転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4763話

 午後10時少し前……クリスマスパーティが終わって、ホワイトスターで行われる予定だったパーティも明日に延期になったという事で、プレゼント交換で口田に貰った枕の寝心地を試す為に少し早いが寝るのもいいかと思っていたところでスマホに着信があり……その為、今の俺は寮の外に出ていた。

 それも寮のある場所から結構離れた場所だ。

 まぁ、寮は集合団地のように近くに同じような寮がたくさんあるといった形跡なので、外で何かをやっていれば他の寮の部屋から見えたりもするので、そういうのは避けたかったのだろう。

 それは分かったのだが……

 

「てっきり、ヤオモモだけがいると思ったんだけどな」

 

 スマホに送られてきたメールは、ヤオモモからのものだった。

 そのヤオモモが来て欲しいと書かれていた場所に向かうと、そこにはヤオモモ以外にも何人もの姿があった。

 そこにいたのは、ヤオモモ、一佳、三奈、透、響香の5人。

 それも妙に着飾った……パーティの時、サンタのコスプレ衣装の下に着ていたのとは違う、着飾ったかのような服装だった。

 

「申し訳ありません、アクセルさん。ですが……私達全員、このクリスマスイブの夜という今日この時を逃がす訳にはいかなかったのです」

 

 そう言い、頬を薄らと染めて言うヤオモモ。

 他の面々も、ヤオモモと同じように照れ臭そうにしていた。

 透だけは透明なので分からないが、他の面々の様子からするとそう違っていないと思う。

 そして、俺もまたこの場所に呼び出された意味を理解する。

 何人も恋人がいる身としては、当然その手の事にはそれなりに詳しいという自負がある。

 ……まぁ、そう言ったら恋人達の何人か――というか、かなり多く――には呆れの視線を向けられたが。

 ともあれ、それだけにヤオモモ達が俺に向けている好意には気が付いていた。

 そして今日はクリスマスイブ……これで雪でも降っていれば、これ以上ない程にロマンチックではあるのだろう。

 ただ、それでもこうしてここに呼び出されたのが愛の告白だと絶対的な確信を持つ事が出来ないのは、ヤオモモ達が1人ずついるのではなく、全員で纏まっている為だ。

 茨がいないのは……まぁ、うん。茨の場合は俺に身も心も捧げているものの、それでもあくまでも茨が俺に抱いているのは信仰心であって、愛とか恋とかそういうのではない。

 なので、ここに茨がいないのは理解出来た。

 ……それはいいとして、この状況で一体俺にどうしろと?

 いや、もしかしたら……本当にもしかしたらだが、告白と決まった訳ではない。

 もし告白であれば、こうして5人で一斉にというのはないと思うし。

 

「ヤオモモに呼ばれたんだから、ここに来るくらいは構わない。けど……何でこんな時間に、こんな場所に?」

「……アクセル、分かって言ってるよね? クリスマスイブの夜にこうして来て貰ったんだから、その意味くらいは予想出来ると思うけど」

 

 俺の問いに答えたのは、一佳だ。

 ……その一佳の言葉を聞く限りでは、やっぱり愛の告白だとしか思えない。

 思えないのだが……

 

「予想は出来る。出来るけど……もし俺の予想が正しい場合、こうして複数で一気に……って事はないと思うんだよな。そうなると、俺の予想は違っている可能性もある訳だ」

「……ちなみに、アクセルはどういう予想をしていたの?」

 

 俺の言葉を聞いた三奈が、そう尋ねてくる。

 尋ねた三奈だけではなく、他の者達も真剣な表情で俺を見ていた。

 顔は見えない透もまた、その雰囲気から他の面々と同じような感じだろうというのは予想出来てしまう。

 今のこの状況を思えば、まさか誤魔化す訳にもいかないか。

 

「俺の思い込みや自意識過剰とか、そういうのじゃないのを考えると……愛の告白だろうというのは予想していた」

『……』

 

 愛の告白という俺の言葉を聞いても、誰もそれに対して反応はしない。

 えっと……少しくらいは何か反応してくれてもいいと思うんだが。

 

「私達も、最初は1人ずつアクセルに告白をするつもりだったわ。けど……今までこの面子で一緒に行動する事も多かったから、全員が全員の気持ちをしっかりと理解してたのよ。なら、ヤオモモが全員一緒に告白をしましょうって……」

 

 三奈の言葉に、ヤオモモは最初困った様子でこちらを見ていたが……一佳の方を見ると、覚悟を決めた様子で口を開く。

 

「アクセルさん、ここにいるのは私も含めて全員がアクセルさんを好きだと……男性として愛しています。であれば、私達だけが知っているアクセルさんの真実を説明した方がいいのではないでしょうか? その上で、まだアクセルさんに対する想いが消えていないのであれば、受け入れて欲しいと思います」

「そうだね。私もヤオモモに賛成。……私とヤオモモだけが事情を知っているというのは、色々と思うところがあるし」

 

 ヤオモモに続き、一佳も同意するようにそう言う。

 ……なるほど、そう言われるとそうした方がいいかもしれないなとは思うな。

 偽り……という訳ではないが、それでも色々と隠している俺を好きになってくれた女達だ。

 であれば、そんな女達に隠し事をするというのが、そもそもの間違いだ。

 

「えっと……その、どういう事? 一体何を言ってるの?」

 

 ヤオモモと一佳の会話を聞き、透が不思議に言う。

 三奈と響香も口には出さないが、一体何の事について話しているのかと、そんな疑問の表情を浮かべていた。

 

「……そうだな。分かった。お前達の気持ちは嬉しい。嬉しいが、まずは俺の話を聞いてくれ。それを聞いた上で……それでもまだ俺を好きでいてくれるのなら、俺もしっかりと考えさせて貰う」

 

 そう言うと、事情を知らない3人は真剣な雰囲気となる。

 多分だが、俺が具体的に何を言おうとしているのか……そういうのは分からないものの、それでも俺の様子から真剣な話であるというのは分かったのだろう。

 

「さて、何から言うか……そうだな。まずはこれを見せておくか」

 

 パチンと指を鳴らすと、次の瞬間俺の姿は白炎と化し……

 

「きゃああああっ!」

「ちょっ、アクセル君!」

「ばっ、何をやってるのよ!」

 

 三奈、透、響香の3人が焦った様子で叫ぶ。

 何も知らない状況で今のような光景を見れば……自分で言うのもなんだが、恋する男がいきなり白炎に包まれるといったような事になれば、そんな悲鳴を上げるのは当然の事だった。

 だが、次の瞬間には白炎に包まれた俺の身体は大きくなっていき……白炎が消えた時、先程までの10代半ばの姿から20代のものへと変わっていた。

 

「……え?」

 

 そう口にしたのは、一体誰だったのか。

 ともあれ、事情を知らない三奈、透、響香の3人は呆然とした様子で俺を見ていた。

 

「これが俺の混沌精霊としての能力だ」

「……えっと、つまり、それがアクセルの本当の姿って訳?」

「響香の言いたい事は分かるが、それは半分正解で半分外れだ。今の俺のこの姿も……」

 

 パチン、と。

 言葉の途中で再び指を鳴らし、俺の姿が白炎に包まれる。

 2度目だからか、それとも別の理由からか、驚いてはいるものの先程のように悲鳴を上げたりしない。

 そんな中、白炎に包まれた俺の姿は再び縮んでいき……先程の、雄英に通う者達が知っている10代半ばよりも更に小さく、10歳程のものになる。

 

「この姿も、どれも偽物って訳じゃない。言ってみれば、どれも本物だ」

 

 そう言い、再び指を鳴らして身体を白炎と化し、三奈達が見慣れている10代半ばの外見となる。

 

「あ……今の小さいアクセル君、可愛かったのに」

 

 しん、とした静寂の中で、透のそんな呟きが妙に響く。

 

「……まぁ、そうだよね。ウチもさっきの小さいアクセルは可愛いと思った」

 

 意外と10歳の姿の評判がいいな。

 そんな風に思うものの、今はまず諸々の事情を説明する必要があるのでスルーしておく。

 とはいえ……うーん、どこから説明したものか。

 やっぱりここは最初から説明しておいた方がいいな。

 

「まず、今から言う事は多分お前達にとってとてもではないが信じられない事だろうとは思う。思うが、それでもまずは話を聞いてくれ」

 

 そう言うと、三奈達は再度真剣な表情になる。

 ……ヤオモモと一佳がちょっと面白そうな、それでいて同情しているかのような、そんな視線を3人に向けていることには気が付いたものの、そちらについては何も言わない。

 多分、自分達が心の底から驚いたのを、三奈達にも同じように驚いて欲しいと、そう思ったのだろうし。

 

「まず最初に言っておくのは、俺はこの世界の人間じゃない。異世界から来た存在だ」

「えっと……いきなりアクセルが何を言ってるのかわからないんだけど」

 

 響香がそう呟くと、三奈と透も同意するように頷く。

 透の場合は、服とかの動きからそうだろうと予想しただけだが。

 

「まぁ、そういう風に言いたくなる気持ちは分かる。けど、実際そうなのは間違いない。お前達も、漫画とか映画とか、そういうので異世界から来た何かというテーマがあるのは知ってるだろう?」

 

 個性による混乱期によって、多くの文化……それこそ漫画とか映画とか、そういうのが消えたのも事実だ。

 だが、それでも母数が大きかった為に残っている物も大量にある。

 そういうのの中には、それこそ異世界から来た存在と交流したり、あるいは敵対したりといったようなストーリーの物も珍しくはない。

 

「まさにそういうので出て来た異世界の存在が俺だな。で、俺がこの世界に来たのは去年で、その場所が丁度リューキュウとマウントレディが訓練をしていた場所で、そこから公安に連絡がいって……雄英に入ったのは、公安から生徒達の壁となる事でより強く優秀なヒーローを増やして欲しいからというものだったな。……ああ、言っておくけど公安によって裏口入学とかそういうのはしてないぞ? 公安からの依頼が来た時にはもう推薦入学とかは出来なくなっていたから、普通に入学試験を受けた。……三奈や透、一佳と会ったのは、その試験の時だったな」

「……じゃあ、もし公安から依頼が来てなかったら、アクセルは私と会えなかったって事?」

 

 確認するような三奈の言葉に、頷きを返す。

 

「そうなるな。実際、もし公安からの依頼がこなければ、ずっとリューキュウの事務所にいただろうし。……ああ、でもリューキュウの事務所にはねじれがいたから、全く雄英の生徒と関わらないとかはなかったと思うけどな」

 

 神野区の一件とか、死穢八斎會の一件とか、雄英の生徒が関係する事件に流子や優もプロヒーローとして関わっていた以上、もし俺が雄英の受験をしなくても、何だかんだと雄英の生徒と関わり合いになった筈だ。

 

「そうかもしれないけど……でも、そうなると公安に感謝しないとね。その公安の依頼があったから、私はアクセルと会えたんだし」

 

 三奈の言葉に、笑みを浮かべる。

 そう言ってくれるのは、俺としても嬉しいしな。

 

「で、異世界って……アクセルの様子を見ると、私達とそう変わらないように見えるけど?」

「響香の言う通りだ。異世界と言ってもそこまで大きな違いはない。……寧ろこの世界、ヒロアカ世界と名付けているけど、個性を持つ者が多いこの世界の方が特殊だな」

「え? ……ちょっ、アクセル君? その、ヒロアカ世界ってのはともかく、もしかして他の世界って個性がないの!?」

 

 信じられないといった様子で透が叫ぶ。

 他の2人も同じように驚きの表情を浮かべていた。

 まぁ、その辺については分からないでもない。

 このヒロアカ世界の住人にとって、個性というのはあって当然のものだ。

 個性こそが……そして個性を持つヒーローこそが、この世界の根幹であると言ってもいいのだから。

 恐らくだが、透達にしてみれば俺が異世界から来たと聞いても、異世界にも普通に個性があるという風に思っていたのだろう。

 この辺は、生まれ育った世界の影響であると考えれば、そうおかしな事ではない。

 

「そうなるな。とはいえ、特徴がない訳じゃないぞ? 魔法が存在したり、銀河の外まで移民する為に宇宙船で移動していたり、人型機動兵器……ロボットと言った方が分かりやすいか? そういうのがあったり、他にも宇宙にコロニーを作ってそこで世界の大半の者達が暮らしていたり、大正時代に鬼と戦っていたり」

 

 ざっと思いつく限りの内容を話すと、それが予想外だったらしい。

 三奈、透、響香はそれぞれ信じられないといった様子で口を開けている。

 うーん……X世界のようにコロニー落としがされた世界とか、オルフェンズ世界のように火星が植民地状態で搾取されていたとか、そういうのは言わない方がいいか。

 他にも色々な世界があるものの、今はまず俺が異世界の存在で、このヒロアカ世界が色々と特殊な……世界的に見ればかなり珍しい世界であると、そういう風に説明した方がいいだろう。

 そんな訳で、俺は三奈達に向かって異世界の存在であったり、このヒロアカ世界が特殊な世界であると、そう説明するのだった。

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