「では、アクセル王。私はこれで失礼します」
「ああ。一応俺の部下が送っていくから大丈夫だとは思うが、いざとなったらすぐにヨルムンガンドまで戻ってこいよ」
ブリッジから出ていくカワッセに向かい、そう告げる。
カワッセがこれから向かうのは、タータラ城。
現在は間違いなく騒動となっているタータラ城に、何故この状況で行くのか。
それは、カワッセ達がナの国から乗ってきたグリムリーがタータラ城にある為だ。
カワッセがラウの国にやって来た時、最初にドレイク達に挨拶をしてからタータラ城に向かった。
そうなれば、当然のようにカワッセ達が乗ってきたグリムリーは、現在タータラ城にあるという事になる。
和平交渉の場所から、俺はカワッセ達を転移でヨルムンガンドまで連れて来た。
つまり、カワッセとしてはナの国のオーラシップであるグリムリーに戻る必要があるのだ。
カワッセの重要性……シーラの副官的な存在であることを考えれば、カワッセがタータラ城に戻らなくても、グリムリーをこっちに呼べばいいのでは? とも思って提案してみたが、それは却下された。
今の状況でグリムリーが動くような事があれば、ラウの国の軍隊を刺激するのではないかと、そう思ったらしい。
なら、俺が転移で送ろうかと言っても、停戦交渉の時のように危険な状況ならともかく、今の状況で俺に借りを作りたくないらしい。
とはいえ、俺の部下が送っていくのだから、それで十分借りになるような気もするんだが……まぁ、その辺はカワッセなりに色々と考えているのだろう。
そうしてカワッセがいなくなり、ドレイク達との通信も既に切れている事で、この場にいるのは俺の身内だけになる。
「それにしても、フラオン王が……」
しみじみと呟いたのは、キブツだ。
キブツにしてみれば、自分の仕えていた相手だし、そのフラオンが死んだという事に色々とあるんだろう。
実際には、キブツの目にあるのは悲喜こもごもといったような、複雑な感情の色だったのだから。
正確には、キブツはギブン家に仕えていて、そしてギブン家が領主としてフラオンに仕えていたといった形になるのだが。
「ある意味、この結果は当然の事だろうな」
「そうね」
間接的にではあるが、フラオンに仕えていたキブツと違い、俺とマーベルはフラオンが死んでも特に思うところはない。
いや、寧ろ個人的にはフラオンのような愚物にはとっとと死んで欲しいと思っていたので、そういう意味では喜んですらいたのだが。
「それにしても……今回の一件、やっぱり仕組んだのはフラオンだと思うか?」
そう尋ねると、マーベルとキブツは双方揃って複雑な表情を浮かべる。
正直なところ、停戦交渉の場を襲撃させるといったような真似をするのは、フラオンくらいしか考えられないのは事実だ。
だが、この場合問題なのは、その襲撃後の戦いでフラオンも死んでる事だろう。
普通なら自分の仕掛けた計略で自分が死ぬといったような真似をするか?
そう思うも、フラオンの能力を考えると普通にそういう事をしそうだという思いもあるんだよな。
フラオンの無能ぶりにここまで振り回されるというのは……うーん、フラオンは味方にいれば厄介だが、敵にいればこちらに利益をもたらしてくれる存在と思っていたが、ここに来て裏切られた気分だ。
「どうかしら。普通に考えればそうだけど……特に黒騎士というのは、凄く腕が立つんでしょう? そして以前多島海でゼラーナ隊が襲ってきた時、ショウのダンバインの姿はなかった。そう考えると、やっぱりフラオンの仕業と考えるのが自然なんだけど」
「ですが、ショウ・ザマが停戦交渉の場を襲ったのなら、何故わざわざ黒騎士などという変装を? ショウ・ザマではないと示したくても、黒騎士の技量が高いのなら正体はすぐに判明するのでは?」
「キブツの言いたい事も分かる。普通ならそうなるだろうけど……フラオンだしな……」
「フラオンだしね」
俺の言葉にマーベルも同意するように呟く。
今回の一件でせめてもの利益というのは、色々な意味で厄介なフラオンが死んだ事だろう。
同時にフォイゾンが死んだので、厄介な事態になっているのも事実だが。
ピネガンに関しては……
「ピネガンについてきたミの国の連中は、どう行動すると思う?」
「復讐でしょうね」
即座にマーベルが告げる。
実際、ピネガンと一緒に来た連中はピネガンに心酔している者達だ。
それだけに、その対象であるピネガンが殺されたのなら、復讐を願ってもおかしくはない。おかしくはないんだが……
「問題なのは、その復讐の矛先がどこに向けられるかだろうな」
ボゾンが攻撃をしてきたということは、襲撃をしたのはラウの国側の可能性が高い。
いや、そうでもないか?
ボゾンはダーナ・オシーの後継機だけあって、性能よりも生産性が高いのが特徴だ。
何しろ現在ドレイク軍で使われているオーラバトラーの中で一番性能の低いドラムロと同じかそれ以下といった程度の機体なのだから。
そうである以上、これまでの戦闘でドレイク軍が拿捕した機体も少なからずあってもおかしくはない。
それを使えば、もしかしたら……といった可能性もあるのか?
そう考えていると、マーベルが口を開く。
「フラオン軍とピネガン軍の間で戦いになったりするのかしら?」
「その可能性は……どうだろうな。そもそもピネガン軍が誰を敵と見定めるかによる。そういう意味では、ピネガンを冷遇していたフォイゾンに対して恨みを抱いている者もいるだろうし、ラウの国に攻撃を仕掛けるような奴が出て来てもおかしくはないけどな」
ピネガンに忠誠を誓っているだけあって、そのピネガンを冷遇していたフォイゾンに対しては、色々と思うところがある者もいるだろう。
あるいは、やはり敵対していたという事でドレイク軍とビショット軍に攻撃するか。
大穴としては、ナの国が仲介役となって停戦交渉をしたから、ピネガンが死んだと判断して、カワッセ達に攻撃をする可能性も否定出来ない。
「完全に混乱状態ね」
マーベルのその言葉は、端的に現在のラウの国の内部について表していた。
今の状況で俺達がどのように行動しようとも、恐らくはその混乱に拍車を掛けるだけだろう。
そうである以上、ここは無理をする必要もない……か?
というか、ここで下手に戦いの中に顔を突っ込んだりしようものなら、間違いなく俺達も混乱に巻き込まれてしまうだろう。
であれば……
「一度タータラ城から距離をとって静観してもいいかもしれないな」
「そうですね。このまま下手にタータラ城の近くにいれば、向こうの騒動にこちらも巻き込まれる可能性が高いでしょう。内部が混乱している状況でそれを纏めるには、外に敵を用意するのが一番手っ取り早いですし」
そう、キブツが言う。
実際、その言葉は決して間違ってはいないと思う。
ここで下手にタータラ城の近くにいれば、今回の停戦交渉への襲撃を行ったのはドレイク軍だといった風に言い始め、主君の仇を討てといったように判断して攻撃してきたりしかねない。
少なくても、今の状況ではそのような真似をされかねないのは事実だ。
「ウィル・ウィプスに通信を送れ。ドレイクなら当然この件については知っているだろうが、それでも今のうちにこの件については確認しておきたい」
如才ないドレイクなら、あの内部においてこちらを敵とする事で纏めようとする者がいるといったような事は想定している可能性が高い。
だが、それはあくまでも可能性が高いという話であって、実際にそうだと確信出来ている訳ではないのだ。
であれば、ここでその辺りについて話しておいた方がいいのは事実だった。
「ウィル・ウィプスと通信、繋がりました」
『アクセル王、先程通信で話したばかりだというのに、どうかしたのか?』
映像モニタに表示されたドレイクに対し、俺は頷く。
「ああ、ちょっと気になる事があってな。……今、俺達がいる場所から動いた方がよくはないか?」
現在俺達がいるのは、タータラ城のすぐ側といった訳ではないが、それでも極端に離れた場所といった訳でもない。
そうである以上、先程のキブツの心配が的中する可能性があった。
ドレイクも、俺のその一言で大体の話は理解したのだろう。
少し考え、やがて頷く。
『うむ、そうした方がいいだろうな。だが、どこに移動する? 下手な場所に移動すれば、それはそれで面倒なことになる。タータラ城で何かあった時、介入する機会を逃す可能性もあるが』
「その辺に関しては、偵察要員を送ってしっかりと確認するといったようにするしかないと思う。ともあれ、このままタータラ城の近くに俺達がいると、それを理由に残存勢力が一致団結してこっちに向かってきかねない」
あるいは、誰も纏め上げる人材がおらずドレイクやビショット、あるいは俺を倒した者がラウの国の後継者になる……なんて馬鹿な事を言い出す奴がいないとも限らなかった。
その辺の事情を考えると、やはりタータラ城から距離をとった方がいいのは、間違いない。
『分かった。すぐにビショット王と相談しよう。現在ビショット王はゲア・ガリングに向かっている。到着したらすぐにこちらに通信を送って貰い、離れた場所まで移動するようにしよう。しかし、どこまで移動するかというのは考えているのか?』
「まだその辺については考えていないな。けど、取りあえずここから離れて、それからどこに移動するのかといったようなことを考えてもいいだろう? タータラ城内部でいつこっちに出て来てもおかしくないし」
『そうなる可能性は十分にあるか。しかし、もし残存勢力がそのような真似をするとなると、一旦といった感じになるだろうが、誰か纏め上げる者が必要となる。それを、誰が行う?』
「誰が、か。……可能性としてはそれなりにいる。ギブン家やフォイゾンの部下の中でも有力な部下だった奴、パットフットは……あまり可能性がないと思うが。それに、今はまだ頭角を現していない奴とかがこれを機に出て来る可能性も否定出来ない」
黒騎士に命じて今回の一件を起こした奴は、フラオンの可能性が高い。
だが、それはあくまでも現時点ではその可能性が一番高いというだけであって、実際にはフラオン以外の者が……といった可能性も否定は出来ないのだ。
勿論、可能性としてはフラオンが今回の一件を企んだ可能性が高いのだし、黒騎士の正体はショウである可能性が高い。
だが、それはあくまでも可能性が高いのであって、実際にそれが正しいのかと言われると、正直なところ首を傾げるしかないのも事実なのだ。
『その中で一番可能性が高いとすれば、やはりフォイゾン王の部下か。大国だけあって、ラウの国には人材も多い。その中には、当然だがフォイゾン王の仇としてこちらを狙ってくる者もいるだろう』
「ロムンはどうだ?」
『ギブン家を率いるだけなら問題ないだろうが、他の勢力までをも率いるという形になるのは……どうだろうな。難しいだろう』
ドレイクにとってロムンは、それなりに評価はするが所詮領主止まりといったところらしい。
俺はロムンという人物に直接会った事はないので、その判断が正しいのかどうかは分からない。
ただし、今の様子を見る限りではそう間違ってはいないと思う。
「だとすれば……パットフットか?」
能力はともかく、血筋的にはフォイゾンの娘でピネガンの妻だ。
フラオン軍の方には伝手はない……どころか、フラオン軍はミの国で内乱を起こした人物である以上、敵という認識を持っていてもおかしくはないか。
ともあれ、ラウの国とミの国については指揮するだけの正当性を持っているのは、間違いない。
フォイゾンが勘当して縁を切った相手ではあるが、この状況でどうこう言ったりは出来ないだろう。
また、パットフットがラウの国を指揮するとなれば、ドレイクにとっても悪くはない筈だ。
「直接会った事はないが、俺が知ってる限りの情報だとパットフットは穏やかな性格をしていると聞く。フォイゾンのように血筋や伝統云々といったことでドレイクを敵視したりする事はないと思うし、ドレイクにとっても悪い話じゃないと思うが?」
『む……それは……正直なところ、分からん。アクセル王の言うように穏やかな性格であるというのは聞いているが、同時に国を捨ててまでピネガンと駆け落ちするような人物であろう。そうなると、そのピネガンが死んだ今となってはこちらと友好的にというのは無理ではないか?』
なるほど。ドレイクの言いたい事も理解は出来る。
パットフットの夫たるピネガンに、父親たるフォイゾンは、黒騎士の襲撃が原因で死んだのは事実だが、実際に手を下したのはドレイク軍の兵士だ。
そうなると、愛すべき夫を殺されたパットフットがドレイク軍を相手に停戦をといった事を考えるか?
「難しい、か?」
『儂はそう思う。私情を殺してラウの国を思えば、もしかしたら停戦を受け入れる可能性もあるだろう。だが、私情を殺す事が出来ない場合、寧ろ積極的に戦争を進めるといった風にもなりかねんだろう』
パットフットにしてみれば、ミの国の件もあるか。
夫のピネガンが治めていた国であり、フォイゾンと縁を切られた状態では自分の唯一帰るべき場所。
そこは、現在名称こそ分かりやすくミの国というままになっているが、実際にはアの国の領土の一部となっている。
その辺に関しても、ドレイクにしてみればパットフットを信じられない理由なのだろう。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1580
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1684