転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4740話

 脳無とエンデヴァー、そしてホークスの戦い。

 それに辛勝したところで、次に起きたのは荼毘の襲撃だった。

 もっとも、荼毘の個性による青い炎によって荼毘以外のヴィラン連合の面々の誰が来ていたのかは分からなかったが。

 どのみちミルコが戦場に乱入した事によって、結果的にヴィラン連合は特に騒動らしい騒動を起こす事もないまま、撤退したのだが。

 

『そういう訳で、私達も今は忙しいのよ』

 

 電話の向こうでマンダレイが……いや、信乃がそういう風に言ってくるものの、それならよく電話をする余裕があったなとは思う。

 まぁ、電話をするくらいの余裕はあるんだろうけど。

 

「そういえば、龍子もそっちに駆り出されるって話があるから、マンダレイも……」

『アクセル?』

「うん? どうした?」

 

 俺の言葉を遮るように、信乃がそう言ってくる。

 何だか妙に声が低いような、そんな気がするんだが……気のせいか?

 

『リューキュウの事は名前で呼ぶのに、何で私はヒーローネームで呼ぶのかしら?』

「いや、そう言われてもな。龍子……リューキュウは俺がこの世界に来てから最初に会った奴だし」

『私も林間合宿で一緒だったでしょう? それに神野区の一件でも一緒だったし。……なら、公の場はともかく、こうしてプライベートの時には名前で呼んで欲しいんだけど』

『あ、ちょっ、マンダレイ。いきなり何を言ってるのよ! アクセル、私、私もプライベートな時は名前で呼んでね!』

『ちょっ、今は私が話してるんだから、割り込まないでよ。というか、仕事の方は終わったの?』

『ねこねこねこねこ。大丈夫。私の個性に関われば、瓦礫処理なんてお手の物なんだから』

 

 そんな声が聞こえてくる。

 ピクシーボブ……流子の仕事の方も、今は色々と忙しいらしい。

 

「あー……うん。分かった。信乃、流子。これでいいか?」

 

 別に本名で呼ぶのはどうしても嫌だという訳ではない。

 こうして口に出さない時は、普通に本名で呼んでいたんだし。

 そういう意味では、別にその辺りで困るといったような事は俺にはないのだ。

 

『これは……来るわね』

『……うん』

 

 何だか向こう側が静かになったが……

 

「アクセル、もうそろそろ昼休みが終わるから、午後からの準備をした方がいいぜ。……あれ、誰かと電話でもしてたのか?」

 

 瀬呂が呼びに来たので、そろそろ準備をした方がいいのは間違いないと判断し、スマホの向こう側にいる流子と信乃に声を掛ける。

 

「じゃあ、俺は午後からの授業……というか、模擬戦? まぁ、そんな感じで準備をしないといけないから、そろそろ切るな。流子と信乃も仕事を頑張れよ」

『あ、うん。分かった。……頑張るね』

『やっぱり私が唾を……』

 

 そんな言葉を聞きながら通話を切ると、瀬呂がジト目をこちらに向けていた。

 

「アクセル、お前……」

「どうした?」

「いや、どうしたって……流子と信乃って、ピクシーボブとマンダレイの本名だろ? 一体何でいきなりそんな風に気軽に話せるようになってるんだよ」

「何でと言われてもな。……何となく?」

 

 実際、瀬呂の疑問……それも嫉妬混じりの疑問ではあったが、それに対する言葉としてはそう言うしかないのも事実。

 俺にとっては、特に何か理由があってあの2人と今のような気楽な関係になった訳ではない。

 敢えて言うのなら、成り行き的でというのが正しいだろう。

 勿論、もし俺が普通の高校生なら、流子や信乃とここまで気安い関係になるような事はなかった……なかった……うーん、どうだろうな。

 信乃はテレパスで俺と繋がった事によって絶頂してしまったし、流子の方は年齢的な問題で生徒に対してであっても唾を――物理的にも――付けようとしていたくらいだ。

 その辺の状況を考えると、俺がシャドウミラーを率いるアクセル・アルマーではなくても、普通に今のような関係になっていたとしてもおかしくはない……のか?

 まぁ、その辺は実際にどうにかしないと分からないだろうから、ここでどうこう考えても意味はないのだろうが。

 

「ったく……本当に、峰田が毎日のように血の涙を流す理由が分かるよ」

「そう言われてもな」

「それよりほら、さっさと着替えるぞ。今日はB組との本格的な……それこそクラス対抗戦のようなものなんだから」

 

 そう瀬呂に言われ、俺はヒーローコスチュームに着替えに向かうのだった。

 

 

 

 

 

「うーん、こうして見ると結構ヒーローコスチュームが変わってる人が多いよね。私も冬仕様にしたし。ただ、アクセルは見た感じ変わってないの?」

 

 三奈の言葉に頷く。

 

「俺は別にその辺についての拘りとかはそこまででもないしな。何かいいサポートアイテムとかがあれば、追加してもいいとは思うけど。ただ、金額的にな」

 

 ヒーローコスチュームというのは、無制限に延々と変更したりとか、そういう事は出来ない。

 雄英からの補助もあるものの、それでも当然ながら限度はある。

 そして俺のヒーローコスチュームの場合、目元を覆うマスク……それでいながら色々な情報を表示出来るようになっている機能を持たせているので相応に高いし、何よりもマントが非常に高価な代物となっている影響もあってか、雄英からの補助は使い切った……訳ではないものの、かなり余裕がないのは事実だ。

 そんな訳で、特に何か不都合がない限り、俺としてはヒーローコスチュームを変更するつもりはない。

 もっとも、雄英の補助がないのなら自分で支払うといった選択もあるし、俺は金に困ってる訳でもないのでその辺はどうにでもなったりするのだが……だからといって、そうする必要はないしな。

 

「ふーん、アクセルのヒーローコスチュームはヴィランっぽい感じだから、それで印象が強く残ってるし、それならそれでいいのかもしれないね。私は冬仕様だけど」

 

 そう言い、三奈は自分のヒーローコスチュームを見せる。

 ぱっと見、細かいところは色々と変わっているものの、そんな中でも特に変わっているのは、胸元だろう。

 以前までは胸元を露出してヤオモモに次ぐ大きさを持つ双丘の谷間を見せていたのだが、冬仕様という事で、胸の谷間が以前よりも隠されるようになっていた。

 それでも胸の谷間を見せている辺り、一種のポリシーなんだろう。

 ……峰田や上鳴ががっかりしているのは、きっと俺の気のせいという訳ではないと思う。

 

「アクセル君、私のヒーローコスチュームも冬仕様なんだよ! ……まぁ、見えないけどね。たはは」

 

 俺と三奈と話を聞いていた透が、そう話に入ってくる。

 まぁ、透のヒーローコスチュームは、その個性によって透明になっているしな。

 透の髪の毛とかを使って培養したヒーローコスチュームを使っている訳で、そういう意味では俺程ではないにしろ、雄英からの補助は使っていると思うんだが。

 ……いや、その辺は問題ないのか。

 何しろ当初……初めてヒーローコスチュームとかを着るようになった時、透は手袋や靴以外は何もない全裸だった

 本当に何がどうなって全裸なんて選択をする事になったのやら。

 まぁ、自分の細胞からヒーローコスチュームを作れるというのを知らず、その上で透明という自分の個性を最大限に発揮するとなると、やはり全裸が一番と思ったのかもしれないが。

 ヒーローコスチュームを作ってる会社も、透の個性については十分に理解していた筈であり、そう考えると一体何でその辺のアドバイスとか注意とかしなかったんだ? と思わないでもなかったが。

 透にしてみれば、自分の個性を最大限に使う時は全裸じゃないといけないと、そんな風に思い込んでいたのかもしれないな。

 ……あるいは、元々が家では裸の裸族とか、そういうのかもしれないが。

 

「……ねぇ、アクセル君、今何か……とっても失礼な事を考えなかった?」

 

 不意に透がジト目でそう言ってくる。

 いや、透明なので本当にジト目なのかどうかは分からないが、何となく雰囲気からジト目を向けてきているような気がするんだよな。

 

「いや、そんな事はないぞ? ただ、透のヒーローコスチュームの冬仕様というのがどういうのかなって気になっただけで」

「ふーん……そうなんだ」

 

 ヒュン、ヒュン、という音と共にそんな声が聞こえてきた。

 それが誰の声なのか……そして何より、ヒュンヒュンという音が何の音なのかを理解した俺は、慌てて声と音のした方に視線を向ける。

 すると、そこには当然のように響香の姿があった。

 そして響香の耳から伸びているイヤホンは、まるで威嚇する蛇か何かのように動いている。

 ……うん、今回の件については俺が特に何かをしたりはしていないから、そう言う意味ではこうして響香に責められそうになっている理由が分からないんだけどな。

 それでも耳郎さん、もとい響香さんになる様子がないのは、助かるけど。

 

「皆さん、冬仕様というのは羨ましいですわね。私の場合は個性の関係上、そういう事が出来ませんから」

 

 そう言いながら近付いて来たのは、ヤオモモだ。

 そんなヤオモモの言葉に、響香は俺から視線を逸らすと気の毒そうに言う。

 ヤオモモの個性である創造はヤオモモの身体から生み出される。

 その為、個性を使う関係上露出の激しい……それこそ以前ちょっと峰田から聞いた話によると、ミッドナイトに次いで法律が改正されてもおかしくはないとか何とか、そんな感じらしい。

 ……いや、露出が激しいのは間違いないが、それでもそこまで言う程か? と思わないでもなかったが。

 ともあれ、そんなヤオモモだけにヒーローコスチュームは冬仕様には出来ない訳だ。

 もっとも、ヤオモモの場合は発育の暴力と言われる程の身体を持っており、皮下脂肪も多いので寒さには強いが。

 そういう意味では響香は……

 

「おっと」

 

 ヒュンッ、とイヤホンが俺に向かって飛んできたので、素早く回避しつつその場から離れる。

 ……緑谷に話でも……と思ったが、その緑谷は麗日と何やら話をしているのが見えた。

 原作主人公と原作ヒロインの話を邪魔する訳には……と思ったが、何故か不意に麗日が自分の頬を自分で叩いているのに気が付く。

 何かあったのか?

 そう思いつつも、今は近寄らない方がいいと判断し、峰田達のところに……いや、止めておいた方がいいな。

 

「おい、アクセルぅ……オイラのところに来るつもりだったんだろう? 来いよ、ほらぁ」

 

 峰田が執念を感じさせる様子でそう言ってくる。

 あれ? 何で峰田はこんな状況になってるんだ?

 俺が三奈とかと話していたからか?

 そう思ったが、峰田の側に上鳴以外に瀬呂がいるのを見て、すぐにその意味を理解した。

 なるほど、多分だが俺がさっき電話で流子や信乃と話していたのを峰田に教えたな?

 女好きの峰田にしてみれば、そんな俺の行動に不満を持つのは当然だった。

 なら、いっそ無視するか……そう思ったのだが、それはそれで面倒になるだろうと判断し、溜息を吐いてから峰田の方に向かう。

 

「それで、一体どうしたんだ?」

「ああん? そんなの、オイラに聞かなくても、その理由くらいは分かるだろう? ああん?」

 

 うわ、とてもではないがヒーローが浮かべるような顔じゃないな。

 爆豪ではないが、寧ろヴィランと呼ぶ方がピッタリくるような、そんな顔だった。

 

「あのなぁ……そんな顔をしているから、そもそもモテないと思うんだが」

 

 ピキリ、と。

 俺の言葉に峰田からそんな音が聞こえてきたような気がした。

 あれ? 何か間違った……ああ、いや。そうか。

 そんな表情だな。

 今の俺の言葉だと、それこそこう……峰田が女にモテないような顔をしていると、そんな風に思われてもおかしくはない。

 実際問題、峰田の顔は……うーん、整っているとまでは言えないものの、それでも愛らしさはあると思う。

 そういう趣味の女であれば、好意を抱いてもおかしくはないくらいに。

 だが、峰田の場合は性欲を一切隠すつもりもなく、露骨に顔に出ている。

 それが女から好意を抱かれない理由となっていた。

 もっとも、女とは別に男から……思春期の、女に強い興味を持つ男にしてみれば、峰田は自分の好みを聞いた上でお勧めのエロ本とか動画とか、そういうのを紹介してくれるという……尊敬されるようなところもあったりするのだが。

 とはいえ、峰田にしてみれば女にモテたいというのが一番なのだろうが。

 単純に女を抱きたいだけなら、それこそ風俗にでも行けばいいと思うんだが。

 あるいは風俗はいわゆる本番が禁止されているので、裏の風俗とかそういうのとか。

 ああ、でも裏の風俗となるとヴィランとかが関係しているから駄目か。

 そもそもの話、高校生が風俗に行く時点でヒーロー科の生徒として駄目か。

 そうなると、結局のところ峰田が女を抱くにはナンパするなり、あるいは恋人を作るなりする必要がある訳で……

 

「ま、頑張れ」

 

 そんな俺の言葉に、再び峰田からピキリと……いや、ブチリ? そんな音が聞こえたような気がするのだった。

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