しのぶと義勇の2人と走り続け……結構な時間が経過すると、やがてしのぶと義勇の足が止まる。
「もう少しですね。ここからは少しゆっくりと行きましょう」
「……いいのか?」
しのぶや義勇の様子からすると、お館様とやらと俺を少しでも早く会わせたいと思っている筈だった。
それくらいのことは、俺にも理解出来た。
だからこそ、少しでも早くお館様とやらのいる本部に向かった方がいいのだろうが……それを分かっているしのぶであったが、それでも俺の言葉に頷く。
「はい。こちらにも色々とあるのですよ。アクセルさんには申し訳ありませんが、そのようにして貰えると助かります」
そこまで言われると、俺も急ぐようにとは言えない。
それに何となくしのぶが何を考えているのか理解出来たし。
多分だが、本部のある場所に真っ直ぐ行きたくなかったのだろう。
その理由が、具体的にどういうものなのかは分からないが。
俺に本部のある場所を知らせたくないのか、もしくは本部の方で俺を待つ為の準備があるのか。
前者はないか。
しのぶが本来なら目隠しをして隠に俺を運ばせるといったような事を言っていたが、そのような真似をしないで普通にここまで来たし。
そうである以上、俺に本部の場所を知らせないといったような事は、ここまできてわざわざする必要がないと思う。
だとすれば……他に理由としては何がある?
やっぱり本部の方で俺と会う準備をするのに手間取ってるのか?
とはいえ、しのぶと義勇は俺と一緒に走っており、鎹鴉がこっちに来るといったような事もなかった。
そんな風に考えながら、俺は歩く。
「それにしても、アクセルさんはここまで走ってきても息を切らせていないんですね。正直なところ、それが驚きです」
「呼吸というのは使えないが、別に身体強化をするようなのがない訳じゃないしな」
実際、この世界特有の能力の呼吸というのは少し興味深いが、純粋に身体能力を強化するというだけなら、シャドウミラーでも多くの者が使える。
魔力や気を使って身体能力を強化するというのは、俺達にとっては当然の事なのだから。
多分……本当に多分だが、呼吸というのはその能力の方向性から考えて、気と関係しているんだろう。
実際にはエヴァとかに見て貰わないと、その辺ははっきりと分からないが。
「どのようなものがあるのですか? 呼吸に似た能力となると興味深いですが」
しのぶはその言葉通り興味深そうに俺に視線を向け、義勇もまた喋ったりはしていないが、興味深そうな視線をこちらに向けていた。
これは純粋に好奇心からくる興味だけではなく、鬼と戦う際に呼吸以外にもっと強力な能力があればと、そういう思いでもあるのだろう。
さて、どうするか。
そう思ったが、呼吸について聞かせて貰ったし、これから鬼殺隊と深く関わる事になるのだろうと考えると、多少はこっちの情報を渡してもいいか。
「そうだな。大雑把に言えば、2つの強化方法がある。気と魔力という2つがな」
「気? 魔力? ……それは一体どのようなものなのでしょう?」
不思議そうな様子のしのぶ。
あれ? 魔力はともかく、気くらいならその概念があってもいいと思ったんだが。
あるいは単純にしのぶがそれについて知らないだけか。
「何て言えばいいんだろうな。魔力は俺も使えるから教えられるけど、気に関しては俺は使えない。まぁ、ゲートをセットしてホワイトスターと繋がれば、気を使える者は多いから教えて貰えるだろうけど」
シャドウミラーの中にも気を使える者はいるし、それ以上に深く気について知りたいのなら、それこそネギま世界に行けば、もっと気を使える者は多いだろう。
「では、魔力について教えて下さい」
「こういうのだ」
パチンッ、と指を鳴らすと同時に、俺の影が伸びる。
さすがに俺のやることには驚かなくなったのか、しのぶも義勇も日輪刀を抜いたりといったような真似はしていない。……その顔に驚愕の色があるのは間違いないが。
「これは影魔法。簡単に言えば、影を操る魔法だな。こうして影を物理的に使う事が出来たり、もしくは影のゲートという転移魔法もある」
「転移……それは文字通りの効果と思ってもいいのですか?」
「ああ。もっとも、影の通じていない場所には転移出来ないという欠点もあるけどな」
具体的に言えば、オーラバトルシップが浮かんでいるとその中に転移出来なかったようなものだ。
着地している状況でなら、問題なかったのだが。
とはいえ、オーラバトルシップと言っても理解は出来ないだろうしな。飛行機も……うん、まぁ、多分無理だろう。
「……1つ聞かせて下さい。これを使えば、本当にどこにでも転移出来るのですか? 具体的には、誰か特定の相手のいる場所にも」
「そこまで便利じゃないな。あくまでも場所を移動する為の魔法だし。とはいえ、例えばその人物が俺の知っている人物とかだったら可能だと思うけど」
「そう、ですか。これがあれば鬼舞辻無惨を殺せると思ったのですが……」
「物騒な事を言う奴だな」
しのぶの顔は美人と呼ぶに相応しい。
少し背が小さいが、大正時代として考えれば平均的だろう。
そんな美人がいきなり殺せるとか言うのだから、物騒だと思うのは当然だろう。
もっとも、鬼殺隊の一員である以上は、鬼を殺すというのは当然の事なのだろうが。
実際に禰豆子を一目見た時も、即座に殺そうしていたようだし。
「物騒かもしれませんが、鬼舞辻無惨を殺す事こそ鬼殺隊の本望ですので」
しのぶの言葉に、義勇が同意するように頷いていた。
「その様子からすると、鬼舞辻無惨ってのが鬼を率いている奴なのか?」
「はい。平安時代から今まで、ずっと……」
うわぁ……それはまた。
平安から大正までとなると、かなり長い時間となる。
俺も何だかんだと結構長生きしているつもりだが、そんな俺よりも圧倒的な長さになる。
平安時代から今までだと、軽く1000歳を超えている事になってしまう。
シャドウミラーの中で一番年齢が高いのが、エヴァだ。
それでも600歳ちょっとだから、その鬼舞辻無惨ってのはエヴァの倍近い年月を生きている事になる。
「それはまた、凄いな」
「殺すべき怨敵です。あの者のせいで、お館様は……それに鬼を増やしているのも、鬼舞辻無惨です。その鬼によって、どれだけの人が喰い殺されてきた事か……」
そう告げるしのぶの目は殺意に満ちている。
よっぽどその鬼舞辻無惨の事が憎いのだろう。
まぁ、鬼殺隊に入っている者の大半が家族、恋人、友人……そういう大事な連中を鬼に喰い殺された奴らしいし、その気持ちも分からないではない。
そんな風に話を聞きながら歩き続けると……やがて、一軒の建物が見えてきた。
屋敷と呼ぶに相応しい大きさを持つ、そんな建物。
それも洋風ではなく和風の屋敷だ。
大正時代なら、外国の文化の影響とかも入ってきていてもおかしくはないのだが。
「あそこが本部……お館様のお屋敷です」
そう言うしのぶに案内され、建物の中……というか、敷地内に入っていく。
そして豪華な玄関から中に入ると……
「お待ちしていました。私は産屋敷あまねと申します。夫がお待ちです」
そう言い、深く一礼をする女……あまね。
この女もまた、しのぶに負けず劣らず顔立ちが整っていた。
もしかして鬼殺隊って美人だったり可愛い女ばかりなのか?
……偶然だよな。
そんな風に思いながら、俺もまた口を開く。
「アクセル・アルマーだ。色々と事情があって、鬼殺隊と鬼の戦いの場に出てしまってな。それでこの屋敷に来るように言われたんだが……その夫というのが、しのぶ達が言ってるお館様でいいのか?」
「はい。出来れば本人がアクセルさんを出迎えたかったらしいのですが、今日は体調が悪く……」
呪いか。
それが具体的にどのような呪いなのかは、俺にも分からない。
最終手段としては、一応空間倉庫にイクシールが入っているが……やっぱり解呪をするのなら、木乃香に任せた方がいいよな。
「気にしないでくれ。俺としても鬼殺隊を率いている相手と接触出来るのは、嬉しい限りだ」
これはお世辞でも何でもなく、俺の本心からの言葉だ。
基本的に俺は色々な世界に転移するのだが、そんな中で大抵がある程度の権力者と繋がる。
これは単純に、そうした方が色々と便利だからというのがある。
もっとも、権力者の中にはその権力だけにフラオンのような存在もいたりするので、相手の見極めが大切だ。
そんな中で、鬼殺隊を率いている人物……産屋敷あまねの夫と会えるというのは、僥倖と言ってもいい。
まぁ、そのお館様とやらが鬼の呪いによって苦しんでいるのが、俺を呼んだ理由なのだろうが。
ああ、いや。違うな。俺が解呪の手段があると言ったのは鎹鴉が来た後の事か。
だとすれば、何でそんな風に考えたのか……勘とか?
普通に考えれば、何だそれはと言ってもおかしくはない。
しかし、俺の場合は念動力を持っているし、それによる勘で今まで何度も危機を潜り抜けてきた。
であれば、お館様がそういう勘を持っていてもおかしくはない……と思う。
「どうぞ」
あまねにそう言われ、俺は靴を脱いで屋敷に上がる。
俺が素直に靴を脱いだのに、しのぶとあまねの2人は驚きの表情を浮かべていた。
義勇は相変わらず表情が変わっていなかったが。
ああ、なるほど。俺の外見は日本人じゃない。つまり外国人だ。
そして大正時代に外国人というのは……いわゆる現代と比べれば圧倒的に日本で見る事は少ない。
いやまぁ、いる場所にはいるんだろうが。
そして外国では玄関で靴を脱がないというのはそんなに珍しい話ではない。
そう考えれば、この2人が驚いた理由も理解は出来た。
とはいえ、ここで俺が何かを言うのもちょっと不味いだろうし……うん、取りあえずこの件に関してはスルーしておこう。
すると他の面々もすぐに驚きの表情を消して、何事もなかったかのように屋敷に上がる。
ちなみにしのぶと義勇の2人も、当然ながら屋敷に上がっていた。
まぁ、お館様とやらは呪いで身体が弱っているらしいし、そんな相手に俺を……見ず知らずの人物を会わせるといった訳にはいかないのだろう。
つまり、護衛だ。
しのぶと義勇は鬼殺隊の中でも柱という幹部だ。
そうである以上、実力にも自信があるのだろうし、そういう意味ではお館様の護衛を任されるのは当然の話だった。
そうして屋敷の中を歩いていると、こういう純和風の……武家屋敷とでも呼ぶのか? そんな場所が興味深い。
エヴァ辺りなら、喜んでここに来るだろうな。
お館様とやらの解呪をするというのを考えると、エヴァが喜ぶというのは悪くない要素だ。
「こちらです」
あまねが一つの部屋の前で止まり、そう告げる。
その言葉を聞き、中の気配を探り……微かに眉を顰める。
中に気配があるのは間違いないが、その気配は酷く脆弱だ。
呪いの影響によるものなのか、かなり衰弱しているのは間違いない。
なるほど、この状況をどうにかするには、やっぱり俺の力が……正確にはシャドウミラーの力が必要なのは間違いない。
ふすまを開けると、畳の上の敷かれた布団で上半身を起こしている男が1人。
ただし、病気……いや、呪いか? その辺りの詳細は俺には分からないが、顔の上の部分。目の辺りには何らかの出来物というか……そういう何かが存在していた。
「折角来て貰ったのに、このような姿で申し訳ない。私は産屋敷耀哉。鬼殺隊を率いる者だ」
「アクセル・アルマー。こことは違う世界、異世界や平行世界とでも言うべき場所にある、シャドウミラーという国の王だ」
そう告げるも耀哉は特に驚いた様子もなく、笑みを浮かべる。
それはこちらを馬鹿にするような笑みであったり、挑発するような笑みであったりするのではなく、純粋に俺に対しての友好的な笑み。
目は……見えているのか? いや、視線が僅かに俺から逸れているのを見ると、恐らく視力はないのだろう。
「そうですか。アクセル王……とお呼びすれば?」
「いや、堅苦しいのは好みじゃないからな。アクセルでいい。その代わり、俺もお前の事は耀哉と呼ばせて貰うけど、それでいいな?」
「勿論、それで構わないよ」
最初はあった、若干畏まった様子は消え、フレンドリーに……それこそ友人に話し掛けるような様子で告げてくる耀哉。
にしても、この耀哉の声……随分と耳に残るな。
別に決して美声といった訳ではない。ないのだが、それでも今の状況を思えば不思議なくらい頭の中に残る。
美声というのなら、一番印象に残るのはシェリルだ。
それこそ銀河の歌姫と呼ばれるだけあって、その歌声はいつまでも聞いていたいと、そう思うくらいなのだから。
しかし、耀哉の言葉はそれとは違う。
今こうして話しているのに、随分と印象に残る不思議な声だ。
なるほど、鬼殺隊を率いるというだけの事はあるか。
「なら、気楽にさせて貰うぞ。それで、俺がここに来た理由は……まぁ、色々とあるんだが、それよりも前に俺を連れてくるようにと鎹鴉に言っただろう? まずはその辺の理由から聞かせてくれるか?」
そんな俺の言葉に、耀哉は笑みを浮かべて頷くのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1810
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1730