転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4767話

「んん……?」

 

 クリスマス本番ではあるが、昨夜の行為の影響もあって寮に帰ってきてから、朝食を食べてからすぐに寝た。

 一応ホテルでも寝たけど、そもそもホテルにチェックインしたのが遅かったしな。

 寮でクリスマスパーティを行い、それが終わってから呼び出されて告白され、ヤオモモと一佳以外の、俺の事情を知らない者達に事情を話し、それで透は現状維持、響香は俺と付き合わないという選択をしてから寮に戻り、ヤオモモ、一佳、三奈の3人が俺と付き合う事になり、それからホテルにチェックインしたのだから。

 そうして初めての夜をすごし、朝は朝で早朝に……冬だけにまだ暗い時間にチェックアウトして雄英に戻ってきたのだから、少しくらいゆっくり寝るのはそうおかしな話ではない。

 ……ランチラッシュの作った料理を食べ逃す事がないよう、朝食はしっかりと食べてからだが。

 とはいえ、昨夜のクリスマスパーティで結構豪華な料理……重い料理と言っても良いのかもしれないが、とにかくそういう料理が多数出た事もあってか、朝食は軽いものだった。

 それでもランチラッシュが作った料理だけあって、かなり美味かったが。

 個人的には、ホワイトスターにいる四葉とランチラッシュは互角のように思える。

 ……もっとも、料理人として見た場合は、どうしてもランチラッシュの方に軍配が上がってしまうが。

 四葉がランチラッシュと互角なのは、あくまでも中華料理……四葉の専門分野である中華料理に限定される。

 いや、純粋に中華料理だけで考えれば、あるいは四葉はランチラッシュ以上の腕を誇るかもしれない。

 だが、それはあくまでも中華料理だけだ。

 和食、洋食、イタリア料理、中東料理、トルコ料理……他にも様々な地方の料理があるが、そちらについてはランチラッシュの圧勝とまではいかないものの、上なのは間違いない。

 実際、冬休み前に食堂で上鳴がドネルケバブというトルコの料理を注文したのだが、普通に出てきたしな。

 ちなみにこのドネルケバブというのは、本来なら肉の塊を遠火でゆっくりと焼きながら、焼けた表面部分を切り取って、パン生地だったか何かに包んで食べるという料理だ。

 肉を回転させて焼くというのを、一体どうやったのか……あるいは単純に肉はフライパンとかで焼いただけなのかもしれないが。

 ただ、それでも上鳴は美味い美味いと言って食っていた。

 ……まぁ、聞いた話によれば上鳴も本物の、あるいは本場のドネルケバブを食べた事はないらしく、前日にネットにアップされた動画を見て、それで食べたいと思ったらしいが。

 ともあれ、ランチラッシュはそんな風に特定のジャンル以外の料理も作れる。

 本当に世界中のあらゆる料理を作れるのかとなるとちょっと難しいとは思うが。

 それでも総合的に見れば四葉以上の実力を持つのは間違いないのだから、そんなランチラッシュの料理を食べないという選択肢は俺にはない。

 若干寝惚けた頭でそんな風に思いつつ、スマホを手に取る。

 どうやら電話ではなくLINの新着メッセージ……いや、動画か? 動画が投稿されたらしい。

 何だ? と思って見てみると……

 

「うわぁ……」

 

 これ以上ない程の血涙を流し、それどころか得体のしれない不気味なオーラらしきものすら発している峰田が、アクセルと俺の名前の書かれた藁人形に釘を打とうとしている光景がそこにはあった。

 えっと、これ……一体何がどうなってそうなったんだ?

 そんな疑問を抱くも、すぐにその理由については納得する。

 あの峰田がこうしているのを思えば……恐らく、いや間違いなく俺がヤオモモと三奈と後はB組なのでこっちは不明だが、一佳と付き合う事になったのを知ったのだろう。

 一体どうやってそれを知ったのかは分からない。

 あるいはヤオモモや三奈が自分からその件を暴露したのか。

 別に隠すとかそういう事は決めていなかったので、そう考えれば……いや、でも、うーん……

 峰田が藁人形に対し、本格的に釘を打ち付けているのを見ながら、それはそれでどうなんだ? と思う。

 このヒロアカ世界は……いや、ヒロアカ世界の日本はと言えばいいのか? とにかくこの日本は多くの世界の日本がそうであるように、一夫一婦制だ。

 勿論、実際には愛人を複数囲っているとか、実質的に一夫多妻状態の者もいるだろう。

 そんな中で、わざわざ俺がヤオモモと三奈、そして一佳と同時に付き合う事になったとか、自分達から広めるとは思えない。

 特に俺や三奈、一佳はともかく、ヤオモモの家である八百万家は名家だし。

 面倒な事にならないといいんだけど……と思いながらも、起きるのだった。

 

 

 

 

 

「アクセル、てめええええええっ! この、ハーレム野郎がぁっ!」

 

 1階の共有スペースまで下りてくると、即座に峰田が俺に向かって突っ掛かってきた。

 ……いやまぁ、女好きの峰田にしてみれば、一気に3人と同時に付き合うようになった俺が妬ましくて仕方がないというのは分からないでもない。

 これが例えば3人同時ではなく、1人と付き合って別れて、その後でまた別の相手と付き合って……という感じだったら……それでも峰田は爆発しそうだな。

 ただ、それでも3人同時の今程には怒り狂わないと思う。

 というか、何だか今の峰田を見ると、もぎもぎという個性から呪殺といった個性になっていてもおかしくはないような感じがするな。

 

「3人と一緒に付き合うことになった訳だから、ハーレム野郎という称号は大人しく受け入れよう」

「あ……」

 

 俺の言葉に、何故か女達で集まっている中にいた三奈が、そんな言葉を上げる。

 ヤオモモもまた、言葉には出さないものの、口に手を当てていた。

 透の動きも固まり、麗日と梅雨ちゃんは何と言えばいいのか分からないといったような、微妙な表情になっていた。

 ちなみに耳郎だけは共有スペースにいない。

 ……まぁ、俺にフラれたというか、俺をフッた? どういう表現をすればいいのか分からないが、とにかくそんな感じだったので、多分今は1人でいたいという事なのだろう。

 

「3人? ……は? ちょっと待て。オイラが聞いた話とちょっと違うんだが? ヤオモモと芦戸の2人と付き合うって事になったんだよな? なのに……2人じゃなくて、3人だぁああぁあぁああぁ!?」

 

 3人という言葉に動きを止めた峰田だったが、何だかもの凄い……方向性こそ違うが、AFOと正面から向き合ってもやり合えるような、そんな迫力が込められた顔で俺を睨み付けてくる。

 あれ? 何で……そう思っていると……

 

「アクセル、ごめん。峰田にはちょっと刺激が強すぎると思って、一佳の件については話してなかったんだ」

 

 そう、三奈が言ってくる。

 三奈も何だかんだと、峰田と半年以上クラスで一緒だったのだ。

 であれば、峰田の性格についてはしっかりと分かっていてもおかしくはない。

 ……いや、峰田の性格なんかは1日どころか1時間、あるいは10分もあれば分かってしまうくらいには分かりやすいが。

 ともあれそんな訳で、どうやら三奈は自分とヤオモモが俺と付き合う事については話したものの、B組の一佳については何も言わなかったらしい。

 ただ、何だかんだとA組とB組は一緒に交流もあったりするので、ここで黙っていても結局はすぐに分かったと思うんだが。

 あるいは峰田を一時的にしろ落ち着かせて、それから一佳の事を言うつもりだったのかもしれないが……どうやら、それよりも前に俺が言ってしまったらしい。

 となると……もう俺達が付き合うようになったというのは公然の秘密的といった様子ではあるが、それならいっそしっかりと公言した方がいいか。

 

「峰田が悔しがるのは分かるが、俺はヤオモモと三奈、一佳と付き合う事になった」

『おおおおおおお!』

 

 まさかこうも堂々と俺が宣言するとは思っていなかったのか、共有スペースにいた面々――男女問わず――が、そんな驚愕の声を上げる。

 なお、その中で透が何だか……本当に気のせいかもしれないが、羨ましそうな視線をこちらに向けている気がする。

 透明なので、もしかしたら俺の気のせいなのかもしれないが。

 

「ぐぬぬぬ……お、覚えてろぉっ!」

 

 そう言い、峰田は自分の部屋に向かって駆け上がっていくのだった。

 どうやら堂々と複数の女と付き合っていると口にした俺に対し、色々な意味で感情が爆発してしまったらしい。

 峰田の性格を考えれば、そのくらいは当然なのかもしれないな。

 

「ちょっ、ちょっと、アクセル。幾ら何でも堂々と言いすぎじゃない!?」

 

 峰田の姿が消えると、三奈が俺の方に向かって走ってくる。

 ……動きがぎこちないのは、昨夜の一件の痛みがまだあるからだろう。

 あるいはそんな痛みから昨夜の一件を思い出したのか、それとも今の俺の言葉を聞いてなのか、ピンクの肌であるにも関わらず、見て分かる程に赤くなっている。

 

「あのなぁ……そう言いはするけど、俺が起きた時には既にクラスの殆ど全員が知ってたっぽいんだけど? いきなり峰田が藁人形に釘を打ち付ける動画が送られてきたくらいだし」

「それは……だって、その……しょうがないじゃない。女同士、色々とあるのよ」

「あ、ちょっと、アクセル君。広めたって主に私だから!」

 

 三奈を庇うように……というか、普通に真実を口にしたといった様子で透が俺に向かって言う。

 

「透が? ……何でまた?」

「えー……だって、やっぱりこういうのはクラスの皆で知っておくべきでしょ。特に私達はプロヒーローを目指してるんだから、尚更」

 

 いや、何でプロヒーローを目指していればそうなるんだ?

 そう俺には思えたのだが……周囲の様子を見ると、透の言葉に頷いている者が多い。

 あれ? この認識は俺がおかしいのか?

 そう疑問を抱くも……今の状況を思えば、ここで俺が何かを口にしてもあまり意味がなさそうなので、黙っておく。

 すると、ちょうどそのタイミングで階段から爆豪が下りてきて……

 

「けっ!」

 

 俺を見ると、そう一言呟く? 吐き捨てる? とにかくそんな感じで寮を出ていく。

 あれ? 爆豪の事だからてっきりもっと何かこう……あると思ったんだけどな。

 けど、実際には今のような一言だけだった。

 

「爆豪さんも私達を祝福して下さっているのだと思いますわ」

 

 三奈から少し遅れ、ヤオモモがこっちにやってくる。

 ……何故か残っている女組の方では麗日と透が梅雨ちゃんを慰めているように見えるが、一体何があったんだろうな?

 いや、梅雨ちゃんと峰田の関係を思えば、何となく想像は出来るが。

 どうやら昨夜のクリスマスイブでも、梅雨ちゃんと峰田の間に発展はなかったらしい。

 もしかしたら、梅雨ちゃんは峰田の行動を待っていたのかもしれないが。

 まぁ、恋の進め方というのは人によって違う。

 梅雨ちゃんと峰田の場合、あるいは麗日と緑谷の場合は、それぞれ自分達の速度で進んでいくのだろう。

 

「爆豪が祝福……ねぇ? ちょっと想像出来ないな。元々は俺をホスト野郎とかヒモ野郎とか、そんな風に言っていた奴だぞ? そんな爆豪が俺達を祝福するか?」

 

 ホスト野郎というのは最初の方だけで、今となってはヒモ野郎としか呼ばれていないが。

 ……あ、でもヤオモモや三奈、一佳と付き合う事になったのを思えば、もしかしたらヒモ野郎というのは当たっているのかもしれないな。

 あるいは、峰田が言ったハーレム野郎と呼ばれるようになるかもしれないが。

 そんな風に思っていると、不意にB組のアレな奴代表の物間が寮に乱入してきて、こちらを煽ってきて、それに一佳がやってきて思い切り殴って気絶したり……それが終わってから俺とイチャついたりといったような感じになったりもしたのだが、それはそれで楽しい時間だった。

 そして夜になると、昨日のパーティには劣るものの、それでもクリスマス本番という事でそれなりに豪華な夕食を食べてから、俺は部屋を抜け出しホワイトスターに向かうのだった。

 

 

 

 

 

「どうせなら、新しい恋人3人も連れてくれば良かったのに」

 

 1日遅れのクリスマスパーティを楽しんでいると、クスコがそんな風に言ってくる。

 恋人とのクリスマスパーティ――養子のルリ、ラピス、壊理の3人もいるが――の中で、諸々の事情を聞いたクスコからの言葉だ。

 そこには若干責める色があるのは……まぁ、本来昨日やる筈だったパーティが、1日ずれ込んで今日になったというのが大きいんだろうな。

 

「いずれ、そのうちな。……とはいえ、ヤオモモと一佳はもうここに来ているから、本当の意味で初顔合わせになるのは、三奈だけだと思うけど」

「私はヒロアカ世界の誰とも会ってないから、全員と会いたいところね」

「うーん……まぁ、私達の現状を考えると何とも言えないけど、高校生を……それも1年生をってのは、ちょっと不味いんじゃない?」

「だよね、クリス。私達なんか高校を卒業するまでお預けだったのに!」

 

 クリスの言葉に美砂がそう言い……俺は何とか誤魔化そうとする。

 その後も色々とあったが、最終的にはパーティが終わった後で、昨夜よりも更に激しく熱い夜を楽しむのだった。

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