転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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2949話

 黒騎士にナムワンが襲われたという一件で、事態が動くという俺の予想は正解だった。

 というか、あの状況で味方が黒騎士に襲われたとなれば、事態が動くと予想するのは難しい話ではないのだから、別に自慢出来る事でもないのだが。

 当初はタータラ城の中でラウの国の面々が内輪揉めするのを黙って見ていただけだったが、積極的な偵察を行い始めた。

 積極的とはいえ、それはあくまでも偵察でしかない。

 偵察でしかないのだが……ラウの国側にしてみれば、それが面白い筈もない。

 当然ながら、タータラ城の近くではドレイク軍とラウの国の軍隊の小競り合いが何度も起こっていた。

 ……ある意味、既に新たな戦闘が始まっていると思ってもいいのだろうが。

 それでも今のところ、ドレイクはタータラ城と本格的に戦う予定はないらしい。

 おかげで本格的な戦闘にはなっていないが、そうなるのは時間の問題だろう。

 疑問なのは、その戦いにおいて黒騎士が出て来ていないという事だが。

 結局黒騎士が誰なのかというのは、未だに判明していない。

 正直、あいつは何なんだろうな。

 まるで事態を混乱させる為に出て来ているようにしか思えない。

 最初に停戦交渉の件しかり、その後のナムワンへの攻撃しかり。

 それでいて技量も高いんだから、戦場にいる方にしてみればたまったものではないだろう。

 

「アクセル、私達はどう動くの?」

「どう動くと言ってもな。マーベルのダンバインの強化も終わってないし」

 

 元々、マーベルのダンバインの強化は、現在半ば停戦状態だったからこそ時間があると判断してショットに頼んだのだ。

 勿論あの停戦状況がいつまでも続くとは思っていなかったが、それでもダンバインの強化が終わるまでは……と思っていた。

 しかし、それも黒騎士による襲撃で再び本格的な戦いに向かってカウントダウンが始まっている。

 

「一応、アクセルがライネックを貸してくれるんでしょう?」

「そのつもりだが、出来れば俺達が出撃する事態になって欲しくないというのが、正直なところだな」

 

 不幸中の幸いなのは、現在の俺達はビショットと行動を共にしている事だろう。

 ナの国への特使の件で半ば有耶無耶になってしまっていたが、元々シャドウミラーはこの戦争においてビショットと行動を共にする事になっていた。

 そして現在ビショットは戦いをドレイクに任されている。

 もしビショットが最前線に出るのなら、俺達も出撃する必要があるだろうが……今のところ、その様子はない。

 とはいえ、いつまでもその通りとはいかないんだろうな。

 元々ビショットは、ゲア・ガリングのテスト運用をするつもりでドレイクからの援軍要請に応えたといった側面がある。

 だが、その肝心のゲア・ガリングは何だかんだと今までろくに戦ってもいない。

 ビショットにしてみれば、ドレイクの援軍に来たという時点で最低限の役目は果たした形になってはいるのだが……それでも、やはり自分達で開発したオーラバトルシップの性能を見たいと思うのは当然だろ。

 ただし、ゲア・ガリングの性質上、ウィル・ウィプスのように最前線で戦うようなものではないんだよな。

 ゲア・ガリングは中衛向け……それも、どちらかと言えば後衛寄りの中衛といった場所で本領を発揮するオーラバトルシップだ。

 ヨルムンガンドのように完全に後衛型といった訳ではないが、それでも前衛で戦うのは無理があった。

 ましてや、敵にはショウや黒騎士といった腕利きがいる。……同一人物の可能性があるが。

 

「まずは、ドレイク軍とラウの国の軍隊のお手並み拝見といったところか。具体的にどのくらいの規模の戦いになるのかは分からないけど」

 

 ドレイクが、現状のラウの国をどこまで自分の物にしようとしているのかで、その辺は変わってくるだろう。

 本気でラウの国の全てを占領しようとしているのなら、徹底的にラウの国と戦い、タータラ城を占領するだろう。

 そうでない場合はラウの国の戦力を減らしつつも、そこまで本気で戦うような真似はせず、改めてナの国の停戦の仲介を待つか、あるいはラウの国から停戦……いや、終戦の交渉を希望してくるのを待つか。

 何気に後者の可能性は決して低くはないんだよな。

 ミの国との国境からタータラ城までの村や街の住人は、現在その大半がタータラ城にいると思われる。

 勿論全員という訳ではなく、ミの国との進路上以外にある村や街に知り合いがいるのなら、そちらに避難している可能性もあるが。

 それでも、大半がタータラ城にいるのは間違いない以上、食料が問題となる。

 具体的にどれくらいの人数がいるのか分からないが、今の時点で食糧難になっていてもおかしくはないのだ。

 少し前まで、ドレイク軍はタータラ城から離れていて出来るだけ近付かないようにしていたので、その時にグリムリーでまだ人のいる村や街を回って食料を確保するといったような真似はしていてもおかしくはないが。

 バイストン・ウェルにおいて、大地は豊かだ。

 恐獣やガロウ・ランの襲撃といった事がない限り、食料の心配をする必要もない。

 1つの村や街でタータラ城にいる全員の食料を賄うのは難しいだろうが、複数ならその辺の負担も軽減出来る。

 もっとも、黒騎士の一件で今となってはそう簡単に他の村や街から食料を確保する事もできなくなった訳だが。

 

「アクセル王、ゲア・ガリングから通信です。少し来て欲しいと」

 

 兵士のその言葉に、噂をすれば何とやらと思うのだった。

 

 

 

 

 

「タータラ城に偵察を?」

 

 ゲア・ガリングにある、ビショットの執務室にあるソファに座りながら、そう尋ねる。

 

「ああ。アクセル王なら、その手の行動が得意だとドレイク王に聞いてね。どうだろう? 現在の私達は、タータラ城の中がどうなってるのかは解らない。それをまず知る必要があると思うんだ」

「それは分かるが……わざわざ俺を向かわせなくても、ガロウ・ランを派遣すればいいんじゃないか?」

 

 ビショットがガロウ・ランを雇っているかどうかというのは分からないが、キブツやドレイクもガロウ・ランを雇っているのだから、ビショットが雇っていない訳がないと判断しての言葉だ。

 実際、ビショットは俺の言葉に特に悩んだり躊躇したりする様子もなく、口を開く。

 

「それはこっちも試したけど、向こうもそれなりに腕の立つガロウ・ランを雇っているらしくてね。無理をすればタータラ城に侵入出来るかもしれないが、その時はこちらが受ける被害も馬鹿にならない」

「それで俺、か」

 

 ビショットにしてみれば、手駒のガロウ・ランは出来るだけ減らしたくないのだろう。

 フラオン……はともかく、ギブン家ではガロウ・ランを雇っていた筈だし、ピネガンも国王としては相応に優秀――恋愛関係は別にして――らしいから、そっちにもガロウ・ランはいるだろう。

 フォイゾンは……どうだろうな。

 ラウの国のような強国である以上、ガロウ・ランを雇っていてもおかしくはない。

 しかし、血筋や伝統を重要視するフォイゾンが、ガロウ・ランを雇うといったような真似をするか?

 一般的な認識では、このバイストン・ウェルにおいてガロウ・ランというのは忌み嫌われる存在だ。……盗賊をしているガロウ・ランがいるのを考えれば、それは当然の事かもしれないが。

 それだけに、フォイゾンがガロウ・ランを雇うかとなると……正直微妙だ。

 国を治めるという事は、清濁併せ呑む必要がある。

 であれば、フォイゾンが雇ったガロウ・ランがいてもおかしくはないのだが。

 

「うむ、どうだろう。頼まれてくれるか?」

「この戦いにおいては、ビショットと行動を共にすると契約してるから、それは構わない。構わないが……報酬の方はどうする?」

 

 正直なところ、アルダムやタンギー、ライネックといったように、今回の一件ではプレゼントだったり報酬だったりでかなり貰っている。

 そうである以上、このくらいは無料でやってもいいんだが……ただ、ここでそういう前例を残すと、後々それが理由で面倒なことになりかねない。

 そうである以上、こちらとしては貰える報酬は貰っておく必要があった。

 

「ふむ……今回の一件はそこまで大規模な仕事ではないし……ライネックの予備部品でどうだろう?」

「それで構わない。で、調べる内容は?」

 

 ライネックの予備部品は、俺としても嬉しい。

 なので、即座に依頼を引き受け……そして何を調べてくればいいのかと、尋ねる。

 

「まず、現在のラウの国で主導権を握っているのが誰なのかを知りたい。代表となったパットフットだが、誰かの傀儡なのか、それとも本当に代表としてやっているのか。また、一応ラウの国に統合されたフラオン軍やピネガン軍の関係についても、出来れば知りたいな。そして、食料だ。もしタータラ城で食料が足りないようなら、それを条件にして敵を引き込む事も出来るかもしれない」

「分かった。その辺を中心にして調べてくるよ」

 

 そう言い、俺は座っていたソファから立ち上がるのだった。

 

 

 

 

 

「これは、また……まぁ、ある意味予想はしてたけど」

 

 影のゲートを使ってタータラ城に転移し、気配遮断のスキルを使って偵察を始める。

 大通りには結構な人数の住人が集まっているのだが、活気があるとはとても言えない。

 無理矢理にタータラ城に人を集めたのが理由なのだが、特に仕事らしい仕事もなく、地面に座って暇潰しをしている者も多い。

 酒を飲んで暴れているような奴がいないのが、せめてもの救いなのか?

 また、ラウの国とアの国の戦争はそれなりに長期間になっているのだが、食糧不足といったような感じではない。

 やはりドレイク軍が暫く離れていた間に、十分食料を運び込む事が出来たのだろう。

 もっとも、これだけの人数を抱えているとなると、籠城戦辺りをやればタータラ城は地獄になる。

 今はまだいいが、それがいつまでも続くとは限らないし。

 そういう意味では、ビショットが口にした食料を使った引き抜きというのは決して悪い話ではないだろう。

 とはいえ、問題なのはどうやってその引き抜く相手を見つけるかという事になるが。

 ビショットの話を聞く限りでは、ガロウ・ランによって現在タータラ城に侵入するのはかなり難しくなっているらしい。

 であれば、当然ながらビショットが子飼いのガロウ・ランを忍び込ませて引き抜く相手を見つけるというのも、難しいだろう。

 ビショットにしてみれば、これはあくまでもアの国の……ドレイク軍の戦いなのだ。

 そうである以上、自分達の子飼いのガロウ・ランを消耗したいとは思わない筈。

 元々、雇われるようなガロウ・ランというのは、かなり珍しい。

 そのような者達の消耗を避けたいと思うのはクの国を治める国王としては当然の話だった。

 

「とはいえ……見た感じだと、そこまで兵士が横暴に働いているって感じでもないな」

 

 適当に見て回った後、そう呟く。

 フラオン軍やピネガン軍の兵士であれば、タータラ城で横暴な振る舞いをしていたとしてもおかしくはなかった。

 フラオン軍はミの国でも村を襲った事があったし、ピネガン軍にしてみればラウの国と国交を断絶された事で大きな被害を受けたのだ。

 その辺の事情を考えれば、ラウの国の王都のタータラ城で横暴に振る舞ってもおかしくはない。

 もっとも、愚王と呼ぶべきフラオンはもう死んだし、ピネガン軍にしても王妃の故郷がラウの国と考えれば……こうして大人しいのも納得出来るのか?

 そういう風に考えつつ、タータラ城の中を見て回る。

 しかし、特に重要な情報らしい情報は手に入る事もない。

 どこかの店で何か食べながら情報収集をしようかとも思ったが、そもそも食料が足りないのだから、店で何かを食べようにも、そもそも食べ物を売っていない可能性がある。

 あるいは食べ物を売っていても、とんでもなく値上がりしている可能性があると考え、止めておく。

 こういう時って、高級レストラン的な店ってどういう風になってるんだろうな。

 そんな風に思いつつ歩いていると……

 

「これから、フォイゾン王やピネガン王、フラオン王を殺したドレイク軍との戦いになるだろう。その際に、恩のある方々、高貴なる血筋の方々に感じる恩を返すべきだとは思わないか! また、兵士になれば食料の心配はいらない! ラウの国の兵士として、どう行動するのか、しっかりと考えて貰いたい!」

 

 兵士……いや、騎士か?

 ともあれ、その人物が兵士の募集を行っている。

 にしても、食事の保証をしつつフォイゾンへの恩を返せか。

 食事目当てに兵士になったとしても、その場合はフォイゾンに恩を返す為に兵士が集まったという主張が出来る訳か。

 後は、ラウの国の兵士としてと口にしていたのを思えば、この件はラウの国が主力となっていると考えるべきか。

 元々ラウの国にフラオン軍やピネガン軍が吸収された以上、おかしくはない。

 おかしくはないが……さて、この様子だとどういう反応をするんだろうな。

 そんな風に思いつつ、俺はタータラ城で他に何か必要な情報はないかと歩き回って探すのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1580
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1684
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