転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4667話

「へぇ、じゃあやっぱり雄英側としても寮の件は大変だったんだな」

「それはそうでしょ。雄英に通っている生徒全員分が住める寮を作ったのよ? それが大変じゃない訳がないじゃない」

「その割には三日で作ったらしいけどな」

「だから、それがこれだけ大変だったのよ」

 

 道を歩きながら、ミッドナイトと会話をする。

 ミッドナイトの希望によって、今の俺は生徒ではなくシャドウミラー代表のアクセル・アルマーとして話している。

 ミッドナイトにしてみれば、俺との付き合いは生徒の方が長いだろうに……もしかして、以前ムウの名前を使った大人の、20代の外見の時に会ったのが、色々と影響してるのか?

 そうも思ったが、ミッドナイトに聞いても恐らく素直に教えてくれないだろうとは思ったので、その件について聞いたりはしなかったが。

 ちなみに、こうしてミッドナイトと一緒に歩いているのはそれなりに目立っているらしく、寮の窓から結構な視線が向けられているのを感じられる。

 中には微妙に敵意が籠もっている視線もあったりするのは、それだけミッドナイトの人気を示しているのだろう。

 18禁ヒーローだけに、ミッドナイトは多くの男――特殊な趣味の持ち主はともかくとして――から多くから支持されてるし、女も女で、ミッドナイトに恋愛相談とかをして、青春だという事で真剣に受けてもらえるということによって好かれている。

 ただ……こうして敵意を向けてくる視線については、何となく、本当に何となくだが、男のような気がする。

 勿論、雄英の生徒の中にもミッドナイトをお姉様といったように慕っている者がいて、そういう連中にしてみればこうして俺がミッドナイトと2人で一緒にいるのは決して許容出来ない事だろうし。

 とはいえ、だからといって俺がその辺について気にしてミッドナイトと話をしないというのも、また違うだろう。

 

「ねぇ、それより……イレイザーから、アクセルの故郷が凄い場所だって聞いたんだけど」

 

 ふと、ミッドナイトが話題を変える。

 ホワイトスターではなく故郷という風に誤魔化しているのは、もしかしたら生徒の誰かが何らかの手段で俺達の会話を盗み聞きしてるかもしれないと思ったからか。

 ……まぁ、雄英というのはヒーロー科に限らず優秀な生徒が集まる。

 その中には盗聴が出来るような個性であったり、あるいは読唇術が出来る個性であったり、そういう個性の持ち主がいてもおかしくはない。

 実際、ミルコ何かウサギという個性によってかなり聴力が高い。

 ある程度離れた場所で俺とミッドナイトが話をしていても、恐らくだが会話が聞こえたりもするだろう。

 ミッドナイトも雄英の教師として、その辺りを考えて、ホワイトスターを故郷とかそういう風に言ったってところか。

 それなら、そもそもホワイトスターについて話さなければいいと思うんだが。

 あるいは、イレイザー……相澤からホワイトスターの話を聞いて、少しでも早くその辺りについて話してみたいと思ったのか。

 

「そうだな。オールマイトは以前一度来たけど、相澤と同じく驚いていたし」

「あのオールマイトがねぇ……」

 

 ミッドナイトが面白そうな表情を浮かべる。

 ミッドナイトは『あの』とか言ってるが、雄英におけるオールマイトの扱いはあくまでも新任の教師だ。

 恐らく……いや、ほぼ間違いなくOFAの後継者である緑谷が雄英に入学したから、それを導く為に教師になったのだろうけど。

 ヒーローの実力や人気では間違いなく日本でもNo.1だが、それはあくまでもプロヒーローとしてであって、教師としては新人なのだ。

 だからこそ、雄英においては新人教師として扱われている。

 勿論、それはオールマイトを侮っているとか、そういう訳ではない。

 実際、今のミッドナイトの言葉も、オールマイトが驚いているという事に驚いたりしていたし。

 そうして話ながら歩いていると、やがて寮の集まっている場所から抜ける。

 

「どうせなら、ゲートの方に行ってみるか? 誰か生徒がそっちに行かないか、気になってたんだろう?」

「それは……そうだけど、アクセルはいいの?」

「さっきも言ったと思うけど、俺はもう既に部屋の片付けは終わっているしな。そういう意味でも、俺は夜……というか、夕方か? とにかく他の面々の片付けが終わるまでは、特に何かやる事もないんだよ」

「あら、どうせなら他の人達の手伝いをしたらいいんじゃない?」

「それも考えたけど、やっぱり自分の荷物を他人に見られるというのは面白くないと思う奴も多いだろうし」

 

 特に、峰田なんかは……うん、一体どういう代物を寮に持ち込んでいるのかも分からない。

 場合によっては、それこそ相澤を呼ばなければならなかったりするかもしれないし。

 ……まぁ、そうなったらそうなったで、それも悪くないとは思うんだけどな。

 後で問題になるよりは、早めに問題になった方がいいしな。

 もっとも、峰田にしてみれば『ふざけるな!』と血涙を流して叫んだりしてもおかしくはないけど。

 もしくは、他の面々なら手伝うと言えば喜んだかもしれないが……寮の部屋くらいの大きさだと、何人もで作業をするのはちょっと難しい。

 まぁ、どうしても作業をするのが無理なら、荷物の入った段ボールを一度廊下に運び、そこで荷物を出しては部屋の中に持っていくといった事をしてもいいんだが。

 

「ふーん。まぁ、アクセルがそう言うのなら、その辺についてもう特に何かを言ったりはしないけど。……あら、どうやら人はいないみたいね」

 

 ミッドナイトと話をしながら歩いていると、セメントスが作った壁が見えてきた。

 だが、ミッドナイトが言うように、そこには誰の姿もなかった。

 もしかしたら、他の寮の生徒が俺みたいに引っ越しの作業を素早く終わらせて、散歩代わりに来ているのかもしれないとも思ったんだが。

 俺のように空間倉庫がなくても、障子のようなミニマリストであれば、引っ越しもすぐに終わるだろうし。

 

「そうみたいだな。じゃあ、行くか。……どうせだし、ミッドナイトもちょっとホワイトスターに来てみないか?」

 

 寮のあった場所を抜けたので、普通にホワイトスターという名称を口に出す。

 

「え?」

 

 ミッドナイトにとって、その誘いは完全に予想外だったのだろう。

 驚きの声を上げ、俺に視線を向けてくる。

 

「本気?」

「本気だけど。別に問題ないだろう? ミッドナイトに何らかの仕事があって、ホワイトスターに行ける時間的な余裕がないとかなら、しょうがないけど」

「……ちょっと待ってくれる?」

 

 そう言い、ミッドナイトはどこからともなく取り出したスマホで誰かに連絡をする。

 いや、この場合連絡をするのは校長とかか?

 にしても……18禁ヒーローのミッドナイトなんだから、どうせならスマホは胸の谷間から出すとか、してもいいと思うんだが。

 一瞬そう思ったが、すぐにそれは無理かと思う。

 ミッドナイトのヒーローコスチュームの下には素肌があるが、それは個性によって眠らせる香りを周囲に放たない為だ。

 だからこそ、そんなミッドナイトが胸の谷間からスマホを出すような事をすれば、当然ながらミッドナイトの個性によって……あ、いや。でもそうでもないのか?

 よく考えてみれば、ミッドナイトは顔以外の全身をタイツのような薄いヒーローコスチュームで覆っているものの、それはつまり顔は出ているという事を意味している訳で……個性の眠らせる体臭についても当然ながら顔からでも出せる。

 そのような事になっていないのは、ミッドナイトがしっかりと個性をコントロールしているからで、それなら胸の谷間を見せても問題ないのでは?

 まぁ、その辺りは18禁ヒーローとしての行動故に……という風にでも思っておけばいいか。

 そんな訳で、俺はそれ以上は特に何も言わずにミッドナイトの様子を見る。

 

「はい、それでアクセル代表にホワイトスターに来ないかと誘われて……はい、ですが仕事は……プレゼント・マイクに? はい、分かりました。それなら問題ないですね。ええ、分かっています。今は少しでもシャドウミラーについて知るのが重要ですから。はい、はい、はい……はい、夕方前には戻ってくるようにしますので」

 

 何だか、そんな会話が聞こえてくる。

 見た感じだと、校長と話しているのか?

 いやまぁ、ホワイトスターに行くというのを考えると、やっぱり校長に知らせる必要はあるだろう。

 あるいは、校長ではなく他の相手……それこそ、公安とか。

 もっとも、どちらに話を通すにしてもミッドナイトを止める者がいるとは思えないが。

 それこそ、ホワイトスターが危険な場所であったりした場合であれば、そういう風に言う者がいてもおかしくはないが……ホワイトスターは別に危ない場所じゃないしな。

 

「許可は貰ったので、行きましょうか」

 

 スマホを切ると、ミッドナイトはそう言ってくる。

 その口元には笑みが浮かんでおり、ヒロアカ世界のこれからの事を考えてホワイトスターに行きたいと思ってるのは間違いないだろうが、それ以上に自分の好奇心を、そして楽しみを満足させる為にホワイトスターに行きたがっているのは間違いない。

 ……ホワイトスターには、別にミッドナイトが好むような青春はそう転がっていないんだが。

 あ、でも実年齢はともかく、時の指輪で不老になっているので、ミッドナイトが青春! といったように喜ぶような雰囲気そのものはあるかも?

 まぁ、ミッドナイトが青春がどうこうといった事を楽しめなくても、ホワイトスターの案内をするだけで十分に大きな意味を持つのは間違いない。

 ヒロアカ世界側……というか、この場合は雄英側か? とにかくホワイトスターについて知っている者が多くなれば、それだけこっちにとっても悪くない状況になるのは事実だ。

 だからこそ、ミッドナイトをホワイトスターに連れていって、交流区画とかを見せて回るだけで大きな意味がある。

 

「分かった、行くか」

 

 そうして、俺はセメントスの作った壁……正確にはそこにある扉から中に入る。

 ……いや、別に部屋がある訳じゃないんだし、この場合は中に入るといった表現は正しいのか?

 そう疑問に思ったものの、取りあえず今はそこまで気にする必要もないか。

 

「改めて見ると、ゲートって凄いわよね」

 

 ゲートと、それを守るように待機している量産型Wやコバッタを見て、ミッドナイトがしみじみと呟く。

 

「異世界に転移出来る装置だしな。凄いのは当然だろ。……まぁ、そう見えないのに、転移可能な装置というのも、それはそれで面白そうだとは思うけど」

「それは……私としてはちょっと困るわね」

 

 ミッドナイトにしてみれば、一見してとてもではないがそうと見えない物が転移装置であった場合、かなり困る。

 そう考えれば、こうしてしっかりとした……見て分かる程のゲートがあって欲しいと思うのは当然だろう。

 

「そうか? まぁ、とにかくホワイトスターに行くぞ。俺に近づけ」

 

 そう指示をすると、ミッドナイトはすぐ俺に近付いてくる。

 そうして十分に近付いたところで量産型Wに指示し……やがて俺とミッドナイトは光の繭に包まれ、そのまま転移するのだった。

 

 

 

 

 

「ここが、ホワイトスター?」

「まぁ、ホワイトスターはホワイトスターだけど、転移区画だな。相澤にその辺については聞いていないか?」

 

 ミッドナイトは、ホワイトスターに強い興味を持っていた。

 であれば、以前ホワイトスターに来たオールマイトや相澤から、ホワイトスターについての情報を聞いていてもおかしくはない。

 そう思った俺の考えは正しかったらしく……

 

「ああ、言われてみれば!」

 

 そう、ミッドナイトが口にする。

 どうやら、ミッドナイトにとってもいきなりのことだったので、忘れていたらしい。

 

「さて、じゃあ行くか……あー……いや、取りあえず交流区画の服屋にでも行くか」

「あら? 何で服屋なのかしら?」

 

 ミッドナイトは不思議そうな表情でそう聞いてくる。

 うん、どうやらミッドナイトは現在の自分の状況に気が付いていないらしい。

 いや、実際には気が付いてはいるものの、慣れているので気にしていないといった表現の方が正しいのかもしれないな。

 

「あのな、ミッドナイト。ここはヒロアカ世界じゃない。つまり、ヒーローコスチュームを着ていれば目立つんだよ」

 

 そう言うと、ミッドナイトは周囲の様子を見る。

 すると俺達に前後してどこかの世界から転移してきた者達が、目を大きく見開いてミッドナイトを見ている。

 まぁ……うん、ミッドナイトのヒーローコスチュームは法律で規制される前よりはマシになったとはいえ、薄いタイツで身体が覆われており、ピッタリとその身体のラインが見える、そんな服装の、しかも目元を隠すマスクをしているとはいえ、それ以外の部分でも美人だと分かる女がいれば、視線を集めるのは当然だろう。

 

「あら」

 

 そんな視線に、ミッドナイトはそんな言葉を漏らすのだった。

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