転生とらぶる2   作:青竹(移住)

2186 / 2196
4761話

「うーん……何を買えばいいのか迷うよね」

「でも、どうせなら私達のプレゼントを貰った人が喜んで貰えるのがいいよね」

 

 三奈と透がそう口にする。

 クリスマスパーティまで数日。

 現在、俺と三奈、透の3人は雄英から少し離れた場所にあるデパートにやって来ていた。

 目的は、三奈と透が言ってるようにクリスマスパーティのプレゼント交換会に出すプレゼントを求めてだ。

 本来ならヤオモモと響香も一緒に来る予定だったのだが、何か急に用事が出来たとかで、3人でやって来た形となる。

 

「喜んで貰えるのはいいけど、問題なのは特定の誰かに渡す訳じゃないって事なんだよな」

 

 何を買うか悩んでいる俺も、そう口を出す。

 これが例えば誰か特定の相手にプレゼントを渡すのであれば、その相手が欲しそうな物を用意すればいい。

 だが、プレゼント交換会をやるとなると、一体誰に自分のプレゼントが渡るのか、あるいは誰のプレゼントが自分に来るのか……その辺は分からないのだ。

 極端な例だが、飯田用に眼鏡を買ったとして、その眼鏡が障子に渡っても意味はない。

 そんな訳で、誰が貰っても喜べるプレゼントとなると……それはそれで難しい。

 いっそ、図書カードとか、ギフトカタログとか、そういうのにするというのも考えたものの、クリスマスプレゼントとして考えれば、味気ないだろう。

 

「そうなんだよねぇ……私としては少女漫画セットとかいいと思うんだけど。恋愛模様が凄い好きな奴」

「あ、あれでしょ? 君僕! あれ、面白いよねぇ……」

 

 三奈の言葉に透が同意するように口にする。

 にしても、君僕? 生憎と俺は知らないが……三奈や透の様子を見る限りだと、かなり面白そうな作品なのは間違いないらしい。

 男が大半の中で少女漫画は……と思うものの、少女漫画の中には男が読んでも面白い奴はあるし、逆に女が少年漫画を読んで面白いと思ったりもする。

 俺がペルソナ世界で学生をやっていた時、医大で獣医になる主人公の漫画を見た事がある。

 別にそこまで熱心に獣医になりたいという訳ではなく、高校生の時にシベリアンハスキーを拾って成り行きで獣医になる……みたいな感じのストーリーだった。

 男が主人公だから読みやすかったというのもあるが、かなり笑った覚えがある作品だ。

 勿論、男が見ると面白くないという少女漫画もあるだろうから、全てが受け入れられるといった訳ではないが。

 

「どういう漫画なのかは分からないけど、5冊くらいならともかく、全20巻とかそういうのになると、持ち運ぶのは大変じゃないか? 貰った方も部屋に置ける場所が多くなれば、置く場所とかを用意しないといけないし」

 

 荷物が多すぎて、部屋には余裕のないような者もいたりするし。

 あるいはいっそ、1階の共有スペースに本棚を置いて、そこで誰でも読めるようにするというのはありかもしれない。

 ヤオモモ辺りに本棚を作って貰うとかしてもいいだろうし。

 

「うーん……そう考えると、漫画とかは駄目だよね。マフラーとか手袋とか、そういうのが無難かなぁ」

 

 悩む三奈。

 実際、12月という事で冬本番なので、マフラーとか手袋とかあれば便利なのは間違いない。

 中には以前から使っている物があったりもするので、どっちを使うかと悩んだりとかもするかもしれないが、そこまでは考える必要もないだろう。

 

「アクセル君はどういうのを買うの?」

「うーん……ちょっといいなと思っているのは、丸いガラス? か何かに水が入っていて、砂とか珊瑚とかそういうのが一緒に入っている置物? アクアリウムとかいうんだったか? とにかくそういう感じの奴」

「あー……うん。分かる、分かる。それはいいかもしれないね。欲しいかも」

 

 どうやら俺が想像しているのと同じ物を思い浮かべたらしい透が、そう言ってくる。

 

「だろう? 自分用に1つくらいは欲しいと思っていたところだ」

 

 俺の部屋は殺風景……という訳ではないが、そういう置物の類はない。

 口田がウサギを飼っているように、何気にあの寮はペットOKだったりするのだが、さすがにペットを用意しようとは思わない。

 掃除ロボットが半ばペットのような気はするけどな。

 ただ、掃除ロボットは既に1階の共用スペースが居場所のような感じになってるし、AI搭載型のスーツケースも同様だ。

 その辺りの諸々について考えれば、何かペット……ペット……いっそ、グリでもペットとして召喚するか?

 少しだけそう思ったが、間違いなく混乱するので止めておこう。

 刈り取る者は……うん、それこそグリ以上に混乱する未来しか見えない。

 というか、それ以前に神野区の一件で爆豪は20代の姿の俺が刈り取る者を召喚するところを見ている訳で、そういう意味でも刈り取る者は止めた方がいいだろう。

 

「あ、それいいね。私も同じのを自分用に買おうかな」

「私も欲しいから、買おうかな。……あー、でも今月はちょっとピンチなんだよね。色々と買い物したし」

 

 どうやら透の方は小遣いに余裕があるので問題はないが、三奈の方は小遣いが厳しいらしい。

 雄英の生徒、それも国No.1のヒーロー科の生徒としての授業。放課後には俺の自主訓練に付き合う。

 それだけに、当然ながらバイトをするような時間はない。

 ……いや、本当に無理をすれば、夕方に1時間、2時間といったバイトは出来るかもしれないが、そのくらいのバイトで雇ってくれる店があるかどうかは微妙なところだろう。

 普通の店なら、それだけしかバイトをしないのなら、寧ろ手間の方が多くなるだろうし。

 そうなると、学生の身で金を稼ぐというのは難しい。

 正式にインターンとして受け入れて貰えば、その事務所から給料を貰えるようになるが……そこまでの道筋は長いしな。

 あるいはヤオモモのように家が金持ちであれば、金に困る事はないだろう。

 だが、三奈の家は以前何かの拍子にちょっと聞いた限りでは、金持ちでもなければ貧乏でもない、一般的な中流家庭らしい。

 だからこそ、三奈は家からの仕送りだけで暮らす必要があった。

 もっとも、アパートから寮生活になった事で家賃や光熱費、食費もいらなくなったのだから、仕送りが増えてもよさそうなものだが。

 ……あるいは仕送りが増えても、その分使ってしまったのかもしれないな。

 そんな風に思いながら、デパートにある色々な店を3人で見て回ったのだが……

 

「うおっ、これ凄いな。……こういうのって、まだ売ってたのか」

「うわぁ……アクセル君が言うように、凄いねこれ。迫力がある」

「格好いいとは思うけど、でもこれ結構場所を取るよ? 寮の部屋だと……まぁ、置けない事もないとは思うけど」

 

 三奈が言うように、俺の視線の先にあるのはかなりの大きさの……いわゆる、ラジカセと呼ばれる機械なので、部屋に置くには困るだろう。

 ラジカセの名称通り、ラジオを聞く事が出来て、CDの1世代前のメディアのカセットテープを使う為の機械だ。

 あるいはこれで今風の外見をしていればデパートで売っていてもおかしくはないのかもしれないが、いかにも昔風の……それもかなりの大きさの奴。

 それこそ鈍器か何かとしてでも使えるのではないかと思えるような、そんなラジカセ。

 それでいながら、別に中古とかそういう訳でもないらしく非常に綺麗で新品のように見える。

 つまり、新しく売りに出された奴だったりするのか?

 このヒロアカ世界は、個性による混乱期があり、その時に文明が崩壊……というのは大袈裟かもしれないが、とにかく文明が停滞、あるいは後退してしまった。

 そういう意味では、今この時にラジカセの新機種が出ても……出ても……いや、それでも明らかにおかしいだろ。

 音楽関係という事で、響香なら喜びそう……喜びそう……うーん、どうだろうな。

 それに大きいだけに場所を取るだろうし。

 受け狙いでこれをプレゼントに選んでもいいんだけど、貰っても邪魔になるだけなのはちょっとな。

 そんな訳で、ラジカセの新品に驚きつつも他の店に向かう。

 

「あ、これいいかも。私これにするね」

 

 とある店の前で三奈がブレスレットを見て、そう言う。

 それなりに細かい模様があり、作るのにも手間が掛かっているものの、値段はそこまで高くもなく、三奈の予算的にも大丈夫なのだろう。

 また、ブレスレットではあるが、女用という訳ではなく男女どちらが使っても問題はない見た目をしているのも大きいだろう。

 ……これで完全に女用のブレスレットなら、A組の人数的に男の方が多く、女用のブレスレットを男が貰うといった事にもなりかねない。

 そういう意味でも、三奈の選択は悪くなく……

 

「うーん、私はじゃあこれにする!」

 

 透が選んだのは、目覚まし時計。

 普通ならクリスマスプレゼントにそれはどうなんだ? と思ってもおかしくはないが、その時計も無骨な時計という訳ではなく、インテリアとして部屋に置いてあってもおかしくはないような、そんな奴だ。

 こうして一緒にデパートに来た2人はあっさりと交換用のプレゼントを買い……俺だけがまだ決まっていなかった。

 

「うーん……これとかどうだ?」

 

 家電売り場で俺が見つけたのは、DVDプレイヤー。

 それもモニタも一緒になっているタイプなので、TVはいらずDVDだけがあれば見れるポータブルDVDプレイヤーだ。

 

「うーん……それなりにいいかも? 値段も手頃だし」

「でも、DVDプレイヤーを持ってる人って結構いるよ? そういう人がこれを貰っても邪魔になるんじゃない? どうせなら、大きい画面とかで見たいだろうし」

 

 透は消極的賛成で、三奈は反対か。

 実際、三奈の言いたい事も分かるんだよな。

 家で見るのなら、TVで見た方がいいし、あるいはPCを持っていればそっちで見てもいい。

 どこかに出掛ける時であれば使い道はあるが……それはそれでさっきのラジカセ程ではないが結構場所を取るしな。

 空間倉庫のようなものがあればその辺は気にしなくてもいいだろうが、生憎とそういう個性を持っている者はいないしな。

 なので、ポータブルDVDプレイヤーは諦め、何か他にいいのはないかと店の中を見て回る。

 デパートに入っている電気店だけあって、広さそのものはそこまででもない。

 だが、それでもこうして見て回ると色々と面白いものがある。

 ……電気マッサージ器、いわゆる電マの類もあったが……うん、止めておこう。

 これは普通に健康器具として使われるのならともかく、夜の行為に使う事でも有名だし。

 峰田辺りがこの電マを交換会で入手したら、暴走しかねないし。

 あるい……マッサージ器という事であれば、温泉や銭湯にあるような椅子形のマッサージ器を……それこそラジカセ以上に大きすぎて、とてもではないが置く場所がないか。

 あ、でも1階の共有スペースに置くのはあり……それなら別にプレゼント交換会で交換する必要もないよな。

 そもそも、プレゼント交換会をやるのに、これをそれぞれが持つというのは厳しいし。

 それにまだ公安に雇われている時なら金を自由に使えたものの、既に俺は公安からの仕事は受けていない。

 いやまぁ、それでも俺は壁として他の生徒達の前に立ち塞がってはいるけど。

 それでも金に余裕がない訳でもないから、こういうのも買おうと思えば買えるんだが……わざわざやる必要もないか。

 

「あ、ねぇ、アクセル君。こういうのはどう?」

 

 店の中を見て回っていると、透がそう声を掛けてくる。

 透の視線の先にあったのは、電気ケトルだ。

 それも無骨な奴ではなく、透の選んだ目覚まし時計と同じくインテリアとしても使える奴だ。

 一応寮の1階にある共有スペースに各種調理器具の類もあるから、紅茶やコーヒー、あるいは粉を溶かすタイプのスープであったり、カップ麺を食べたくなったりしたら、1階で問題なく出来る。

 出来るのだが、部屋から出るのが面倒臭いとか、そういう時に部屋に電気ケトルがあれば便利だろう。

 

「そうだな、これにするか」

 

 どうせならという事で、ちょっと高めの電気ケトルを買う。

 インテリア性を重視している為か、沸騰させることが出来るお湯はそこまで多くはないものの、数人がお茶を飲んだりカップラーメンを食べるくらいの量は十分に賄える。

 もっとも、カップラーメンの中にはかなりのお湯を使うタイプもあるので、そういう時は2人分くらいで限界かもしれないが。

 ……まぁ、それならそれで、1階でお湯を沸かせばいいだけだしな。

 

「じゃあ、全員が決まったところで……ごめん、アクセル。私と透でちょっと買い物してきたいから、待っててくれる?」

 

 支払いが終わり、プレゼントという事でラッピングもして貰ったところで三奈がそう言ってくる。

 俺も一緒に……と言おうかと思ったものの、こういう時は無理に行くと言ったりはしない方がいいというのは理解しているので、素直に頷く。

 

「分かった。なら……確かこのデパートの外にはケーキが美味い喫茶店があったよな? そこで待ってるから」

「うん、その……ごめんね。アクセルが喜ぶ……」

「ちょっ!」

「ん!? えっと、とにかく待っててちょうだい!」

 

 そう言い、三奈と透は2人で買い物に向かうのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。