今の本編の話が一段落するのにもう1話必要な事が判明……
なので、明日も普通に更新して、番外編は明後日、1月2日からになります。
緑谷の持つOFAが浮遊の個性を使えるようになり、取りあえずということで結局オールマイトと相澤が寮まで来たのだが、相澤もオールマイトも頼りないながらも浮かんでいた緑谷を見て驚いていた。
……相澤はOFAとかについては殆ど知らないのだから、緑谷が浮かんでいるのを見て驚いてもおかしくないとは思うが、まさかオールマイトまで驚くとは思わなかった。
いや、寧ろオールマイトは相澤よりも驚いていた。
もしかして……本当にもしかしての話だが、オールマイトは浮遊の個性が使えなかったのか?
まぁ、緑谷が原作主人公であるという事を考えると、オールマイトには引き出せなかったOFAに秘められた力を引き出したとか、そういう可能性は十分にあるが。
つまりそれは、逆に言えばオールマイトはOFAの力を全て引き出さずに何十年も日本のNo.1ヒーローに君臨していた訳で、それはそれで素直に凄いと思う。
ともあれ、そうした騒動が終わって翌日……教室には爆豪の姿もあった。
「お、爆豪。今日から復帰か。仮免試験には落ちるし、謹慎になるし……散々だな、お前も。もっとも、仮免試験に落ちたのは爆豪の性格のせいだし、謹慎になったのは緑谷と喧嘩をしたのが原因だから、ある意味で自業自得ではあるけど」
「ああ? んだこら、てめえ、ヒモ野郎。ぶっ殺されてえのか」
若干煽るような内容になったのは間違いなかったが、それを聞いた爆豪は心の底から不満そうな様子で俺を睨み付けてくる。
うーん……まさにヴィランにしか見えないよな。
爆豪の性格を考えれば、こういう感じになるのは分からないでもなかったが。
「ほら、アクセルも爆豪も止めとけって。特に爆豪、お前は謹慎明けなんだから、また何か問題を起こしたりしたら不味いだろ」
切島が仲裁に入る。
……予想外だったのは、切島のその言葉を聞いた爆豪があっさりと退いた事だろう。
正直なところ、爆豪の性格を考えれば切島が仲裁に入ったからといってあっさり退くとは思っていなかった。
これは切島だから退いたのか、それともこれ以上問題を起こしたくないと思って退いたのか。
その辺りは俺にも分からなかったが、それでも爆豪が退いたというのは素直に凄いと思う。
実際、それを見た周囲にいた他の面々が『おお』と驚きの声を発していたくらいだし。
そんな面々に対しても、爆豪は睨み付けていたりしたが。
爆豪の登校によって、クラスが賑やかになった……そう思うのは、きっと俺だけじゃない筈だ。
性格は色々な意味でアレな爆豪だったが。それでもA組の中では中心人物の1人であるのは間違いないしな。
そんな風に思いながら、俺は相澤が来るまでの短い朝の時間を楽しむのだった。
「1年生のインターンですが、昨日協議した結果、校長を始め多くの先生が『やめとけ』との意見でした」
教室の中に響く相澤の言葉に、A組がざわめく。
当然だろう。昨日ビッグ3の面々まで呼んであれだけやったのに……それもミリオからインターンはやった方がいいと言われたにも関わらず、相澤のこの言葉だ。
「ざまぁっ!」
そして相澤の言葉に、心から嬉しそうな様子の爆豪。
爆豪にしてみれば、自分は仮免試験の講習があってインターンに参加出来ないからこその言葉だろう。
ましてや、爆豪は緑谷とオールマイトとOFAについて知ったのは間違いない。
だからこそ、本来なら講習をしている場合ではないと思ってはいるのだろう。
……もっとも、だからといってそれで講習が早く終わる訳じゃないし。
そもそもの話、しっかりと仮免試験に合格していればそういうのを気にする必要もなかった訳で……ある意味、自業自得だよな。
それに、これはメタ的な予想はあるが、もしインターンが実施された場合、原作主人公の緑谷が仮免試験に合格して初めての大きな出来事となる訳で、そう考えれば絶対にまた何かが起きるだろうし。
可能性として一番高いのは、やっぱりヴィラン連合の襲撃だろう。
とはいえ、そのヴィラン連合も……今の状況で動くのは難しいか?
AFOが実質的にヴィラン連合のスポンサーというか、黒幕というか、とにかくそんな感じだった訳だ。
だが、そのAFOは現在捕まってタルタロスにいる。
そうなると、シラタキ達もアジトやら食料やら何やらを、自分達でどうにかしなければならない訳で……それはつまり、襲撃している暇はないだろう。
あるいは……本当にあるいはの話だが、AFOが捕まってすぐに別のスポンサーを見つけたり出来れば話は別だが、ヴィラン連合を率いるシラタキに、そういうのはまず無理そうだしな。
そんな風に考えている間にも、相澤の話は進む。
他の教師達はインターンに反対したものの、それでも相澤やブラドキングは強行したらしい。
今の生徒達……寮を始めとして、雄英の保護下に置かれている状況では強いヒーローになれないというのが、その理由らしい。
実際、今の雄英の生徒達は寮が校舎のすぐ側にあるし、食事についても朝食と夕食はランチラッシュの料理を食べられる。
その気になれば、雄英の敷地内から一切出ずに生活をする事も可能な訳で……過剰なまでに保護されたままでは、温室育ちのヒーローにしかなれないというのは、間違いない。
そんな温室育ちが、実際にプロヒーローとして役に立つのかと言われれば、正直なところ微妙だろう。
そういう意味では、相澤やブラドキングの考えは間違っていない訳だ。
もっとも、だからといって相澤やブラドキングも無条件にインターンに行かせる訳にはいかないので、最終的には『インターン受け入れの実績が多い事務所に限り1年のインターンを許可する』という事になったらしい。
……それを聞いた爆豪が『クソがっ!』と吐き捨てていたのが強く印象的だった。
「ねぇ、ねぇ、アクセル。アクセルはインターンどうするの?」
休み時間、三奈がそう聞いてくる。
……というか、俺に限らず今日のA組はインターンの話題一色だ。
それはA組だけではなくB組も同様らしく、拳藤がLINで暴走しがちな物間を既に何度も鎮圧しているとあったくらいだ。
それだけ、ヒーロー科の生徒にとって、インターンというのは大きいのだろう。
「俺は……多分、リューキュウの事務所だろうな。職場体験で行ったし」
「おい、アクセル! なら、俺もいいよな! な? な?」
俺と三奈の会話に割り込んで来たのは、峰田。
まぁ、峰田は職場体験でも優……マウントレディのところに行っていたし、そう考えれば峰田の言いたい事も分からないではない。
職場体験が終わった時は、女怖いとか、そんな風に言っていたと思うんだが。
あるいは職場体験が終わってからある程度時間が経ったので、そのトラウマを克服した感じか?
……だからといって、またトラウマを刻まれるかもしれないのに、それに行くというのはどうかと思わないでもないが。
「ちょっと、峰田。私がアクセルと話してたのに……」
「後でアクセルは貸してやるから、今はオイラに譲ってくれよ。その桃色の巨乳で誘惑すればアクセルも一発なんだから。それとも先端は桃色じゃなくて目と同じで黒かったりするのか? それはそれでオイラには燃えるものがあるけど」
「サイテー!」
「ぐはっ!」
峰田の言葉に三奈は握り拳の一撃を放ち、席を立つ。
そうして葉隠や耳郎が話している方に向かう。
「おい、峰田。今のはちょっと……」
さすがにあそこまで露骨なセクハラはどうかと思う。
……もし副委員長の飯田が今の峰田の言葉を聞いていれば、まず間違いなく説教が始まっていた筈だ。
「あー……うん。まぁ、わざとだったけど、ここまで強烈な一撃を貰うとは思っていなかった」
峰田の様子を見ると、殴られた場所を撫でながら起き上がってくる。
うん、かなり露骨なセクハラだったよな。
とはいえ、峰田の言葉を聞く限りだとどうやら三奈を追い払うべく今のように言ったらしい。
素直に、ちょっと俺と話があるって言えばよかったのでは?
そう思ったが、峰田の様子を見る限りだとそれなりに真面目な話らしい。
「で? どうしたんだ?」
「俺もリューキュウの事務所にインターンに行かせて欲しいんだよ」
「マウントレディは?」
「……さっき電話で聞いたら、マウントレディはインターンを受けた経験がないから、駄目だって」
「ああ。なるほど」
優はプロヒーローとしてデビューしてから、まだ殆ど経っていないのか。
そういう意味では龍子もまた同じように新人の枠に入るものの、それでも優から先輩と慕われているようにある程度プロヒーローとしての経験はある。
また、インターンについてもねじれを受け入れているのを見れば分かるように、実績もきちんとある訳だ。
数年の違いだろう、その数年が大きかった訳か。
「それでリューキュウか」
「そうそう。顔見知りだけに、オイラも気楽だし。……本当は、プッシーキャッツのところってのも考えてたんだけどな」
残念そうに言う峰田だったが、それについてはなるほどと思う。
現在プッシーキャッツは、ラグドールの治療の為に一時的にヒーロー活動を休止している。
ビルボードチャートにおいてもトップ10に入る程ではないとはいえ、上位に位置するだけの人気と実力のあったプッシーキャッツだけに、峰田のように残念がっている者も多いだろう。
それにプッシーキャッツは4人全員がそれぞれ特徴的な個性を持っており、そこに峰田の個性が加われば、活動は今まで以上に幅広いものとなっていただろう。
まぁ……自分で言うのもなんだが、マンダレイとピクシーボブは俺にそれなりに好意を抱いているように見えるし。
……もっとも、マンダレイの場合は林間合宿で俺にテレパシーを使った時の一件であったり、ピクシーボブの場合は結婚願望的な意味で俺に好意を抱いているというが正しいと思う。
それにプッシーキャッツの面々も俺の正体については知ってるのも、その辺は関係してるのだろう。
ともあれ、プッシーキャッツが今回のインターンに絡んでくる事はないと思う。
あるいは、本当にあるいはの話だが、俺がどうしても頼めば、もしかしたらプッシーキャッツとして受け入れてくる可能性はあるかもしれないけど。
そのような事をするつもりは全くなかったが。
「プッシーキャッツは無理だろ」
「ああ、オイラもそう思う。だから、アクセルにはリューキュウにオイラの事を頼んで欲しいんだ」
峰田も本当にプッシーキャッツに頼めるとは思っていなかったのだろう。
龍子に頼んで欲しいと言ってくる。
それにしても……色々と女プロヒーローに遭遇する俺が言うような事じゃないが、意地でも男のプロヒーローじゃなくて女のプロヒーローの事務所にインターンで行く気だな。
峰田らしいと言えばらしいのだが。
実際、龍子はビルボードチャートにおいても上位……それもベスト10に入るのは確実だと言われている。
その理由は、個性がドラゴンに変身出来るというのもあるのだが、それと同じか、あるいはそれ以上に龍子の美貌が大きな実力を発揮していると言ってもいい。
優がその美貌によって人気を得て、ビルボードチャートでもかなりの上位に食い込んでいるのを見れば、龍子もまたそちら方面の人気が高いのは間違いなかった。
峰田が龍子の事務所にインターンに行きたいというのは、その辺も大きな理由なのだろう。
……それに龍子だと、優の時のように女性恐怖症状態にならなくてすむだろうし。
いやまぁ、結局のところ一体何で以前峰田が女性恐怖症になっていたのか、その辺りの詳細な理由は分からないから、本当に龍子に接して峰田が女性恐怖症にならないかどうかは、分からないが。
あるいは峰田に一体どうしてそうなったのかといったことを聞けば、もしかしたら話してくれるかもしれない。
だが、それで俺にとっては微妙に聞きたくなかったりするので、その辺については聞いていないし、これからも聞こうとは思えない。
「龍子にか。まぁ、それくらいなら構わないけど……」
「ちょっと待ったぁ!」
「……おう?」
俺の言葉に、先程葉隠や耳郎と話していた三奈がいつのまにかこっちにやってきて、そう声を掛けてくる。
俺が峰田と話している間に、どうやら話の内容が気になってこうして来たらしい。
……いや、耳郎のイヤホンが動いているのを見ると、もしかしたら最初からあれで話を聞いていたのかもしれないな。
「リューキュウの事務所に行けるのなら、私達だって行きたい! 峰田ばっかりずるいでしょ!」
「そうだそうだ。私達だってアクセル君と一緒にインターンをやりたいのに、ずるいよ」
「ちょっ、私達ってウチも入っている? いや、それは絶対にとは言わないけど……でも……」
三奈、葉隠、耳郎がそれぞれにそう言ってくる。
まぁ……うん。だよな。インターン先が限られている現状で、インターンを受け入れ可能な事務所、それもビルボードチャートで上位に入るヒーローの事務所となれば、こうして希望するのは間違いないだろうと思いながらも、これからどうしたものかと、そう思うのだった。