転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4698話

 パーティ……というか、打ち上げか。

 その打ち上げが終わった翌日……今日からはまた本格的に授業が始まる。

 とはいえ、校舎まで徒歩数分……走ればそれこそ1分も掛からないくらいの距離に寮があるので、1学期よりも朝はゆっくり出来るようになったのは間違いない。

 特にA組の結構な人数が1人暮らししていた事を思えば、中には通学に30分……もしくは1時間とか掛かるような者がいてもおかしくはない。

 だからこそ、そのような者達にしてみれば朝がもの凄く楽になったのは間違いない訳だ。

 俺の場合は住んでいたマンションの最寄り駅から乗り換えなしでそのまま雄英の最寄り駅まで行けるので、そういう意味ではそこまで大変ではなかったし。

 ましてや、一般的に考えれば毎日のように拳藤と一緒に通学していたし、駅から出ればそこには茨が待っていたのだから、その辺を考えるとマンションに住んでいた方が良い思いをしていたと言えなくもない。

 特に峰田辺りなら絶対にそう断言するだろう。

 なので、今のこの状況においては……多分、峰田にしてみれば、ざまぁ! といったところか。

 そんな風に思いつつ、俺は朝の準備を諸々終えると1階にある共用スペースに向かう。

 スマホで時間を確認すると、ランチラッシュの朝食がもうとっくに届いている筈だ。

 ……朝からランチラッシュの作った料理を食べられるのは、この寮の最大のメリットだよな。

 まぁ、昨日の打ち上げの時に残った料理もそれなりにあったから、それもプラスして今日の朝食は普段よりもかなり豪華なものになるだろう。

 俺も狙っていたエビのカクテルの残りを食いたいし。

 そう思いながらテーブルのある場所に向かおうと思ったんだが、その時にふと気が付く。

 A組の面々の多くが何故か掃除機を使って掃除している緑谷と爆豪の側にいる何かを話していたのだ。

 それだけではなく、緑谷と爆豪の顔には明らかに怪我の痕跡がある。

 一体何があった?

 そんな疑問を抱きつつ、朝食を……昨日に合わせたのか、パンを始めとした洋食の朝食と、他にも予想通り昨夜の残りの料理の中からエビのカクテルを始めとして、パンだけにビーフシチューも合わせて自分の分の朝食を用意してテーブルに……耳郎の側が空いてるので、耳郎の近くに座る。

 

「おはよう、アクセル」

「ああ、おはよう。……それで? 緑谷と爆豪はどうしたんだ?」

「あー……何かね、昨夜寮の外に出て喧嘩したらしいよ。それもちょっとやそっとの喧嘩じゃなくて、本気の喧嘩」

「なるほど」

「あれ? アクセルはあんまり驚いてないね。ウチはこれを聞いた時、うわぁ……って思ったんだけど」

 

 そう言う耳郎の表情には強い呆れの色がある。

 まぁ……うん。ヒーロー候補生で、しかも緑谷にいたっては仮免試験に合格したその日の夜に爆豪と喧嘩をしたんだから、耳郎が呆れるのも分かる。

 ましてや、爆豪にいたっては態度の悪さから仮免試験で不合格になったにも関わらず、緑谷との喧嘩騒ぎ。

 そう考えると、耳郎が呆れるのにも理解は出来る。

 出来るが……緑谷と爆豪の間の歪な関係を考えれば、いずれぶつかることになったのは容易に予想出来た。

 緑谷は爆豪からいくら雑に扱われようともそれを気にしていなかったし、爆豪は爆豪で一体何でそんなに? と思うくらいに緑谷を敵対視していた。

 原作的にこれが正しいのかどうか、俺には分からない。

 だが、それでもこれからのことを思えばここで一度ぶつかっておく必要があったのは間違いないのだろう。

 恐らく……本当に恐らくだが、原作でも仮免試験が終わったところで緑谷と爆豪はぶつかっていたと思う。

 爆豪の性格を考えると、俺の介入の有無関係なしに仮免試験は不合格だったような気がするし。

 

「緑谷と爆豪の性格を考えれば……それもクラスNo.2だった爆豪が仮免試験に不合格で、緑谷が合格となると、やっぱり爆豪には思うところもあったんだろうな」

「まぁ、あの2人は……っていうか、爆豪は入学当初から性格に色々と問題があったしね」

 

 クソを下水で煮込んだような性格と称される爆豪の性格だけに、耳郎のその言葉にも納得出来る。

 ……少し離れた場所で食べていた砂糖と口田の2人も耳郎の言葉に同意するように頷いているのを見れば、その辺りは明らかだろう。

 

「爆豪の性格の件はともかくとして、その喧嘩の処分が緑谷と爆豪の掃除なのか? ……何だか俺の持ってきたロボット掃除機が緑谷と爆豪を威嚇するように動いているように見えるんだが」

「え? ……あ、本当だね」

 

 耳郎が俺の視線を追うと、そこではロボット掃除機が自分の仕事を奪おうとする緑谷と爆豪を相手に牽制してるのか、それとも明確な敵対行為でも見せているのか、とにかくかなり派手に動いている。

 ……ロボット掃除機の友達と言ってもいいのかどうか分からないが、とにかくAI搭載のスーツケースがロボット掃除機の援軍に来ない事を祈るしかない。

 スーツケースが来たからといって、何が出来るといった訳でもないのだが。

 

「大丈夫なの?」

「まぁ……多分?」

 

 ロボット掃除機は優に対しては何故か体当たりをするといったように攻撃的ではあったが、それ以外にはそこまで攻撃的ではない。

 優に攻撃的だったのも、菓子クズとか、あるいは……まぁ、最初に俺の殺気を浴びた時の失禁とか、そういうのが原因だろうし。

 それはつまり、わざと床を汚すような事をしなければロボット掃除機もそこまで攻撃的になったりしない訳だ。

 であれば、同じく掃除をしている緑谷と爆豪に対しては友好的になっていもいいと思うんだが……単純に床を汚さないだけじゃなくて、自分の仕事を奪うような相手に対しても敵意を持つのかもしれないな。

 とはいえ、緑谷はともかく爆豪も喧嘩をして掃除をさせられているのを思えば、まさか寮の掃除をしているロボット掃除機を邪魔だからと破壊するような事はないと思いたい。

 

「それで、あの2人は掃除をすればもう解決なのか? 相澤にしてみれば、随分と軽い処罰だと思うが」

「ううん、寮で謹慎になったらしいよ。それで謹慎している間、ああやって掃除をするんだって」

「なるほど。……それはきついな」

 

 具体的に何日の謹慎なのかは分からないが、雄英の授業というのは3年間でヒーロー候補生からプロヒーローになれるようにするだけあって、密度が高い。

 そんな中で数日授業に出られないのは、緑谷にしろ爆豪にしろ、それなりに厳しい事なのは間違いなかった。

 まぁ、相澤の事だし謹慎が終わった後は補習という形でしっかりと授業の補完はするのだろうが。

 ……そうなると、緑谷はともかく仮免試験に不合格だった爆豪はそっちの講習もあるのでかなり忙しくなりそうだな。

 まぁ、その辺りは喧嘩騒ぎを起こしたペナルティってところか。

 そんな風に思いつつ食事を終えると、制服に着替えて校舎に向かうのだった。

 

 

 

 

 

 教室に入ると、すぐに始業式が始まるのでグラウンドに移動することになる。

 なお、その途中でいつものようにB組の物間に絡まれ、爆豪と轟が仮免試験を不合格になった事を煽られたりしたが……ちなみにテストの赤点の時とは違い、物間もしっかりと仮免試験に合格していたらしい。

 つまり、B組は全員合格した訳で……その結果だけを見れば、間違いなくA組よりも成績は上よな。

 というか……もしB組のやった仮免試験が俺達と同じ内容だったとすれば、物間はどうやって合格したんだ?

 爆豪と同じくアレな奴認定をされている物間だけに、爆豪と同様に不合格でもおかしくないとは思うんだが。

 あるいは物間は小賢しさだけはあるので、HUCのような要救助者を助ける時にはそういう態度をしていたのかもしれないな。

 こっちを煽ってくる物間は、当然のように拳藤の手刀で気絶させられ……

 

「天罰です」

 

 るよりも前に、茨の髪の毛が物間の身体を締め付ける。

 

「ぎゃっ、ぎゃああああっ! ちょっ、おい、塩崎! 一体何を、痛い痛い痛い痛い!」

「天罰です」

 

 数秒前と同じ言葉を口にする茨。

 

「天罰って、塩崎がやっていたら天罰じゃなくて人罰じゃないか!? 痛っ、痛い痛い痛い!」

 

 今の一言が茨の機嫌を損ねたのか、茨の髪の毛は一層その締め付けを強くしたらしい。

 

「拳藤! 拳藤! 委員長! 助けてくれ!」

 

 茨の髪の毛に締め付けられる物間が拳藤に助けを求めるものの……

 

「お前、ここのところちょっと調子に乗りすぎだし、暫くそのまま反省しろ」

「何でA組の肩を持つんだよぉっ!」

 

 茨の髪の毛にそう締め付けられながらも、そう叫ぶ物間。

 そんな物間の様子に、拳藤はどうする? と俺を見てくる。

 物間の性格を考えると、とてもではないがこの程度で反省するとは思えない。

 だが……爆豪と轟が仮免試験に不合格になったのは、実力不足といったようなものではなく、どちらも性格的な問題だ。

 そういう意味では、物間の煽りも……爆豪はここにいないが、轟は受けてもいいかもしれない。

 なので、不承不承……本当に不承不承ではあるが、俺は茨に視線を向ける。

 すると茨は俺の視線の意味をしっかりと理解したのか、素直に物間を解放する。

 茨としては、崇拝する俺を煽った物間を許せないのだろうが、俺がもう解放してやれと視線で示したこともあってか、物間を解放したらしい。

 

「悪いな、アクセル」

「まぁ……轟と爆豪が実力じゃない部分で不合格になったのは間違いないしな。そういう意味では、これもまたいい薬だよ」

 

 そうして俺が拳藤と話している間に、復活した物間は角の生えた女……角取ポニーだったか? まだ日本語がそこまで上手くない角取にA組を挑発するような言葉を吹き込んで、更にこちらを煽ったりしてきていたが。

 ……とはいえ、角取が可愛らしいというのもあって、それは煽りや挑発というよりも、一種の芸? のように見えなくもない。

 俺と話していた拳藤が、変な言葉を教えるなと今度こそ本当に手刀を物間に叩き込んだりしていたが。

 そんなやり取りをしていると、後ろから普通科がやって来て心操に注意された事によって取りあえずグラウンドに出る事にする。

 そうして始業式が始まり、校長の話となると当然ながら林間合宿から神野区についてだったりが話され、微妙にI・アイランドについても匂わせていたりしながら、話が終わる。

 インターンについての話もあったが、それについては俺の場合龍子の事務所でねじれから聞いて知っているので、特に疑問には思わなかったが……見た感じだと、どうやらインターンについても知らない者も何人かいるらしいので、後で教えてもいいかもしれないな。

 ……で、ある意味ではこの始業式での一番の目玉というか、印象的だったのは、その後で話した……話した? まぁ、とにかく話した生活指導のハウンドドッグ。

 異形系のハウンドドッグは、狼男のような外見をしている教師だ。

 ドッグとあるので、正確には狼男ではなく犬男と表現した方が的確なのだろう。

 

『グルルル……昨日……ルルルウ、ルルル……寮の、バウッ、バウッ、バウウウゥッ! 慣れ、バウ、バウウウ、ルルゥ、生活、バウウウウウ……アオオオオオオオオオオオン!』

 

 といった感じで、興奮のあまり半ば野生に帰ったかのような、そんな感じで遠吠えをする様子だった。

 その言葉を聞いても、当然ながら俺には……いや、俺だけではなく他の面々も一体何を言ってるのか分からなかったものの、何故かブラドキングは今のバウンドドッグの吠えた内容であっても理解出来たらしく、通訳をする。

 もっともその内容は……うん、当然ながら昨夜行われたという、緑谷と爆豪の喧嘩についてであって、それに多くの者達がざわめいていた。

 いやまぁ、ヒーロー科の生徒……それもその辺の高校のヒーロー科ではなく、日本でもNo.1の雄英のヒーロー科の生徒が夜中に喧嘩をして謹慎処分を食らったのだから、ざわめくのも分からないではない。

 ……というか、緑谷と爆豪は内申点とかそっちの方も危ないんじゃないか?

 特に爆豪なんかは、仮免試験でも不合格になってるんだし。

 ああ、でも仮免試験は本来なら2年になってから受けるのが普通で、1年で受けた俺達が普通ではないという事なのか。

 それでいながら、爆豪と轟以外は全員合格しているのを思えば、俺達にとっては悪くない事なのは間違いないが。

 だからこそ、不合格になった爆豪と轟も内申点的な問題はないだろう。

 講習を終えた後の個別試験をクリアすれば、その辺りも問題はなくなるんだろうし。

 そんな風に考えていると、A組の委員長であるヤオモモが困ったように緑谷と爆豪について呟き……ふと、視線を感じると、視線の主はねじれだった。

 ねじれも俺が視線を返したのに気が付いたのか、手を振ってきたので、俺もまたふり返す。

 ……すると、少し離れた場所にいた峰田はそんな俺の行動に気が付いたのか、いつもの如く血涙を流しながら恨めしそうな視線を向けてくるのだった。

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