転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4712話

 ヤオモモと話をした日の夜、俺の姿はホワイトスターにある家にあった。

 ランチラッシュの夕食を食べ、風呂やら何やらを終えると、そのまま部屋に戻り、影のゲートを使って雄英に設置してあるゲートまで移動し、ホワイトスターに戻ってきたのだ。

 風呂上がりに今日は眠いので早めに寝ると他の連中に言っておいたから、よほどの事でもない限り、俺の部屋に来る奴はいないだろう。

 隣の部屋の砂藤も部屋が静かだと俺が眠っているという風に思うだろうし。

 もっとも、砂藤が気配を察知出来るようになったりしたら、また話は別なのだが……幸か不幸か、今のところ砂藤にその手の技術はない。

 そんな訳で、こうしてホワイトスターの家に戻ってきた俺は……

 

「うーん、ネギ焼きは美味いな。特にこの牛スジがいい味を出している」

 

 何故かお好み焼きパーティをやっていたので、そこに参加していた。

 ヒロアカ世界でランチラッシュの夕食を食べてきたのだが、俺の場合は食べた料理は体内で即座に分解され、魔力として吸収される。

 その為、理論上は腹一杯になるという事はない訳で、ランチラッシュの夕食の後でもこうして普通にお好み焼きを食べる事が出来ていたのだ。

 

「それで、ルリ、ラピス……どうだ? 映像データの方は……」

「もう終わりました」

「終わった」

「……えっと、終わった?」

 

 ルリ、ラピス、壊理の順番にそれぞれ言ってくる。

 何だかんだと、壊理もホワイトスターでの生活に慣れた為か、今は楽しそうだ。

 ルリやラピス……特に今までルリの妹として行動してきたラピスにしてみれば、妹が出来て姉として振る舞うことが新鮮だったのだろう。

 壊理がこの家に来て、初めて会った時からラピスは壊理を可愛がっていた。

 また、ルリもまたもう1人の妹である壊理を可愛がっている。

 そんな3姉妹のやり取りは、微笑ましい気分にさせるには十分だった。

 ……もっとも、ルリやラピスに頼んだ内容を考えれば、その辺りはあまり壊理に知られない方が良いわけで……ルリやラピスも具体的に何をどうやったのかといったことは、壊理に知らせてはいなかったが。

 

「はい。ゲートを通じてネットに侵入し、映像データを改竄しました。アクセルさんが映っている映像データを消すよりも、改竄して映像データそのものは残しておいた方がいいと思ったので」

「……まぁ、言われてみればそうか」

 

 映像データが削除されているのと、改竄……具体的にどういう風に改竄されたのかは分からないが、とにかく映像データが残っているのと消えているののどちらが安心かと言えば、やはり映像データが残っている方だろう。

 問題なのはその映像データが改竄されていると見破られないかどうかだが……その辺については、ルリとラピスであれば問題ないだろう。

 心配なのは、何かそういう個性を持ってる奴がいないかどうかだが……まぁ、それでもピンポイントでルリやラピスが改竄した映像データを見つけるとはちょっと思えないし。

 なので、その辺の心配は多分いらないと思う。

 ヒロアカ世界の厄介なところは、それこそ個性という特殊能力の幅が広いところだよな。

 それこそ、場合によってはゲートを使わずに異世界に行ける個性とか、そういうのがあってもおかしくないんだよな。

 ……もしそういう個性の持ち主がいたら、即座に、何があってもシャドウミラーにスカウトするけど。

 

「それと……壊理、ちょっとデザートの様子を見てきてくれますか? そろそろプリンが出来ていてもおかしくはありませんから」

「はーい!」

 

 ルリの言葉に元気よく返事をし、壊理が冷蔵庫の方に向かう。

 何だ? 何だか意図的に壊理をこの場からいなくさせたようにも見えたけど。

 そう思っていると、ルリがこちらに真剣な視線を向けて、口を開く。

 

「ついでなので、死穢八斎會の情報を集めたり、あるいは死穢八斎會と関係のある組織のデータにハッキングして色々と弄りました」

 

 ルリの言葉に驚きつつも、ルリなら……いや、それに更にプラスしラピスもいるとなれば、そのくらいは容易に出来るだろう。

 それどころか、ルリやラピスは壊理がどのような事をされたのかを知っている。

 そうである以上、それを行った死穢八斎會に容赦などする筈がない。

 ……具体的にどのくらいの被害を死穢八斎會に与えたのか、聞くのが怖いような、それともしっかりと聞いてみたいような……そんな気持ちになる。

 

「それで、何か重要そうな情報はあったのか?」

「何らかの取引を行っていたようなものはありましたが、ここ最近ではその取引も急速に少なくなってるようです」

「急速に少なく?」

 

 一体何がどうなってそうなったのかは、生憎と俺には分からない。

 分からないが、それでも死穢八斎會の取引が少なくなっているという事は、何か不味い事でもあったのは間違いないだろう。

 具体的にそれがどのようなものなのかというのは、生憎と俺にも分からないが。

 

「他には?」

「死穢八斎會のフロント企業やペーパーカンパニーについての書類があったので、それを警察や公安に送っておきました」

「それはまた……」

 

 元々、暴力団というのは決して金儲けがしやすかった訳ではない。

 昔はそうでもなかったのだろうが、法律で色々と規制され、それこそ暴力団の関係者は家を借りたりするのも難しいし、スマホの契約とかそういうのも無理になっていると聞いている。

 ……まぁ、抜け穴とかは色々とあるんだろうが。

 ともあれ、金を稼ぐ件についても例えばみかじめ料とかそういうのをやれば、すぐにでもプロヒーローが飛んでくるだろう。

 プロヒーローにしてみれば、報酬は歩合制なのだ。

 であれば、少しでも自分達が行動する必要があり、みかじめ料……あるいはそれ以外にも色々と理由を付けて金を貰おうとする暴力団というのは、いい稼ぎの存在でしかない。

 個人的には暴力団にそういう事をすれば、それこそ報復されたりしてもおかしくはないと思うのだが、元々暴力団は絶滅危惧種的な存在になっている事もあってか、その辺は今のところ特に問題はないのだろう。

 ともあれ、そんな訳で暴力団がプロヒーローに怯えることなく金を稼ぐには、それこそ暴力団とは関係のないところで金を稼ぐ必要があり、それがいわゆるフロント企業という奴だ。

 ペーパーカンパニーの方は……まぁ、色々と使い道があるのだろう。

 そんなフロント企業やペーパーカンパニーについての情報を警察や公安に流されたとなると、死穢八斎會にしてみればかなりの不利益だろう。

 

「壊理にしてきた事に対する報いとして考えれば、まだまだ甘いと思いますけどね」

 

 ルリの言葉に、何気にその話を聞いていた者達の多くが頷く。

 壊理の素直な性格は、既にルリやラピスだけではなく、この家に住む全員に受け入れられているのだろう。

 それについては養子として壊理を迎えた俺としても、嬉しい限りだが。

 そんな風に思っていると、プリンを手にした壊理が戻ってくる。

 

「よいしょ、よいしょ……おと……アクセルさん、プリン持ってきたよ」

「ああ、よく持ってきてくれたな。そのプリンは壊理のデザートだから、しっかりと味わうといい」

 

 誰か作ったのか……まぁ、家で作ったとなると、マリューか千鶴か?

 とにかく、壊理が持ってきたプリンは器の中でプルプルと震えており、非常に美味そうに見える。

 しっかりとカラメルソースが掛かっているのも良い感じだ。

 そうして、俺は再びお好み焼きパーティを楽しむ。

 ……まさか、千鶴が広島風のお好み焼きを作れるというのには、少し驚いたが。

 

 

 

 

 

『あ』

 

 お好み焼きパーティをやってから数日後……今日もまたインターンがあったのだが、集まる場所は龍子の事務所とは違う場所だった。

 そんな訳で、俺と瀬呂、拳藤、葉隠の4人は目的の駅で降りたのだが、ちょうどそのタイミングで緑谷と切島と会い、全員の口から同じ言葉が漏れた。

 このタイミングで俺達と会うという事は、恐らく緑谷と切島も同じ電車に乗っていたのだろう。

 この時点で、俺は何となく予想出来てしまう。

 何しろ、俺達もそうだが、緑谷と切島もヒーローコスチュームの入ったケースを持っていなかったのだから。

 それに緑谷はサー・ナイトアイの事務所でインターンをしていて、俺達は龍子からサー・ナイトアイからの協力要請があるというのは知っている。

 であれば、原作の流れからしてもこういう流れになるというのは理解出来た。

 ……まぁ、そこに切島が合流してくるというのは少し驚きだったが。

 そうして話しながら、龍子に指示された集合場所まで向かう。

 緑谷と切島は同じ道を進み、同じ角を曲がり……といったことに疑問を抱いていた様子だったが、目的地であるビルの前に到着した時、ちょうどそこにビッグ3全員が集まっていた事で、驚いていた。

 どうせなら途中でネタばらしをしても良かったのだが、もしかしたら違う可能性もあったしな。

 それを考えれば、念の為に……と思ったのだ。

 

「あ、皆。来たんだね。遅かったね」

 

 ねじれが俺達を見て、そう言ってくる。

 緑谷と切島もそれぞれの知り合いと話していたが……このビッグ3も俺達と同様に雄英の学生寮に住んでいる訳で、そうなると俺達と同じくらいに寮を出て、同じ電車に乗っていたんだと思うが、その割には俺達よりも先にビルの前にいたな。

 これが単純に俺達よりも少しだけ早い電車で来たのか、それとも朝早くにはもう来ていて、何らかの手伝いをしていたのか。

 その辺りは俺にも分からない……まぁ、そこまで気にするような事じゃないしな。

 

「さぁ、いつまでもここで話をしていれば目立ってしまう。中に入ろう。ここはサーの事務所なんだ」

 

 ミリオに促され、俺達はビル……サー・ナイトアイの事務所の中に入るのだが……

 

「これはまた……」

 

 そこに集まっていた面々を見て、思わずそんな声を漏らす。

 俺が知ってる限りでも、龍子、優、サー・ナイトアイ、グラントリノ、ファットガムがいる。

 もっとも、サー・ナイトアイとファットガムは顔を知ってるだけで、話した事はないのだが。

 他にもそれぞれの事務所のサイドキックだったり、あるいは俺も知らないプロヒーローが多数いた。

 ……そんな中で何よりも驚いたのは、相澤の姿もあった事だろう。

 そして相澤の姿に気が付いたのは当然ながら俺だけではなく……それこそ毎日のように相澤と会っている他の面々も同様だった。

 

『相澤先生!?』

 

 緑谷や切島、それに瀬呂や葉隠も揃って声を上げる。

 拳藤は驚きはしていたものの、他の者達程の驚きではない。

 あるいはここにブラドキングがいれば、拳藤がもの凄く驚いていたかもしれないが。

 ……とはいえ、こう言ってはなんだが相澤とブラドキングでは相澤の方が強力な個性を持っている。

 何しろ、相澤の個性は相手を見ればその個性を使えなくする、抹消だ。

 言ってみれば、相性次第では個性があまり使えなくなるブラドキングと比べ、相澤は相手がどんな相手でも……それこそ強力な個性の持ち主であればある程、その個性を使えなくするという意味で強力な個性なのだ。

 勿論、ブラドキングも雄英の教師……それもヒーロー科の担任になっているだけあって、プロヒーロー全体で見ても上澄みなのは間違いないのだが。

 

「リューキュウ、これがお前が言っていた件に関係するのか?」

 

 ねじれが抱きつき、じゃれついていた龍子にそう尋ねる。

 龍子はねじれの相手をしながら俺に向かって頷く。

 

「ええ、そうよ。詳しい事情についてはサー・ナイトアイ……ナイトアイさんから説明があると思うから、もう少し待っていてくれる? まだ揃ってないプロヒーローもいるから」

 

 そう龍子が言ってくる。

 どうやらかなりの数のプロヒーローが揃っているにも関わらず、まだ戦力が足りないらしい。

 これだけのプロヒーローが揃うとなると……神野区の一件並の危険度か?

 いや、さすがに神野区の一件の時に比べるとプロヒーローの数は少ないように思える。

 それに、オールマイトがいないのもちょっと気になるしな。

 緑谷がこうして恐らくは原作通りの流れでこのイベントに巻き込まれているのであれば、そこにオールマイトがいてもおかしくはないと思う。

 原作ではオールマイトは身体の治療が出来ないボロボロの状態だったので、この件には参加していなかったのかもしれないが、今は違う。

 勿論、体調的に全快ではあってもオールマイトの個性OFAは既に緑谷が継承しており、オールマイトにあるのは、OFAの残滓でしかない。

 それでもそれなりに戦えはするのだろうが、それでも残滓だけにOFAは使えば使う程に減っていく。

 だとすれば、タルタロスに収監されたAFOの件もあるし、今はまだオールマイトとしてもOFAを使わないという選択をしても……いや、でも、うーん……オールマイトの性格を考えれば、そこまで考えられるか?

 オールマイトなら、その辺を気にせずプロヒーローとしての活動をしてもおかしくはないと思うんだが。

 そんな風に考えていると、やがて何人かのプロヒーローが追加でやってきて、いよいよ会議が始まるのだった。

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