転生とらぶる2   作:青竹(移住)

2025 / 2196
4659話

「え?」

 

 そう口にしたのは、相澤だったのか、それともオールマイトだったのか。

 そんな2人の視線の先にいるのは、エヴァだ。

 正確には実働班の面々の姿もあるが、教官役をしているエヴァがどうしても目立ってしまうのは当然だろう。

 そして、そのエヴァは自分を見る相澤とオールマイトの視線に何か思うところがあったのか、不満そうな様子で鼻を鳴らす。

 

「ふんっ、この連中は何だ、アクセル」

「ヒロアカ世界における俺の担任と副担任だよ」

「……ああ、そういえばアクセルはヒロアカ世界で学校に通ってるんだったか。よくもまぁ、そんな気になったな」

 

 呆れた様子でそう言うエヴァ。

 まぁ、エヴァは登校地獄で何十年も麻帆良で中学生をしていたのだ。

 取りあえず諸々とあって登校地獄からは抜け出す事が出来たのだが、それでも……いや、それだからこそエヴァにとって学校というのはあまり好ましいものではないといったところか。

 

「ヒーロー科は普通の高校と違って面白いしな。それこそヒロアカ世界特有の学科だ」

 

 これでネギま世界とかペルソナ世界とかにもヒーロー科とかあったら、面白いよな。

 いやまぁ、今は無理でもネギま世界ならそのうち魔法科とか出来てもおかしくはないし、ペルソナ世界においても、もしかしたら……本当にもしかしたらだが、ペルソナ科というのが出来る可能性もある。

 そういう意味では、ヒロアカ世界のヒーロー科と似たようなものだろう。

 

「ふんっ、まぁ、いい。その2人が戦闘訓練に参加するのは別にいいが、どのくらい戦えるんだ?」

「オールマイトなら普通に戦いについてくることが……」

「待ってくれ、アクセル君。ちょっとこっちに来て欲しい」

 

 不意にオールマイトがそう言うと、俺を連れて少し離れた場所まで移動する。

 そして、他の面々……恐らくは特に相澤に聞こえないようにしながら口を開く。

 

「アクセル君。知っての通り、今の私は身体そのものは治療されたが、OFAがない」

 

 オールマイトが静かにそう言ってくるが……なるほど、言われてみればそうだったな。

 とはいえ、神野区ではAFOを相手に圧倒的な戦いを見せていた。

 それを思えば、OFAがなくてもそれなりに戦えるじゃないのか?

 

「神野区でAFOと戦った件については?」

「あれは……いや、そうだな。アクセル君はOFAについても知っているんだ。であれば、この件については話しても今更だろう」

 

 何かを考えるように……というか、自分に言い聞かせるようにか? とにかくそう呟くオールマイト。

 そしてオールマイトは、大事な秘密を話すように……というか実際に大事な秘密を話そうしているのだろうが、俺に向かって口を開く。

 

「私は緑谷少年にOFAを託した。それは間違いない。だが……それでも、私の中にOFAがあったのは間違いなく、それがなくなった今も……そうだな。OFAの残滓とでも呼ぶべきものが残っているんだ。言い換えるのなら、蝋燭が燃えつきる前に激しく燃えるというのを聞いた事があるだろう? それと同じようなものだ」

 

 なるほど。

 取りあえずOFAの力を完全に使う事は出来ないが、いざとなれば使える。

 ただ、オールマイトの中に残っているのがOFAの残滓……つまり、残量が決まっているので、使うとなくなってしまう。

 

「……それ、大丈夫なのか? 特にヒーロービルボードチャートの件とか」

 

 現在オールマイトが日本のNo.1ヒーローとして扱われているのは、ヒーロービルボードチャートによって1位に選ばれているからだ。

 ……まぁ、このヒーロービルボードチャートがその辺のメディアが行う人気投票的なものであれば、そこまで影響力はなかったかもしれない。

 だが、これはメディアが行うものではなく、公安が行う……つまり、公式にヒーローに順位を付けるというものだ。

 なので、このヒーロービルボードチャートによって1位になれば、それはつまり日本のNo.1ヒーローになる訳だ。

 

「まぁ……今のままではそのうち問題になるだろうとは思うけど、緑谷少年がいる」

 

 やっぱり、神野区での戦いが終わった後でTVカメラに向かって言った『次は君だ』というのは、緑谷の事だったらしい。

 OFAの継承者として考えれば、それも当然の事だとは思うが。

 

「もし……本当にもしもの話だが、私が緑谷少年に会う前にアクセル君に出会っていたら、OFAの後継者は緑谷少年ではなくアクセル君だったのかもしれないね」

 

 ふと、思いついたようにそう言うオールマイト。

 なるほど、オールマイトにしてみれば俺という存在を知ればそういう風に思ってもおかしくはない。

 というか、俺の場合はぶっちゃけOFAがなくても普通にAFOを倒せると思うんだが。

 それに……

 

「オールマイトも知っての通り、俺は人間じゃなくて混沌精霊だ。そんな俺にOFAを譲渡した場合、きちんと譲渡されるのかどうか分からないぞ?」

 

 譲渡したつもりが譲渡出来ず、オールマイトの中にOFAがまだ残っていたということであれば、まだいい。

 だが、譲渡したつもりが俺が受け入れることが出来ず……例えるのならスマホとPCの間でデータをやり取りする際に、端子が違っていて接続出来ず、それでも強引に接続したところでデータを流したところ、スマホからはデータを移動したのでデータは消えているが、PCの方ではデータを受け取れず、データはどこかの闇に消えたとか、そういう事にもなりかねない。

 もっとも実際にはデータの移動ではあってもコピーという扱いになるので、普通ならそういう事にならないのだが。

 ともあれ、混沌精霊の俺にOFAの継承はまず無理だろうし、もし継承しても……いやまぁ、緑谷を見る限りだと、単純に力が強くなるとか、そういう感じでパワーアップするといったところか?

 実際にその辺りがどうなるのかは、やってみないと分からないから何とも言えないけど。

 もしかしたら、俺の中にある念動力とか、あるいは魔力とか、他にも色々なスキルと融合して、強力なスキルに生まれ変わるといった可能性もあるのだから。

 ただ、それでも試してみたいとは思わないし……何よりもしそういう事になったら、原作の始まる前から崩れていただろう。

 緑谷がこの世界の原作主人公になれたのは、あくまでもオールマイトからOFAを譲渡されたからだ。

 もしOFAを譲渡されていなければ、緑谷は無個性として主人公にはなれなかっただろう。

 ……あ、でも緑谷はあそこまでヒーローに憧れていたんだから、もしかしたら個性が目覚めなくてもサポートアイテムを上手い具合に使ってプロヒーローになっていた可能性もあるな。

 まぁ、既にOFAが譲渡されている事を考えると、ここで俺がどうこう考えても意味はなかったりするのだが。

 

「おい、アクセル! そっちのラカンもどきも! いつまで話している! 模擬戦を始めるぞ!」

 

 離れた場所で話していた俺とオールマイトに、エヴァが不機嫌そうな様子でそう叫んでくる。

 けど……ラカンもどきか。言われてみればマッスルフォームのオールマイトはラカンに似てるよな。

 言われた本人は、首を傾げているが。

 何人かの、何らかの理由でラカンを知っている者達はエヴァの言葉に噴き出しそうになり、何とか堪えているが。

 

「分かった、今行く。……ほら、オールマイト、行くぞ」

「それは分かったけど、ラカンってのは?」

「ネギま世界……他の世界に存在する。筋骨隆々の、今のお前みたいな外見の持ち主だよ。まぁ、思いつきで必殺技を作ったりして、しかもそれがしっかりと効果があるのはどうかと思うが」

 

 エターナル・ネギ・フィーバーとかな。

 

「それは……興味深い人物ではあるね」

「性格的にオールマイトとは合わないような気がするけどな」

 

 そう言いながら、元の場所に戻る。

 実際、オールマイトとラカンは水と油……とまではいかないが、決して相性が良くはないと思う。

 

「さて、アクセル達が戻ってきたところで模擬戦を始めるぞ。まずは、そうだな、そこのお前。まずはお前からだ。対戦相手は……レイ、お前でいいな?」

「自分がですか?」

 

 エヴァの言葉にレイはクルーゼ譲り、あるいはムウ譲り――正確にはムウがレイ譲りといった方が正しいのだが――の端正な顔を驚きに染める。

 レイにしてみれば、まさかここで自分が指名されるとは思っていなかったのだろう。

 

「そうだ。恐らくお前くらいで丁度いい……いや、まだお前の方が有利だ。そんな訳でやりすぎるなよ」

「分かりました」

 

 エヴァの言葉に頷き、レイは前に出る。

 そんなレイの前に、相澤も出る。

 ただ、相澤の表情は少しだけ不満そうというか、不機嫌そうだ。

 それは、レイを前にして自分があっさりと負けると、そうエヴァに断言された為か。

 それとも、外見が子供でしかないエヴァに指図されるのが面白くないからか。

 理由はともあれ、相澤は捕縛布のマフラーをしたままレイの前で構える。

 ……ちなみに、相澤の服装は当然ながらヒーローコスチュームではなく、スーツ姿だ。

 捕縛布だけは何かあった時の為に持ってきていたようだが。

 

「では、私が止めるまで戦いを続けろ。そっちの新人、まずはお前の実力を見せてみろ」

 

 エヴァの指示に、相澤は構える。

 いや、それは構えるというよりも、レイと向き合い、ただ立っているといった表現の方が正しい。

 それを見たエヴァは、微かに眉を顰め、こちらはしっかりと構えているレイを見てから、口を開く。

 

「始め!」

 

 その言葉と同時に、レイが瞬動を使って前に出る。

 当然ながら、実働班に所属する以上は瞬動も虚空瞬動も使えるのだ。

 ……まぁ、シャドウミラーの場合は技術班ですら瞬動や虚空瞬動を使っているのだから、そういう意味でもレイが瞬動や虚空瞬動を使えるのは当然だが。

 一瞬で相澤の前に移動したレイは、拳を突き出す。

 これが本当の戦闘なら、あるいは武器を使ったりもするかもしれないが……あくまでも模擬戦だ。

 まぁ、それを言うのなら相澤は捕縛布を使っているのだが。

 ただ、捕縛布は明確な武器という訳でもないので、エヴァも許容したのかもしれない。

 あるいは、ヒロアカ世界についてはエヴァもそれなりに調べていて、それによって相澤なら捕縛布を使って戦闘が主になると判断したのかもしれないな。

 ともあれ、レイの拳に対して相澤は捕縛布を使い、それを受ける。

 

「うおっ!」

 

 受けるのだが、レイの拳……気による身体強化された一撃は、拳を捕縛布に包まれた状態であっても強引に突き出し、その勢いによって捕縛布ごと吹き飛ばされる。

 

「へぇ」

 

 そう感心の声を上げたのは、ムウ。

 養子とはいえ、自分の息子の模擬戦を興味津々といった様子で眺めている。

 あるいはこれで相澤の捕縛布によってレイが翻弄されていれば、もしかしたらレイを必死に応援していたのかもしれない。

 だが、レイの気による身体強化による一撃は、相澤を翻弄している。

 その為、ムウはレイと相澤の戦闘について楽に見ている事が出来るのだろう。

 実際、相澤は捕縛布を使って何とかレイを翻弄し、それでどうにか戦闘が成立しているのは間違いない。

 相澤の個性の抹消がレイには効果がないので、相澤にしてみれば本当の意味での本領を発揮出来ていないといったところか。

 

「あの、アクセルの担任だっけ? レイと仮にも戦闘になっているのは、素直に凄いな」

「あれでも一応、ヒロアカ世界ではそれなりの実力者だしな」

 

 表に出るような事はないので、ヒーロービルボードチャートにおいては、有名ではない。

 だが、ヒーロービルボードチャートにおいては実力もそうだが、人気も非常に大きな意味を持つ。

 優がヒーロービルボードチャートにおいて上位に位置するというのは、まさにその辺りが理由だろう。

 勿論、龍子もドラゴンに変身出来るという意味で人気は高いが、龍子の場合は純粋に実力も高いしな。

 とはいえ、優も最近では人気だけでどうにかするのではなく、きちんと実力を付ける為に頑張ってもいる。

 それが結果として出たのが、神野区での戦いだろう。

 ……まぁ、あれは実力というよりも根性といった感じではあったが。

 ただ、俺がこの世界に来た当初の優であれば、恐らくあの状況で動く事は出来なかったと思う。

 そういう意味では、しっかりと実力が上がっており、精神的に成長しているのも間違いない。

 ともあれ、優についてはそんな感じだが、相澤は表に出ない、いわゆるアングラヒーローと呼ばれている存在だ。

 それでもしっかりと実力があるのは、それこそ雄英の教師……それもヒーロー科の担任に選ばれているのを見れば明らかだろう。

 ただ……やはりこの場合、相性が悪い。

 相澤は何とか捕縛布でレイを捕らえようしているものの、気による身体強化を使い、瞬動や虚空瞬動を使っているレイは、幾ら自由自在に捕縛布を使う相澤でも対処出来ず……

 

「そこまで!」

 

 捕縛布の攻撃を掻い潜って間合いを詰めたレイの手刀が相澤の眼前に突きつけられたところで、エヴァの声が周囲に響くのだった。

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