転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4701話

 始業式から数日……緑谷の謹慎が終わり、今日から緑谷は登校する。

 ちなみに爆豪は緑谷よりも謹慎の日数が1日長い。

 これは緑谷との決闘……と呼んでもいいのかどうか分からないが、とにかくそれを提案したのが爆豪で、実際の決闘の際にも爆豪の方が先に手を出したという事が原因らしい。

 まぁ、1日くらいでそう違いはないと思うが……

 

「あははは、元気だよね緑谷」

 

 俺の前に座る三奈が、笑いならそう言う。

 そんな三奈の視線を追えば、そこには飯田や麗日、切島、耳郎といった面々と話をしていて、それこそ興奮している緑谷が……鼻から蒸気でも噴き出しているのではないかといったように見えるくらいにはりきっていた。

 

「うわ、凄いね」

 

 俺と三奈が話していると、葉隠がやって来て緑谷の方を見て――制服の様子からそう予想しただけだが――驚きの声を露わにする。

 

「まぁ、何だかんだ言っても緑谷はこのクラスの中でも中心人物的な存在の1人だしな」

 

 原作主人公というのもあるのだろうが、この辺は緑谷のカリスマ……というのはちょっと違うか? とにかく、誰よりも努力をしている姿を見ているというのもあるのだろうが、そんな感じで特殊な存在感を出している。

 他にも爆豪なんかは性格はともかく、能力や才能という点では間違いなくA組……どころか、場合によっては雄英全てで考えてもトップクラスなのは間違いない。

 だからこそ、そんな2人がA組の中では中心的な存在であるのは間違いない。

 

「え、そう? 私はアクセルがA組の中心だと思うけど」

「うんうん、やっぱりアクセル君だよね。A組の中でも最強だし」

「……葉隠、今日は爆豪がいないからいいけど、爆豪がいる時にそういう事は言うなよ」

 

 葉隠の言葉に、そう返しておく。

 爆豪本人も、今の時点で俺に勝てないというのは知っているだろう。

 だが、それを知っていても……それでも、爆豪は俺に負けているというのを素直に認める事は出来ない。

 勿論それは決して悪い事ではない。

 爆豪の負けん気の強さは一種の才能であるのは間違いないし、本人も今はまだ俺に勝てないからという事で、自分を追い込む程に訓練を重ねている。

 何より、自分よりも下だと思っていたクラスの面々……特に俺の自主訓練に頻繁に参加している者達は、ぐんぐんその実力を伸ばしている。

 その為、爆豪もこのままでは不味いというのは理解したのだろう。

 何度か俺が行っている自主訓練に参加していたし。

 ……もっとも、緑谷と同様に謹慎の時は掃除やら反省文やらに忙しくそれどころではなかったし、そもそも謹慎なのだから寮から自由に出られる筈もない。

 いやまぁ、出ようと思えば出る事は出来るのだが、もし意味もなく謹慎中に寮から出ようものなら、それこそ相澤から余計に厳しい罰……具体的には停学といった扱いになったり、もしくはもっと軽くても寮での謹慎が伸びたりとか、そういう感じになってもおかしくはないと思う。

 爆豪もそれが分かっているので、大人しくしている訳だ。

 とはいえ、爆豪もその辺を理解した上で緑谷と喧嘩というか決闘をしたんだろうけど。

 

「うん、分かってる」

 

 葉隠も爆豪の怖さ……というか、凶暴さ? そういうのは1学期で十分に理解しているので、素直に俺の言葉に頷く。

 そんな風にやり取りをしていると、やがて相澤が姿を現す。

 すると学級委員長のヤオモモが注意するよりも前にそれぞれが自分の席に戻っていく。

 俺や三奈と話していた葉隠も、自分の席に向かう。

 

「じゃ、緑谷も戻ったところだし本格的にインターンの話をしようと思う」

 

 特に朝のHRといったことはせず、いきなり本題に入る相澤。

 もっとも、相澤にしてみればHRで特に知らせる内容がある訳でもない以上、すぐに授業に入るのは合理的という事なのだろう。

 ましてや、教室の前に3人……その中の1人は気配からねじれだと分かるが、とにかくそんな3人を待たせているのだから。

 

「入ってくれ」

 

 そう相澤が言うと、扉が開いて3人の男女が入ってくる。

 

『ああああああああっ!』

 

 その中の1人は俺にとっても……そしてクラスにいる多くの者達が見覚えのある、ねじれ。

 だからこそ、ねじれの姿を見た多くの者達が驚きの声を上げたのだろう。

 もう2人は男で、片方は……どう表現すればいいんだろうな。

 簡単、あるいはシンプルな顔の男と、根暗というかあまり話すようなタイプではないそんな男。

 

「インターンというのはどういう違いがあるのか、実際に経験している者から話して貰う。多忙な中、都合を合わせて来てくれたのだから、心して聞くように。現雄英生の中でもトップに君臨する3年生3名……通称、ビッグ3だ」

 

 そう相澤が紹介をするが、A組の多くが既にねじれについて知っていると気が付くと、訝しげな表情を浮かべ……だが、俺の顔を見るとすぐに納得した様子を見せる。

 どうやら相澤はねじれがA組の寮に来たのは知らなかったらしいが、俺の後見人的な立場の1人に龍子がいた事で、その龍子の事務所にインターンに行っているねじれと知り合いであっても、おかしくはないと、そのように思ったらしい。

 そんな中、ふと先程の驚きの声を発した者の中でも緑谷の声がかなり大きかったのに気が付いて緑谷の方を見てみると、教室の後ろの方……緑谷の席のある場所では、その緑谷が目を大きく見開いている。

 ……ただし、その視線の向かう先にいるのはねじれではなく、簡単な顔の男の方だった。

 あれ? もしかして緑谷はあの男について知ってるのか?

 別に緑谷の行動の全てを把握している訳でもないので、俺の知らないところでビッグ3に会っていてもおかしくはないのだが。

 学年は違うが、同じ雄英のヒーロー科だ。

 であれば、それとなく会うような機会があってもおかしくはないだろう。

 それにしても、ビッグ3か。

 俺がまだ雄英に入学する前、龍子の事務所に居候をしていた時に、ねじれからどうしても友人に勝てないという事で色々とアドバイスをしたり、修行を付けたりとかしたんだよな。

 その結果として、それなりに勝てるようになったらしい。

 で、その時の友人と一緒に3年に上がった事によって、ビッグ3と呼ばれるようになったって話だから、あの簡単な顔の方か、あるいは根暗な男の方のどちらかがねじれが勝てなかった相手なのだろう。

 

「あの人達が……的な人がいるとは聞いてたけど」

「びっぐすりー」

 

 耳郎が唖然とした様子で呟き、皆の方は舌っ足らずな声で言う。

 なお、峰田や上鳴はねじれと再会出来たことが嬉しかったらしく、狂喜乱舞していた。

 ……まぁ、ねじれは性格はともかく、外見は間違いなく美人と呼ぶに相応しいしな。

 その後、根暗な男……天喰環という男が自己紹介が出来ない程に人見知りだったり、ねじれが寮の時と同じく何人もに改めて色々と聞いたり、簡単な顔の男……通形ミリオという男が『ぜんとー……』と聞いてきて、それに『たなん』と誰も答える事が出来ずに掴みを外したりと色々とあったのだが……

 

「君達纏めて、俺と戦ってみよう!」

 

 そう、ミリオが言うのだった。

 

 

 

 

 

 ミリオ……名字の通形が言いにくいのなら名前で呼んでもいいという事だったのでミリオと呼ぶが、とにかくそのミリオの戦ってみようという事でやって来たのは体育館γ。

 林間合宿や神野区の一件が終わり、寮生活が始まってから仮免試験が始まるまで圧縮訓練を行った場所だ。

 TDLという、ちょっと問題になりそうな略称もあるが、ともあれ体育館γだ。

 軽い模擬戦という事で、ヒーローコスチュームではなく運動着を着ての模擬戦となる。

 準備運動をしているミリオは、なるほどビッグ3というだけの事はある。

 ちょっとした身体の動き、重心の位置とか、そういうのでも分かるくらいには身体を鍛えているし、保須市で見たその辺のヒーローと比べても、明らかに実力は上だろう。

 それこそ神野区の件で集まったプロヒーローの中にミリオがいても、違和感はないと思う。

 そういう意味では間違いなくビッグ3の1人ではあるが……言ってみればそれだけでしかないのも事実。

 

「そうそう、これからやる模擬戦だけど……アクセル・アルマーってのは君だよね」

 

 準備運動をしながら、ミリオが俺に視線を向けてくる。

 体育祭の映像とかを見れば、選手宣誓だったり、表彰式とかで俺の顔はすぐに分かる筈だ。

 あるはねじれから色々と聞いていたり、写真を見せて貰ったりしていたのかもしれないな。

 ともあれ、隠すべきではないので……少し、本当に少しだけムウ・ラ・フラガとか、イザーク・ジュールとか名乗ろうかと思ったが、止めておく。

 この場でそのような事を言っても全く意味はないし、そもそも周囲にいる他の面々は普通に俺の名前を知っているのだから。

 

「ああ、俺がアクセル・アルマーだ」

「なら、君だけは他の皆との模擬戦が終わった後で、1対1でやろうか。イレイザーヘッド、それでいいよね?」

「好きにしろ」

 

 ミリオの言葉に、面倒だといった様子を隠しもせずにそう告げる。

 俺だけが明らかに特別扱いされていたものの、A組の面々でそれに不満を言う者はいない。

 これまで俺がこれでもかと言わんばかりに実力を見せつけてきたので、その辺りも理由にあるのだろう。

 ……今日もまだ謹慎中の爆豪がいたりしたら、俺だけ特別扱いというのを許容出来ずに個性という意味ではなく爆発していた可能性もあったが。

 なお、そんな爆豪と同じクラスNo.2の轟は、爆豪程に突っ掛かったりとか、そういうのはしないので、特に騒動にならなかった。

 

「ミリオ、止めた方がいい。形式的にこういう具合でとても有意義ですと語るだけで十分だ」

 

 そう口にしたのは、天喰。

 何故か体育館γの壁に額を付けながら、少しでも自分に視線が向けられないようにといった感じで言う。

 

「アクセル・アルマーはともかく、それ以外の者達は皆が皆、上昇志向に満ちている訳じゃない。立ち直れない子が出てはいけない。つまり、他の者達とはともかくアクセル・アルマーとだけ戦えばいいんだ。それは分かっているだろう?」

 

 そう言う天喰の言葉に、当然のようにA組の生徒達が不満そうな表情を浮かべる。

 ……ねじれに角を弄られている三奈は、そっちに翻弄されていたりしたが。

 天喰の言葉に不満を持つのは仕方がないか。

 まがりなりにも、ここにいるのは1学期だけで本来なら体験しないような騒動を乗り越えてきた者達だ。

 原作主人公の緑谷と一緒のクラスなので、その辺は仕方がないが。

 B組はそういう意味では特にそこまで大きな騒動のなかった1学期と言ってもいいのだろうが、物間がA組に嫉妬するのはその辺の理由もあるんだろうな。

 そんな2人の会話を聞いて、真っ先にやる気になったのは緑谷だ。

 普段の緑谷ならこういう事をしないのだが、謹慎明けというのもあるのだろう。

 自分が寮にいて遅れた分を、少しでもどうにかしたいと……そのように思っての行動なのは間違いなかった。

 

「やる気になっているところ悪いが……俺の目の前で戦うつもりか? 俺に挑むというのに、自分の個性を俺に見せるというのは、俺との模擬戦の時に不利になるぞ?」

 

 そう、ミリオに言う。

 仮免試験の時に雄英の生徒が狙われたのを見れば分かるように、戦う相手の個性が明らかになっていないというのは、大きなアドバンテージだ。

 だというのに、ミリオは俺にその個性を見せるというのだから、自殺行為……とまではいかないが、それでも不利になるのは間違いなかった。

 だが、ミリオはそんな俺の言葉に笑みを浮かべて口を開く。

 

「俺の個性はちょっとやそっと見ただけでどうにかなるものじゃないさ。例え君が彼女を鍛えた人だとしてもね!」

 

 まさに元気一杯って感じだが、本人にしてみればどうやら本気で言ってるらしい。

 自信満々だな。

 いやまぁ、俺が具体的にどれくらいの実力を持っているのか分からないのだから、そういう風に思ってもおかしくないとは思うけど。

 とはいえ……それでも、俺にとってはそれはそれでやりやすいと思えるのも事実。

 向こうが油断をしてくれるのなら、それは俺の判断ではなく向こうの、ミリオの判断だしな。

 なので、俺はそれ以上は何も言わず……A組の面々との戦いを見る事にする。

 

「ん? 轟は参加しないのか?」

 

 緑谷を始めとする他の面々がやる気になっている中で、何故か轟は様子見をする俺の横に来る。

 それを疑問に思って聞いてみると……

 

「ああ。俺はまだ仮免を持ってねえからな」

 

 そう、返される。

 うーん、これはちょっと……というか、大分予想外?

 以前の、それこそ体育祭前の轟であれば、仮免がどうとか関係なく戦いに参加していただろう。

 それは成長か……あるいは牙が折れたのか。

 出来れば成長であって欲しいと思いながらも、俺はA組――ただしNo.1とNo.2抜き――の戦いを見物するのだった。

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