転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4749話

 那歩島に来た翌日……俺達はまさにてんてこ舞いといった感じで忙しかった。

 村長の方から島の住人達や観光客に今日から雄英の生徒が暫くヒーロー活動をするというのが大々的に知らされ、それによって多数の依頼がヒーロー事務所に掛かってきたのだ。

 特に多かったのは、海水浴に関する件だろう。

 溺れたり、波によって海岸から離れた者達、あるいは遊泳禁止の場所で泳ごうとする者だったり、もしくは常夏の島という事ではっちゃけたのか、強引に女をナンパしようとするようなトラブル。

 そんなトラブルに、何だかんだとA組の半数近くが派遣されていた。

 ……ちなみに峰田は進んで海岸のトラブルに回っている。

 何を考えているのかは、A組の面々なら即座に分かっただろう

 水着姿の女を見て目の保養をし……場合によってはお近づきになりたいと、そのように思ったりしても、峰田であれば納得出来た。

 もっとも、海という事で梅雨ちゃんも一緒にいるので、峰田の暴走については気にしなくてもいいのだが。

 もし峰田が暴走しようとしたら、それこそ梅雨ちゃんが舌を使って止めるだろう。

 他にも電気系という事で、上鳴がそれなりに人気だった。

 島では農業もやっており、古くなった機械を動かすとか、そんな感じで。

 後は他にも色々と仕事はあり……

 

「アクセル君、君も来てくれるかい?」

 

 青山がそう俺に聞いてくる。

 何でも土砂崩れがあって土砂や岩、倒木によって道が通れなくなっており、その対処に呼ばれたらしい。

 

「分かった」

「じゃあ行こう、アクセル」

 

 どうやら青山だけではなく、三奈も土砂崩れの対処に呼ばれたらしい。

 青山のネビルレーザーと、三奈の酸。

 これを使えば、道を塞いでいる土砂とかそういうのはあっさりと片付けられてそうな気がする。

 それこそ俺がわざわざ行く必要があるのか? と思えてしまう程だ。

 ……もっとも、何か予想外の事がある可能性を考えると、人手は多い方がいいだろうし。

 どうせなら暇そうに事務所で寝転がっている爆豪辺りも連れて……いや、爆豪の性格を考えれば、こういうのに行こうと言っても決して頷かないか。

 そういうのも出来ないのか? といったように挑発すればあっさりと挑発に乗ってきたりはするので、爆豪を動かそうと思えば動かせるのだが、だからといってわざわざ爆豪を連れていく必要もないしな。

 そんな訳で、俺は三奈と青山の2人と共に道が塞がれている場所に向かう。

 

「うわぁ……結構大規模だね」

 

 その光景を見て、三奈がそう呟く。

 実際、山の方から落ちて来たのだろう岩はかなりの大きさで、一般人がどうこう出来るようなものではない。

 

「僕達に任せて」

「危ないから、少し離れていて下さい!」

 

 青山と三奈が通れずに困っている……というか、雄英の生徒がどういう風にしてこの状況の対処をするのか楽しみにしているような者達に対して、そう言う。

 中には純粋に困っている者達もいるのだろうが。

 それでもしっかりとこっちの指示に従って離れてくれたのは助かる。

 周囲に誰もいなくなれば、青山のネビルレーザーと三奈の酸、そして俺の炎獣によってあっさりと土砂や岩、倒木の類を処理していく。

 

『わああああああっ!』

 

 それを見ていた者達が一斉に歓声を上げる。

 まさかこんなにすぐに道を通れるようになるとは思っていなかったのだろう。

 一応、問題がないか……また土砂崩れが起きそうにないのかとかを確認してから、事務所に戻る。

 

「うーん……何だかこう、ヒーロー活動してるって気になるよね」

「そうだね。多くの人達が僕の煌めきに見惚れるのは嬉しいね」

「……青山は、お腹に気を付けな?」

「……うん」

 

 三奈の言葉に、青山が小さく返事をする。

 青山のネビルレーザーはそれなりに強力な個性だ。

 だが、その個性が体質と合っていないらしく、青山は個性であるネビルレーザーを使い続けると腹が痛くなる。

 ……それでも我慢をしてネビルレーザーを使い続けると……まぁ、うん。悲惨な事になってしまうのは間違いない。

 もっとも、その辺りも個性伸ばしによって大分ネビルレーザーを使える時間が延びたらしいのだが。

 それでもヒーロー活動をしている時に限界を迎えたりしたら洒落にならないというのは三奈も理解しているので、青山に注意したのだろう。

 

「それにしても、アクセルの炎獣って便利だよね。倒木を持って移動するとか出来るんだもん」

 

 羨ましそうに、そう三奈が言ってくる。

 さっきの倒木を、虎の炎獣を作って持ち上げさせたので、その件だろう。

 炎獣は別に攻撃一辺倒の能力という訳ではなく、重機のように……というのは少し大げかもしれないが、とにかくそんな感じで使う事が出来るのも事実だ。

 もっとも、さっきは雄英のヒーロー科の生徒だということを示す為に派手な炎獣を生み出したものの、基本的に混沌精霊という個性は増強系の一面が強いという事になってるのもあるから、その気になれば炎獣じゃなくて普通に力でどうにか出来たんだけどな。

 

「何でも使いようってところだろ」

 

 そうして事務所に戻ると……

 

「あ、すいませんアクセルさん。お婆ちゃんの家に行ってくれませんか? バイクのある納屋の扉が全く動かなくなってしまったみたいで」

 

 ヤオモモにそう指示され、休む間もなく指示された場所に向かう。

 

「おお、よう来て下さったね。納屋の扉が開かなくなってしまってね」

 

 家に行くと、作業着を着た婆さんが俺を見て嬉しそうに声を掛けてくる。

 

「ヒーロー活動なんだから、気にしないでくれ。それで、納屋は?」

「ありがとねぇ……こっちだよ」

 

 婆さんに案内され、家の敷地内にある納屋に向かう。

 

「お願い出来るかい?」

「任せてくれ。婆ちゃんはちょっと危ないから離れていてくれ」

 

 そう言うと、婆さんは素直に離れる。

 それを確認してから、納屋の扉を開けようとするが……なるほど、開かないな。

 どうやら見た感じ、この納屋は作られてからかなりの時間が経ってる。

 だとすれば扉の枠が歪んでいたり、あるいは扉の方に何か問題があるのかもしれないな。

 

「よっと」

 

 扉を開けるのは無理でも、扉を外すことは出来る。

 かなりの力がいるものの、俺にしてみればこの程度は問題ない。

 ああ、やっぱり。扉が入っていたレールが歪んでいる。

 恐らくは少しずつ……本当に少しずつレールが歪んでいったのだろう。

 今まで使えていたのを考えると、多分間違いない。

 だが、そのレールが限界を迎え……その結果として、今日急に納屋の扉が開かなくなってしまったのだろう。

 とはいえ……これは俺にはちょっと無理だな。

 力で強引に直すといったことも出来ない訳ではないが、それよりも専門家を呼んだ方がいいだろう。

 

「婆ちゃん、ちょっと待っててくれ」

「ああ、任せるよ。……私はちょっと家の仕事を片付けているから、何かあったら呼んでおくれ」

 

 そう言い、婆さんは家に戻っていく。

 ……納屋の中にある何かが必要だから連絡をしてきたんじゃないのか?

 そう思ったが、婆さんの様子を見る限りではどうやら違うらしい。

 まぁ、側で見ていないのなら見ていないで、仕事に集中出来るけどな。

 何気なく納屋の中を見ると中にはバイクがあった。

 もっとも、それはいわゆる原チャという奴で、人によってはこれをバイクと呼ぶのは許せないという奴もいそうだが。

 他にも細々とした物が色々とあるが……その辺は俺が考えるような事ではないか。

 スマホを取り出し、事務所に連絡をする。

 

『はい、もしもし。どうされましたか?』

 

 電話に出たのは、ヤオモモだった。

 これなら丁度いいかもしれないな。

 

「ヤオモモか。俺だ、アクセル」

『あら、アクセルさん。どうしましたの?』

「婆さんの家で納屋の扉を開ける事には成功したけど、扉が入っているレールが曲がっていて、俺では修理は出来ない。……いや、やろうと思えばもしかしたら出来るかもしれないが、失敗する可能性が高い。ヤオモモ、ちょっと来てくれないか?」

『分かりました。すぐに向かいますわね』

 

 そうして連絡をすると、それから少ししてヤオモモがやってきた。

 ……その時、俺は婆さんが出してくれたお茶と饅頭を楽しんでいたが。

 待ってる間、暇だと思っていたんだが……家から出て来た婆さんはお茶と饅頭……正確には緑茶と黒糖饅頭を持ってきてくれたのだ。

 

「アクセルさん……」

 

 呆れた様子でヤオモモがこっちを見てくるものの、ヤオモモがくるまでは俺にやる事がなかったのは事実である以上、こうして待っていたというのはそうおかしな話ではないと主張したい。

 ヤオモモにしてみれば、俺がサボっているように見えただけなのかもしれないが。

 

「お疲れ、ヤオモモ。……さて、こっちだ。婆ちゃん。お茶と饅頭ご馳走さん」

「いいんだよ、うちの為に頑張ってくれてるんだから。このくらいはどうってことないさ」

 

 そうして立ち上がると、婆さんはまた家の中に戻っていく。

 

「そんな訳で、納屋はこっちだ」

「……はぁ、アクセルさんらしいと言えばらしいのかもしれませんわね」

 

 呆れつつ、それでもそれ以上は何も言わず、ヤオモモは俺の案内に従って納屋に向かう。

 

「これだ。どうにか出来そうか?」

「お任せ下さい。このくらいの事であれば、何も問題はありませんわ」

 

 自信満々といった様子で言うヤオモモ。

 創造の個性を持つヤオモモにしてみれば、このくらいは本当にどうとでもなるようなものなのだろう。

 

「なら、任せる。何か手伝う事はあるか?」

「では、そのバイクを納屋の外に出して貰えますか? 大丈夫だとは思いますが、それでも万が一を考えると、中に置いておくのはどうかと思いますので」

「分かった」

 

 ヤオモモの指示に従って、原チャを移動させる。

 するとヤオモモはすぐに個性を使って納屋の修理を始めた。

 それを眺めつつ、俺はここで黙って見ているのでいいのか? と思わないでもなかったが……今のこの状況を考えれば、ヤオモモに任せておいた方がいいのは間違いないのも事実なんだよな。

 俺が無理矢理に直すよりは、ヤオモモに任せておいた方が間違いないだろうし。

 短い間だけ納屋が使えるといった程度でいいのならともかく、ヤオモモに任せればまた長い時間納屋を使う事も出来るだろうし。

 そうして20分程が経つと……

 

「終わりましたわ」

 

 そう、ヤオモモが言ってくる。

 納屋の修理……扉の部分だけでもあっても、20分程度で終わるのは、早いのかどうかは俺にも分からない。

 まぁ、遅いって事はまずないとは思うが。

 

「アクセルさん、扉の方をお願い出来ますか? 恐らく問題なく嵌める事が出来るとは思うのですが」

「分かった、任せろ」

 

 ヤオモモに指示され、扉を納屋のレールに嵌めると……なるほど、問題なく嵌まったな。

 

「やりましたわね」

 

 嬉しそうにこっちを見てくるヤオモモ。

 その顔には笑みが浮かんでおり、見事に仕事を終わらせた事を喜んでいるのは明らかだった。

 

「ああ、何とかなったな」

 

 そうして終わったところで事務所に帰ろうとしたのだが……ヤオモモが婆さんと話しをしている中で、原チャも動くことは動くが調子が悪いというのが判明する。

 その為、ヤオモモは残って原チャの修理をする事になった

 俺はそっち方面にはそこまで詳しい訳ではないし、ヤオモモがいればその辺は問題ないからという事で、事務所に向かっていたのだが……

 

「おーい、アクセル。お前も帰りか?」

 

 不意に声を掛けられ、声のした方に視線を向けると、そこには瀬呂の姿があった。

 

「ああ。納屋の修理をちょっとな。そっちは? 今日は海岸だったよな?」

 

 この那歩島にはそれなりに観光客も来るが、そのような者達は当然のように海水浴を楽しむ。

 ……まぁ、中には海水浴ではなくナンパを楽しんだり、あるいは逆ナンを楽しんだりといったのが目的の者達もいるが。

 ともあれ、そんな訳で何らかのトラブルが起きるのが多いのは海岸なので、瀬呂を含めてクラスの半数近くがそっちの対処をしている。

 

「そうなんだよ。いやぁ……ヴィランって程じゃないけど、好き勝手にする奴とかいてよ。俺もそれなりに活躍したんだ。他にも遊泳禁止の場所には入らないように注意したり」

 

 瀬呂は疲れたといった様子で話しているが、その顔には笑みがある。

 雄英に来るだけあって、瀬呂もまたヒーローとしての活動については楽しみにしていたのだろう。

 

「遊泳禁止の場所とかもあるのか?」

「ああ、砂浜じゃなくて岩のある場所。……砂浜じゃなくて、岩浜って言えばいいのか? そんな感じの」

 

 それは俺にとってありがたい情報だった。

 既にヤオモモは村長と話をして、漁をするのを許可して貰っている。

 雄英にかなり感謝しているらしく、それこそどんな魚貝類でも自由に獲ってもいいと言われていた。

 本来ならそういうのを許可するのは漁協とかそういう連中なんだろうが、そちらについては村長の方でどうにかしてくれたらしい。

 そして岩となると、それこそアワビやサザエ、ウニとかもいる筈だ。

 今日は1日目で難しいかもしれないけど、明日以降には挑戦してみようかなと思うのだった。

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