親友? もいたしね」

「そういえば、いましたわね」

 

 拳藤とヤオモモが納得した様子を見せる。

 

「ともあれ、昨夜の一件で敵のラスボス……という表現が正しいのかどうかは分からないが、とにかくそのような相手を倒したんだ。今はタルタロスに入っているだろうし、そう考えれば、大きな心配はなくなったよな」

 

 実際にはAFOは捕らえたものの、ヴィラン連合の面々は全員を逃している。

 そういう意味では、昨夜のヴィラン連合の拠点となっているバーの襲撃は、決して成功という訳でもなかったのだ。

 とはいえ、その辺りについての公表についてはどうなっているのか分からないが。

 プロヒーロー側として正直に事情を説明するのか、それともこの件が公になれば寧ろ多くの者が危険だと判断し、公表しないのか。

 その辺りはプロヒーローだったり、警察だったり、公安だったりが自分達で考える事であり、シャドウミラーの俺達にとってはあまり関係がないのも事実。

 いや、このまま雄英に通い続けるような事になった場合には俺にも関係してくるかもしれないし、あるいはヴィラン連合がシャドウミラーを敵視し、ゲートを襲撃するといといった可能性もある。

 ……そうなると、ヴィラン連合がホワイトスターを襲撃する訳だ。

 もしそうなったら、門世界以来の出来事だな。

 もっとも、門世界の時は門が交流区画に突然門が出現したのであって、シャドウミラーが使っているゲートとは色々と違ったが。

 

「とにかく、昨夜の騒動で色々と慌ただしくなるし……」

 

 そこまで言って、引っ越しの準備について言っておいた方がいいのか? と思う。

 今の時点で俺がそれを知っているのは明らかにおかしい。

 それは間違いないが、同時に予想をしたという事であれば、そうおかしくはないだろう。

 ヤオモモの場合は実家から車で通っているので、引っ越しとかそういうのも考えなくてもいいかもしれないが、拳藤の場合は俺と同じく1人暮らしだ。

 そもそも拳藤が今日こうして俺の部屋に来たのも、近くに住んでいるのが俺だけだからというのが大きいだろう。

 いやまぁ、だからといって男の部屋に1人で来るのは女としてどうなんだ? と思わないでもないが。

 今回は偶然ヤオモモがいたし、俺も……まぁ、昨夜も思う存分恋人達と熱い夜を楽しんだのでそういう事をするつもりはないが、世の中に拳藤程の美人なら機会を逃さずに……と考える者もいる。

 特に今は夏だけに、若者の暴走とかそういうのは普通にありそうだしな。

 

「アクセル? 私を見てどうしたんだ?」

「いや、ヤオモモはそっち方面の知識があまりないとはいえ、拳藤は男女関係についてもそこそこ詳しいだろ? なのに、夏に1人で男の部屋に来るのは……場合によっては、誘ってると思われても仕方がないぞ? しかも、服装が服装だし」

 

 拳藤の今日の服装は、動きやすさを重視したものなのだが……それはつまり、軽装であるという事でもある。

 白く肉付きもいい、それでいて鍛えられて引き締まっている太股が剥き出しになっている状態で男の部屋に1人で来るというのは、俺が今言ったように誘っていると思われてもおかしくはない。

 

「……え? っ!? ばっ、馬鹿! お前馬鹿! アクセル馬鹿! 一体いきなり何を言うんだよ!」

 

 拳藤は最初俺が何を言ったのか分からなかったらしい。

 だが、それでも次第に……ゆっくりとだが俺の言葉の意味を理解すると、その顔を真っ赤に染めて叫ぶ。

 当然ながら、顔が赤いのは俺に対する怒りとか羞恥とかで、暑さによるものじゃないんだろうな。

 

「拳藤にその気がなくても、相手によってはそういう風に見る事もあるんだから、気を付けた方がいいぞ」

 

 実際、拳藤は自分の美貌について自覚が足りない。

 顔立ちは整っており、間違いなく美人と呼ぶに相応しい外見をしている。

 身体付きも……ヤオモモには劣るものの、平均より上なのは間違いない。

 そんな拳藤だけに、中学時代にも当然のように目立っていた筈で、男に告白された事は多いと思う。

 それどころか、凜々しい系の美人で、俺の恋人の中ではコーネリアや綾子のようなタイプだけに、女からもお姉様と呼ばれて告白されていてもおかしくないと思う。

 

「中学でも男に言い寄られたり、告白されたりとか、そういう事はなかったのか?」

「……アクセルってデリカシーないよな」

「は?」

「いや、何でもない」

 

 何故か不機嫌そうな様子を見せる拳藤。

 どうやら拳藤にとって何か面白くない事があったっぽいが、それが具体的に何なのかは分からないが。

 そうして拳藤の言葉に戸惑っていると、何故かヤオモモからもジト目を向けられる。

 どうやらヤオモモにとっても、今のやり取りは問題があったらしい。

 

「私はどうしても雄英に入学したかったから、それこそ中1の時からもう勉強に集中していた。勿論学校生活も十分に楽しんだし、その……アクセルが言うように告白された事もない訳じゃないけど、雄英に入学する為にそういうのは全部断っていたんだよ」

 

 不満そうな様子ではあったが、そう拳藤が言ってくる。

 この様子を見ると、取りあえず不満については流してくれたっぽい感じだな。

 けど……やっぱりそうか。

 凜々しい系という意味ではコーネリアや綾子っぽい感じだけど、生真面目さという意味ではモニクに近いな。

 モニクも一般家庭からギレン・ザビ直属の組織に入る為に、それこそ学生時代から色恋については気にせず、勉強に集中してきたらしいし。

 モニクにしろ拳藤にしろ、実際にそうして結果に結びついているのは素直に凄いと思う。

 もっとも、本人にしてみればそこまで言う程のものではないとか、そんな風に思っているのかもしれないが。

 

「なるほど。変な事を聞いてしまったな」

「全くだよ。……ただ、うん。次からは私も服装についてはしっかりと考えるよ」

「そうしてくれ。俺にとっても目の毒だし」

「……え?」

 

 俺の言葉が予想外だったといった様子で、拳藤が声を発する。

 今のやり取りのどこにそんな風に言うような原因があった?

 

「アクセルさん。私はどうでしょう?」

 

 拳藤とのやり取りについて考えようとしたところで、そうヤオモモが聞いてくる。

 

「え? あー……まぁ、男の部屋を訪ねるのに適しているのかどうかはともかく、誘っているようには見えないな」

 

 ヤオモモの服装は、いつの間に着替えたのか……もしくは創造で作ったのか、まさにお嬢様といった感じのワンピースだ。

 勿論、ヤオモモのような美人が、それでいて男好きのする身体の人物が着ているのもあって、人によっては誘われていると、そんな風に思ってもおかしくはないと思う。

 思うのだが、一般的に見た場合は問題ないだろう。

 

「そうですか。アクセルさんが喜んでくれたようで何よりです」

 

 いや、別に喜んだ訳じゃ……まぁ、今の話のやり取りから考えれば、そんな風に思われても仕方がないけど。

 ただ、このままこの話が続くと、色々と問題になりそうな気がする。

 なので、話題を変えるとしよう。

 ちょうどさっき、それについて思いついた事もあったし。

 

「USJの一件、林間合宿の一件……それと、昨夜の一件」

 

 そうして唐突に話題を変えると、それを聞いたヤオモモと拳藤が不思議そうな表情を浮かべる。

 話題がいきなり変わった事で驚いたのだろう。

 

「アクセル、一体何を?」

 

 そう聞いてくる拳藤に、俺は視線を向けて言葉を続ける。

 

「取りあえず聞け。ヴィラン連合とのいざこざがあって、現在雄英は多くの者達に責められている。具体的にはマスゴミだな」

 

 より正確には、マスゴミもそうだがコメンテーターとかそんな感じでTVに出ている面々も込みだ。

 そのような者達は、ここぞとばかりに雄英を責めていた。

 特に昨夜陽動として行われた相澤やブラドキング、校長の記者会見においては、マスゴミは徹底的に雄英を責めていたらしい。

 ……まぁ、昨日はあくまでもヴィラン連合の拠点となっているバーの襲撃に対する陽動というか、隠れ蓑というか、そんな感じでの行われた記者会見だったので、そうして雄英が責められるのはある意味丁度よかったのかもしれないが。

 ただ、そうして責めた内容……生徒達の安全を軽視しているといったような事には一理あると俺も思う。

 それが、日本でもトップのヒーロー科を持つ雄英という高校で、全国から生徒が集まってくるにも関わらず、寮がないという事だろう。

 生徒達が自分でアパートなりマンションなり、あるいは下宿先なりを見つける必要がある。

 俺のようにリューキュウの事務所に住んでいて、資金についても公安持ちであるなんて場合は、すぐに部屋を決める事が出来た。

 だが、田舎から出て来る生徒達にしてみれば、それこそ1日、あるいは数日で部屋を決める必要があり、その後も契約だったり、運び込む荷物の用意だったり、あるいは引っ越し先で買う物を選ぶ必要があったりする。

 これもまた、雄英風に言えばPlus Ultraなのかもしれないが、それによって雄英に通っている生徒の大半が1人暮らしをする事になり、それによってヴィランに狙われるといった可能性は十分にあるのだ。

 雄英側も、そうなればPlus Ultraどころの話ではないと、寮を作る事に決めた訳だ。

 

「そんな中でも的を射た発言が、寮がなくて多くの生徒が1人暮らしをしているという点だった。1人で行動してるのを狙われたら、それこそ相応の力がない限りはどうしようもないしな」

 

 これが例えば爆豪や轟、あるいは原作主人公の緑谷とかなら、ヴィランの襲撃があっても対処出来る可能性は十分にある。

 だが、峰田や口田のような純粋な戦闘力において劣る者であれば、ヴィランに……それもいわゆるネームドと呼ばれる類のヴィランに襲撃された時、倒すのは難しいし、逃げるのもまたそう簡単ではないだろう。

 

「そう考えると、雄英は寮を作る可能性が高い。……幸いと言うべきか、雄英にはセメントスがいるから、建物を作るのは難しくないしな」

 

 寧ろセメントスがいるのに、まだ寮がなかった方が驚きだろう。

 いや、これもPlus Ultraとしての事なんだろうけど。

 

「寮……ですの?」

 

 ヤオモモにしてみれば、寮というのは一体どういうものかあまり想像出来ないのだろう。

 名家にして資産家でもある八百万家の1人娘だ。

 そんなヤオモモだけに、寮生活なんてのはそれこそ想像するものでしかない。

 あるいは漫画とかそういうのを読んでいれば、寮生活についての描写とかがあるかもしれないが……ヤオモモが漫画を読むようには思えないんだよな。

 

「なるほど、寮か」

 

 ヤオモモとは違い、拳藤の方は別に金持ちの娘という訳でもないので、寮生活について何となく想像出来たらしい。

 

「まぁ、あくまでも俺の予想だけどな。ただ、そう間違っている訳でもないと思う。だから、ヤオモモもそうだが拳藤も引っ越しの準備をした方がいい。特に拳藤はまずは段ボールとかそういうのを集めるところから始める必要があるだろ。……まぁ、もしかしたら引っ越しとかそういうのは全部雄英側で手配をしてくれるかもしれないけど」

「うげ……まだ今のアパートに住んでから4ヶ月? 5ヶ月? そのくらいだよ? なのにもう引っ越しって……こんなに早く引っ越しをしなければならないのなら、段ボールとか捨てなかったのにな」

 

 あ、やっぱり段ボールを使ってたんだ。

 一応引っ越し業者とかを使えば段ボールとか回収してくれるんだが、3月から5月というのは引っ越しシーズンで通常よりも料金が高くなるし、それでも予約が取れなかったりする。

 そういう時、家族の引っ越しではなく1人の引っ越し程度なら、トラックを借りて……場合によっては軽トラとかで引っ越すといった方法がある。

 ただ、そうなると安くなるけど、段ボールとかは自分で処理しなくてはならず……拳藤の様子を見る限り、多分そっちの引っ越し方法だったのだろう。

 あるいは業者でも段ボールの処分とかは自分でやる代わりに安くするとか、そういう業者だった可能性もあるな。

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