転生とらぶる2   作:青竹(移住)

2008 / 2196
4643話

 リビングに移動すると、シェリルに諸々の事情を説明する。

 すると、シェリルだけではなく凛とゆかりも当然ながらその話を聞き……2人揃って額に血管が浮かぶくらいには怒りを抱く。

 壊理のような幼女に日常的に暴力を振るっているヴィランと考えれば、怒るのは当然だろう。

 ……あるいは、ここにいるのが母性の強いマリューや千鶴ではなかったことがせめてもの救いか。

 もしここにマリューや千鶴がいたら、それこそ今すぐにでもヒロアカ世界に行って、壊理に暴力を振るっていたヴィランをボコボコにし、どことは言わないが長ネギで貫かれてもおかしくはない。

 もっとも、別にそうなって困るようなことがあるかと言われれば、当然ながらそれは否なのだが。

 ただ、それはあくまでも俺の方の問題で、シャドウミラーの面々がヒロアカ世界で大きく暴れるような事になれば、向こうの……公安なり、警察なり、雄英なり、あるいはそれ以外のどこかなり。

 とにかくそのような者達に迷惑を掛けてしまうのは間違いない。

 俺としては、そういうのは可能な限り避けたかったので、この場にマリューや千鶴がいないのはせめてもの幸運なのだろう。

 ……もっとも、当然ながらもう数時間もすればマリューや千鶴達も帰ってくる訳で、そうなったらそうなったで、いずれ壊理については知られてしまうのだが。

 その辺については、それこそ今ここで俺がどうこうと考えたところで意味がないか。

 

「それで、アクセルはこの子をホワイトスター……というか、シャドウミラーで匿いたい訳ね」

「そうなるな」

 

 確認を求めるように尋ねる凛に頷きを返す。

 

「まあ……悪くないんじゃない? 子供に暴力を振るうような相手の所にいるよりは、ここにいた方が安心でしょうし。で、そっちの2人は?」

 

 あっさりと凛は壊理を受け入れる事にし、次に視線を向けたのはヤオモモと拳藤。

 凛の……その美貌と、シャドウミラーでも最高の魔術師としての気配に圧倒されたのか、ヤオモモと拳藤は自分でも気が付かないうちに後退ろうとし、ソファに足がぶつかったことによって、その動きを止める。

 ……いや、凛は魔術師というか、もう魔法使いと呼ぶべきなのか?

 以前ちょっと凛から聞いた話によると、Fate世界の魔法使いというのは魔術師の頂点で、科学技術では出来ない事が出来るのが魔法使い……だったと思う。

 であれば、Fate世界からW世界に転移した凛は、魔法使いと言ってもいいのだろう。

 もっとも、科学技術で出来ない事をするのが魔法使いなら、シャドウミラーは普通にゲートを使って異世界に転移している訳で……そうなると、魔法使いとしてはどういう扱いになるのか、ちょっと分からないが。

 あるいは、科学技術で不可能というのはあくまでもFate世界の科学技術であって、転移した世界の科学技術については問題がないのか。

 その辺りは俺にも詳細は分からないが……なら、やっぱり魔術師でいいか。

 魔法使いだと、それこそネギま世界の魔法使いと混同しやすいし。

 そんな風に思いながら、俺はヤオモモと拳藤について紹介する。

 

「ヤオモモ……八百万と拳藤だ。俺がヒロアカ世界で通っているヒーロー科の生徒だ。ヤオモモはA組で俺と同じクラスで、拳藤はB組で俺と違うクラスだけど」

「ふーん。なら、そっちの八百万さんはともかく、拳藤さんは何で一緒に来たの? ……もしかして、つまりそういう事?」

 

 拳藤に流し目を向ける凛。

 ただ流し目を向けただけだが、そこには驚く程の艶があった。

 実際、流し目を向けられた拳藤は何も言えなくなっていたし。

 なので、取りあえず俺が事情について説明する。

 

「拳藤の住んでいるアパートは俺の住んでいるマンションと同じ駅の側にあるんだよ。その為、何だかんだと一緒に行動する事が多い」

「じゃあ、もしかして毎朝一緒に登校してたとか?」

「う、それは……」

 

 拳藤が凛の言葉に反論しようとして、何も言えなくなる。

 いやまぁ、実際毎朝一緒に俺と拳藤が登校していたのは間違いないしな。

 

「なるほど。つまり……ゆかり、どう思う?」

「え? ちょっ、そこで私に聞くの!?」

 

 ゆかりはまさかこの状況で話を振られるとは思わなかったのか、驚きの声を上げる。

 だが、凛は笑みを浮かべ、口を開く。

 

「私の場合はアクセルがサーヴァントとして召喚されたけど、ゆかりは違うでしょ? それも聞いた話だと、アクセルがペルソナ世界に行った時、初めて会ったのがゆかりだったとか。なら、ヒロアカ世界の2人と同じようなものじゃない?」

 

 そう言う凛だったが、俺がヒロアカ世界で初めて会ったのは、龍子と優なんだが。

 ……とはいえ、今の凛の様子を見るとちょっとその辺に突っ込むことが出来ないな。

 

「アクセル?」

 

 ビクリ、と。

 不意に凛に名前を呼ばれると、思わずその動きを止めてしまう。

 普段であればそうでもないんだが、今は……というか、今日は色々と特殊な状況になってしまっているしな。

 その為、今のこの状況では本当に色々と思うところがある訳だ。

 とはいえ、それを表に出す訳にもいかないが。

 ……まさか、千鶴のように女の勘で俺が何を考えているのか分かったとか、そういう事はないよな?

 

「な、何だ?」

「少し……本当に少し悪いけど、その子……壊理ちゃんだっけ? その子と一緒に遊んでいてくれる? 壊理ちゃんもあまり知らない人がいるよりは、知っている人と一緒の方がいいでしょうし」

 

 そう言う凛が壊理を見ると、壊理は凛が何を言っているのか分からないといった様子で小首を傾げ、それから俺を見てくる。

 相変わらず表情は変わらないものの、凛の言葉を嫌だと思っている様子ではない。

 

「分かった」

 

 そうなると、俺としても凛の言葉を受け入れるしかない。

 

「ありがと、……ほら、ゆかりとシェリルも行くわよ。女同士で話があるんだから」

「え? 私も……いや、この面子を考えると常識人の私がいかないと駄目か」

「あら、常識人ですって? 昨夜のシーラを責めた時の事を思いだしてから言って……」

「ちょっ、シェリル! 壊理ちゃんの前! そんなところで何を言ってるのよ!」

 

 ゆかりが何かを言いかけたシェリルを強引に引っ張って連れていく。

 いやまぁ……うん。昨夜のあのプレイは色々と燃えるというか、興奮するものがあったのは間違いない。

 清楚といった言葉が相応しく、バイストン・ウェルでは聖少女とか聖王女とか言われていたシーラのあの乱れっぷりは……うん。こう……クるものがあった。

 

「どうしたの?」

「いや、何でもない」

 

 昨夜の一件を思い出していると、いつの間にかリビングは俺と壊理の2人だけになっていた。

 そんな中で俺が昨夜の一件を思い出していたので、壊理が不思議に思ったのだろう。

 ……教育上悪いから、取りあえずその辺については今は考えないようにしておく。

 

「それで、壊理。どうする? 何かしたい事でもあるか……といっても、ヒロアカ世界とは違うから、勝手が分からないか。……いや、そうでもないか?」

 

 言葉の途中で、そう思い直す。

 そのように思った理由としては、壊理は小さい頃からヴィランによって軟禁……という表現が正しいのかどうか分からないが、とにかく自分の意思で外に出掛けたりとかは出来なかったらしい。

 つまり、ヒロアカ世界でなら普通に行われている遊び……それこそ小学生になるかどうかといったような壊理のような年齢の子供の間で、何がブームになっているのかというのは分からない。

 俺もヒロアカ世界で色々と調べたりしたが、まさか個性とかプロヒーローとかヴィランとか、そういうのに関係ない内容については後回しだったしな。

 

「そうだな……TVでも見るか?」

 

 ホワイトスターにおけるTVは、ゲートで繋がっている世界のTV番組ならどの世界のものでも見られる。

 ……もっとも、基本的にはゲートを設置するのは日本だったり、そもそもTVがない世界だったりとするので、言う程に多くのTV番組を見られる訳ではないのだが。

 とはいえ、壊理が見るTV番組としては、日本のTV番組というのは悪くない。

 難しいドラマとかそういうのはともかく、アニメとか教育番組とか、そういうのは壊理が見ても面白いだろうし。

 もっとも、アニメと一口に言っても子供向けのアニメであればともかく、難しい……大人が見るようなアニメの類となれば、それを見ても理解出来ないかもしれないが。

 ともあれ、リビングにあるTVを点け、チャンネルを適当に変えていくと……顔がパスタで出来ていて、それを他人に食べさせるといったアニメが映し出された。

 ……シュールだな。

 いや、勿論子供用にデフォルメされているのだが、それでもこの様子を見る限りでは、こう……うん。

 仲間には蕎麦、うどん、ラーメンといったような他の麺類もいる。

 ちなみに見た感じだと、ヒロインはタバスコらしい。……いや、本当に何だこれ?

 そう疑問に思うも、予想外な事に壊理はTVをじっと見ていた。

 どうやら壊理にとって面白かったらしい。

 俺には分からないが、その辺はあくまでも個人の趣味といったところか。

 そんな訳で、壊理にはアニメを見せ、俺は空間倉庫の中に収納してあった本を読む。

 何だか離れた場所……ヤオモモと拳藤が連れていかれた方からキャーキャーといった黄色い悲鳴だったり、笑い声だったり、驚きの声だったり……そんな声が聞こえてくるものの、特に気にしない。

 凛に連れていかれた時にはもしかして? と思いもしたのだが、聞こえてくる感じからすると仲良くやっているらしい。

 その辺については、俺がどうこう言うような事じゃないだろうし。

 ……いや、寧ろそこに俺が関与すると、それはそれで色々と不味いことになりそうな気がするんだよな。

 だからこそ、俺としては聞こえてくる内容については気にしないようにする。

 この状況ではそうした方がいいというのは明らかだろうし。

 

「……ん?」

 

 そして本を読んでいると、扉の開く音が聞こえてくる。

 誰だ? と思ったが、やがてリビングに入ってきたのは……

 

「あら、アクセル。帰ってたの? 凛がいる筈なんだけど……その子は?」

 

 エリナが俺を見て笑みを浮かべ、凛の居場所を聞くと同時に、ソファに座ってアニメを見ている壊理に気が付き、そう尋ねてくる。

 

「凛なら向こうだ。この子供は壊理。ヒロアカ世界から連れてきた。ヴィランに暴力を振るわれていてな」

「……そう。まぁ、アクセルらしいと思うわよ。よろしくね、私はエリナよ」

「……壊理です」

 

 アニメから視線を逸らすと、壊理はエリナに短く自己紹介をする。

 エリナと壊理……名前が似てるな。

 ふとそう思ったが、だからといってわざわざそれを口に出すような事はしない。

 

「じゃあ、私は政治班の仕事で凛に用事があるから、ちょっと行ってくるわね」

 

 そう言うと、エリナは家の奥……先程ヤオモモや拳藤が連れていかれた方に向かう。

 エリナがわざわざ用事があるとやって来た事を考えると、何か大きな騒動でもあったりするのか?

 そう思ったが、もし本当に何か大きな問題が起きたりしたら、俺に連絡がある筈だ。

 ヒロアカ世界からまだ帰ってきていない時であればまだしも、俺はもう普通にホワイトスターにいるんだし。

 であれば、その辺は特に問題はない……と思う。

 なので、今はその辺も特に気にしないでおく。

 ……とはいえ、いざ何かあったらと思うと、心配なのは間違いないが。

 考えられるとすれば、ガエリオが言っていた、オルフェンズ世界のゲリラの件か?

 俺が今日、トールギス・グレイルで倒した。

 まぁ、ガエリオも一応政治班にも報告はしたって話だったから、可能性としてはゼロではないと思うけど……今更、ゲリラが出てきたくらいでシャドウミラーが騒動になったりするか?

 その辺を考えると、多分違う。

 そんな風に思っていると、麺類のアニメが終わり……次はいわゆる戦隊もの? が始まった。

 アニメならともかく、戦隊ものとかはあまり分からないんだよな。

 ただ、壊理は先程のアニメに比べれば熱心さは落ちているものの、それなりに集中して見てTVを見ていた。

 毎回思うけど、悪の秘密結社が生み出した怪人が幼稚園のバスを乗っ取るのって……なんなんだろうな?

 どうせならもっと大きな騒動を起こせばいいと思うんだけど。

 例えば国会をやっている場に乱入して全員を人質にしたり、殺したりするとか。

 もしくは、原子力発電所を占拠するとか。

 軍事基地を占拠するのでもいいな。

 ……あるいは最初は幼稚園のバスを乗っ取るんだが、話が進めばそういうのもやるようになるのかもしれない。

 そんな風に思っていると……やがて家の奥から凛達が戻ってくる。

 何故かヤオモモと拳藤の顔が真っ赤だったんだが、その辺については俺は聞かない方がいいだろうと、スルーする。

 そのヤオモモと拳藤は、何かを言いたそうな、あるいは聞きたそうな様子でチラチラとこっちを見ていたりもしたのだが。

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