「じゃ、じゃあ、私はこれで帰りますけど、本当にいいんですよね?」
馬車で俺をここまで案内してた兵士の言葉に、頷きを返す。
「ああ、問題ない。今日……遅くても明日には帰るから、ドレイクにはそう伝えておいてくれ」
「分かりました。……お気を付けて」
そう言い、兵士は馬車に乗って俺の前から逃げるように去っていく。
いや、この場合は俺から逃げるようにじゃなくて、目の前の森から逃げるように、というのが正しいか。
俺がいるのは、ドレイクの領地の中にある森の1つ。
現代とかでは全く考えられないが、ファンタジー世界であるバイストン・ウェルにおいては、自分の領地内であっても本当の意味で全ての場所を治めている訳ではない。
恐獣が棲息する山や森は、どうしても手つかずで残っているのだ。
……もっとも、その恐獣もオーラバトラーの部品として使えるとなれば、そのうち全滅してしまう可能性があったが。
ともあれ、恐獣狩りの最初に俺が選んだのは、ルフト領にあるこの森にいるガッターとかいう恐獣だ。
前もって集めた情報によると、大きさは8mから25m、体重は14tから43t。
ちなみに正確にはメートルはメット、トンはルフトンという単位らしいのだが、ショットやゼットから聞いた話によるとメートルやトンとほぼ同様という事なので、俺はメートルやトンを使っている。
にしても……8mから25mって個体差によってもの凄いな。
で、このガッター。縄張り意識が強くて基本的には1匹で行動しているらしい。
つまり、こいつの縄張りに近付けば向こうから出て来てくれる。
そんなガッターだが、肉は食用に、全身を覆っている甲羅はオーラバトラーの装甲に使えるらしい。
ドレイクにしてみれば、かなりありがたい存在と言ってもいい。
なお、今回恐獣狩りに来ているのは俺だけだ。
本来ならゲドに乗ったマーベルも連れてこようかと思ったのだが、地上ではただの大学生だったマーベルはまだ戦闘という行為に慣れていない。
そんな状況で連れてくるのもどうかと思ったし、何より実際に恐獣と戦ってみてどういう感じなのかをしっかりと確認しておく必要があったので、今日は1人だった。
「さて、行くか」
特に緊張もせず、森の中に入っていく。
ここにガッターが棲息しているのは、もう確認されている。
そうである以上、俺が森の中に入って暫くすれば、向こうから勝手に出て来るだろう。
そんな風に考えながら森の中を進んでいると……不意に視界の隅に何かが映った。
何だ? と思ってそちらに視線を向けると……奇妙な姿をした鳥? が走って森の中を移動していた。
鳥というのは基本的に飛んで移動するものだろうに。
いや、中には鶏もいるが。
あ、でも鶏も場合によっては飛んだり出来るんだったか?
そんな風に考えつつ、地上を走っている鳥を見て……以前何かで見たドードー鳥とかいう絶滅した鳥に似ているといった印象を持つ。
あれも一応分類的には恐獣に入るのか?
いや、クチバシは結構鋭そうだし、オーラバトラーの部品にでも使えそうな気がするが。
ドードー鳥ってのは、確か食用として乱獲されて絶滅した筈だったから、似たようなこの鳥も食えるのか?
そう考え、取りあえず素材としても何かに使えるかもしれないし、あるいは技術班に未知の生物だと土産代わりに渡してもいいかと思い、仕留める事にする。
瞬動で近付き、拳で殴る。
それだけで首の骨が折れて絶命した。
よし、後はこれを空間倉庫に収納して……そう思って鳥に手を伸ばしたところで、木々を折りながらこちらに近付いてくる気配に気が付く。
「これは、来たか?」
呟きつつ、鳥の死体を空間倉庫に収納する。
そして……一匹の恐獣が姿を現す。
前もって聞かされていたが、こうして見る限りではモンスターとか怪獣とか、そんな感じだよな
2本足で歩いているのだが、その外見はかなり印象的だ。
身体中に甲殻が生えており、それがより凶暴性を際立たせていた。
子供が見れば、間違いなく泣き出してしまうだろう、そんな相手。
……とはいえ、この様子を見る限りでは当然なのかもしれないが。
「ガアアアアアアアア!」
俺の姿を見つけると、ガッターはそんな雄叫びと共に距離を詰めてくる。
俺を餌だと思ったのだろう。
向こうは10m近い大きさだけに、俺は餌……どころか、おやつ程度にしか思えなくてもおかしくはない。
それはそれで、向こうが油断をしているのだから助かるのだが。
恐獣とはいえ、野生動物だ。こっちの実力を多少は見抜いてもおかしくはないんだが……まぁ、その方が楽だしいいか。
空間倉庫の中からゲイ・ボルクを取り出す。
何もない場所からいきなり槍が現れた訳だが、ガッターはそんな様子に全く怖じ気づいていない。
自分よりも圧倒的に小さな相手が槍を持ったところで、それでどうなるのかといったように感じているのだろう。
その気持ちは正直分からないでもなかったのだが、だからといってこっちがそれに従う理由はない。
その体重で俺を潰そうというのか、ガッターは真っ直ぐこっちに突っ込んでくる。
攻撃手段としては、そこまで悪くはない。悪くはないんだが……だからといって、こっちがそれに従う必要がある訳でもなかった。
瞬動……ではなく、普通に突進を回避し、横を通り抜け様にゲイ・ボルクでガッターの脇腹を斬り裂いていく。
甲殻によって覆われている脇腹だったが、ゲイ・ボルクの一撃を防げる程ではない。
……ただ、ガッターの甲殻はオーラバトラーの装甲材として使える以上、出来ればあまり破壊したくはないんだよな。
こうして全身を覆っているとなると、殺す為にはどうしてもある程度破壊する必要があったが。
いっそ炎獣を口の中に突っ込んで体内で暴れさせてやるか? とも思ったが、そうなればそうなったでまた素材の品質に影響が出そうだ。
「ギャアアアアアア!」
体長10m程もあるガッターでも、脇腹を斬り裂かれるのは痛かったのだろう。
悲鳴を上げながら、その短い手を振るってくる。
……身体の大きさとは裏腹に、その手はかなり短いんだよな。
こんな手だと、とてもではないが地面に落ちてる物を手に取ったりは出来ないと思うんだが。
いやまぁ、手の代わりに口が発達していて、それで地面に落ちている何かを拾ったりといった風にするのかもしれないが。
それ以外だと、その巨体で敵を押し潰し、肉片となった相手の死体を口で食べる……とかか?
まぁ、ガッターがどんな手段で攻撃をしてこようとも、俺に命中するといったことはなかったが。
そうだな。取りあえず首でも切断するか。
幾らファンタジー世界のモンスター……恐獣とはいえ、首を切断されれば生き残る事は出来ないだろう。……まぁ、それでも生き残る事があったりするのが、ファンタジー世界らしいのかもしれないが。
そんな風に考えていると、ガッターはようやく痛みの悲鳴を止め……こちらに向かって攻撃を仕掛けてくる。
「グガアアアアアアアアアアア!」
今度は体当たりではなく、足で踏み潰そうとする一撃。
それは決して悪い一撃ではない。
ガッターの体重を考えれば、もし俺が普通の人間なら踏み潰されればまず死ぬだろう。
だからこそ、ガッターもその一撃を放ったのだろうが……
「甘いんだよ」
受け止めようと思えば、その一撃を受け止めることは出来ただろう。
だが、そのような真似をすれば、服が汚れる。……場合によっては裂けるかもしれない。
そう判断し、跳躍したのだ。
瞬時にガッターの頭部のすぐ側まで移動し……ゲイ・ボルクを振るう。
明らかにゲイ・ボルクの穂先とガッターの首では大きさが違う。
違うが、それでも次の瞬間にはガッターの首は胴体から切断されて空中を飛ぶ。
「ま、こんなもんかっと、急いで収納しないとな」
ガッターの首から血が吹き出るのを見て、即座に空間倉庫の中に収納する。
甲殻はオーラバトラーの装甲に、肉は食用に出来るらしいが、内臓や血も何かに使えるかもしれない。
もし使えなくても、技術班の土産としては使える筈だ。
上手くいけば……本当に上手くいけばの話だが、もしかしたらガッターとかを培養出来る可能性も否定は出来ない。
何しろ、技術班は……いや、レモンはといった方が正しいのかもしれないが、金ぴかの腕を未だに生かした状態で保存しており、その因子を使って量産型Wにガンドのような簡単な魔術を使わせることが出来るようになっているのだから。
金ぴか程度であっても、英霊をそのように保存出来るのであれば、恐獣を生み出す事は楽だろう。
まぁ、恐獣と英霊では色々と違いすぎるだろうから、そう簡単にはいかないだろうが。
ともあれ、これでガッターを1匹。
ガッターは縄張り意識が強いので、こうして1匹倒してしまえば、この周囲に他のガッターはまずいないと思ってもいいらしい。
いらない手間を掛けなくてもいいと喜ぶべきか、それともまた新たに探さないといけないのが面倒だと言うべきか。
ともあれ、俺は森の中を移動しながらガッターを探し、見つけると狩っていくといった行動を続け、その日のうちに結局10匹を超えるガッターを倒すことに成功するのだった。
『うおおおおおおおお!』
俺が空間倉庫から取り出した5匹のガッターを見て、機械の館にいた者達の口からは揃って驚愕の声が上がる。
勿論空間倉庫にはまだ複数のガッターが入っているのだが、そちらは技術班の土産用だ。
「ガッターの解体とかは、そっちに任せてもいいんだよな?」
「え? あ、はい。任せて下さい。それで、解体した後の素材はこちらで貰ってもいいのでしょうか?」
「ああ、オーラバトラーの素材として使える部分はそうしてくれ。肉は……そうだな、ある程度はこっちにも回してくれると助かる。ドレイクから家を貰ったんだが、分かるか?」
「はい、では、そちらに届けさせて貰います」
そう言うと、早速ドロを使ってガッターの死体を運んでいく。
こういう時、何機ものドロでガッターの死体を吊り下げて持っていくのではなく、オーラバトラーが使えたのなら作業もスムーズに進むんだろうが。
「凄いわね、アクセル。これを本当にアクセル1人でやったの?」
ゲドの操縦訓練をしていたのか、マーベルが驚きながら俺の方に近付いてくる。
俺の能力については色々と教えたのだが、それでもこれだけ巨大なガッターを……しかも複数倒せるとは思っていなかったのだろう。
バーンとの模擬戦とかじゃ足りなかったか。……こんな巨大な敵が相手だし、それも仕方がないか。
「倒すより、寧ろガッターのいる場所を探す方が面倒だったな。縄張り意識が強いから、一匹倒すとかなり離れた場所までいかないと、他の個体がいないんだよ」
「それは……本当に大変そうね」
「ああ。それでもこれだけの収穫はあったから、そんなに悪い訳じゃないけどな。……そう言えば、このガッターとドードー鳥に似ている奴の肉を後で家の方に届けてくれるらしいけど、大丈夫か?」
「ええ、それは問題ないわ。うちでは牧場もやってたし」
牧場って、肉を処分するところまで自分の家でやるのか?
てっきり、専門の施設に行って殺すのかと思ってたんだけど。
それとも、マーベルは実家が牧場だからそういう場所にも行っていたのか。
その辺りの判断は俺には出来なかったが、ともあれマーベルが大丈夫と言ってるのなら大丈夫……と思っておく事にしよう。
「料理とかはどうする? 俺達でやるか、それともメイドに任せるか」
「そう、ね。……出来れば私達でやりたいところだけど……」
困ったように言うマーベルだったが、その理由は俺にも理解出来た。
何しろ、バイストン・ウェルの台所はかなり古めかしい。
具体的には、IHは当然ながらガスの類もなく、薪を燃やしてそれで料理をするといったやり方なのだ。
キャンプとかで料理に慣れているのなら、薪を使った料理も出来るんだろうが……生憎とマーベルの様子を見た限りではそういうのに慣れてはいないらしい。
俺は士官学校時代にその手の訓練をした事があるし、その後もそれなりに野宿をして薪で料理をした経験がある。
そういう意味では料理は出来るが、本格的な料理を作れるだけの技量はない。
釜揚げうどんとか、そういう料理なら出来るんだが……まぁ、その辺は今はいいか。
「じゃあ、肉はメイドに調理して貰うってことでいいか?」
「ええ、それでお願い」
そう頷くマーベルだったが、実はあのメイドは信用出来ないようなところがあるんだよな。
以前話した時の様子から考えると、何となくドレイクに思うところがあるような……そんな感じだ。
もしそのような場合、ドレイクに味方をすると判断して毒を盛るといったようなことをされる可能性もある。
出来れば別のメイドに変えて欲しいんだが……それはそれで難しいだろう。
そう思いながら、俺はマーベルとの会話を続けるのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1400
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1648