転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4661話

 相澤とオールマイトが俺の家……というか、ホワイトスターに来て、ついでとばかりに実働班の模擬戦に参加してから数日。

 もう夏休みも残り少ない中、俺はヒロアカ世界の家であるマンションに来ていた。

 何をする為かと言われれば、当然ながら寮に引っ越しをする為だ。

 本来であれば、引っ越しについては雄英側で引っ越し業者を用意するという話だったが、俺はそれを断った。

 別に頼もうと思えば頼めただろうが、空間倉庫を使える俺にしてみれば、わざわざ引っ越し業者を使わなくても問題がない。

 あるいは引っ越し業者がそれぞれに荷物を運び込んだりする時に生徒が一緒にいなければ駄目とか、そういう決まりがあったのなら、俺も引っ越し業者に頼んだかもしれない。

 だが、既に他の生徒達は引っ越し業者によって荷物は寮に運び込まれている。

 夏休み中だが、今日から生徒達は全員が寮生活を始める日で、雄英に集まる事になる。

 なので、早朝に俺はこうして部屋に来ている訳だ。

 ちなみに部屋に入る前にマンションの周囲に壊理の件で見張りのヴィランがいないかどうかを調べたが、いなかった。

 てっきり防犯カメラとかそういうのの映像で俺の正体を見つけて張り込んでいると思ったんだが……思ったよりも組織力とかそういうのがないのかもしれないな。

 

「とはいえ、具体的にどういう風にするかだよな」

 

 部屋の中を見回し、そんな風に呟く。

 普通の雄英の生徒であれば、例えば1部屋……あるいは多くても2部屋が大半だろう。

 家が金持ちであったりすれば話は別だし、公安の依頼を受けている俺のようにスポンサー的な存在がいれば、また話は違ってくるだろうが。

 とにかくそんな訳で、俺は他の生徒と違って何部屋もあるような高級マンションを使っていた。

 それでいて、これもまた公安の金でこのマンションに相応しいような高級家具を揃えてもいる。

 寮は1部屋である以上、そんな複数の部屋にある荷物をどうするか、なんだよな。

 いやまぁ、使わない家具は空間倉庫に収納しておけばいいだけなんだけど。

 ただ、そうなるとそうなったで少し苦労もある。

 例えば……冷蔵庫。

 俺の部屋にある冷蔵庫は、これまた値段的にも性能的にも最高級品の奴だ。

 だが、それは一般家庭で使うようなタイプの、大きな冷蔵庫となる。

 こういう何部屋もあるようなタイプの、それも1部屋がかなりの広さの部屋であれば、このくらいの冷蔵庫があってもおかしくはない。

 いや、寧ろ当然だろう。

 しかし寮の部屋となると、当然ながらそこは1部屋な訳で。

 6畳……あるいは8畳? まぁ、多分そのくらい。

 そんな部屋にこういう大きな冷蔵庫は……まぁ、あればあったでいいか。

 TVとかそういうのも、今のところはそこまで問題はないし、ベッドも……うん。ここの寝室にあるベッドは、ホワイトスターにある巨大なベッドと違って普通のシングルだ。

 そういう意味では寮でも問題はないだろう。

 他の電化製品や家具の類も、さっきも思ったが使わなければ空間倉庫に入れておけばいい。

 ただ、問題なのは……

 

「お前達をどうするか、なんだよな」

 

 そう言いながら、ロボット掃除機に、そしてAI搭載のスーツケースに視線を向ける。

 ロボット掃除機は、当然ながら1部屋を掃除するだけではなく、それなりに大きな家を、あるいは広い部屋を掃除するように出来ている。

 寮にある部屋だけを掃除するには……スペックが高性能すぎるのだ。

 これが例えば、もっと性能の低いロボット掃除機であれば、部屋を1つ掃除するのに丁度いいということになったかもしれない。

 だが、どうせならということで、高性能な……最高スペックのロボット掃除機を買ってしまった以上、出来ればその性能を最大限に活かしたい。

 

「まぁ、ロボット掃除機の方はそれこそリビングというか、1階の広い場所の掃除を任せるとかそういう事をすればどうにかなるんだけど……次の問題はお前だよな」

 

 次に視線を向けたのが、AI搭載のスーツケース。

 これに関しては、本当にどうしようもない。

 林間合宿……あとはI・アイランドの件で必要なので、色々と便利そうということで購入したのだが、今となってはどこか遠くに出掛けるといった予定はない。

 いや、ヒーロー科である以上はそのうちどこかに遠出するような事もあるかもしれないが。

 だが、だからといってロボット掃除機ならともかく、スーツケースを自由にする訳にはいかないだろう。

 これがこのマンションであれば、何部屋もあって広いので、スーツケースも自由にさせていても問題はなかったのだが、寮となれば難しい。

 まさか、掃除機と一緒に自由にさせるという訳にもいかないし、部屋の中で自由にさせるにも、部屋が狭すぎる。

 なら、空間倉庫に収納したままにするか?

 それはそれでありかもしれないが、スーツケースのAI的に時間が流れていなかった中で、突然使うということで空間倉庫から出すのは、それはそれで問題になりそうだしな。

 寮はクラスごとで別になっているので、A組の面々がスーツケースをペット……あるいはペットロボット的な存在として認識してくれれば、あるいは、もう少し違うのかもしれないが。

 

「お前の方は、A組の面々に、あるいは相澤に聞いて、それで許可が出たら寮全体を掃除する為に働いて貰う」

 

 そう俺が言うと、俺の言葉を認識したのか、あるいは偶然そうなったのかは、分からないが、俺の側で待機していたロボット掃除機が少し身体を動かす。

 ……AI、どれだけ進化してるんだろうな。

 そう思い、次にAIを搭載したスーツケースに視線を向ける。

 

「お前は……A組の面々が構わないと言えば、ロボット掃除機と一緒に行動してもいいけど、もし却下されたら、その時は別の場所に連れていく」

 

 そうい言うと、こちらもまたロボット掃除機と同じく少しだけ身体を動かす。

 取りあえずそれを了承の証として無理矢理納得し、俺は部屋にある家具やら電化製品やら、片っ端から空間倉庫に収納していく。

 ……冷蔵庫もそうだが、洗濯機もどうするかだよな。

 こちらも当然のように、最高性能の代物だ。

 だが、冷蔵庫以上に部屋に置く訳にはいかないだろう。

 となると、空間倉庫に収納しておくか、あるいはいっそクラス全員で使えるように寄付をするというのもありだろう。

 その辺りの判断については、相澤に任せるしかないが。

 もし相澤に却下されたら……空間倉庫に入れたままにしておくか、あるいはいっそどこかのリサイクルショップに売ってみるのもいいな。

 あるいは技術班なら、分解してどういう技術が使われているのかを調べるか?

 ……もしかしたら、洗濯機にもサポートアイテムの技術が使われているかもしれないし。

 ともあれ、手当たり次第に空間倉庫に収納し……どの部屋も綺麗さっぱり何もなくなる。

 ざっと見た感じだと、部屋も綺麗なままだ。

 床や壁に見て分かる程の傷がある訳でもない。

 まぁ、実際にこの部屋を使ったのは4ヶ月くらいか?

 そのくらいなのだし、ロボット掃除機が毎日のように掃除もしていたので、もしかしたら敷金とかは返ってくるかもしれないな。

 もっとも、その敷金は公安に返る可能性の方が高いが。

 

「よし、転移するぞ。まずは前もって相澤から聞いておいた部屋にいく」

 

 相澤がホワイトスターに来た時、寮で俺が何号室なのかというのは、前もって聞いておいた。

 実際には聞いておかなくても、今日雄英に行ってそれで寮の部屋番号を聞いてから、改めて転移をするといった選択もあったのだが。

 前もって話を聞く事が出来ていたのだから、悪くない結果だとは思う。

 とにかく、俺の部屋は最上階の5階で、階段を上ってすぐの場所にある。

 相澤によると、隣の部屋は砂藤らしい。

 そこそこ親しい……といった感じか。

 他にも4階にある爆豪の部屋の隣も空いていたらしいが……まぁ、うん。それは気にしないでおこう。

 そういう意味では、爆豪の空き室ではない方の部屋に住んでいるのは大変そうだけどな。

 爆豪が隣にいるのなら、それこそちょっとうるさくしたら怒鳴りつけてきそうだし。

 とはいえ、林間合宿の一件があったから、爆豪もまだ落ち込んでいたりする可能性はあったりするのだが。

 ……取りあえず、爆豪と会ったら軽く挑発をしてみるか。

 そうすれば、爆豪の性格からして元気になるだろうし。

 そう決めると、影のゲートを使って相澤から聞いていた場所に転移する。

 これで、実は誰か別の部屋に間違って転移したら、それはそれで問題ではあるが……転移した部屋には特に何がある訳でもない部屋があった。

 つまり、その時点でこれが俺の部屋であるのは間違いない訳だ。

 もし誰か他の者の部屋なら、それこそ既に引っ越しの荷物とかが置かれている筈だ。

 それがないということは、やはりこれが俺の部屋で間違いなかった。

 

「よし、俺は一度外に出るから、お前達はここで待っていろ。……そうだな、掃除でもしていてくれ」

 

 この部屋はまだ誰も使っていないので、汚れの類は殆どない。

 だが、ちょっとした埃があったりはするので、どうせならそれを掃除しておいて貰えばいい。

 ……そこまで神経質になる必要はないのだが、ロボット掃除機がいるのだから、ちょっとでも仕事をさせておいた方がいいだろうと、そう判断したのだ。

 

「で、お前は待機だ」

 

 スーツケースにそう告げると、俺は自分が雄英の制服を着ている事を確認し、影のゲートで寮から……いや、正確には雄英から少し離れた場所に移動する。

 誰にも見つからないように建物の陰から出ると、そのまま雄英に向かう。

 

「アクセル!? え? アクセルが1人で? 嘘だろ!?」

 

 そうして歩いていると、少し離れた場所を歩いていた峰田が俺に気が付き、そう驚きの声を出す。

 ……いや、けど俺が1人で登校しているだけでそういう風に驚くってのは、一体どうなんだ?

 

「何でそこまで驚く? たまには1人で登校してもおかしくはないだろ?」

「おかしいに決まってるだろうが! お前、1学期は毎日……1日も休む事なくB組の拳藤と一緒に登校していたじゃねえか! 体育祭が終わってからは、駅で塩崎も待っていたしよぉっ!」

 

 思い出し血涙……とでも言うのか?

 峰田が血の涙を流しながら主張する。

 

「まぁ、それはそうだけど」

 

 峰田の言葉を否定してもよかったのだが、この場合は嘘を言っても意味はない。

 実際、峰田の登校時間は大体俺達と同じ……というよりも、電車の時間が同じだからか、通学する時に一緒になる事が多い。

 勿論、それはあくまでも大体見た感じでの話で、毎日絶対に一緒になるとか、そういう訳ではないのだが。

 ただ、それでも俺が拳藤や茨と一緒にいる事が多いのは理解出来る。

 そんな俺が、今日に限って1人だから峰田は驚いたのだろう。

 

「フラれた? フラれたんだよな? なんだ、アクセルもやっぱりこっち側かよ」

 

 ピタリと血涙を止め、そんな風に言ってくる峰田。

 まぁ……うん。峰田にしてみればその方が都合が良いのは間違いないだろう。

 もし本当に俺が拳藤や茨にフラれたとしたら、もしかしたらワンチャンあるかもしれないと、そう思ってもおかしくはないのだから。

 もっとも、拳藤はともかく茨の場合は俺に好意を抱いてはいるが、それは男女間の好意ではなく、信仰的な意味での好意なので、フラれるとかそういうのはこの場合あまり関係ないと思うけど。

 それに拳藤は……拳藤は……うん、どうなんだろうな。

 取りあえず俺がまだ拳藤と仲が良いのは間違いない。

 そういう意味では、峰田の予想……というか、願望は外れた訳だ。

 

「あのなぁ、別にそういう訳じゃない。単純に引っ越しの準備とかそういうのもあるから、別々に行動しただけだ。……というか、見た感じだとB組の生徒はどこにもいないし、もしかしたら集合時間は俺達と違うんじゃないか?」

 

 実際、こうして見てもB組の生徒はいない。

 何人か……別の学科、あるいは別の学年の生徒はいるものの、それでも全員という訳ではない。

 考えられる可能性としては、生徒が一気に雄英に来ると案内をするのとか、説明とか、そういうので時間が必要になるから、時間によって雄英に来る時間を変えているのではないか。

 あくまでも予想で、確信がある訳ではないが、俺はそんな風に思う。

 

「あー……なるほど。言われてみればそうかもしれないな。じゃあ、俺達もさっさと行こうぜ。寮生活、実は楽しみなんだよな」

 

 ぐふふ、といった表現が相応しそうな笑みを浮かべ、そう言う峰田。

 どのような事を考えているのか、容易に想像出来てしまう。

 もっとも、峰田の場合は普段の生活態度からも何をどのように思っているのかというのは分かりやすい。

 そういう意味でも、峰田のこれからが心配になってしまう。

 

「一応言っておくが、寮生活って事は多分寮長とかそういうのもいるだろうし、何か問題を起こせば、相澤なら簡単に除籍にしてもおかしくはないんだから、気を付けろよ?」

 

 峰田の個性は非常に有用な個性ではあるが、それでもプロヒーローとして相応しくないと相澤が判断すれば、容赦なく除籍にされてもおかしくはない。

 そういう意味でも、峰田にはしっかりと自重して貰いたいのだが……それはそれで、難しいのは間違いなかった。

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