転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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今回の話で出て来たザメルⅡ、設定のオリジナル機体の方に追加しています。
気になる方は以下からどうぞ。

https://syosetu.org/novel/179815/2.html




4700話

「じゃあ、またね!」

 

 ねじれはそう言うと、元気よく手を振って寮を出ていく。

 そんなねじれを見送る面々は、俺も含めてかなり疲れていた。

 何しろねじれは、外見だけなら明らかに美人と呼ぶに相応しい容姿をしているのだが、その性格は無邪気というか、幼いというか……それこそ子供だ。

 ホワイトスターにいる壊理と比べても同じか、あるいは年下なのではないかと思ってしまうくらいには子供に思えた。

 

「疲れた……」

 

 ねじれの本領発揮という訳ではないが、ねじれに振り回されたA組の面々の中でも、何故かねじれの好奇心のターゲットとなる事が多かった三奈が、ぐったりした様子でそう言う。

 まぁ、三奈は肌の色がピンクだったり、目が黒目だったり、角? があったりと、色々とねじれの興味を惹く場所があった。

 それを思えば、ねじれが三奈に興味を持つのも当然だったのだろう。

 とはいえ、それを言うのならA組には他にも特徴的な奴は多いが。

 障子や常闇、梅雨ちゃんとか。

 峰田は……まぁ、職業体験の時にそれなりに接する機会もあった為か、今回はそこまでねじれが気にする様子はなかったが。

 この辺りはある意味で幸運だったのかもしれないな。

 ……いや、峰田の性格を考えればねじれのような美人と接する機会が少なかったことに、不満を抱いてもおかしくはないが。

 ともあれ、台風一過といった感じになったのだが……

 

「結局、ねじれは何の為に来たんだ?」

 

 疲れ切った様子を見せるA組の面々を眺めつつ、そう呟く。

 だが、当然ながらそれに答える者はいない。

 ……いや、そこまで疲れ切ってるって訳ではないと思うんだが。

 あるいは単純に何故ねじれが来たのか分からないので、反応のしようもないだけなのかもしれないが。

 ともあれ、疲れたからといってそのままにする必要もある訳がなく……ランチラッシュの作った食事を楽しむのだった。

 

 

 

 

 

「アクセルお……さん……」

 

 寮では食事やら風呂やらが終わり、後は寝るまで自由時間という事になったので、数日ぶりにホワイトスターにやって来た。

 ……なお、ゲートが見つからないようにセメントスが作ってくれた壁については、今のところ噂になってはいない。

 もっとも、それで噂になっていないのはあくまでも1年のヒーロー科での話だ。

 他の学科とはあまり交流がないので、もしかしたら他の学科ではセメントスの作った壁が噂になっているのかもしれないが。

 ヒーローコスチュームを改良するとかならサポート科に行って発目を始めとした面々と接する機会もあったりするのだが、俺のヒーローコスチュームは別に改良する場所はないしな。

 というか、ぶっちゃけ俺の場合はヒーローコスチュームがなくても普通に問題がなかったりするので、そういう意味ではヒーローコスチュームはあくまでもコスチューム……コスプレというのは少し言いすぎかもしれないが、アークエネミーというヒーローとして行動する上での衣装でしかないんだよな。

 まぁ、マスクとかはそれなりに便利なのは間違いないが。

 ともあれ、壁について噂になってないのは俺にとっても幸運な訳で……そうしてホワイトスターにある家に帰ってきた俺を迎えたのが、壊理の今の言葉だった。

 俺の名前の後にお……とついたのは、多分お父さんと言おうとして言えなかったといったところか?

 そんな壊理の両隣にはルリとラピスの姿があり、特にラピスは壊理の頭を撫でている。

 ……ラピスにしてみれば壊理は初めて出来た妹である以上、猫可愛がりをしてもおかしくはないのだが、ラピスらしく表情は殆ど変わらないまま壊理を撫でているので、何も知らない者が見れば不気味に見えるかもしれない。

 もっとも、ラピスと親しい者ならちょっとした変化でラピスの様子は理解出来るし、そういう意味ではこの家にいる全員がラピスの表情の変化は理解出来るだろう。

 あるいは一番ラピスの表情の変化が分からないのは、ラピスとの付き合いの短い壊理なのかもしれない。

 ただ、それでも壊理はラピスが自分を可愛がってくれるというのは十分に理解しているのか、凄く懐いているが。

 

「もうそろそろ寝なくてもいいのか?」

 

 今の時間は午後9時ちょっと前といったところだ。

 ルリやラピスはともかく、まだ子供の壊理はそろそろ寝てもいい時間だ。

 寝る子は育つと言うが、それは事実なのだから。

 

「うん、えっとね、あのね、これを見たら寝るの」

 

 壊理の言葉に映像モニタに視線を向けると、そこでは……何だ? 多分魔法少女? え? でも大きな杖を持って殴り合っているのを見れば、それを魔法少女と呼んでいいのかどうか微妙なところではあるが。

 どの世界のアニメなのかは分からないが、壊理が見てもいいアニメなのか、これ?

 というか、壊理は暴力に強い拒否感を持っていた筈なんだが、このアニメについては特に何の問題もないらしい。

 一体何がどうなっているのやら……と思わないでもないが、血や暴力について苦手なままだとどうかと思うし、そう考えれば問題ないのかもしれないな。

 

「あら、アクセル。今日はこっちに泊まるの?」

 

 何かの書類を見ていたレモンが俺にそう聞いてくる。

 壊理達とは別のソファに座っているレモンの隣にはコーネリアがいるのだが、そのコーネリアは魔法少女? のアニメの方に集中しているらしく、俺の存在には気が付いていない。

 あるいは気が付いていても、今はアニメの方が優先だと考えているだけなのかもしれないが。

 ちなみに現在アニメでは、杖の持ち手部分……上の方にある大きくなっている場所から、何がどうなったのか刃が現れて敵の魔法少女に斬りかかっていた。

 迎え撃つ方の魔法少女は、杖の先端……石突き部分を液体金属でコーティングし、鋭い針のように尖らせた杖を槍のように使って応戦していた。

 これ、本当に魔法少女ものなんだよな?

 あるいは刃物を生やしたり、杖の先端を液体金属っぽいのでコーティングして針のようにするのが魔法だったりするのか?

 ……何だか微妙に気になる辺り、構成が上手かったりするのかもしれないな。

 そんなアニメに目を奪われながら、俺はレモンに返事する。

 

「ああ、そのつもりだ」

「そう。……じゃあ、これをちょっと見てくれる?」

 

 そう言いつつ、レモンが書類を渡してくる。

 わざわざ紙の書類? と思ったが、その辺については俺がどうこうと気にするような事じゃないか。

 なので、少しだけ魔法少女のアニメに気を取られながらも、書類を見る。

 

『これが朕の全力全開! ……いや、全力全壊!』

『負けて、た・ま・る・かぁあああぁああぁああぁあ!』

 

 何とも気になる声が耳に入ってきたりはしていたが。

 ともあれ、書類を見ると……どうやらルナ・ジオンからの報告らしい。

 へぇ、ディアナでノイエ・ジールの生産が開始されたのか。

 もっとも、MA隊の隊長であるケリィですら、まだノイエ・ジールの性能を完全に発揮させる事が出来ていないらしいので、生産は始まったがノイエ・ジールに乗れる者は少数となる予定らしい。

 星の屑の一件で俺が乗った時と比べると、自動操縦の割合がそれなりに増えているみたいだが……それでもまだ使いこなすとはいかないらしい。

 Iフィールドがあるので、取りあえず防御力という点ではビームを無効化出来るのも大きいし、そこまで操縦技術がない奴については自動操縦の割合を増すというのもありじゃないか?

 もっとも、そうなれば自動操縦だけにどうしても画一的な操縦になってしまい、その辺の雑魚を相手にしたのなら強力なメガ粒子砲とかもあって無双出来るかもしれないが、エース級のパイロットを相手にするとIフィールドの内側に入り込まれてビームサーベルを使われるとか、バズーカのような実弾で攻撃してくるとか、あっさりと対処されそうではあるが。

 それでもノイエ・ジールに乗って操縦に慣れていけば、やがて自動操縦の割合を減らす事も出来るかもしれない。

 

「ノイエ・ジールについては、取りあえずもっと量産して、操縦訓練を増やして操縦そのものに慣れさせるしかないんじゃないか?」

「そうでしょうね。……で、次だけど」

 

 レモンもノイエ・ジールについては俺の言葉に異論はないのか、特に何かを言うでもなくそう返事をすると、次の書類を読むように促してくる。

 その書類を見ると……

 

「これはまた……ザメルⅡ?」

 

 こちらについては、俺にとってもかなり予想外だったが。

 ザメルⅡ。その名称通り、ザメルの後継機だ。

 ザメルというのは、かなり遠距離からであっても砲撃が可能なMSだ。

 もっとも、その外見はMSというよりもMAと評した方が相応しいとは思うが。

 とはいえその機体とは裏腹にホバー移動によってかなりの機動性を誇るのも事実。

 そして何よりもこれが重要なのだが、ルナ・ジオンにとって地球上での唯一の領土であるハワイ……正確にはハワイ諸島はその名称通り、小さな島が多数ある。

 そのような場所で攻撃をされた場合、地上用のMSでは対処が難しい。

 もっとも、ハワイには様々な水中用MSや水陸両用MSが配備されており、かなり頑強な戦力なのだが。

 実際にズゴックやズゴックE、ハイゴックといった系統の水陸両用MSなら戦闘機を相手にしても空中にメガ粒子砲を撃てるし、何よりドワッジというドム系の中でも最終形のMSが主力MSとして使われているのもあり、ハワイの戦力は相当に高い。

 ましてや、ハワイには最大の戦力としてアプサラスも存在しいる。

 特に現状においては次世代のアプサラスの為の技術立証試験機として開発されたリプサラスも何だかんだと少数だが量産されているらしいし。

 ただ……それでも後方から遠距離射撃で味方機の援護をする機体というのは、どうしても欲しいのだろう。

 それで今まではザメルがそれに使われていたが、その後継機たるザメルⅡが開発されたらしい。

 ……まぁ、こう言ってはなんだが、ザメルそのものも技術立証試験機的な一面があったのも間違いないし、そういう意味では後継機であるザメルⅡを開発するというのは分からないでもない。

 

「で、性能としては……まぁ、小型化は当然か」

 

 書類に書かれているのは、ザメルⅡのスペックだ。

 書類によると、ザメルは全高27m、本体重量75t、全備重量121.5tと、通常のMSとは比べものにならないくらいの巨大さだが……その巨大さというのは、ザメル最大の武装である680mmカノン砲を使う為のものだ。

 だが、ザメルⅡにおいては主砲の680mmカノン砲はそのままに……それだけではく、680mmカノン砲の砲身と重ねるようにしてメガ粒子砲も放てるようにしたらしい。

 しかもこのメガ粒子砲、普通の……つまり、集束されたメガ粒子砲と拡散メガ粒子砲の2種類を使い分ける事が出来るらしい。

 また、胴体部分にはミサイルやバルカン、そして簡易的な腕があり、それでビームサーベルを使えるらしい。

 ちなみにミサイルやバルカンについても、ザメルの時よりも数は多くなっているとか。

 当然ながらザメルの後継機である以上はホバー移動が可能となっており、またアプサラス系列の技術も流用されているお陰もあってか、全高23m、本体重量50t、全備重量90tと、ザメルと比べると大分小型化に成功している。

 なるほど、メガ粒子砲や拡散メガ粒子砲を使えるのも、この辺りが理由か。

 ザメルの大きさが680mmカノン砲の反動に耐える為であったのを考えると、それこそ680mmカノン砲はそのままに、メガ粒子砲用の砲身もあり、二重に重ねた状態でザメルⅡはその反動に耐えられるのか? という疑問はあるのだが……書類によると問題ないらしい。

 もしかしたら、この辺りについてもアプサラスの技術が流用されているらしいな。

 ……ちなみに装甲はルナ・チタニウム……ではなく、ジオンお馴染みの超硬スチール合金、つまり鉄でもなく、チタン合金セラミック複合材……つまり、連邦系の装甲を採用している。

 まぁ、出来ればルナ・チタニウム、もしくはアクシズでそれを改良したガンダリウム合金とかの方がいいのだが……その辺はコスト的な問題だろう。

 それにルナ・チタニウムだろうが、ガンダリウム合金だろうが、物理攻撃はともかく、メガ粒子砲は防げないし、それならチタン合金セラミック複合材の方が安価だという結論になったのだろう。

 ここまでを見る限り、性能はそれなりに上がっているらしいが……ただし、機体が小さくなった影響で、ザメルの時は複座式だったのが単座式、つまり1人乗りになったらしい。

 操縦の自動化によってそれでも対処は可能という事だが……本当の意味で性能を最大限に発揮させるのであれば、ノイエ・ジールと同じく可能な限り手動で操縦出来るようにする必要があるだろうな。

 そんな風に思いながら、俺は書類を返すとザメルⅡを数機ホワイトスターに届けるようにと指示を出し……その夜は、いつもの如く熱い夜を楽しむことになるのだった。

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