転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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番外編232話 聖刻群龍伝編 25話

 玉座に座っていた操兵の操手漕から下りてきたデュマシオンの話によると、どうやら操手漕の中で龍の王……既に死んだ筈の人物と会っていたらしい。

 もっとも、それは魂とかそういうのらしいが。

 一体どうやってそういう事をとなると、それこそ龍の王がデュマシオンの身体を乗っ取ってこの世界に蘇る為だったらしい。

 それを何故かデュマシオンの精神世界……と言っていいのかどうかは分からないが、とにかくアーシェラがその中に入り、デュマシオンと共に龍の王を倒した? 追い払った? ともあれそんな訳でデュマシオンは龍の王に乗っ取られるようなこともなく、今もこうして本人のままらしい。

 そして今は、翡翠を中心にその関係者……具体的にはここにいた俺とヘルガとプール三兄弟以外の者達が集まって何やら話をしている。

 琥珀からは、これが翡翠の生涯最後の行動だからという事で、俺はヘルガとプール三兄弟と共にそれを見ている訳だ。

 

「つまり、アクセルとはここでお別れか」

「そうなるな。翡翠からの頼み……ってだけじゃないと思うが、龍の器であるデュマシオンは、恐らくこれから先も間違いなく騒動の中心にいると思う。そうなると、俺としてはデュマシオンと一緒にいた方がいいだろうし。……もっとも、それもいつまでになるのかは分からないが」

 

 翡翠にも言ったが、俺とデュマシオンの相性は決して良くない。

 寧ろ相性的には最悪……とまではいかないが、悪いのは間違いないだろう。

 そんな俺がデュマシオンと一緒に行動すれば、恐らくはデュマシオンと何度もぶつかる。

 その結果として、俺とデュマシオンが喧嘩別れする可能性は十分にあった。

 また……ルーラン達は聞こえていなかったが、翡翠が治療をしていたアーシェラは元練法師で、その時の名前……仮名と呼ぶらしいが、それが紅玉という名前で、ヘルガとも因縁浅からぬ関係だったらというのもある。

 ヘルガにしてみれば、間者というのは基本的に練法師の手足となって動く存在……言ってみれば道具のようなものだ。

 練法師、それも練法師の中では上澄み中の上澄みだった紅玉が、まさか間者になっているのはヘルガにとっても予想外だったらしい。

 それを言うのなら、ヘルガもまた練法師から俺の使い魔になっているのだからどっちもどっちだと思うが。

 ヘルガにしてみれば、使い魔と間者では使い魔の方がマシらしい。

 アーシェラのように練法師の法、つまり枷を解除する為には一度死ぬしかなく、それを翡翠の練法で……それでも文字通りの意味で命を消費するかのような高難易度の練法で蘇らせるよりは、俺の魔力によって練法師の枷を消し去る方がいいのは間違いない。

 そういう意味では、ヘルガの考えもまた間違っていないのだろう。

 ……問題なのは、やっぱりヘルガとアーシェラが上手くやれるかどうかといったところか。

 

「もしデュマシオンと喧嘩別れするような事があったら、こっちに合流してもいいぞ。お前には色々と聞きたい事もあるしな。……異なる世界とか」

 

 あ、やっぱり翡翠の言葉はルーランにも聞こえていたらしい。

 シュルティ古操兵の探索を続ける、知的好奇心が旺盛なルーランにしてみれば、異世界というのは当然ながら気になるところだろう。

 

「いつか……そう、いつか話せたら話すよ」

「そうか」

 

 意外な事に、ルーランはそれ以上俺に異世界について聞いてくるようなことはなかった。

 まぁ、俺にしてみればそれは助かるからいいんだが。

 

「そっちに合流するにしても、お前達はこれからどうするんだ?」

「さてな。取りあえずこの奇岩島でシュルティ古操兵については大体知る事が出来た。人馬操兵についても……俺の物にはならなかったが、それでもその実物を見る事が出来た。素体だがな。後は、この奇岩島の探索に協力した謝礼として、ここにある操兵を貰って……それでも研究するか」

 

 なるほど、シュルティ古操兵を入手出来る機会があるのなら、ルーランがその機会を逃す筈もないか。

 俺もそれは同様だが……そうなると、問題なのは一体どの操兵を貰うのかといった事になるだろう。

 普通に考えれば、墓守として出て来た大量にある操兵よりも、軽量級狩猟機と重量級狩猟機に当たる操兵と、中量級狩猟機であっても明らかにソレイヤードと格の違う操兵があるので、それを欲するというのもあるだろうが……原作的な流れを考えれば、これらの特別な操兵についてはデュマシオンの仲間になった奴が使うだろう。

 操兵闘技大会で一緒に戦ったサイガ党のアグライアなんかは重量級狩猟機に乗っているので、恐らくそちらはアグライアが使うようになる筈だ。

 そうなると、中量級狩猟機は普通に考えればデュマシオンの最側近にして、操兵闘技大会の個人戦2連覇のローエン辺りか。

 そうなると軽量級狩猟機だが……まぁ、こちらも恐らくはデュマシオンの仲間にいる筈だ。

 そうなれば、やっぱりソレイヤードの同型機か?

 実際、墓守として俺達の前に立ちはだかったソレイヤードはかなりの動きをしていた。

 普通なら操手が保たないような動きではあったが、墓守の操兵には誰も乗っていなかった。

 そして俺は混沌精霊なので、Gとかそういうのを全く気にする必要もない。

 だからこそ、ソレイヤードの同型機が望ましい。

 ……もっと言えば、シュルティ古操兵は基本的に現在の工呪会の操兵の部品が使えないところとかも多いだろうし。

 人馬操兵の方は全面的に工呪会のバックアップがあるから多少の部品なら手作りしてくれるだろうが、ソレイヤード型はそうもいかない。

 いやまぁ、そっちも工呪会に見せて人馬操兵と同じようにするという方法もあるけど……ただ、この奇岩島でも巨人の足跡が襲ってきたのを思うと、本当に工呪会を信用してもいいのか? と思わないでもない。

 その辺については、奇岩島の件が終わった後でイザークやサイクスに聞けばいいだろう。

 もっともイザークはともかくサイクスは操兵馬鹿や操兵オタクとでも呼ぶべき存在なので、その辺りについては全く分からない可能性もあるが。

 

「そうか。まぁ、俺に何か用事があるのなら、デュマシオンを探して……ん? どうやら向こうの話も終わったようだな」

 

 翡翠を中心に集まっていた者達のうち、かなりの者達が泣いているのを見て、翡翠が死んだのだろうと認識する。

 個人的には、翡翠はシュルティ古操兵や龍の王について色々と詳しいようだったから、出来れば生きたままこっちの協力者になって欲しかったが。

 もっとも、練法師である以上は法という枷があり、そうなると迂闊に話も出来なかっただろうが。

 あるいはヘルガと同じく俺の魔力によってその辺をどうにかするといった手段もあるが……翡翠は見るからに老人で、ヘルガのように俺の魔力に耐えられるとは思わない。

 そう考えれば、この結果は仕方のないものだったのだろう。

 

「少しいいだろか? 翡翠から聞いたが、アクセルは俺と共に来てくれるという話だったが……本当か?」

 

 翡翠の死を悲しみながらも、デュマシオンは俺に近付いてそう聞いてくる。

 そんなデュマシオンの側にいるのはルチャだけだ。

 アーシェラは翡翠の死に悲しんでいる。

 まぁ、この場にいる者達ならデュマシオンに危害を加えないというのを理解しているからだろう。

 

「ああ、翡翠の命懸けの頼みによってな。……ただし、何があってもお前に絶対服従といった事をする訳じゃない。あくまでも俺はお前の部下じゃなくて協力者だ。場合によってはあっさりと離れるような事もあるから、それは理解しておけ」

 

 その言葉に、デュマシオンはどう反応していいのか分からないような、そんな表情を見せる。

 デュマシオンにしてみれば、俺という存在をどのように扱えばいいのか分からないといったところか。

 個人的にはただの傭兵として扱ってくれれば、それで十分だ。

 だが、こうして俺に直接会いに来た事からも、翡翠から俺に話をするようにと言われたからなのは間違いない。

 であれば、デュマシオンも俺をただの傭兵として扱うのは不味いと、そう思ったのかもしれない。

 

「まぁ、俺の件はともかくとしてだ。ルーラン達にここまで協力した報酬を支払う必要があるんじゃないか?」

 

 そう言う俺の言葉に、マウが待ってましたといった具合に笑みを浮かべて口を開く。

 

「俺はあの軽量級狩猟機だな。……文句はねえよな?」

 

 血塗れマウの異名に相応しい、断ったら思い知らせてやるといった視線をデュマシオンに向ける。

 デュマシオンもそんなマウの言葉に異論はないらしく、即座に頷いた。

 そうしてリロイは重量級狩猟機、ルーランは中量級狩猟機となり……そして、俺の番となる。

 

「それで、アクセルはどうするんだ?」

「欲を言えば、デュマシオンが乗った、玉座に座った操兵……と言いたいところなんだがな」

「それはさすがに困る」

 

 俺の言葉に、デュマシオンは即座にそう言ってくる。

 デュマシオンの言葉を聞いても、俺はだろうなと納得するだけだ。

 あの、いかにも迫力のある……力のある操兵に興味がないと言えば嘘になる。

 だが同時に、原作の流れを考えれば、あの操兵がデュマシオンの乗機になるのは間違いない。

 あれが欲しいというのも、駄目元で言っただけだし。

 それこそ、もしデュマシオンがあの操兵を俺にやると言えば、俺の方から断っていただろう。

 

「なら、ソレイヤードの同型機でいい。大量にあるし、それなら1機くらいは構わないだろう?」

「え? それで……いいのか? その、プール三兄弟に渡したのと同じ、特別な操兵でもいいんだが」

「兄ちゃん、何でわざわざそんな風に自分の損になるような事を言うかなぁ……」

 

 デュマシオンの言葉に、近くで聞いていたルチャが呆れたように言う。

 それを聞いたフィーンは何故か自慢げな表情を浮かべていたが。

 実際、ルーラン達が貰う事になった明らかに特別な操兵について興味がないと言えば嘘になる。

 だが……その代わりという訳ではないが……

 

「ああ、それでいい。ただ、俺にはあのソレイヤードを1機と、墓守とか名乗っていた奴の操兵も欲しい」

「え? ……いや、それはいいけど……あれは、アクセルが破壊しただろう?」

 

 まさか墓守の操兵を欲するとは思っていなかったのか、デュマシオンは驚きと共にそう言ってくる。

 実際、マイルフィーが使うには難しいビームマシンガンを使って倒した墓守の機体は、損傷がかなり厳しい。

 修理して使うというのはまず不可能ではあるだろうが……

 

「部品取り用としては使えるだろ? それに、工呪会で色々と調べるにしても、数は多い方がいいだろうし」

 

 この王墓に眠っている操兵は、どれもが明らかに普通とは違う。

 工呪会製の操兵と比べても、高性能なのは明らかだ。

 だが、それでも長い間ここに眠っていたのは間違いなく、このまま即座に使えるかと言えば、それは否だ。

 操兵鍛冶師によってしっかりと整備をして貰う必要はあるだろう。

 そうなれば、当然ながら工呪会も出張ってくるのは間違いなかった。

 工呪会が古操兵……それもシュルティ古操兵に強い興味を抱いているのは間違いないのだから。

 

「アクセルがそれでいいのなら、それで構わない。そうなると、次に必要なのはここにある操兵を持ち出す方法だが……」

「それについては私にお任せを」

 

 そう口にしたのは、ガルセラン。

 デュマシオン達をこの奇岩島まで連れてきた人物だ。

 

「……分かった。では、貴方に頼もう」

 

 デュマシオンは、あっさりとガルセランに任せる。

 個人的には、ルーランが雇った者達よりも腕の劣るガルセランで、奇岩島にあるシュルティ古操兵を全部運べるのか? と思わないでもなかったが、デュマシオンがそのように言うのであれば、原作的な流れを考えても任せるべきなのだろう。

 その件について俺は何も言わない。

 ……空間倉庫に収納出来ればその辺は問題なかったりするのだが、人馬操兵の素体が空間倉庫に収納出来なかったことを思えば、恐らくシュルティ古操兵を空間倉庫に収納する事は不可能だろうし。

 オルフェンズ世界のMAのハシュマルですら空間倉庫に収納出来た事を考えれば、一体何がどうなってそうなったのか……本当に分からない。

 分からないが、そういうものだと……MAのハシュマルよりも生物に近い存在であると、そのように思った方がいいのだろう。

 であれば、ここで俺が空間倉庫を使ったりせず、素直に原作通りの流れとしてガルセランに任せた方がいいのは間違いなかった。

 その後、翡翠の死体とかの件であったり、デュマシオンに仕える事になった至高の宝珠の諸々についても簡単に打ち合わせ――俺はデュマシオンの協力者となったが、それでも部外者という事で詳細については聞かされなかったが――をした後で、奇岩島から立ち去ることになったのだった。

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