マーベルと恐獣討伐をする事が決まったが、だからといって翌日にすぐ出撃といった訳にはいかない。
いやまぁ、ドレイクの軍隊は決して人の規模が大きい訳ではない――それでもアの国の領主としては最大規模だが――ので、やろうと思えばすぐに出来るのだが……マーベルの初の実戦や、それ以外にもゲドそのものの戦闘データがそれ程多くはないという事もあり、念には念を入れてる形だ。
「結局、武器はオーラソードだけなのか?」
マーベルがゲドを使って戦闘訓練を行っているの眺めつつ、隣のショットに尋ねる。
ちなみにいつもはゼットも同じようにマーベルの訓練を眺めている事が多いのだが、今は俺が使えるオーラコンバータの開発に入っているので、こっちに顔を出してはいない。
「そうだ。現在開発しているオーラバトラーでは、射撃武器も装備させたいとは思っているのだが、ゲドはオーラソードだけだな。射撃武器の開発も進んではいるんだが」
ショットの様子からすると、開発は決して順調といった訳ではないのだろう。
ただ、ドロはフレイボムという射撃武器を持っているし、ノウハウが全くない訳でもないと思うんだが。
まぁ、バイストン・ウェルの火薬は地上世界で普通に使われている火薬ではなく、特定の植物から作り出すらしいから、その辺で苦戦しているのかもしれないな。
「オーラソードの予備は数本持っていきたいところだけど、準備出来るか?」
「それは問題ない。オーラソードはオーラバトラーの標準装備になる予定だから、前もって大量に作っている。……勿論、気軽に折られたりしたら困るが」
ショットの言葉に分かっていると返事をする。
とはいえ、ガッターの身体は甲殻によって守られており、非常に硬い。
そうである以上、マーベルの操るゲドが振るったオーラソードが刀身半ばで折れるといったようなことは、普通に有り得るのだ。
だからこそ、今の状況を考えれば予備のオーラソードは是非持っておきたいところだった。
「分かってる。マーベルを……ゲドを無事に帰す為だと考えれば、そんなにおかしな話じゃないだろ?」
その言葉に、ショットは不承不承といった様子で頷く。
ショットにとっても、やはりゲドの実戦データというのは非常に重要なのだろう。
オーラコンバータの性能がもっと高ければ、もっとゲドを操縦出来る者もいたのだろうが……その辺はおいおい解決といったところか。
オーラバトラーを開発していく上で、オーラコンバータの開発というのは非常に大きな意味を持つ。
この辺はゼットの力量に期待といったところか。
「それで、ガッターはどれくらい確保すればいい?」
「そうだな、この前アクセルが獲ってきたのはもう全部処理したから、同じくらいで構わない。ガッターは数だけは多いらしくて、住人からも厄介な存在と思われているから、絶滅とかは心配しなくてもいい」
「この世界に自然保護団体がいないのは助かるよな」
俺の言葉にショットは頷く。
今の地上は1980年とかその辺だったと思うけど、やっぱり自然保護団体が活発に動いてたりするのか?
まぁ、その辺は関係ないか。
地上で自然保護団体が活発に動いていても、バイストン・ウェルには関係ないんだし。
「ともあれ、出来れば他にも武器が欲しいところなんだけどな」
「ふむ、具体的にはどのような武器が欲しい? ゼットとは複合武器に関して話していたようだが、出来ればそれ以外で」
「それ以外……それ以外か」
武器としてすぐに思いつくのはビーム系、もしくは重力系といったものだが、それらはシャドウミラーだから使う事が出来るのだ。
少なくても、このバイストン・ウェルで採用するのは難しい。
いや、将来的にはどうにか出来る可能性もあるが、少なくても今の状況では無理だろう。
そして火薬を使った実弾系の武器も現在開発中で駄目となると、当然だがそれ以外の武器となる。
それ以外……それ以外か。
そう考え、真っ先に思い浮かんだのがKMFだったのは、オーラバトラーに近い大きさだったからか。
勿論、オーラバトラーはKMFよりも大きいのだが。
そしてKMFの中には、現在のオーラバトラーの技術でも使えそうな武器があった。
「シャドウミラーが接触している世界に、KMFって人型機動兵器がある。大きさとしては、オーラバトラーよりも小さいんだが、その中にスラッシュハーケンという武器がある」
「スラッシュハーケン?」
訝しげに尋ねてきたショットに頷き、説明する。
「簡単に言えば、ワイヤー付きのアンカーだ。それを勢いよく発射出来るので、敵を攻撃したりするのは勿論、使い方によっては拘束したりといったことも出来る。KMFは最初は空を飛べなかったから、それを使ってビルの壁とかに上るとか、逆に下りるとか、そういう使い方もあったな」
「ほう、それはユニークな使い方だな」
「まぁ、スラッシュハーケンをそのまま採用するってのは、素材の問題から難しいかもしれないけど、似たような武器は開発出来るかもしれないだろ。それに何と言っても、スラッシュハーケンは一度撃ってもそのまま引き戻せる。つまり、弾薬切れといったような事にはならない」
ビーム兵器のような非実体弾の攻撃がないこのバイストン・ウェルにおいて、残弾の心配をしなくてもいいというのは、大きいだろう。
とはいえ、それでスラッシュハーケンの場合は一度撃った後で手元に戻すといった作業が必要なので、相応に時間が掛かる。
そういう意味では、若干癖のある攻撃方法と言ってもいいだろう。
「ふむ、興味深い。検討する価値は十分にあるな。何よりも、それを開発する上で新たな技術を開発する必要がないというのも大きい」
「そういうものか? 一応、一度発射したスラッシュハーケンを戻す場合は、巻上機的な機械が必要になるんだけど、そっちは大丈夫なのか?」
「うむ。そちらは問題ない。既に同じような技術は開発してある。そちらを多少改良すれば、問題なく対処出来るだろう」
ショットがこうも自信満々に言うという事は、恐らく本当に大丈夫なのだろう。
巻上機とかは工事とかも含めて色々と使い道の多い技術だから、その手の技術があってもおかしくはないと、そんな風に思っておこう。
「分かった。そっちの件は任せる。お、今の動きはなかなかいいな」
ショットと会話をしながら眺めていたところ、ゲドの持つオーラソードが鋭い一撃を放ったのを見てそう呟く。
オーラバトラーの操縦というのは、基本的にイメージで行うような代物だ。
それだけに、重要なのは本人のイメージ力とも言うべきものだ。
そういう意味では、禅を趣味としているマーベルにとっては、それなりに操縦しやすいのかもしれない。
これが下手にMSとかを操縦出来る奴であったりすれば、オーラバトラーの動きも画一的なものになってしまうだろう。
だからこそ、そういう経験のないマーベルの操縦が大きな意味を持つのだ。
「ふむ、さすが聖戦士といったところか」
「いや、本当にマーベルが聖戦士なのか?」
「それは分からんよ。だが、バイストン・ウェルの人間ではほぼ操縦出来る者がいないゲドを、あそこまで見事に操縦出来るのだ。それを思えば聖戦士と呼んでもおかしくはない。違うか?」
「どうだろうな。取りあえず本人はそんな風に呼ばれてもあまり嬉しそうじゃないのは間違いないけど」
そうショットに言葉を返し、そう言えばエ・フェラリオについての話を思い出す。
「そう言えば、エ・フェラリオに会う事は出来るのか?」
「アクセルが? 一体、何の為に?」
「地上に戻れるのかどうかというのが少し気になってな。マーベルの両親も心配しているだろうし」
マーベルがこの世界の原作の登場人物……場合によっては主人公の可能性が高い以上、そのまま地上に帰すといった事は出来ないだろう。
いや、やろうと思えば出来るかもしれないが、そのような真似をしてもまた何らかの理由でバイストン・ウェルに来る事にもなりかねない。
だが、ショットは俺の言葉に首を横に振る。
「難しいと思う。シルキー・マウはドレイク殿にとっては、切り札のような存在だ。幾ら同盟を結んでいるアクセルに対してであっても、そう簡単に会わせるといった真似はしない筈だ」
「そこまで重要なのか? いや、地上人を召喚出来るとなれば、重要なのか」
実際、俺が知っている地上人は優秀な人材ばかりだ。
ショットとゼットの2人は、それぞれ技術者として高い技術と知能を持つ。
純粋な技術者としては、政治にも興味を持っているショットよりもゼットの方が上だろう。
そしてマーベルは、バイストン・ウェルの人間であれば本当に限られた者しか操縦出来ないゲドを操縦し、聖戦士と呼ばれるだけの実力を身につけようとしている。
特にマーベルは、オーラバトラーの操縦をするようになってからまだそこまで時間が経っていない。
にも関わらず、戦闘訓練においては先程のようにかなりの動きを見せるようになっていた。
その辺を考えれば、マーベルも十分優秀な人材なのは間違いない。
そういう意味で、ドレイクにとって地上人を召喚出来るシルキーは非常に重要といったところか。
そうなると、一度ドレイクにも秘密でシルキーと接触してみるか?
幸い、俺の場合は影のゲートがあるし、場合によっては気配遮断のスキルもある。
それを考えれば、シルキーに接触するのはそう難しい話ではない。
「そうか。なら、無理にとは言わないよ。恐獣を狩ってくれば、そのうちドレイクの気が変わるかもしれないし」
取りあえずそう言っておく。
とはいえ、ショットと話した今日すぐにシルキーに会いに行くというのは、色々と不味い。
それに、俺が会いに行ったのをシルキーがドレイクに話したりする可能性も考えると、かなり不味いし。
そうなると、やっぱり少し時間を置いた方がいいな。
恐獣狩りをしてきてから……といったところか?
それでパーティか何かが開かれれば、色々とチャンスはある……と思う。
実際にその辺がどうなるのかは、その時になってみないと分からないのだが。
そんな風に考えながら、俺はマーベルの戦闘訓練を見ながらショットと話を続けるのだった。
『おおおおおおおおおお!』
ゲドが空間倉庫に収納されたのを見て、機械の館で働いていた技術者達が大きく騒ぐ。
マーベルがゲドの操縦訓練を続け、ある程度実践でも使い物になると判断され、ようやく俺はマーベルと共に恐獣狩りに行く事になった。
以前の恐獣狩りから10日程。
俺が倒したガッターの縄張りにも、そろそろ新しいガッターが棲み着いたと判断しての行動。
そうして出発する時にどうやってゲドを持っていくのかというショットやゼットの疑問に、俺は空間倉庫に収納して見せた。
空間倉庫そのものは、以前バーンとの模擬戦をやった時にゲイ・ボルクを取り出したから、ショットやゼット、もしくは機械の館の技術者でも見に来ていた者なら知っていてもおかしくはないんだろうが……やっぱり槍が1本とオーラバトラーが1機、それもオーラソード5本となると、見ている方に与えるインパクトは相当違うのだろう。
「さて、驚いているところ悪いけど、そろそろ行ってくる。今日中には帰ってくると思うから、ガッターを解体する用意はしておいてくれ」
「任せて下さい! アクセル王が前よりも多く獲ってきても、十分対処出来るように準備しておきます!」
技術者の1人が、嬉しそうにそう叫ぶ。
前回俺が獲ってきたガッターの数はかなり予想外だったらしいしな。
それこそ、オーラバトラーとかも全く使わずに、生身で戦ったガッターが5匹なのだから。
……実際には、空間倉庫の中には結構な数のガッターの死体がまだ入っていたりするのだが。
その辺に関しては、俺の方で確保したおいた分なので渡すつもりはない。
「じゃあ、マーベル。こっちに」
「ええ」
そう言い、マーベルは俺の方に近付いてくる。
影のゲートを見せてもいいのか? と思わないでもなかったが、ドレイクに見せているし、何より前回の恐獣狩りに関しても、行く時は馬車で移動したが、帰ってきた時は普通に影のゲートで帰ってきたので、その辺は心配する必要もないと、そう思わないでもない。
うん、まぁ……多分。
それに俺が異世界の王だというのを証明する為には、バイストン・ウェルにはない能力を持っているのを見せつけるというのも重要だし。
「じゃあ、ガッターを獲ってくる」
「気をつけろよ。アクセルなら心配はいらないと思うけどな」
ゼットのそんな、励ましと考えてもいいのかどうか、微妙な言葉に頷く。
「そうだな。取りあえず俺とマーベルが死ぬというのは心配しなくてもいい。……後は、ゲドで上手い具合にガッターを倒せるかどうかだが、それは実際にやってみてのお楽しみってところだな」
そう告げ、俺はマーベルと共に影のゲートに沈んでいくのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1400
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1648