転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4760話

 那歩島の一件があってから少し時間が経ち……那歩島のレポートについて提出したり、南国の島から静岡に帰ってきたという事で寒さに困る連中が出たり、B組の面々と交流を深めたり……そんな時間が流れ、やがてクリスマスとなる。

 静岡県というのを考えると、ホワイトクリスマスといったことは期待出来ないだろうが、それでも気温が下がってきた中でのクリスマスだ。

 あるいは、もしかしたらだが雪は積もらなくても、ホワイトクリスマスくらいにはなってもおかしくないと思う。

 そうした中で、当然のようにA組はクラスでクリスマスパーティをやるという事で準備を進め始めていた。

 ……クラスじゃなくて、恋人とそういう時間を楽しむといった事をしてもいいとは思うんだが、残念ながらA組に恋人持ちはいないらしい。

 俺は……まぁ、うん。特殊な例だし。

 ともあれ、そうしてクリスマスが近くなっても授業は当然のようにあり……

 ついでという訳ではないが、爆豪と轟が仮免の補講を完了して正式に仮免を持つようになった時、ヴィランと遭遇し、そのヴィランを捕らえる事に成功し、その件でインタビューが流れ……

 

「ぎゃはははは、1時間もインタビュー受けて、爆豪丸々カット!」

 

 スマホでインタビュー映像を見せながら上鳴や瀬呂が爆笑し、三奈が呆れの視線を向け、そして麗日が爆豪のインタビューを放映しない事によって爆豪を守ったとしみじみと納得し、梅雨ちゃんはそれに真顔で頷いていたり。

 

「使えやあああぁあぁあっ!」

 

 そして爆豪は轟のインタビュー映像だけが流れているのを見て、悔しげに叫ぶ。

 ……いやまぁ、普段の爆豪の性格を思えば、インタビュー映像を流せばクレームが大量にくるだろうが。

 そうならないようにするには、やはりここは爆豪のインタビューを流さないようにするというのが、最善だろう。

 そう判断したからこそ、流されるインタビュー映像も轟だけで、爆豪は画面の端で半分くらいしか映っていなかったりするのだろうが。

 とはいえ、爆豪の性格を思えば自分からグイグイとインタビューに答えていてもおかしくはなく、そういう意味では轟だけがインタビューに答えているように見えるのは編集の妙技といったところか。

 

「けど……那歩島の件って全く流れてないんだよね」

 

 爆豪を笑うのが一段落したところで、三奈がそう呟く。

 

「それは多分、那歩島が人の少ない場所だったからというのが大きいんだと思うよ。それに……ほら」

 

 響香が自分のスマホを弄り、泥花市についてのニュースを流す。

 俺達が那歩島に出発する前にもこの泥花市のニュースについてはやっていたが、まだこのニュースは大々的に行われているらしい。

 まぁ、泥花市という地方都市ではあるが、那歩島とは比べものにならないくらいに人口の多い場所で起きた騒動だしな。

 それに、泥花市の被害も洒落にならない。

 20人のヴィランが1時間近く暴れただけで、泥花市は半ば壊滅状態らしいし。

 また、この件で話を更にややこしくしてるのは、20人のヴィランに対してプロヒーローだけではどうしようもなく、一般市民までもが個性を使ってヴィランと戦った事だろう。

 プロヒーローであったり、あるいは仮免であったりといった免許がなければ、本来なら一般市民が公共の場で堂々と個性を使うというのは犯罪となる。

 ……まぁ、中には自分の仕事に個性を使っている者もいるので、そういう時はそういう時で別に許可が必要だったりするのだが。

 流子の事務所の側にあったイタリア料理店だったかで出しているピザは、個性を使ってピザ釜で上手い具合に焼いているので評判となっている……とか、そういうのがあった気がする。

 だが、そういうのもなく、泥花市の市民は個性を使った訳で……一応緊急避難的な感じになっているらしいので、大きな問題にはならないらしいのだが、この件には少し疑問があるのも事実なんだよな。

 一般市民というのは、あくまでも一般市民でプロヒーローではない。

 あるいは元プロヒーローであったり、もしくは学生の頃はプロヒーローを目指してヒーロー科の生徒だったという者もいるかもしれないが、それでも結局はプロヒーローになれなかった者達だ。

 そんな者達が、荒事に慣れているヴィランに対処出来るのかというのが疑問だ。

 ましてや、個性伸ばしというのがある事からも分かるように、個性というのは筋肉と同じで鍛えれば鍛える程に強くなる。

 ヴィランであれば、ヴィランとして行動する上で個性を使う事も多いから、自然と個性伸ばしと同じようになり、個性が強化されてもおかしくはない。

 それに対して、泥花市の住人はあくまでも一般人で個性を使う機会はない……訳ではないが、それでも多くはないだろう。

 つまり、分かりやすい例だとレベル1とか2の一般人がレベル10とか20のヴィランを相手に勝利したという事になる。

 実際にはゲームと違って、作戦を練るとか、地方であっても住人はそれなりにいたので数の差で押し切ったり、もしくは個性とは関係なく罠とかでどうにかした可能性も否定は出来ない。

 出来ないのだが……それでもやはり、こう、何かちょっとした違和感があるんだよな。

 そんな風に思っていると……何だかエンデヴァーの件で『見ろや!』とか言ってる子供がクローズアップした件に話が移り……

 

「楽観しないで!」

 

 不意にそんな声が聞こえてきた。

 聞き覚えのある声と気配にそちらを見ると……そこには予想通り優の姿があった。

 ……何故か後ろ向きでヒーローコスチュームに包まれた尻を強調していたが。

 そんな優の横にはミッドナイトがいて、更にもう1人……マンダレイ……信乃の姿もあった。

 

「どういう組み合わせだ?」

 

 そんな3人を見て、思わず呟く。

 これで優と龍子がいるのならチームアップをしている者同士ということで納得も出来るだろう。

 あるいは信乃と流子……他にもラグドールや虎がいれば、プッシーキャッツが来たという事で納得も出来た。

 だというのに、一体何故優と信乃が一緒にいるのか。

 ……ミッドナイトがいるのは、教師という事でそこまでおかしくはないのだが。

 

「うっひょぉおっ! あべし!」

 

 ミッドナイト、優、信乃の3人を見た峰田が喜び爆発といった感じで跳びかかろうとしたものの、次の瞬間には梅雨ちゃんの舌によってあっさりと叩きとされてしまった。

 あの2人も、いつの間にかこう……阿吽の呼吸というか、そんな感じになったよな。

 ともあれ、そんな峰田とかの様子を気にせず、優は言葉を続ける。

 

「今のマスコミについては、良い風向きに思えるけど、裏を返せばそこにあるのは危機に対する切迫感! 勝利を約束された者への声援は、果たして勝利を願う祈りだったのかしら!? ショービズ色濃くなっていたヒーローに今、真の意味が求められている!」

 

 いきなり現れた優と信乃の姿に驚きつつも、プロヒーローを目指す者としてメディア演習として、ヒーローインタビューの練習が行われるのだった。

 

 

 

 

 

「それにしても……何で信乃まで雄英に?」

 

 轟にインタビューをしている優を見ながら、俺は離れた場所で待機している信乃に近づき、そう声を掛ける。

 

「ふふっ、実はちょっとリューキュウの事務所に行く用事があってね。その時、マウントレディが雄英でメディア演習をするという話を聞いたから、ちょっと気になって一緒に来たのよ。……洸汰も緑谷君……デクだっけ? に会いたいって言ってたから」

「そうなのか? ……まぁ、プッシーキャッツも活動を再開したんだから、他のプロヒーローと協力するのはおかしくないと思うけど……それでもちょっと意外な組み合わせだな」

 

 龍子と優はどちらも大きくなれる――片方はドラゴン的な意味でだが――のは間違いなく、だからこそヴィラン退治に向いている。

 もっとも、戦う場所をしっかり選んだり、あるいは戦闘の時も気を付けないと一時期の優のように周辺に被害を出しすぎて、その結果として保険でも足りない分を支払わなければならなくなるので、そういう意味では慎重さを要求されるが。

 龍子はその辺上手いんだよな。

 もっとも、優も龍子とチームアップする事で色々と教わって、今ではあまり周辺に被害を出さないようになっているが。

 それと比べて、プッシーキャッツは元から4人組のプロヒーローだ。

 ……ラグドールはAFOによって個性を奪われ今では事務員として働いているので、現在のプッシーキャッツのプロヒーローは3人なのだが。

 ラグドールの個性であるサーチがなくなったのは、プッシーキャッツにとっては痛いよな。

 サーチは直接的な攻撃力こそないものの、ヴィラン……それも初めて遭遇するようなヴィランと戦う場合、相手がどういう個性を持っているのか見抜く事が出来る。

 そうなれば対処も出来る訳で、ある意味プッシーキャッツの戦略の要と言ってもいいのは間違いない。

 だが……だからこそ、そのラグドールがいなくなった事は、プッシーキャッツにとって痛手なのは間違いなかった。

 

「そこまでおかしな組み合わせじゃないと思うわよ? 私達とリューキュウ達だと得意分野が重なっていたりしないから、組み合わせは悪くないし」

「……なるほど。言われてみればそうかもしれないな」

 

 改めて考えれば、巨大化とドラゴンに変身という個性を持つ優と龍子に対し、テレパスで一方的にだが連絡が出来る信乃と、巨大な相手ではなく普通の大きさのヴィランを相手に前衛として働ける虎、そして土を操る事で手数を増やせる流子。

 言われてみれば、お互いの得意分野は重なっていない訳で、寧ろ良い具合にお互いをカバー出来る。

 

「まぁ、それでもさすがにチームアップとまではいかないけどね、ただ……ほら、アクセルの件もあるから、色々と連絡をしているうちに、自然と仲良くなった感じかしら。本当ならピクシーボブも来たがっていたんだけど、ちょっと泥花市の方に行く必要があってね。本人は心の底からタイミングの悪さを悔やんでいたけど。もし泥花市を襲撃したヴィランでまだ捕まっていないのがいたら、嬉々として追い込むでしょうね」

 

 龍子と優は、俺がこのヒロアカ世界に来た時からの付き合いだ。

 そして林間合宿の一件でプッシーキャッツの面々も俺の正体というか、真実? その辺りは知っている。

 そんなプロヒーローだけに、お互いに協力するというのは分からないでもない。

 流子については……まぁ、うん。泥花市は半ば壊滅状態である以上、土を自由に操れる流子は非常にありがたい存在だろう。

 純粋に手数が多いのだから、ヴィラン狩りとかにも便利だろうし。

 

『ちょっと、そこ! イチャついてない! アクセルもヒーローインタビューをするんだから、さっさとこっちに来なさい!』

 

 俺が信乃と話していると、不意に優がマイクで叫んでくる。

 あまりに声が大きすぎた為か、あるいは高音だったからか……ピーッ、というマイクの音が聞こえてくる

 

「ふふっ。ねぇ、アクセル。私達、どうやらイチャついているように見えたみたいよ?」

 

 そんな優の言葉に対し、信乃は嬉しそうに笑みを浮かべ、まるで見せつけるように俺の腕に抱きついてくる。

 グニュリ、と。

 信乃の豊かな双丘が、ヒーローコスチュームの下で歪む感触が腕に伝わってくる。

 

『こらぁっ、そこのマンダレイ! あんたねぇ、条約に引っ掛かるわよ!』

「あら、ごめんなさい。ついね」

 

 テヘペロとやる信乃。

 うわぁ……あざとい。

 あざといんだが、何だか妙に似合ってもいるんだよな。

 それが不思議だ。

 

『ぐぐぐ……ほら、いいからアクセルも来なさい!』

 

 そう言われると、まさかそのままスルーは出来ず、インタビューの練習をしている場所に向かう。

 その際、峰田が血涙を流し、上鳴から羨ましそうな視線を向けられ、三奈と響香にジト目を向けられ……ヤオモモは不思議そうに首を傾げ、透は透明で分からないがじっと動かないのを不気味に思いながらも、俺は優の側まで移動する。

 

『はい、じゃあアクセルの番ね。ヴィランを倒した後というシチュエーションで……お疲れ様です、アークエネミー。今日もヴィランを無事に倒しましたね』

 

 シチュエーションの説明をすると、即座にインタビューを始める優。

 もう少しこっちに考えさせてくれてもいいと思うんだが。

 

「ええ、無事に倒せたようで何よりです」

『さすが雄英でも強いと有名だったアークエネミーですね。……そういえば、聞いた話によるとアークエネミーは学生時代から女遊びが激しかったと聞きますが、その辺はどうなんです? それこそ年上の……適齢期にアレなプロヒーローとの噂もありましたが』

 

 そう口にした瞬間、何故か……そう、何故か信乃ではなくミッドナイトが乱入し、そこに少し遅れて信乃も乱入し、そうしてヒーローインタビューがどうこうではなく、女同士の乱闘が行われる。

 ……全員がプロヒーローだけに、かなり高度な乱闘だったのは、蛇足だろう。

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