転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4709話

「まず第一に言っておきたいのは、インターンというのは以前行われた職場体験とは違うという事よ」

 

 屋上での模擬戦が終わり、事務所に戻ってきた俺達は龍子からインターンについて聞いていた。

 ……なお、そうして説明する龍子の隣には優がいて、腕を組んで龍子の言葉に同意するように頷いていたが……お前、一応後輩なんだろうに、それでいいのか?

 ちなみに胸の下で手を組んでいる影響で、優の平均よりも大きな胸が強調され、瀬呂が龍子の話を聞きながらもそちらに視線を向けないように必死に堪えている。

 まぁ、うん。高校生の男に年上の美人なお姉さんが胸を強調するような仕草を見せつけているのだから、それを気にするなという方が無理だろう。

 不幸中の幸いなのは、優がそんな瀬呂の様子に気が付いていない事だろう。

 武士の情けという訳でもないが、その辺については俺も触れないでおこう。

 

「つまり、職場体験の時とは違って、サイドキックとして扱われると?」

「そうね。その認識でいいわ」

 

 よく出来ましたといった感じで、龍子は答えた拳藤に笑みを向ける。

 

「職場体験とインターンで大きな違いは、実質的なサイドキックとして扱われるかどうかという事ね。職場体験の時は個性を使う際にはプロヒーローの許可が必要だったけど、インターンではもう仮免を持っているので独自の判断で個性を使えるわ。……もっとも、それはあくまでも制度的なものだから、実際には私や優、あるいはねじれの許可を貰ってから使った方がいいと思うけど。……アクセルは別としてね」

 

 そう言い、龍子は俺を見てくる。

 いや、何故そこで俺だけを名指しする?

 そうも思ったが……まぁ、うん。俺が色々な意味で特別なのは、龍子や優はこれ以上ない程に知っている。

 離れた場所で事務員と話しながら何かの書類を書いているねじれも、龍子達程ではないが、俺の事情を知っているしな。

 それに……個性を使うのに許可がいらないというのは、何気に大きい。

 何しろ職場体験の時は、ステインと戦っていた緑谷達は個性の使用許可を貰わないで個性を使っていたしな。

 その結果、ステインを倒した件は俺の手柄となってしまった訳だ。

 ……いやまぁ、俺がステインを倒した時の映像がネットにアップされたのも影響しているだろうが。

 龍子が俺を特別扱いしているのは、その辺の理由もあるのだろう。

 

「それと……プロヒーローとしての仕事は見回りをしたりヴィランを捕らえたりといったこと以外にも、書類仕事も多いわよ。……そうよね、優?」

「うぐ……そ、それは……はい」

 

 龍子の言葉に優は言葉に詰まるものの、それでも何とか言ってくる。

 優とはそれなりの付き合いがあるが、書類仕事が苦手だというのは知っている。

 一応優の事務所にも書類仕事をする為の事務員がいるらしいが、プロヒーローである以上は他人任せに出来ず、自分で書かないといけない書類というのもある。

 優が苦手にしているのは、その辺なのだろう。

 よくそれで今までプロヒーローとしてやってこれたなと、そう思わないでもなかったが。

 

「書類仕事……」

 

 龍子と優のやり取りを見て、葉隠がそう呟く。

 葉隠はテストの順位でも決して上位という訳ではないし、勉強もそこまで得意な訳でもないので、書類仕事はやはり気が進まないのだろう。

 逆にB組のクラス委員長の拳藤や、テストの成績もそれなりに良い瀬呂は、書類仕事と聞いても若干面倒そうな様子は見せているものの、葉隠程に嫌がってはいない。

 俺の場合は……まぁ、うん。こうして仮免に合格してインターンに参加はしているものの、別にこのヒロアカ世界でプロヒーローとしてやっていくつもりはないし。

 ぶっちゃけ、仮免がある時点で独自の判断――基本的に緊急時――には個性を使っても問題がなかったりするので、そういう意味ではプロヒーローになるつもりはない。

 それに……もし本当に俺がプロヒーローとして活動するのなら、公安には色々と貸しがあるので、例外的にプロヒーローとして活動出来るように本試験を合格したという風に出来たりもする筈だし。

 ともあれ、その後も龍子から色々と説明を聞き……

 

「さて、それじゃあまずはパトロールから行ってみましょうか」

 

 そう龍子が指示を出し、パトロールに向かう事になるのだった。

 

 

 

 

 

「アークエネミー! 一緒に写真を撮ってもいいですか?」

「ああ、構わないぞ」

 

 パトロールを始めてから少しすると、写真を一緒に撮りたいという者がやってくる。

 プロヒーローというのは警備会社的な感じの仕事ではあるが、それ以上にこの世界における象徴でもあり、だからこそ人気商売でもある。

 ……実際、プロヒーローの中には自分のグッズを売ってかなり儲けている者もいるらしいし。

 オールマイトなんかは、一体グッズの収入がどれくらいになるのやら。

 もっとも、その割にはオールマイトは金持ちには見えない。

 仕事に関係する支払いが多いのか、あるいは寄付してるのか。……何となく、本当に何となくだが、後者のような気がするな。

 そんな風に思いつつ、何だかんだと俺も有名になったなと思う。

 体育祭の件もあるし、何よりステインの件が大きい。

 神野区は……まぁ、アークエネミーじゃなくて、シャドウミラーのアクセル・アルマーとして動いたので、あれを俺だと知ってる者は多くないが。

 ちょっとしたミスで、ヤオモモに知られてしまったが。

 

「リューキュウ、サイン! サインをお願い!」

「ねぇ、バトルフィストって以前CMに出てたよね!?」

 

 当然のように、ファンサービスを求められるのは俺だけではない、

 プロヒーローとしては屈指の人気を持つ龍子だけに、多くの者がサインを求めているし、拳藤は以前ヤオモモと一緒にCMに出たのを知っている者も多いので、こちらもサインを求められたり、一緒に写真をと迫られてたりしていた。

 

「どーんまい」

 

 そして瀬呂は……うん。まぁ、ドンマイコールによって落ち込んでいたが。

 葉隠の場合はサインを欲しがられたりはしていなかったが、透明という個性が珍しいのか、何人もから声を掛けられていた。

 また、ねじれも当然のように多くの者達からサインや写真を求められ……

 そんな中で、特に凄かったのは……

 

「キタコレ」

「キタコレ」

「キタコレ」

「キタコレ」

「キタコレ」

「キタコレ」

「キタコレ」

「キタコレ」

「キタコレ」

「キタコレ」

「キタコレ」

「キタコレ」

「キタコレ」

 

 そんな風に言いながら、優の写真を撮っている者達だった。

 俺も優とはそれなりに付き合いがあるので、この連中が何なのかは知っている。

 通称、キタコレ族。

 言ってみれば優のファンだな。

 そんなキタコレ族の前で、優は色々なポーズを取っている。

 まるで写真撮影会だな。

 そんな風に思いながらも、サインや写真を求めるファン達に応えていると、やがてファン達も満足したのか離れていく。

 ……未だに優は写真撮影を続けているが。

 今はどこに持っていたのか、それともキタコレ族が持ってきたのか、その辺は分からないものの、ソースを手にしてポーズを取っていた。

 あのソースは、以前優がCMをやったソースだな。

 ソースどこよ、ソース! というのが、ネットではかなり人気になった。

 とはいえ、優は一体どこを目指しているのやら。

 

「アクセル、マウントレディを止めてきてちょうだい。このままだとパトロールにならないわ」

 

 龍子がキタコレ族に写真撮影されている優を見ながら、そう言ってくる。

 

「不思議だね、不思議だね、マウントレディとパトロールしていたら、何故かいつもこうなるんだよ」

 

 ねじれがポーズを……ソースを口に咥え、いわゆる女豹のポーズを取っている優を見て、そんな風に言う。

 いや……何でソース?

 優の女らしい身体で女豹のポーズというのは分かる。

 だが、そこでソースを咥えるというのはどうなんだよ?

 ……もっとも、キタコレ族にしてみればそれでも十分に問題ないと判断したのか、全員が必死になって写真を撮っていたが。

 

「マウントレディ、そろそろパトロールを再開するってよ。写真撮影はその辺にしておけ」

「あら、もう終わりなの? じゃあ、残念だけど」

 

 そう優が言うと、キタコレ族の面々は素直に従い、写真撮影を止める。

 この辺の統率力はそれなりに凄いな。

 こういう時はもう終わりだと言っても、もう少し……もう少しと、そんな風に思う者も多い。

 だが、このキタコレ族は特にそういう事はせず、素直に写真撮影を止めたのだ。

 ……もっとも、キタコレ族の中には俺に嫉妬の視線を向けてくる者達もいたが。

 キタコレ族にしてみれば、優に気軽に声を掛ける事が出来る俺という存在が面白くないのだろう。

 あれだ、あれ。

 アイドルとか声優とかそういうの、恋人ではないにしろ近い関係の男がいれば、我慢出来ない奴。

 峰田から聞いたが……えっと、ユニコーンだったか? そんな感じの連中。

 もっとも、だからといってここで俺に突っ掛かってくるような奴はいないが。

 もしそうなれば、最悪出禁――この場合どこに出禁なのかは微妙だが――になってもおかしくはないというのを理解している為だろう。

 ともあれ、結局何もないままパトロールが続けられる。

 

「てっきりもっとこう……アクセルが一緒なんだから、何かがあったらすぐにでもヴィランの巻き起こした騒動に遭遇するかと思ったけど、違うんだな」

 

 パトロールをしながら、瀬呂がそう言ってくる。

 ちなみに拳藤と葉隠の2人は、現在ねじれによって色々と……本当に色々と質問されている最中だった。

 まぁ、そのうち慣れるか、ねじれが飽きるから頑張ってくれ。

 瀬呂が俺の隣にやってきたのは、あるいはねじれに質問責めにされるのが嫌だったからというのもあるかもしれないな。

 

「あのな、俺をトラブルほいほいのように言うなよ」

 

 そう返すも、俺は自分がトラブル誘引体質であるというのは理解している為に心の底から反論するのは難しいが。

 ただ、このヒロアカ世界においては……やっぱりトラブルに遭遇するのは原作主人公の緑谷だと思うんだけどな。

 ちなみにその緑谷は、職場体験の時に行ったグラントリノの事務所ではなく、元オールマイトのサイドキックだったというサー・ナイトアイの事務所にインターンに行ってるらしい。

 ちなみにその事務所はビッグ3の代表的な存在であるミリオがインターンで行ってる場所でもあり、そういう意味では俺達と待遇は変わらないんだよな。

 ビッグ3の残りもう1人のところには、確か切島が行ってたような気がしないでもない。

 

「この場合、トラブルを起こすのなら緑谷だと思うぞ? あいつも俺に負けず劣らずトラブル誘引体質だし」

「……それ、アクセルが自分でトラブル誘引体質だって認めてないか?」

「う……」

 

 瀬呂の突っ込みに、言われてみればそうかもしれないと思う。

 とはいえ、その辺りについては気にしない事にして、話を続ける。

 

「それに……A組の問題児2人、爆豪と峰田を忘れたわけじゃないだろう? あの2人なら、それこそ一体どういう騒動を起こしているのやら。ああいう連中に比べると、俺はそこまで問題はないと思うぞ」

 

 これは大袈裟でも何でもなく、俺の正直な気持ちだ。

 何しろ爆豪の態度は誰にでも喧嘩を売ってるようなものだし、峰田の場合はセクハラの常習犯だ。

 この2人に比べれば、俺はまだまともだろう。

 ……ちなみにこの2人のどちらの方がより問題かとなると、これはやはり爆豪だろう。

 峰田はセクハラの常習犯だが、言ってみればそれは女に……それも女という意味で興味を持つような相手だけに限られる。

 つまり、壊理のような小さな子供や、あるいはリカバリーガールのような老婆は、峰田にとって安全……安全……本当にそうか?

 いや、リカバリーガールはともかく、壊理の場合は峰田がロリコンでないとは断言できない訳で……峰田と壊理は出来るだけ会わせない方がいいのかもしれないな。

 そんな風に思いつつ、俺は瀬呂と話をしながら進む。

 

「ほら、パトロールなんだからあまり話に集中しないで、何かおかしいところがあったらすぐに教えるのよ」

 

 龍子にそんな風に注意されながら、パトロールを続ける。

 とはいえ、この辺は龍子の事務所のパトロール範囲内だ。

 そうである以上、ここで大きな騒動を起こしたりといったようなことをするヴィランなんかいない……そう思ったのだが、あるいはそれがフラグだったのだろう。

 

「うおおおっ!」

「おどりゃあああっ!」

 

 遠くの方からそんな風に声が聞こえてくる。

 一体何があった?

 そう疑問に思ったものの……今のこの状況で、俺達がやるべきこととなると、それは本当に限られている訳で……

 

「皆、行くわよ!」

 

 龍子の言葉に、俺を含めてその場にいた全員が即座に行動を起こすのだった。

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