3011話
血鬼術とか呟いた奴を俺が攻撃したのは、結局のところマーベルやシーラと強制的に離れることになった事が悔しく、半ばその八つ当たりであったのは否定しない。
だが同時に、俺が吹き飛ばした方は見るからに殺気を身に纏っていて、倒れている男を殺そうとしていたのも殴り飛ばした理由の1つではあった。
白い人外が、人外であるというだけなら、俺もそんな相手を殴り飛ばすといったような真似はしなかっただろう。
そもそも人外の存在というのなら、俺だって混沌精霊であって人間ではない。
……そうして殴り飛ばしてから、ふと気が付く。
もしこれで、実は倒れている男の方が先に白い人外に襲い掛かっていて、白い人外が正当防衛で反撃しただけだったら、どうしようと。
駄目だな。まだマーベルとシーラの件で考えが綺麗に纏まらない。
「お前ぇっ! 誰だ! お前も鬼殺隊の剣士か!」
相手を殺さないよう、かなり加減して殴ったとはいえ、白い人外はすぐに起き上がる。
ただ、その足が少し震えているのを見る限り、俺の一撃は結構なダメージを与える事が出来たのは間違いないだろう。
そんな相手を観察しながら、考える。
鬼殺隊……鬼殺隊か。
あの人外の存在を考慮すると、鬼を殺す隊と書いて鬼殺隊か? だとすれば、自然とあの白い人外も鬼という事になる。
そして鬼……鬼? あれ? ちょっと待った。これって少しやばくないか?
今の俺は混沌精霊だが、俺が混沌精霊になる前はネギま世界の京都に封じられていたリョウメンスクナノカミを吸収する事によって、俺も一種の鬼になったのは間違いない。
だとすれば、場合によっては俺もこの鬼殺隊とやらに狙われる可能性が……
「僕を無視するなぁっ!」
そう言い、左の眼球に下と伍という数字がある白い鬼……と思しき存在は、右手を大きく振るう。
その腕に従うように、網……いや、糸か? 糸が俺に襲い掛かる。
だが、その行動は遅い。
いや、普通の人間が行ったと考えれば、かなり素早い一撃だろう。
しかし、生憎と俺は人間ではなく混沌精霊……どちらかといえば、白い鬼側の存在であると言ってもいい。
瞬動を使って一気に間合いを詰めると、そのまま再度拳を振るう。
鬼殺隊とかいう奴がいるのを考えると、特殊な力は使わない方がいいだろうと判断した為だ。
あるいは、この白い鬼が強敵で特殊な能力を使わなければならないような敵なら、また話は違ったかもしれない。
しかし、この鬼はそこまでの敵ではない。
それこそシャドウミラーの幹部陣であれば、楽に勝てる程度だろう。
にしても、この世界がまた未知の世界である以上、今度はゲートを設置出来るのか?
そんな心配をする余裕すらありながら……俺の拳は、白い鬼を再度殴り飛ばす。
殴った拳に返ってくる感触は、やはり人ではない。
鬼、というのがいる事に驚きはないが。
そもそもシャドウミラーの一員であるエヴァは、ヴァンパイア……吸血鬼だ。
名前に鬼とついているのが分かるように、分類としては鬼の一種だろう。
「うおおおっ!」
再度吹き飛んだ白い鬼をその場に残し、誰かを庇いながら地面に倒れている男に向かって近付いていくが……不意に感じる殺気。
反射的にその攻撃を回避し、殴ろうとし……だが、攻撃してきた相手が鬼ではなく人間であるというのを知り、拳を止める。
「っ!?」
瞬動よりは劣るものの、人間としてはかなりの速度で俺に攻撃をしてきた男は、顔面に当たる直前に拳が止まったのを見て、息を呑みつつ……そのまま地面を蹴って倒れている男の隣に着地する。
「何者だ? 鬼? いや、気配が……だが、人とも思えん」
刀……そう、日本刀の切っ先をこちらに向けつつ男が尋ねてくる。
日本刀を持っているだけなら、俺もそこまでは驚かない。
ムラタは普通に日本刀を持っているし、桜咲もまた同様なのだから。
いや、桜咲のは正確には日本刀ではないのか?
ともあれ、それだけであれば俺の知り合いにも日本刀を持ってる者がいるので特にそこまで気にしたりはしないのだが……問題なのは、新たな男が着ている服だ。
どうにも古臭いような……少なくても現代で着るような服でなく、もっと時代がかっているといったような、そんな服。
あるいはそれが鬼殺隊とやらの制服で、日本刀を武器にしている以上、敢えてそのような服装なのかもしれないが。
「ち……違……この……助け……」
倒れている男が、新たに登場した男に対して途切れ途切れになりながらも、そう告げる。
その言葉に、新たな男は不思議そうに首を傾げ……
「お前ぇっ! 僕に何をしたぁっ!」
先程の白い鬼が赤黒く染まった指をこちらに向け、叫ぶ。
「血鬼術、刻糸輪転!」
その言葉と共に放たれたのは、無数の糸。
さっきもそうだったが、いわゆる鋼糸使いって奴か。
2度も俺に殴り飛ばされたのが余程気にくわなかったのか、糸の攻撃は全てが俺に集中している。
先程までは地面に倒れている男を殺そうとしていたのだが……単純に俺を脅威と判断して即座に殺そうとしたのか、それともやはり2度も殴られたのが許せなかったのか。
ああ、そのどっちもって可能性があるな。
そんな風に思いながら俺は口を開く。
「邪魔だ」
その言葉と共に、俺に向かって飛んできた糸はその全てが白炎によって燃やしつくされる。
それこそ一瞬で灰となった糸を眺めつつ、少しだけ後悔する。
出来れば白炎ではなく、普通に物理攻撃でどうにかした方がよかったか、と。
実際、俺が白炎を出したのを見た男……地面に倒れている方ではなく、新たに姿を現した男は、今の攻撃で俺を危険人物と判断したのか、じわりと殺気を滲ませている。
それでもすぐに攻撃してこないのは、俺があの白い鬼と戦っている為か、それとも地面に倒れている男が俺を庇おうとしたからか。
「とにかく、お前じゃなくてあっちの連中から話を聞いた方がいいみたいだな。……降伏するのなら、相応の対応をするが?」
マーベルやシーラの事は、まだ完全に頭の整理が出来ていない。
だが、今はそれを抜きにして、俺がアクセル・アルマーとして……シャドウミラーの王として、やるべき事をやる。
即ち、未知の技術の収集。
この世界が既にネギま世界でないというのは、明らかだ。……いやまぁ、ネギま世界だけに、実は鬼殺隊とかいうのがいてもおかしくはないし、神鳴流のような集団がいてもおかしくはない。
だが……それでも、何か……そう、空気が違うのだ。
幾つもの世界を旅してきた俺だからこそ、分かるのかもかもしれない。
この世界の空気は、ネギま世界の空気ではない。
恐らく、バイストン・ウェルからシーラの力によって弾き出された俺は、また新たな未知の世界にやってきた。
そしてこの世界において、未知の技術……というか力として存在するのが、先程この白い鬼が使った血鬼術とかいう奴なのだろう。
具体的にはネギま世界の魔法であったり、あるいはペルソナ世界のペルソナであったり……そんな、その世界独自の技術体系と思しき術。
「なっ!」
そんな俺の言葉を聞いて、驚いたのは……何故か、新たな男の方。
何でお前が驚く? と思ったが、鬼殺隊と鬼は名前からして敵対しているのは間違いない。
そう考えると、自分達の敵に捕虜になれと言ってるように思えて……いや、別に仲間になれって言ってる訳じゃなくて捕虜になれなんだから構わないんじゃないか?
「ふざけるなぁっ!」
白い鬼は俺の言葉が余程気に入らなかったのか、怒声も露わに叫びながら突っ込んでくる。
その速度は人外。人外ではあるが……そもそも人外である俺にとって、人外の速度というのは大して意味がない。
放ってきた糸を回避し、そのまま白い鬼との間合いを詰めると、足を引っ掛けて転ばす。
転ばしてから思ったが、この白い鬼、身体能力が人外なのは間違いないが、あくまでもそれだけだ。
特に何らかの武術を習っていたりといったような気配はない。
戦闘に関してはそれなりに経験を積んでいるので……そういう意味では、ナの国のオーラバトラー隊と正反対の場所に位置するような感じが。
「ぐっ!」
地面に転んだ白い鬼を押さえつけ、そのまま背中から踏み続ける。
そして、こっちがその気になれば一瞬で背骨をへし折れるといった状態になってから、改めて尋ねる。
「どうだ? お前に勝ち目がないのは分かっただろう? 降伏してくれると、こっちも色々と楽なんだがな」
「何をしている! 鬼は背骨を折ったくらいでは死なん!」
倒れていない方の男が、俺と白い鬼の状況を見て叫ぶ。
そして、それを示すかのように、白い鬼は手をこちらに向け……
「甘い」
その指先から糸を発射しようとしたのだろうが、それを放つよりも前に空間倉庫から取り出したゲイ・ボルクで腕を弾く。
ボギリ、という手首の骨が折れた音が周囲に響くが、白い鬼は苦痛を感じた様子を見せつつも、悲鳴を上げずこちらを睨んでくる。
「へぇ」
そんな白い鬼を見て感心したのは、この状況でも俺を睨んできたというのもあるが、それ以上に手首の骨を折ったにも関わらず、数秒でそれがなかったかのように治癒した為だ。
これが白い鬼特有の能力なのか、それとも鬼としては一般的な能力なのか。
その辺りは分からなかったが、この様子を見る限りでは捕虜にするには難しい。
「いいのか? 捕虜にならない、それでいて俺に敵対してくるとなると、殺すしかないぞ? お前の持つ血鬼術とやらは興味深いし、出来れば降伏して欲しいんだがな」
「断る!」
その叫びと共に、白い鬼は強引に身体を捻る。
当然強引な行動には無理があり、背骨をへし折るとまではいかないが、ヒビを入れてしまったのは間違いない。
しかし、先程の再生能力を思えばこの白い鬼はこの程度では止まらないだろう。
なら……と、それは渋々ではあるが、ゲイ・ボルクを使って白い鬼の両腕を切断する。
しかし、白い鬼はそれに構わず立ち上がって後方に跳躍し……してやったりといった笑みを浮かべるも、次の瞬間その顔は驚愕に変わる。
「馬鹿な! 何故僕の腕が治らない!」
両腕が再生しないのを見て驚きに叫ぶ白い鬼。
とはいえ……
「それは当然だろう。このゲイ・ボルクは宝具だ。それも再生とか治療とかそういうのを妨害する効果を持つな。この槍で傷つけられた以上、お前の腕は俺がその気になるまでずっとそのままだ」
『な……』
そう驚きの声を漏らしたのは、白い鬼……だけではなく、男の口からもだった。
なるほど。この様子からすると鬼は全て再生能力を持っていて、それを俺が封じたことで驚いたといった感じか。
そんな男の様子を見ると、鬼殺隊とやらには鬼の再生能力を妨害するような方法はないか……あっても、かなり貴重な手段といったところか。
とはいえ、俺が持つ宝具はクー・フーリンから受け取った宝具、ゲイ・ボルクだ。
そんな宝具と同等の効果を持つ攻撃方法が、そうそうあるとは思えないが。
驚いている白い鬼にゲイ・ボルクの穂先を向け、改めて尋ねる。
「これが最終通告だ。降伏しろ。これで降伏をしないというのなら、お前を殺す必要が出て来る。俺にしてみればお前はそう脅威ではないが、見た感じ鬼殺隊とやらにしてみれば話は別らしいしな。向こうの方が話が通じる以上、無理にお前を捕虜にする必要はない」
「ふざ……ふざけるなぁっ! 僕は家族を、家族を……家族をっ!」
既にまともに判断出来る頭もないのか、白い鬼は両腕がないままで俺に向かって突っ込んでくる。
それこそ両腕がなければ牙で喰い千切ってやると言わんばかりのその行動。
惜しいな。この世界における魔法的な存在を入手出来る絶好の機会だったんだが……
とはいえ、鬼殺隊という集団がいるという事は、当然ながら鬼というのは俺の前にいる白い鬼だけではなく、他にもいると考えていい。
だとすれば、また別の鬼を捕らえるなりなんなりすればいいと判断し……
「死ね」
その一言と共に、こちらに向かって襲い掛かって来た白い鬼の身体は白炎に包まれ、1秒と立たずに灰へと姿を変える。
白い鬼というように、あの鬼も白かった。
だが、俺の放った白炎は、まさに純白の炎で、その白さの純度が違った。
……白ってのが、俺のイメージ的に合わないと思うんだが。
「馬鹿な……日輪刀もなしに鬼を殺した?」
灰となり、風に散っていく白い鬼の残骸を見ながら、男が呟く。
その言葉からすると、恐らく鬼を倒すには日輪刀というのが必要で、その語感からして日輪刀というのは鬼殺隊が持つ刀……日本刀なのだろう。
そう理解をしながらも、俺は取りあえず周囲に散っていった灰を可能な限り集めて袋の中に入れておく。
この灰が具体的にどのような意味を持つのかは分からない。分からないが、鬼の灰である以上は何らかの使い道があるかもしれないし、技術班の中には鬼の灰であると知れば喜ぶ者もいるだろう……うん、多分。
灰を集め終わり、そうして改めて俺は男と向き直る。
「さて、色々と事情を聞きたいし、話したい。まず自己紹介といくか。俺はアクセル。アクセル・アルマー。シャドウミラーという国の王だ」
そう、告げるのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1810
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1730