なお、アンケート結果は以下となりました。
今日で終わった聖刻群龍伝編ですが、聖刻群龍伝編という小説に興味を抱きましたか?
抱いたので全巻買う :5票(1%)
興味はあるけど、買おうとはまでは思わない :212票(60%)
中古でなら買ってもいいかも? :38票(11%)
漫画もあるらしいので、そっちなら :60票(17%)
既に持っています。 :37票(11%)
マイナー作品の上にかなりの巻数であると考えると、それなりに聖刻群龍伝の布教に役立てたかな……と思いました。
ルリやラピスのお手柄で死穢八斎會の隠しておきたいデータは既にその大半……というか、ルリやラピスの壊理に対して治崎がした事の怒りようを思えば、恐らくだが警察と公安に送られたデータは、大半どころか完全なものだと思うのだが、とにかく死穢八斎會の内部情報を知る事が出来たのは大きい。
なので、すぐにでも死穢八斎會のガサ入れを行った方がいいという意見も出るが、それに反対したのはサー・ナイトアイだった。
……念には念をいれて、壊理がどこにいるのかをしっかりと理解した上で行動を起こしたいと、そう主張したのだ。
これについてはファットガムを始めとした何人かのプロヒーローが不満を漏らす。
俺はそこまででもないので、落ち着いて見ている事が出来たが。
何しろ、話題となっている壊理は既に俺が保護をしている。
それはつまり、これ以上壊理が治崎によって酷い目に遭わせられるという心配はしなくてもいいのだ。
勿論、今まで壊理を相手に虐待といった表現でも生温いような事をしてきた治崎については、放っておくつもりはない。
……緑谷の実戦経験を積ませるという意味では治崎との戦いは譲るものの、後始末は俺がしっかりとつけるつもりだ。
普通に考えれば、雄英のヒーロー科の生徒であっても、そんな緑谷が治崎と戦うといったような事にはならないと思うが、これが原作の流れだとすると、何だかんだと最終的には緑谷が治崎と戦うといった流れになると思う。……なるよな?
とはいえ、壊理の件についてこの場で知っているのは俺と拳藤だけである以上、他のプロヒーロー達の間でいつ死穢八斎會のガサ入れを行うかという事で、論争になっている。
そんな様子を見ていると、隣に座っている拳藤がそっと俺の手を握ってくる。
何だ? と思ったのだが、拳藤は俺の手を握ると、掌に自分の指で文字を書く。
『エリちゃん?』
漢字ではなくカタカナ。
まぁ、壊理という漢字はそれなりに複雑だし、掌に書いても分からないと思ったのだろう。
そして壊理の名前を出してきたという事は、拳藤が知っている限りの壊理の境遇と、サー・ナイトアイやそのサイドキック達が話した治崎やその娘と思しき者の説明で、俺と同じ答えに辿り着いたのだろう。
この辺りの頭の鋭さは、さすが競争率300倍の雄英のヒーロー科に合格し、B組で学級委員長を任されているだけの事はあるのだろう。
拳藤に向かい、声を出さないようにという思いを込めて手を握り……小さく、だかしっかりと頷く。
「っ!?」
拳藤は俺が頷いたのを見て、息を呑む。
だが、俺が手を握ったことの意味については理解していたのか、言葉を出すようなことはしなかった。
そうして俺が拳藤とやり取りをしている間にも、いつ死穢八斎會のガサ入れをするのかという論争は続いており、サー・ナイトアイの持つ予知という個性を使えばいいのではないかと、そんな話になるも……何故か、サー・ナイトアイはそれを拒否する。
何でだ?
いや、予知を1度使うと24時間のインターバルが必要なのは分かる。
分かるが、それでも今の状況を考えれば、一度予知を使ってみるくらいの事はしてもいいと思うんだが。
そのように思ったのは俺だけではなく、他のプロヒーローも同じように主張していたものの、結局その日サー・ナイトアイが個性を使う事はなく……死穢八斎會のガサ入れの準備をする事になり、それが出来たらすぐにでも死穢八斎會のガサ入れを行う事になるのだった。
「アクセル、どうするの?」
会議終了後、ビッグ3の面々と緑谷達……具体的には、俺と拳藤以外の面々が今回の一件について相澤と話していた。
そんな者達から少し離れた場所で、俺は拳藤と話している。
その話題の内容は、当然のように壊理の件。
「どうすると言われてもな。……まさか、壊理を俺達が保護しているとか、言う訳にもいかないだろう?」
そうなると、なし崩し的に俺の正体についても話す必要が出てくるだろう。
今はまだシャドウミラーについて知っているのは、公安を含めて少数だ。
であれば、その件について話す訳にもいかない。
……あ、でもそうか。相澤はシャドウミラーについて知っているし、壊理も死穢八斎會の関係者だとは知らせていないものの、顔を合わせた事がある。
そう考えれば……
「相澤にだけは話を通しておいた方がいいな。上手くいけば、死穢八斎會のガサ入れを予定よりも早く出来るだろうし」
相澤は、サー・ナイトアイに予知の個性を使った方が合理的であると主張していた。
であれば、壊理の件について説明すれば、その辺りも含めてガサ入れを早める可能性は十分にあった。
「……大丈夫?」
少しだけ心配そうに拳藤が聞いてきたのは、相澤にこの話を持っていくと何らかの罰を下されるかもしれないと思ったからだろう。
実際、相澤の性格を考えればそういう事になってもおかしくはないのだから。
だが、俺はそれに対して問題ないと頷く。
「多分、どうにかなるだろ。それに……何だかんだ、相澤は信頼出来る人物だしな」
そう言う俺の言葉に、拳藤は真剣な表情で頷くのだった。
「……何? 以前アクセルが連れてきた子供が、ナイトアイが言っていた治崎の子供だというのか?」
サー・ナイトアイの事務所での会議が終わり、雄英に帰ってきた俺は相澤に相談があると言い、生徒指導室に来て貰った。
ちなみに龍子もそうだったが、相澤もサー・ナイトアイではなく、ナイトアイと呼んでるんだな。
一般的に考えて、サーというのはいわゆる敬称の類なので当然かもしれないが。
……そう考えると、自分のヒーローネームにサーを付けるのは……まぁ、うん。その辺の考えは人によって違うしな。
ヒーローネームを付ける時、ミッドナイトが色々と言っていたが、サー・ナイトアイの場合もそれに入るのかもしれないな。
取りあえず他の連中がサー・ナイトアイではなく、ナイトアイと呼んでいるなら、俺もそう呼べばいいか。
「ああ、そうなる。正直なところ、保護した当時はまさかそんな風になっているなんてことは思ってもいなかったけどな」
雄英の生徒であるアクセル・アルマーではなく、シャドウミラーを率いるアクセル・アルマーとして話す。
この辺もあって、職員室では話しにくかったんだよな。
いやまぁ、雄英の教師は全員がプロヒーローで、俺についても知っている。
そういう意味では職員室で話してもよかったのだが……生徒が職員室に入ってくる可能性もあるし、それを考えれば念には念を入れた方がいい。
「……つまり、あの壊理という少女を助けたのは、あくまでも偶然でしかないと?」
「そうなるな。死穢八斎會の関係者というのも本当に少し前に知っただけだ」
「どうやってそれを知った?」
訝しげな様子で尋ねてくる相澤。
まぁ、死穢八斎會については規模が小さいという事もあって、そこまで名前を知られていた者達ではない。
実際、今日ナイトアイの事務所に呼ばれた者達も死穢八斎會については知らないという者が多かったのだから。
であれば、異世界から来た俺が何故死穢八斎會について知っているのかと、そのように疑問に思ってもおかしくはなかった。
「それについては、ヤオモモからの情報だな」
「八百万からだと? 一体何故そうなる?」
先程とはまた違う、訝しげな様子で尋ねる相澤。
それについては俺も同意ではあるのだが……実際にヤオモモによって死穢八斎會の件を知る事が出来たのは間違いない。
「ヤオモモの家は結構な名家だ。だからこそ、本来なら知る事が出来ないような情報も知る事が出来るんだろうな。それに……壊理を助けた時の状況は、普通じゃない。なら、ヤオモモの性格を考えれば、その辺りの情報を集めていても不思議じゃないだろ」
恐らく……本当に恐らくだが、壊理が俺達と遭遇したあの時、追ってきていたのは治崎だったのだろう。
事情を全て理解していれば、それこそあの時に治崎を殺すなり、捕らえるなりしていたのに。
分解と再結合が可能なオーバーホールという個性は、技術班にとってもかなり興味深い個性ではあるだろうし。
……あるいはスキル欄も空いているので、スライムで吸収して個性を奪うというのもありかも……いや、壊理の事を考えると止めた方がいいか。
壊理にしてみれば、オーバーホールという個性は恐怖の象徴だろうし。
「なるほどな。だが、それを俺に聞かせてどうしろと?」
「壊理は俺が保護して、現在ホワイトスターにいる。であれば、明日にでもガサ入れできるんじゃないか?」
「……あの少女がアクセルに保護されているというのは分かったが、俺にはそれを証明する手段はない。それともシャドウミラーについてナイトアイに話してもいいと?」
「それは避けた方がいいだろうな」
元オールマイトのサイドキックという事を考えれば、ナイトアイも信頼していい相手なのは間違いないと思う。
ただ……今日のどんな理由をつけて、無理矢理にでも個性の予知を使わなかったことを考えると、ちょっと怪しいと思えるのも事実なんだよな。
可能性としては低いと思うが、実はヴィランと繋がっている……もしくは、AFOに個性を奪われていたりしないよな?
そう思ったが、もしAFOが予知の個性を手に入れているのであれば、神野区のような一件は起きなかった筈だ。
そう考えると、取りあえずAFOの件については気にしなくてもいいだろう。
ヴィランと繋がっている件にしても、それならそれで個性を使った後で特に問題はなかったとか、適当に誤魔化せばいい。
そう考えれば、そのどちらもまずないだろう。
そうなると……例えば何らかの理由で個性を使いたくないとか?
何がどうなってそうなったのかは、俺にもちょっと分からない。
分からないが、それでも俺が見たナイトアイの様子からすると、そんな風に思う。
あるいはオールマイトとの間に……いや、待て。オールマイトか。
「相澤、確認なんだがナイトアイとオールマイトの関係はどうなのか分かるか?」
「何だと? ……プレゼントマイクから聞いた噂だが、半ば喧嘩別れをしたととか何とか」
「喧嘩別れ? だとすれば……オールマイト経由で即座に死穢八斎會のガサ入れを行うといった事は難しいか?」
その言葉で相澤も俺が何を考えているのか分かったらしいが、難しい表情を浮かべて口を開く。
「俺が言うのも何だが、ナイトアイは真面目……いや、生真面目な性格をしている。そうなると、もしオールマイトから連絡をしても素直に頷くとは思えないが……いや、それでもやった方がいいか」
相澤は最初こそ気が進まないといった様子ではあったのだが、それでも話している途中で気が変わったのか、そう言ってくる。
「じゃあ?」
「分かった、話をしてみよう。だが……今回の件はアクセル、お前も関わっている。そうなると、オールマイトに話をするとなると、俺だけが話すよりお前も事情を説明した方がいい。その方がオールマイトも頼みを聞きやすくなるだろう」
そう相澤に言われる。
なるほど、そういうものか?
とはいえ、相澤の言うようにオールマイトの性格を考えれば、怪我の治療をした俺……というか、シャドウミラーに対して感謝の気持ちを抱いているのは間違いない。
であれば俺が直接オールマイトに話した方がいいのは間違いないだろう。
それに……オールマイトは元々強い……強すぎる正義感を持っている。
壊理の件を聞けば……聞けば……あれ? ナイトアイがどうとか考えず、自分で直接死穢八斎會の事務所に突っ込んだりしないよな?
会議の時、ナイトアイは自分達はオールマイトではないので準備をしっかりとしないといけないとか、そんな風に言っていたが……そのオールマイトが来たら、どうなるんだろうな。
もっとも、ナイトアイとの間でしっかりと話が出来るかどうかもまた問題ではあるが。
ともあれ、まずはオールマイトと話をする必要がある訳で……
「アクセルはここで待っていろ。まずはオールマイトを連れてくる。何をするにしろ、オールマイトに説明をする必要があるだろう」
「分かった。じゃあ、俺はここで待ってるから、オールマイトを呼んできてくれ」
そんな俺の言葉に相澤は即座に頷くと生徒指導室を出ていく。
普通に考えれば、教師が生徒の使いっ走りのようなことをするのはどうかと思う。
思うのだが、相澤にしてみれば今の俺はシャドミラーのアクセル・アルマーとして接しているのもあり、俺に職員室に呼びに行かせるよりも自分が行った方が効率的だと判断したのだろう。
そんな訳で俺はオールマイトが戻ってくるまで暇な訳で……周囲の様子を見る。
生徒指導室だけに、特に何か興味のあるような物がある訳ではない。
あるいはもっとしっかりと探せばプロヒーローの本試験の資料とか、そういうのもあるかもしれないが。
そんな風に思っていると……コンコンと扉がノックされ、返事をする。
「私が来た」
そうして、にゅるりとオールマイトが姿を現すのだった。