転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4675話

 突然教室に現れた、ミッドナイト、エクトプラズム、セメントス。

 この3人の中で俺達と親しいのは、自主訓練をやる時に監督をして貰うミッドナイトだろう。

 続いて、雄英の敷地内に建物を建てる時に活躍をするセメントスか。

 特にセメントスは、ゲートを設置している場所と雄英の敷地内を遮るように、壁を作って貰ったし。

 その壁によって、雄英の敷地内からゲートは見えないようになっている。

 ……まぁ、そうなると壁そのものが結構目立つようになってしまうのがちょっと難点だが。

 ただ、セメントスもその辺りについては考えているので、遠くから見ると雄英の周囲の壁と同じような壁のように見えるようになっている。

 ともあれ、セメントスとはそんな感じである程度親しいが……エクトプラズムとは、殆ど接した事がないな。

 USJの一件でオールマイトの後に教師達が来たものの、その時は既に戦いが終わっていたので、特に戦闘とかはなかったし。

 そうなると、林間合宿が途中で終わって雄英に戻ってきた時、シャドウミラーについて説明した時にエクトプラズムもその話を聞いていたくらいか?

 もっとも、そのくらいの付き合いしかないものの、エクトプラズムについては相応に詳しかったりする。

 何しろ、エクトプラズムは多数いる雄英の教師の中でもかなり特殊な……それこそ、有益な個性を持っているのだから。

 それこそ、もしエクトプラズムがプロヒーローではなくヴィランなら、スライムを使ってその個性を欲したいくらいには有益な個性だ。

 その個性は、自分の分身を作れるというもの。

 それもただの分身ではなく、それぞれに自我があり、何かがあったら独自の判断で対処出来るという便利さだ。

 もし俺がその個性を入手したら、俺の分身が何十人も現れ、それぞれが独自の判断で行動する訳だ。

 もっとも、そうして現れた分身は全てがオリジナルの俺と同じ力を持っているのか、それとも分身はオリジナルよりも弱いのか……その辺はちょっと分からないが。

 

『必殺技! 学校っぽくて、それでいてヒーローっぽいの来たぁっ!』

 

 必殺技を収得して貰うといった言葉に、A組の面々がそれぞれに嬉しそうに叫ぶ。

 まぁ……うん。ヒーロー科にいる生徒にしてみれば、必殺技というのはそれだけ大きな存在なのだろう。

 

「必殺! コレスナワチ、必勝ノ技・型ノ事ナリ!」

「その身に染みつかせた技・型は他の追随を許さない。戦闘とは、いかに自分の得意を押し付けるか!」

「技は己を象徴する! 今時、必殺技を持たないプロヒーローなんて、絶滅危惧種よ!」

 

 エクトプラズム、セメントス、ミッドナイトの順番にそれぞれの必殺技論とでも言うべきものを説明する。

 けど……必殺技、必殺技ねぇ……俺は今もまだ色々とあってヒーロー科にいるものの、別にプロヒーローになろうとは思っていない。

 そう考えると、相澤が言っていたようなプロヒーローの仮免についても、俺の場合はどうしても取らないといけない訳でもないんだよな。

 まぁ、あればあったでヒロアカ世界においての身分証的な存在になるから、あった方がいいのは間違いないが。

 実際、ネギま世界とかペルソナ世界では、高校3年の時に身分証としても使えるという目的で自動車の免許を取る奴が多いって何かで聞いた覚えがあるしな。

 稲羽市のような田舎ならともかく、東京とかでは免許証を持っていても車の運転をする事なんて基本的にないらしいし。

 電車とかバスとか、そういう公共機関が充実してるしな。

 そう考えれば、このヒロアカ世界における身分証として、仮免は悪くない。

 ……もっとも、そもそもの話として俺が試験を受けられるのかといった問題もあるが。

 プロヒーローを纏める立場にいる公安は、当然だが俺がどのような存在なのかを知っている。

 であれば、それこそ俺が試験を受けたいと言っても……あー、でも俺が仮免を持っていても、それで公安が何か不利になる訳ではないから、あるいは受けても問題ないと判断してもおかしくはないかもしれないな。

 その辺りについては、相澤か校長に聞いてみるか。

 

「詳しい話は実演を交え、合理的に説明したい。ヒーローコスチュームに着替え、体育館γに集合だ」

 

 そう言い、それぞれが教室にあるヒーローコスチュームの入ったケースを持って更衣室に向かうのだが……

 

「相澤先生、ちょっといいですか?」

 

 俺は更衣室に行く前に、教室から出た相澤に声を掛ける。

 相澤はミッドナイト達に先に行くように言ってから、俺の方にやって来る。

 

「どうした?」

「今更ですけど、俺ってプロヒーローの仮免試験……受けてもいいんですか?」

「あー……その件か」

 

 相澤も俺が何を言いたいのか理解したらしくが、頭を掻く。

 恐らく相澤にとっても、この件については色々と思うところがあるのだろう。

 とはいえ、それでもこれからのことを考えれば、言っておく必要があると判断したらしく相澤は俺に視線を向けてくる。

 

「結果から言えば、アクセルが仮免試験を受けるのは何の問題もない」

「え? いいんですか、本当に?」

 

 もしかしたら問題はないかもしれないと思っていたのだが、まさかこうもあっさりと相澤がそう言ってくるとは思わなかった。

 

「個人的には、将来プロヒーローになるつもりがない者が仮免試験を受けるのはどうかと思うが、プロヒーローになってもやっていけなくて結局プロヒーローの道を諦めるといった者もいるしな。そう考えれば、お前が仮免試験を受けるのは問題ない……らしい」

 

 らしいという事は、これは相澤が自分で考えたものではないのだろう。

 そうなると、それこそ公安とか……あるいは校長とかから、そんな風に説明されたのかもしれないな。

 

「分かりました。2学期もこうして雄英に通う事になったのを思えば、仮免試験も受けた方が色々と便利だし……面白そうではありますしね」

 

 A組、B組の両方の生徒が仮免試験に向けて頑張ってる中で、俺がその試験に参加しないからといって、特にやる事もなくボーッとするのはちょっとどうかと思うし。

 であれば、ここうして相澤から俺も仮免に参加するのを許可して貰ったのは、悪くない事だろう。

 

「面白そうって……一応言っておくが、遊びでやるようなものじゃないんだぞ」

 

 面倒そうに相澤が言う。

 ……そういえば、入学してすぐの個性把握テストをやった時に誰だったか面白そうと言ったら、最下位の奴は除籍とか言ってたんだよな。

 それを考えると、今の俺の言葉も余計だったかもしれない。

 あ、でもあの時はクラスの誰かが最下位になったら除籍という話だったな。

 それを思えば、ここでそういう風に言ったのは俺だけなので、それを考えるともしこの場で除籍にするとなると、その対象は俺だけだか。

 ただ、俺は公安や校長から雄英に通ってもいいと言われている訳で……そうなると、相澤が俺を除籍出来るのかどうかは微妙だろう。

 いやまぁ、相澤の性格を考えると、そういう何かがあっても問題なく除籍にしそうだけど。

 ただまぁ、それでも余程の事がない限り、除籍にはしないと思うけど。

 というか、既にゲートを設置してしまった以上、もし俺が除籍になったりしたら、それはそれで色々と問題があるというか、微妙な感じというか……まぁ、そんな感じなのは間違いない。

 何しろホワイトスターからヒロアカ世界に来る度に、雄英の敷地内に転移する事になる訳だし。

 今の状態ではセメントスの作ってくれた壁があるからどうにか誤魔化せるものの、壁の向こうにゲートがあると雄英の生徒達が知ったら……まぁ、うん。その辺については考えないようにしておこう。

 

「まぁ、面白そう云々というのはともかくとして、相澤先生も知っての通り、俺は公安から生徒達の壁になるように依頼されていますから。……まぁ、今となってはその辺の依頼がどうなっているのかも微妙なところですけど」

 

 俺が公安の依頼……相澤に説明したように、生徒達の壁となって立ち塞がり、Plus Ultraさせる為の存在となっていたのは間違いない。

 だが、それはあくまでもまだゲートが設置されておらず、ホワイトスターと繋がっていない、そして俺が1人だった時の話だ。

 既にホワイトスターと繋がり、今の俺はシャドウミラーのアクセル・アルマーでもある。

 それを思えば、今の俺がまだ公安からの依頼を続ける必要はないんだよな。

 ただ、公安の方から未だにその辺の連絡がないので、半ば惰性で……あるいは原作主人公である緑谷や、その仲間達を強くする為にも、壁としての仕事は続けている。

 もっとも、それ以外にも単純にヒーロー科という学科が興味深かったり、原作の流れを思えば緑谷の側にいた方がいいと、そう思っての事でもあるのだが。

 

「何? その件はまだ続いていたのか?」

「取りあえず、依頼が終わりだとはまだ公安から言われていないですね。ホワイトスターの政治班が、多分その件で交渉中だとは思いますけど」

 

 俺にとっては、どうなるのか最善の結果なんだろうな。

 そう思いもするが、その辺については政治班に任せた方がいいだろう。

 

「そうか。まぁ、その辺の話は俺が関わるような事じゃないからな。取りあえず、話はこれで終わりという事でいいな? なら、アクセルも体育館γに行け」

 

 そう相澤に言われ、俺は頷くのだった。

 

 

 

 

 

「ここが体育館γ。通称……トレーニングの台所ランド。つまりTDLだ」

 

 おい、TDLは問題あるだろ。

 そう突っ込みたくなったのは、きっと俺だけではないだろう。

 実際、他のA組の面々も……それこそ爆豪も同じように相澤を見ていたのだから。

 ちなみに俺の反応や他のA組の面々を見れば分かるように、某遊園地は普通にこの世界にもある。

 個性による混乱期を乗り越えたというのは素直に凄いと思う。

 あるいは混乱期に遊園地は破壊されたものの、混乱期が終わった後に新しくまた作ったのかもしれないが。

 その辺がどうなのかは生憎と俺には分からないのだが、それでもこの世界においてそういうのが上手い具合にどうにかなったのは間違いない。

 そんな俺達の視線や態度に何かを感じたのか、セメントスが前に出て床に触れると……セメントスの個性によって、大雑把にだが城のような物が出来る。

 

「ここは俺が考案した施設。生徒それぞれに合わせた地形や物が用意出来る。台所ってのは、そういう事だよ」

 

 セメントスのその説明に、納得した表情を浮かべる者もいたが……それで、何で台所?

 それも色々と危ない略称にする必要もあるのか?

 そう思ったが、他の面々は納得した様子を見せているので、それを考えると恐らく俺だけが不思議に感じているのかもしれない。

 あるいはこの辺は、ヒロアカ世界の常識とかそういう感じなのかもしれないな。

 そんな風に思っていると、飯田が何故仮免の取得に必殺技が必要なのかといった事を聞いていた。

 それに対し、相澤は仮免試験では様々な要素を見られる事になると言い、それに続いてミッドナイトが見られる項目の中でも戦闘力は特に重要と説明し、セメントスとエクトプラズムもそれぞれに説明の補足をする。

 必殺技という言葉に少し迷ったものの、それはつまり飯田の少しの間だけだが圧倒的な速度をもたらす、レシプロバーストも一種の必殺技と見なされるらしい。

 必殺技というのは、必ず殺す技と書いて必殺技なんだか。

 そうも思ったが、そもそもプロヒーローはヴィランを捕らえる事は許可されているものの、殺すのは基本的に禁止されている。

 勿論、捕らえる際の戦闘による不可抗力でヴィランを殺すといったような事が起こったりもするのだが、それはあくあまでも事故だし、場合によっては厳しい処罰を受けたりもする。

 そういう意味では、必殺技というのは……まぁ、そのプロヒーローの特色を現す要素という表現でもいいのかもしれないな。

 

「なるほど、自分の中にある『これさえあれば勝てる』って型を作ろうって話か」

 

 諸々の説明を聞いて、砂藤が納得したように言う。

 そんな砂藤に、ミッドナイトは笑みを向け、口を開く。

 

「そうよ。先日活躍したシンリンカムイのウルシ鎖牢なんかは、模範的な必殺技として分かりやすいわね。相手が何かする前に縛っちゃうような」

「中断されてしまった林間合宿での個性伸ばしは、この必殺技を作る為だった。つまりこれから2学期の始業式までの10日程の夏休みは、個性を伸ばしつつ必殺技を編み出す圧縮訓練になる」

 

 相澤のその言葉と共にセメントスによってコンクリートの山が生み出され、エクトプラズムが自分の分身を多数生み出し、コンクリートの山の上にその分身達が立ち、こちらを眺めているのだった。

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