転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4762話

『メリークリスマス!』

 

 その言葉を合図に、クリスマスパーティが始まる。

 クラッカーが鳴り、誰の選曲かは分からないがそれっぽい感じの音楽が流れ、テーブルの上にはランチラッシュが作ったクリスマス用の豪華な料理が並んでいる。

 ランチラッシュの作った料理だけに、どれも美味そうだ。

 また、それ以外にも街中で買ってきた料理だったり、材料を買って自分達で作った料理もある。

 ちなみに俺は、以前住んでいたマンションの1階にある高級スーパーでローストビーフとテリーヌ、他にも幾つかクリスマス用の惣菜盛り合わせを買ってきた。

 あのスーパーは値段は高いものの、味は保証されてるしな。

 とはいえ、今夜はクリスマスだけにここでのパーティが終わった後はホワイトスターでもパーティを楽しみ、夜は夜で聖夜ならぬ性夜を楽しむ予定になっている。

 そういう意味では、あまりこのパーティではしゃぎすぎにないようにしないといけないだろうな。

 俺にとって幸運だったのは、混沌精霊なので何をどのくらい食べても即座に体内で分解され魔力として吸収されるので、腹一杯になって動けなくなったり、気持ち悪くなったりといった感じにならない事だろう。

 

「うーん……こうして見ると、アクセルってサンタの格好も似合うね」

「そうか?」

 

 ランチラッシュの作ってくれたエビフライをタルタルソースとウスターソースで味比べしていると、少し離れた場所に座っている響香がそう言ってくる。

 このクリスマスパーティに参加する者達は、全員がサンタのコスプレをしている。

 もっとも、本当にサンタっぽい衣装を着ているだけの者もいれば、飯田のように付け髭で本格的にコスプレをしている者もいるが。

 ……また、女子達はミニスカサンタだったりもする。

 

「響香もその服、似合ってると思うぞ」

「……その、あんまり下は見ないでくれると……」

 

 照れた様子で言う響香。

 太股が半ば剥き出しになっている状態は、それこそ見る者が見れば興奮してもおかしくはない。

 それが響香にとっても恥ずかしいのだろう。

 とはいえ、今日は照れていてもイヤホンが蛇の如く動いていたりしていないので、響香さんになったりはしないのだろう。

 

「そういえば……えっと、アクセル。アクセルはインターンどうするの? やっぱりリューキュウの事務所?」

 

 響香が話を逸らすかのようにそう言ってくる。

 とはいえ、その話題はA組の面々……いや、B組の面々にとっても大きな意味を持つものだろう。

 那歩島での、そしてB組の北海道での郊外ヒーロー活動が終わってからまだそんなに立っておらず、ナインの騒動があったのに、またインターンだしな。

 しかも前回の……死穢八斎會の一件があった時は限られた者達だけのインターンだったのに対し、今回は何故か生徒全員がインターンに参加するらしい。

 明らかに何かおかしいだろうとは思う。

 原作的な流れを考えれば、何らかの騒動があってもおかしくはないと思う。

 思うのだが……それこそ那歩島の一件があってから、殆ど休みなしで連続して大きな騒動が起きるというのは、タイミング的にどうなんだ?

 あるいは原作がクライマックスに向かっているのかもしれないが。

 

「どうだろうな。一応リューキュウから連絡は来ているけど、他にもミルコだったり、プッシーキャッツ……後は少し変化球的な感じでギャングオルカやウォッシュ、マジェスティックなんかからも話は来ている」

「アクセルだから、リューキュウの事務所は分かるし、プッシーキャッツやミルコとも繋がりがあるから分かるし、ギャングオルカもヴィランっぽい感じで納得出来るけど、ウォッシュやマジェスティックは何で?」

 

 俺と響香の話を聞いていた三奈がそう聞いてくる。

 龍子や優、信乃、流子……つまりリューキュウとプッシーキャッツは何だかんだと俺と色々と付き合いがある。

 ミルコの方は、付き合いもそのものはそこまである訳ではないが、俺を強者であると認識しているからかもしれないな。

 ギャングオルカの場合は……まぁ、うん。俺のヒーローコスチュームはヴィランっぽいというか、大魔王的な感じであるのは間違いないので、その辺からのインターン要請である可能性は十分にある。

 

「ウォッシュは……本当に何で俺にインターンを要請してきたのか分からないな。そもそも俺も会った事はないし」

 

 それこそ俺がウオッシュで知ってるのは、オールマイトが引退を宣言し、エンデヴァーがNo.1ヒーローになったビルボードチャートの一件くらいだ。

 あの時、No.8のヒーローだったか?

 子供からの人気は高いらしいが、それで何で俺になのやら。

 

「じゃあ、マジェスティックは何で?」

「さぁ?」

 

 こっちはウォッシュ以上に俺との接点はない。

 ビルボードチャートでもトップ10にいなかったし、何らかの理由で一緒だった訳でもない。

 死穢八斎會の一件で一緒だったか? そうも思ったが……あの件には関わっていなかった筈だ。

 

「緑谷、ちょっといいか?」

「どうしたの、アクセル君」

 

 切島とインターンについて話していた緑谷を呼ぶと、すぐに反応する。

 ヒーローオタクの緑谷は、ヒーローについて分からない事があったらすぐに教えてくれるから助かる存在なんだよな。

 

「マジェスティックってプロヒーローについて教えてくれないか?」

「マジェスティック? 個性は魔法でかなり有名なベテランのプロヒーローだよ」

 

 そう言い、ブツブツブツブツブツブツと、マジェスティックについての情報を話していく。

 取りあえずマジェスティックとやらの趣味嗜好とかは気にしない事にして……今の俺に必要なのは、やっぱりその個性か?

 魔法という個性……そういうのがあるんだな。

 であれば、俺について何かを聞いて、それで自分に近い存在だと判断した可能性もあった。

 勿論、俺がそのまま魔法を使っているとはいうのは、マジェスティックにとっても予想外ではあるだろうけど。

 ただ、それでも俺を何か……それこそ映像とかで見て、ピンときた可能性はある。

 うーん、悩むな。

 

「どうしましたの、アクセルさん? マジェスティックに何か?」

 

 テリーヌを食べつつ、ヤオモモがそう聞いてくる。

 良家の出だけあって、ヤオモモの食事のマナーは非常に綺麗だ。

 中には食べ散らかすといったような表現が相応しい者達もいるしな

 

「マジェスティックの個性の魔法が気になるんだよ」

「ああ……」

 

 俺についての真実を知っているヤオモモだけに、俺がマジェスティックについて気になるというのは納得出来たらしい。

 納得したように頷きつつ、口を開く。

 

「では、私はマジェスティックの事務所に行ってみるのもいいと思いますわ。インスピレーションというのは、大事ですもの」

 

 そんなヤオモモの言葉に何人かが頷いているのが見えたが……何かこう、企んでないか?

 何となく……本当に何となくだが、そんな風に思ってしまったのは、きっと俺の気のせいとかそういう事ではないと思う。

 だからといって、俺とマジェスティックを会わせるのに何の意味があるのかと言われると、反論は出来ないが。

 そうして話していると、自然とパーティの主な話題はインターンについてのものとなる。

 ちょっと面白かったのは、パーティはともかくサンタのコスプレは絶対にしなさそうな爆豪までもがサンタの格好をしている事だろう。

 当然ながら、爆豪は最初それを嫌がった。

 それこそ相変わらずのヴィラン顔負けといった様子で睨み付けてくるくらいに。

 だが……そんな爆豪だったが、何気にコントロールしやすい一面もある。

 サンタの格好も出来ないのか? まぁ、爆豪なんだから仕方がないな。無理は言わないよ。

 そう口にすれば、爆豪はあっさりとサンタのコスプレを受け入れたのだ。

 前々から思っていたけど、爆豪のこの煽り耐性のなさはプロヒーローとしてちょっと問題じゃないか?

 それこそヴィランに何かを言われれば、即座にそれに引っ掛かりそうな気がするし。

 ……さすがにヴィランを相手に、そういう風になるとは思わないが。

 そんな風に思っていると、不意に峰田が叫ぶ。

 

「おおい! 清しこの夜だぞ!? いつまでも学業に現を抜かしてんじゃねえっ!」

「斬新な視点だな、おい」

 

 峰田にそう言ったのは、一体誰だったのか。

 ともあれ、ちょうどそのタイミングで砂藤が1階に姿を現した。

 

「まぁ、まぁ。峰田の言い分にも一理ある。今はまず……ご馳走を楽しもうぜ」

『料理も出来るシュガーマン!』

 

 姿を現した砂藤の手にあったのは、皿。

 勿論それはただの皿ではなく、七面鳥のローストが載っていた。

 出来たてなのは、料理の様子を見れば明らかだ。

 俺の部屋の隣にある砂藤の部屋にはオーブンがある。

 それを使って焼いていたのだろう。

 しかも、それで作ったのが鶏のローストではなく、七面鳥のローストというのが素直に凄い。

 日本ではクリスマスになるとフライドチキンの店がもの凄い混むが、アメリカでは一体何故クリスマスにフライドチキン?? と疑問に思っている者も多いとか何とか。

 アメリカでは、クリスマスといえば七面鳥のローストが一般的らしい。

 もっとも、肉質だったり料理する者の技術にもよるが、七面鳥というのは一般的に鶏よりも肉質が固い。

 なので、日本人の口に合わないという一面もあるんだよな。

 実際、日本人が柔らかい和牛を好むのとは裏腹に、アメリカ人は赤身肉を好むって何かで見た覚えがあるし。

 その辺は人種というか、種族的に唾液の量が多いからとか何とか、そういうのが理由だった気がする。

 あくまでもそういう話を聞いた事があるような、ないような? といったうろ覚えの知識だから、もしかしたら間違っている可能性も決して否定は出来なかったが。

 ともあれ、砂藤が持ってきてくれた七面鳥のローストを皆で食べる。

 七面鳥なのに肉質が柔らかい為に、かなり評判が良かった。

 その後はプレゼント交換会を行ったり、歌ったり踊ったり騒いだり……といったような楽しい時間だった。

 ちなみにプレゼント交換会で俺が入手したのは、よく眠れるという枕と枕カバーだった。

 枕の方は何か特殊な素材で作られており、ネットとかでも評判が良い……らしい。

 実際、ちょっと試してみたんだが、頭をすっぽりと包み込みつつ、適度な弾力があって、評判が良いのも納得出来た。

 もっとも、枕とかそういうのはネットで評判がよくても個人によって合う合わないというのがあるので、実際に使ってみないと分からなかったりするんだが……幸い、ちょっと使ってみたところだと、俺には合うらしい。

 なので、この枕を用意した口田には感謝しておく。

 ちなみに俺のプレゼントはヤオモモの手に渡った。

 ヤオモモが喜んでいたので、良しとしておこう。

 そんな訳で、楽しいうちにパーティも終わって現在は後片付けの時間となっていた。

 こういう風に全員で片付けるのもまた、パーティの楽しさではあるよな。

 何人かはもうパーティが終わったという事で、残念そうにしてもいたが。

 俺の場合はこの後でまたパーティが……そう思っていると、スマホに連絡が入る。

 電話ではなく、メール。

 しかもそれがホワイトスターにいるレモンからのメールだが……一体どうやったんだろうな。

 まぁ、レモンならそのくらいは出来て当然か。

 あるいはルリやラピスの力を使ってのものかもしれないが。

 そう思ってメールの中身を見ると……ちょっとした騒動があったので、今日のクリスマスパーティは明日に延期。

 今日はホワイトスターに戻らなくてもいいから、ヒロアカ世界で頑張ってちょうだいという事だった。

 ちょっとした騒動?

 ホワイトスターの方で本当に何かあったのか?

 それを疑問に思って首を傾げる。

 ホワイトスターの人材を思えば、それこそ何があっても容易に対処出来るだろうと思う。

 だというのに、こうしてわざわざ連絡をしてくるという事は……俺にはちょっと想像出来ないような何かがあったと、そういう事になるのだろう。

 それが具体的に何なのかは分からないが。

 ……もしかして、門世界の騒動があった時のように、どこか他の世界の軍勢が何らかの手段でホワイトスターに攻撃してきたとか、そういう事はないよな?

 さすがにもしそのような事があったら、俺に戻ってこいと言うだろうし。

 それに、頑張って欲しいというのもちょっと疑問だ。

 クリスマスイブを楽しめとか、そういう風に言われたのなら分からないでもないんだが。

 とにかく、少しでも早く戻ってこいとかそういう風に言われた訳ではない以上、ホワイトスターに戻らなくてもいいか。

 文面からは戻ってくる必要はないと、そんな風に書かれているし。

 であれば、俺がわざわざ戻る必要はないのだろう。

 そんな訳で、パーティの後片付けを終えると、自分の部屋に戻る。

 ……今夜はホワイトスターで楽しむ予定だっただけに、ちょっと拍子抜けだな。

 そんな風に思いながら口田から貰った枕の感触を楽しんでいると……再び、スマホに着信があるのだった。

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