転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4663話

 寮の前に集まった俺達に向かい、相澤が口にした言葉は衝撃的でもあった。

 場合によってはクラスの殆どが除籍されていたかもしれないと……今回は偶然――というか多分シャドウミラー関係で――除籍にはならなかったものの、信頼を取り戻せと、そう言われたのだから、多くの者達にとっては色々と思うところがあってもおかしくはない。

 

「以上! さ、中に入るぞ。元気よくいこう!」

 

 いや、待って。いけないです。

 気分を切り替えた相澤の言葉に、恐らくクラスの全員がそんな風に思ったのは間違いない。

 実際、俺もその意見には賛成なのだから。

 とはいえ、相澤がとっとと寮に向かっている以上、俺達も置いていかれる訳にはいかない。

 ……途中で何故か爆豪が上鳴を茂みに連れ込んでウェイウェイさせたり、爆豪が切島に金を渡したりしていたが……何だ? 切島、爆豪に金でも貸してたのか?

 まさか爆豪に限って、切島にカツアゲされるとか、そういう事はないだろうし。

 他にもウェイっている上鳴を見て耳郎が笑いを堪えようとしてそれが不可能だったりもしたのだが、ともあれ相澤が叱る様子もなかったので、寮の中に入る。

 俺も直接自分の部屋に影のゲートで転移をしたから、この1階部分は初めて見たのだが……

 

「へぇ、これはまた」

 

 1階にはソファが多数あり、大型のTVもあり、他にもキッチンや椅子、テーブル……他にも中庭もある。

 

「1階は共用スペースだ。右が女子寮、左が男子寮となる。食堂や風呂、洗濯はここでやれるようになっている」

 

 相澤のその言葉に、他の面々も共用スペースを見て、感心している。

 ……それどころか、麗日は『豪邸やないかい』とか言いながら倒れそうになっており、飯田に助けられてすらいた。

 そういえば、麗日の家って決して裕福じゃなかったんだったな。

 勿論貧乏って程でもないらしいが。

 一般的な中流家庭……あるいはそれに少し及ばないといったところか?

 

「聞き間違いかな? 風呂・洗濯が共用スペース? 夢か?」

「男女別だ。お前、いい加減にしておけよ?」

「はい」

 

 他の生徒達が共用スペースを見てワーワーキャーキャー騒いでいると、峰田が暴走しそうになり、それに相澤が冷静に突っ込みを入れていた。

 ……さっき、除籍になるかどうかといったところだったのに、それを知った上でこうして暴走出来るというのは、素直に凄いと思う。

 いやまぁ、それでこそ峰田だと言われれば、そうかもしれないとは思うけど。

 ともあれ、共用スペースの一件が終わると食事に関しては基本的にランチラッシュが朝と夜の食事を準備して寮に届けてくるといったことが説明される。

 いや、ランチラッシュ、素直に凄いな。

 全学年の生徒の分の食事を毎日二度、昼だって学食に行ければそこで普通に食事を作ってるってのに……生徒の中にはランチラッシュをランチラッシュさんと呼ぶ者もいるという話だが、これは素直に凄いと思う。

 また、電気代の類も全て雄英持ちらしい。

 これも生徒にしてみればありがたい事なのは間違いなかった。

 もっとも雄英側にしてみれば強制的に生徒を全員寮生活にしたんだから、そのお詫びの意味も込められているのかもしれないな。

 そういう意味でも、麗日の豪邸やないかーいという言葉は、納得してもいいのかもしれないと思った。

 その後、簡単に部屋の説明……エアコン、トイレ、冷蔵庫、クローゼットが基本だという話を聞かされ、取りあえず今日は部屋の片付けをするように言われるが……

 

「ちょっと待った。……あ、いや。待って下さい。相澤先生、ちょっと質問というか、要望があるんですが」

 

 解散と相澤が言おうとしたところで、俺はそう口を開く。

 最初いつも通り……シャドウミラーのアクセル・アルマーとして話そうとしてしまったので、何とか生徒の口調に戻して。

 相澤はそんな俺の様子に気が付いたのだろうが、わざわざ口にする必要はないと判断したのか、その件については気にした様子もなく、俺に聞いてくる。

 

「どうした?」

「俺の住んでいた部屋では、ロボット掃除機を使っていたんですが、自室だけだとその性能を最大限に発揮出来ません。なので、充電するスペースをこの共用スペースに設置して、ここで掃除をさせるようにしたいんだけど、構いませんか?」

「そうだな。それくらいなら構わん」

 

 こちらについては、俺も別に特に問題はないと思っていた。

 寧ろロボット掃除機が自由に掃除をするのだから、文句を言われるような事もないだろうと。

 なので、重要なのは次。

 

「なら、ついでにもう1つ。ロボット掃除機は高性能なAIが搭載されてるんですが、俺が使っているスーツケースに搭載されているAIと仲が良いというか……そんな感じなので、スーツケースも共用スペースに置いておいてもいいでしょうか?」

「……何だと?」

 

 相澤にしても、まさかAIを搭載しているとはいえ、スーツケースを1階の共用スペースに置いてもいいのかと、そういう風に言われるとは予想外だったらしい。

 まぁ、普通に考えればそういうのを予想したりするのがそもそも無理といったところか。

 

「ペット……とは違いますけど、似たようなものだと思って貰えれば」

「ペットか。……一応、この寮はペット可という事になってはいるが……AI搭載型のスーツケース……まぁ、俺はどっちでもいいから、委員長が決めろ」

「ヤオモモ、駄目か?」

「構いませんわ!」

 

 相澤に言われたのでヤオモモに尋ねると、即座に許可が出た。

 ……いや、聞いた俺が突っ込むのもどうかと思うけど、とにかくこの件についてはそれでいいのか?

 半ば反射的に許可を出していたように見えたけど。

 

「ねぇ、何かこう……ヤオモモ、怪しくない?」

「うん、そうだよね。何だかアクセル君との距離感も近いように思えるし」

「……夏休み中に何かあった?」

 

 ふと聞こえてきたのは、三奈、葉隠、耳郎の会話。

 いや、別に特に何もなかった……まぁ、壊理の件はあって、それで俺の秘密については知る事になったから、その件についての事なのかもしれないが。

 

「……まぁ、委員長が決めたのなら、それでいい」

 

 何かを言いたそうだった相澤だが、結局それ以上は何も言う事なく、そして俺達は自分の部屋の片付けをする為に散るのだった。

 

 

 

 

 

「アクセル、隣だな。よろしく」

 

 部屋に入る前に、そう砂藤が言ってくる。

 俺の部屋は階段を上がってすぐの場所……いわゆる角部屋で、その隣が砂藤の部屋だ。

 そして俺の部屋とは反対側の砂藤の部屋の隣が轟で、一番奥が瀬呂の部屋になっている。

 

「ああ、よろしく」

 

 そうして砂藤に返事をすると、部屋の中に入る。

 ……うん、やっぱり冷蔵庫があるな。

 相澤の説明を聞いた時、エアコンやトイレ、クローゼットについては分かっていたが、冷蔵庫と聞いた時にちょっと驚いた。

 いやまぁ、この部屋に転移してきた時、しっかりと部屋の中を見て回るような余裕はなかったんだから、それはそれでしょうがないとは思うけど。

 別に冷蔵庫があるから困るって訳じゃないし。

 俺の部屋にあった冷蔵庫は、そのまま空間倉庫に入れておけばいいだけだ。

 何か使う時だけ、冷蔵庫を空間倉庫から出して、中身を取り出せばいい。

 冷蔵庫というのは、コンセントを抜いても即座に中が熱くなったりする訳ではない。

 コンセントを抜けば冷風が止まるので自然と熱く……というか、室温に相応しい温度になるものの、それはつまり数時間くらいは冷たいままだ。

 えっと、あれだ。夏に部屋でエアコンを付けていて、寝る前に消しても30分……あるいは1時間くらいは部屋の中が涼しいままだといったのと同じ感じか。

 部屋とエアコンに比べれば、大分冷蔵庫の方が冷気は長持ちするけど。

 そんな訳で、俺がマンションで使っていた冷蔵庫はそのまま空間倉庫に収納しておくとする。

 ただ……俺の場合は空間倉庫があるからいいけど、他の面々、特に緑谷や爆豪のように実家から通っているんじゃなくて、アパートやマンションで1人暮らしをしている者は冷蔵庫、一体どうしたんだろうな。

 1人暮らしをしていれば、冷蔵庫は必須だ。

 かといって、この寮では冷蔵庫が最初からあるので、自分で冷蔵庫を用意する必要はなく……つまり、捨てるなり、売るなり、あるいは家に送るなり、もしくは親しくなった近所の者に譲渡するなり、する必要がある訳だ。

 洗濯機も同様に。

 いや、洗濯機はさすがに冷蔵庫と比べると持ってきている者は少ないか?

 ぶっちゃけ、その気になれば洗濯機の代わりにコインランドリーもあるし。

 とはいえ、コインランドリーは長期的に使うと結構な金額になる。

 いやまぁ、洗濯機の料金を含めて考えれば……どうなんだろうな。

 ともあれ、今度近くにあるスーパーにでも行って飲み物とかそういうのを買って来ればいいか。

 そんな訳で、まずはベッドを空間倉庫から取り出す。

 他にもTVとか、カップラーメンとかを食べられるように湯沸かし器の類も用意していく。

 後は、クローゼットの中に服とかを入れて……机とかは俺が寝室で使っていた奴をそのまま流用し、リビングにあったソファも置く。

 これが引っ越し業者が行うのなら、段ボールから取り出して、どこに置くのかを考え、段ボールから取り出したのを運ぶ必要があるのだが、俺の場合は空間倉庫にある奴をそのまま出せばいいだけなので、余計な疲れはない。

 いやまぁ、混沌精霊の俺の身体能力なら、空間倉庫がなくても普通に運んだり出来るんだが。

 それを引っ越しの準備をする時にわざわざ段ボールに詰め込んだりすれば、その全てを段ボールから出したり、あるいはその段ボールを捨てるのかとかも大変そうだよな。

 そんな風に思いながら、次に壁……丁度砂藤の部屋と繋がっている壁に本棚を置く。

 本についてはそれなりに購入したりしてるので、結構ある。

 ついでに漫画とかそういうのもあったりするが。

 ……峰田や上鳴の場合、エロ本を隠すのは大変だろうな。

 あるいは本じゃなくて、スマホやPCにデータとして保存してるのかもしれないが。

 そんな風に思いつつ、本棚の中に本を並べていく。

 何気にこうして本を並べる作業って楽しいよな。

 いやまぁ、今のこの状況だからこそそんな風に思えるのであって、もしもっと大量の本棚に本を並べていくとか、そういう作業をすれば面白いとは思えないのかもしれないが。

 ともあれ、このヒロアカ世界で買った本……漫画であったり、個性について書かれた本であったりといったものを並べていき、少しだけ悪戯心を起こし、他の世界……どこだったか。多分ネギま世界かペルソナ世界でだと思うんだが、とにかくそこで買った漫画も少しだけ並べておく。

 ……もっとも、こうして漫画を見ても、その辺りについて詳しい者でもなければ、まさかこのヒロアカ世界に存在しない出版社から出ている漫画だとは、とてもではないが思えないだろう。

 もし誰かがそれを見つける事が出来たら……まぁ、マイナーな出版社から出てる漫画だとでも言って誤魔化しておこう。

 そんな風に思いながら本棚の整理を終えると、これもまた空間倉庫から出したPCを机の上に置く。

 配線そのものは難しくないし、ネットも使えるようにするのはそこまで手間も掛からない。

 問題なくケーブルを繋げたら、PCを起動して設定を変えていく。

 ちなみにこのPCも当然ながら公安のカードで購入した奴で、その値段は40万ちょっと。

 このヒロアカ世界でも、かなりの高スペックのPCなんだが……ぶっちゃけ、その性能を完全に使いこなしているとは言えない。

 何しろ俺がPCを使うのは調べ物をする時がメインだが、その調べ物についてもスマホがあれば別に必要ないし。

 あるいは俺が動画投稿をしているとか、最新のゲームをするとか、そういう趣味を持っていれば話は別だが、ぶっちゃけ宝の持ち腐れだよな。

 まぁ、それでも技術班謹製のハッキングツールを使って色々と出来るので、あればあっただけいいんだが。

 このPCを通してハッキングとかも……やろうと思えば出来るだろうし。

 ともあれ、PCやモニタの準備も終わる。

 

「後は……」

 

 部屋の中を見る限りだと、特にこれ以上何かをする必要はないか?

 まぁ、もし何か不具合があったり、あるいは何かしなければならないとかだったら、その時はその時で対処すればいいんだけど。

 他の面々と違って、俺は空間倉庫に家具を入れてきたので、引っ越しの準備は必要ない。

 何か足りない物があったら、それを後で追加するなり、邪魔になるのなら空間倉庫に収納すればいい。

 

「さて、そうなると……後はお前達だな」

 

 そう言い、俺の視線が向けられたのは、床掃除をしているロボット掃除機と、邪魔にならないように動かないでいる、AIが搭載されたスーツケースだった。

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