転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4697話

 バスに乗って、無事に雄英の寮に到着する。

 もしかしたら……本当にもしかしたら何かあるかもしれないと思ったのだが、特に何もなかった。

 例えば、ヴィラン連合の襲撃とか、もしくはそういうのとは関係のない野良ヴィランの襲撃とか。

 ……冷静に考えれば、これだけヒーロー科の生徒がいて、しかも抹消の個性を持つ相澤が一緒にいる中で襲ってくるのは、自殺行為でしかないが。

 ただ、仮免試験で疲れている奴も結構いるのは事実だ。

 実際、仮免試験の会場に向かう時はこれから仮免試験だからという事で緊張したり、やる気を見せていたりする者が多かったが、帰りのバスの中では疲れ切った者も多かった為か、バスの中ではずっと眠っていた者も多かったし。

 ともあれ、その為に寮に到着した時は眠っていた者の多くが回復していた。

 勿論、全快といった訳ではないが。

 

「相澤先生、合格祝い……もとい、打ち上げをやりたいんですけど、可能ですか? もし寮で打ち上げが出来ないのなら、どこかの店で打ち上げをやりたいんですけど」

 

 バスから下りて、相澤が諸々の諸注意を終えて解散というところで、そう相澤に尋ねる。

 すると相澤はどこか疲れた様子で俺を見てくる。

 ……ちなみに相澤がこうして疲れているのは、俺達が何かをしたからとかそういうのではなく、どうやらミスジョークに散々言い寄られたせいらしい。

 ミスジョークは、性格は色々と問題あるけど美人なのは間違いないから、男ならそういう相手に言い寄られるのはそれなりに嬉しいと思うんだけどな。

 

「分かった。ランチラッシュに今日の夕食は豪華なパーティメニューを用意するように言っておこう。それで我慢しろ」

 

 渋々……本当に渋々といった様子ではあったが、相澤はそう言ってくる。

 どうやら俺達が雄英から出るのは、出来るだけ避けたいらしい。

 俺としても打ち上げについてはどうしても外でやりたいといった訳ではなかったので、素直にその言葉に頷く。

 

「分かりました。……そんな訳で、今夜の夕食は打ち上げを兼ねて豪華な食事になることが決定したぞ」

「うおおおっ、アクセル、漢だぜ!」

「お腹減ったから、美味しい料理は大歓迎さ。僕の仮免試験の合格を祝ってくれるのなら、パパンとママンにも知らせないとね」

「それは……俺も参加していいのか?」

 

 切島、青山、轟がそれぞれそんな風に言ってくる。

 勿論他の者達も色々と言ってはいる。

 

「これは合格祝いじゃなくて、あくまでも打ち上げだ。だから、轟も何の気兼ねもなく参加してくれ」

「……ああ、悪いな」

 

 こういうところ、以前と違って轟が丸くなったところだよな。

 もっとも、本人にそのつもりはあるかどうか分からないが。

 

「けっ!」

 

 そして轟と同じくもう1人、仮免試験が不合格だった爆豪は不満そうな様子を見せつつ、それ以上は何も言わないで寮の中に入っていく。

 ……まぁ、爆豪も夕食を食べないって選択肢はないんだから、自然と打ち上げに参加する事になるとは思うけど。

 食事をしたら、すぐ部屋に戻ったりとかしそうではあるが。

 まぁ、その辺については俺がどうこうといったように考える必要もないだろうし、そこまで気にしなくてもいいだろう。

 爆豪が仮免試験を不合格になったのは、能力の問題ではなく性格の問題だ。

 性格も能力の一部だと考えれば……それでも不合格になったのも事実だし。

 これで、もし爆豪が俺のようにHUCに直接関わるようなことはなく、他の受験生のフォローとか、そういうのをしたりしていれば、また話は別だったんだろうが。

 だが、爆豪の個性である爆破は俺の炎獣のように他のフォローをするといったことは出来ないんだよな。

 そう考えれば、やっぱり爆豪のミスといった感じなのだろう。

 爆豪も当然今回の不合格の理由は分かってるんだよな?

 その辺りを理解していないと、講習を受けた後のテストでも不合格になると思うんだが。

 そんな風に思いつつも、取りあえず爆豪なら大丈夫……最終的には仮免試験に合格出来るだろうと、そう思うのだった。

 

 

 

 

 

「うわっ、すげえ! 七面鳥のローストって……クリスマスにはまだ早いぜ!?」

 

 上鳴がランチラッシュが作った料理を見て、思わずといった様子で叫ぶ。

 ……まぁ、うん。実際俺も仮免試験の打ち上げとはいえ、まさかこんなクリスマスパーティの如き料理が出てくるというのは完全に予想外だった。

 普通に考えれば、予想していた者は少ないだろう。

 あるいは、ランチラッシュにとって仮免試験に19人も合格したのはそれだけ驚くべき事だったのか。

 となると、B組の方はどうなっているのかちょっと気になるな。

 後でLINで……いや、電話の方がいいか? とにかく拳藤に連絡を取ってみるか。

 ちなみに他にもローストビーフだったり、ビーフシチューであったりと、それなりに豪華な料理が多い。

 ……いや、ローストビーフはともかく、ビーフシチューはそこまで豪華な料理じゃないか?

 どうせなら、ビーフシチューよりもタンシチューの方が良かったんだけど。

 他にもパエリアであったり、フライドチキンやエビフライ、フライドポテトといった料理が並んでいる。

 当然だが栄養についても考えられており、野菜を使った料理もかなりの量があった。

 

「これ……食費の方、大丈夫なのかな?」

 

 耳郎が小さく呟くが……なるほど、その言葉は俺にも納得出来るところがある。

 これだけのご馳走となると、それこそ材料費だけでもかなりの金額だろう。

 

「相澤先生から連絡がありましたが、今日の夕食の食材は相澤先生の奢りらしいですわ」

 

 耳郎の言葉にヤオモモがそう口にする。

 そして、ヤオモモのその言葉に、話を聞いていた者達全員が驚き、嬉しそうな声を上げる。

 相澤がこうしたサプライズをするというのは、俺も含めて予想外だった。

 だが……よく考えてみればそこまでおかしな事でもないのか?

 こう言ってはなんだが、相澤はそれなりに金持ちだと思ってもいい。

 プロヒーローとしては抹消の個性がある事によって唯一無二の実力の持ち主で、当然ながらそれを知っている者達なら強力なヴィランを相手にする時は、相澤を呼ぶだろう。

 また、雄英という日本で最高のヒーロー科を持つ高校の教師、それも普通科を始めとした他の学科ではなく、雄英の目玉でもあるヒーロー科の担任だ。

 であれば、当然ながら給料も相応の金額……ああ、でもそうだな。雄英は国立高校であるのを考えると、私立とかと違って教師の給料は変わらない感じだったりするのか?

 まぁ、それならそれで構わないとは思うけど。

 それだって公務員という事になり、多分だが普通の公立高校の教師とかよりも給料は高いのかもしれないし。

 それでいながら、相澤は特に金の掛かる趣味とかは持っていない……いや、相澤についてそこまで詳しい訳ではないので、何とも言えないところはあるが。

 とにかく、普段の格好を見る限りだと相澤は服装とかにそこまで金を使ってるようには見えないし、食事についてもゼリー飲料がメインだ。

 ……折角雄英にいて、食堂に行けばランチラッシュの美味い料理を、それも安く食べられるのに、それでもわざわざゼリー飲料で食事をすませるというのは、正直なところ理解出来ない。

 理解は出来ないものの、それでもとにかく相澤は服にも食事にも金を使ったりはしていない訳だ。

 後は俺達……というか、生徒達の見えない場所で何か金の掛かる趣味を持っているとか、そういう可能性もあるけど……ともあれ、独身という事もあって金は貯まっている筈だ。

 これでギャンブルに嵌まってるとか、あるいはホステスや風俗に嵌まってるとか、そういうのでもあれば、また話は別だろうが。

 そんな訳で、相澤の経済力……というか、貯金か? 貯金があれば、このくらいの食材を奢るといったことはそう負担でもないのだろう。

 

「すげぇ……これって、エビのカクテルって奴だろ?」

 

 瀬呂が、テーブルの上の料理を見て、そう呟く。

 そこにあるのは、大きな皿の上に赤と白が色鮮やかな茹でられたエビが綺麗に皿の縁に引っ掛けるように並べられている光景だ。

 その中央には5種類のソースの入った皿があり、そのどれかのソースにエビを付けて食べるのだろう。

 これは……凄い。

 素直にそう思う。

 ……他の料理とかもそうだが、このエビのカクテルという料理は見ての通り皿の縁にエビが引っ掛かっているという盛り方をしており、この料理を寮まで持ってくるのにも、下手をしたらエビを落としてしまいかねない。

 それとも茹でたエビは別の容器に入れて持ってきて、寮に来てから皿に並べたとか、そんな感じなのか?

 その辺については俺がどうこう考えても意味はないので、取りあえず流しておくか。

 大事なのは、このエビが結構な大きさがあって、食べ応えがあるのは間違いないという事だろう。

 皿に引っ掛けやすいように茹でているので、以前荒垣から聞いた、茹でたり揚げたりする時にエビを曲げないように神経を切る? 伸ばす? そういうのをしてはいないのだろう。

 背わたをどうしているのかは、分からないが。

 その辺りはランチラッシュだけにしっかりと処理しているのだろう。

 

「ねぇ、アクセル君。私達が相澤先生の奢りでこうしてご馳走を食べてるって事は、B組も同じなのかな?」

 

 エビのカクテルを見て、俺の好物のエビフライがないのを残念に思っていると、葉隠がそう声を掛けてくる。

 なるほど、B組がどうなっているのかはちょっと気になるな。

 まぁ、ブラドキングは相澤……というか、A組にかなりの対抗心を持っている。

 それを思えば、恐らく俺達と同じか、場合によってはそれ以上に豪華な料理を食べている可能性は十分にあった。

 

「LINで聞いてみるか?」

「あ、うん。じゃあ、えっと……この角度でいいか」

 

 俺の言葉に、葉隠がテーブルの上にある料理をスマホで撮ると、LINに書き込み始める。

 するとすぐに返事があったらしく、葉隠は俺にスマホを見せてくる。

 そこには拳藤からのメッセージと、寿司やすき焼き、うな丼、う巻き、蒲焼きといったウナギ料理が並んでいる写真があった。

 ……なるほど、A組は洋風の料理なのに対し、B組はどうやら和風の料理らしいな。

 ちなみにB組も当然ながらブラドキングによって食材の代金は支払われたらしい。

 

「美味そうだな」

 

 ランチラッシュが作った寿司やすき焼き、ウナギ料理……どれも普通に美味そうだ。

 いや、勿論A組の洋風料理も、普通に美味そうだとは思う。

 だが、隣の芝生は青いと言われるように、こうして和風の料理を出されると、それはそれで美味そうなんだよな。

 特に轟なんかは部屋そのものを和風にするだけあって、もしこの写真を見れば心の底から羨ましがると思う。

 拳藤の写真には他の料理と比べるとあまり存在感はなかったが、蕎麦の類もあったし。

 ……ああ、でも幾ら轟がエヴァのように和風の物が好きでも、仮免試験に不合格となってしまった今は、あまりそういうので残念がったりしている余裕はないか。

 

「そうでしょ。ちょっとだけ羨ましいよね、……あ、勿論ここにある料理も凄く美味しそうだとは思うけど」

 

 そんな風に会話をしていると、ヤオモモがパンパンと手を叩いて皆の注目を集める。

 

「では、折角のお料理も冷めてしまってはランチラッシュに申し訳ありませんので、早速食べましょう。皆さん、乾杯の準備をお願いします」

 

 ヤオモモに促され、俺は紙コップにウーロン茶を注ぐ。

 さすがにランチラッチュもウーロン茶まで用意する余裕はなかったのか、ウーロン茶を始めとして、緑茶、スポーツ飲料、炭酸飲料……それ以外にも、諸々。

 それらは普通に店で売っているペットボトルの飲料だ。

 あるいはウーロン茶とかだけランチラッシュが用意すると、それはそれで問題があると思ったのかもしれないな。

 そうなれば、それこそスポーツ飲料とか炭酸飲料とかもランチラッシュが用意しないといけなくなったかもしれないし。

 当然ながら、高校生の打ち上げ……それも学校の敷地内にある寮でやる打ち上げである以上、酒はない。

 いやまぁ、酒があってもヤオモモや飯田を始めとして真面目な奴がいるので、飲ませないとは思うが。

 ……もし俺が間違って酒を飲んでしまったら、それはそれで不味いし。

 ともあれ、全員が飲み物の入ったコップを手にすると……

 

「では、今日の仮免試験お疲れさまでした。不満のある結果の方もいると思いますが、それはこれから取り戻していきましょう。……乾杯!」

『乾杯!』

 

 ヤオモモの言葉に合わせ、それぞれが持っていた紙コップを掲げ乾杯をし……そしてコップの中身を飲み干すと、すぐに料理を食べ始める。

 俺は当然のように気になっていたエビのカクテル。

 色々なソースを食べ比べ……レモンの果汁に塩と香草で味付けしたソースが一番美味い。

 他にも七面鳥のローストを食べたりして、楽しく打ち上げを満喫するのだった。

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