緑の髪を持つ女……シルキー・マウは、扉から覗いている俺とマーベルの姿を見ると、床を蹴って水中を上がってくる。
水中だからこそ、こんな真似が出来るのだろう。いや、あるいはエ・フェラリオであれば水中でなくても、地面を蹴って同じような事が出来るのかもしれないが。
ともあれ、こうして移動出来るというのは鎖で繋がれていたりする訳ではない証拠だ。
水中に入れるのも、普通の人間が相手なら拷問ですらある。
誰から聞いたのかは忘れたが、目隠しをしてその身体の上に水滴を1滴ずつ延々と落としていくといった拷問もあるらしいし。
部屋の半分が水で埋まっているような状況であれば、それこそ普通なら拷問以外のなにものでもないだろう。
とはいえ、それはあくまでも普通の人間であればの話だ。
エ・フェラリオは、ドレイク曰く水中の方が快適らしい。
実際、こうして見ていても水中の中にいるのに全く苦しそうな様子を見せていなかった。
それを考えれば、ドレイクの言葉も決して嘘ではないのだろう。
とはいえ……部屋に閉じ込めておくというのは、エ・フェラリオにとってどう思うのか。
「貴方達は?」
「俺はアクセル・アルマー」
「私はマーベル・フローズン」
シルキーに尋ねられ、そう自己紹介をする。
そんな俺達の様子に、シルキーは笑みを……ただし、嬉しそうな笑みではなく儚げな笑みを浮かべて、口を開く。
「そう。知ってると思うけど、私はシルキー・マウよ。それで、何をしにここへ?」
「ちょっと話してみたくてな。俺はともかく、こっちのマーベルは地上人だ。気がついたらバイストン・ウェルにいた」
そう言うと、シルキー・マウは特に驚いた様子もなく頷く。
エ・フェラリオである為か、俺やマーベルがバイストン・ウェルの人間ではないというのは、分かっているのだろう。
「そのようね。アクセルの方は地上人のようにも思えないけど」
「俺はちょっと違うしな。それはともかく、マーベルだ。マーベルは地上からこのバイストン・ウェルに召喚された。何とか地上に戻したいんだが、その方法を知らないか?」
その問いにシルキー・マウは少し考え、その視線を俺の隣のマーベルに向ける。
マーベルはそんなシルキーに対して、口を開く。
「お願い、知っていたら教えてくれる?」
「残念だけど、私達に出来るのはあくまでもオーラロードを開いて召喚するだけで、こちらから地上界に行く事は出来ないわ」
申し訳なさそうに……本当に心の底から申し訳なさそうに告げられる。
シルキー・マウの言葉に嘘はないと判断したのだろう。
マーベルは残念そうな様子を見せる。
「いえ、気にしないで。そもそも、私は貴方が呼んだ訳じゃないんでしょう? なら、別に貴方が気にするような必要はないわ」
そんなマーベルの言葉に、シルキー・マウが小さく笑みを浮かべる。
マーベルの件では色々と思うところがあったのかもしれないが、それを直接口に出すといったような真似をしないのは……やっぱりドレイクがここにいるからか?
「アクセル王、そろそろ構わないか?」
まるで俺がそんな風に思ったのを読んでいたかのように、ドレイクが背後から声を掛けてくる。
そんなドレイクの言葉に頷き……だが、最後にシルキー・マウに声を掛ける。
「1つだけ聞かせてくれ。お前は自分で納得してここにいるのか? それとも、ドレイクに無理矢理捕まってここにいるのか?」
「……納得しているわ」
数秒の沈黙の後で、シルキー・マウはそう告げる。
それが本当に納得した上での言葉だったのか、それとも俺達がドレイクに勝てないと思っての言葉だったのか。
その辺は俺にも分からなかったが、それでも今の状況を思えばシルキー・マウが自分から進んでこの水の部屋から出ようとしている訳でないのは理解出来た。
「そうか」
「ちょっと、いいの?」
俺の言葉にそう告げるマーベルだったが、今の状況を思えば実際にどうにか出来る筈もない。
何よりも、閉じ込められている本人が出ようとしていないのだ。
もしここで無理に出そうとしても、それこそ本人が出ようとしない以上、どうしようもない。
それこそ、まさか無理矢理シルキー・マウを連れ出すといった真似をする訳にもいかないし。
「本人が出たくないと言ってる以上、ここで無理に連れ出す訳にもいかないだろ」
マーベルも、本人にそのつもりがないのなら……と、俺の言葉に納得する。
そうして俺達はシルキー・マウとの初顔合わせを終えるのだった。
「ねぇ、本当によかったの?」
夜、家で夕食を食べつつ、マーベルがそう尋ねてくる。
いいのか? とそう尋ねたのは、勿論シルキー・マウについてだろう。
実際、見た感じでは虐待らしい虐待はされていなかったが、それなりに広い部屋に閉じ込められていた。
その時点で虐待だと言えば、それは納得出来る事でもあったのだろう。
マーベルもそれを理解したからこそ、シルキー・マウの件はあれでよかった……結局助け出すといった真似をしなくても構わなかったのかと、そう言ったのだろう。
「いいも何も、シルキー・マウ本人がそれを望んでいない以上、あの水牢だったか? そこから出しても、結局は水牢に戻ってしまうだろう」
絶対にそうだと理解している訳ではない。
だが、それでも恐らくはそうなるだろうという予想が俺にはあった。
何をするにしても、本人の気力がなれば、それは全く意味ないのだから。
「それは……けど、だからって部屋の中に閉じ込めておくというのはやりすぎだと思うわよ」
「水牢に関しては、シルキー・マウを閉じ込めるという理由があるのも分かってるが、それ以外に誰かから守るといった手段も兼ねての事かもしれないな」
「守る?」
「そうだ。ドレイクが言っていたように、地上人というのはバイストン・ウェルにおいて大きな意味を持つ。その地上人を召喚出来る能力を持っているシルキー・マウは、当然他の者達も是非とも入手したい筈だ」
それこそギブン家でもドレイクを危険視して、マーベルを地上から召喚するような真似をしている。もっとも、これはあくまでもドレイクの予想や状況証拠からの話であって、それが本当なのかどうかは微妙なところなのだが。
ともあれ、エ・フェラリオを確保したいと思う者が多いのは当然だろう。
中でもまだ完全にドレイクと敵対している訳ではないにしろ、いずれ遠くないうちにそうなるだろうギブン家にしてみれば、ドレイクの有するシルキー・マウを確保するというのは、ドレイクの戦力を弱めると同時に、ギブン家の戦力を高める事が出来るのだ。
そのような状況で狙ってこない……というのは、普通に考えて有り得ない。
勿論本当にそのような真似をすれば、ドレイクとギブン家の関係は完全な敵対関係となってしまう。
そしてドロやゲドといった戦力を持つドレイクに対し、ギブン家がどこまで対抗出来るか分からない以上、ギブン家としても今の時点で本格的に戦いを行うといったような真似はしないと思うが。
もしギブン家がドレイクと決定的な亀裂を生むとなると、ギブン家でもオーラバトラーを開発する必要がある。
とはいえ、ドレイクもそれが分かっている以上、オーラバトラーのゲドを売るといった真似はしないだろう。
「ギブン家……ニーという人は信頼出来そうな気がしたけど」
「それは否定しない」
実際、ドレイクとニーのどちらが信頼出来そうかと言われれば、ニーを選ぶ者が多いだろう。
人柄からすると、それは決して間違いではない。
だが、純粋に能力でという事になれば、やはり実績を持つドレイクの方が上だろう。だからこそ、俺は現状ではドレイクから離れるといったような事は考えていない。
「もしドレイクがこっちをいいように利用したり、ましてや殺そうとしてきた場合は、こっちも相応の処置をするだろうし、ギブン家を頼るといったようなことをしてもおかしくはない。だが、今はまだそんなつもりはないな」
ドレイクにとって、俺という存在はある意味で恐怖だ。
何しろ、気配遮断と影のゲートを使えばいつでもドレイクを暗殺出来るのだから。
いや、ドレイクには見せていないが、本当の意味で本気になれば、正面からでもドレイクを殺すといったような真似は出来る。
ドレイクも俺と最初に会った時にその危険性を理解したからこそ、俺に同盟を求めてきたのだ。
俺という存在を敵に回す事は出来ない以上、抱え込んだ方がいいと考えて。
そんな風に会話をしつつ、その日の夜はすぎていくのだった。
恐獣狩りをしたり、騎士の模擬戦の相手を務めたりといった生活をすること、暫く。
マーベルのゲドは、機械の館の技術者に何度となくデータを取られ、場合によっては分解されたりといったことも繰り返し行われていた。
ゲドを使って恐獣との戦いを繰り返したゲドは、技術者にとっては非常に大きな意味を持つのも当然だろう。
また、そんな戦いを繰り返したおかげでマーベルも戦闘に慣れてきたというのが個人的に大きい。
まぁ、戦いに慣れたというのはあくまでも恐獣を相手にした場合だけの話であって、人間を相手にした場合にどうなるかというのは、微妙なところだが。
そんな訳で、昨日恐獣狩りを行ったそのデータ取りをしている筈だと思い、機械の館にやって来たのだが……
「アクセル、よく来てくれた!」
機械の館にやって来た瞬間、ゼットが俺に向かって突撃してくる。
ゼットはショットとは違って、かなり体格がいい。
それこそ、技術者というよりはスポーツ選手とか、そういう風に思ってもおかしくはないくらいに。
そんなゼットが突撃してきたのだから、こちらとしては一瞬反撃しようかと考えたのもおかしな話ではないだろう。
「お、おう。どうした?」
今までゼットとも色々と話をしてきたが、少なくても俺が知ってるゼットはこんな性格じゃなかった筈だ。
それが、まるで誰かが乗り移ったのか、もしくは二重人格なのかとも言いたげな感じになっている。……バイストン・ウェルだからって、他人に乗り移る恐獣がいるとか、そういう事はないよな?
そんな微妙に怖い事を考えながら、俺はゼットの様子を見守る。
もし急に襲い掛かって来たら、即座に反撃しようと考えながら。
だが、ゼットは俺がそんな風に思っているとは全く気が付いた様子もなく、口を開く。
「出来た、出来たんだよ!」
「出来たって、何がだ?」
「だから、アクセルが使えるオーラコンバータ!」
「本当か?」
一瞬、ゼットが何を言ってるのか分からなかった。
だが、すぐにその言葉の意味を理解し、尋ねる。
「本当だ。最初はもっと簡単に出来ると思ってたんだが、まさかここまで手こずるとは思わなかった。リの国から購入したちょっと珍しい恐獣の素材を使う事で、ようやく魔力の吸収効率を劇的に下げる事に成功したんだ」
自信満々に告げるゼット。
どうやら、開発したオーラコンバータによっぽど自信があるらしい。
普通なら、新型のオーラコンバータというのはどれだけ出力を上げられるか……もしくは、パイロットのオーラ力がどれだけ少なくても動かせるようにするかといったような事を目指すのだろうが、今回ゼットが開発したオーラコンバータは、そんな物とは違う。
俺の持つ魔力とオーラ力というのは、ショットやゼット曰く、エネルギーとしての密度が違うらしい。
その結果として、オーラコンバータを普通に使うと爆発する可能性が高い。
というか、実際に俺がゲドに乗って動かした時には、爆発まではいかなかったがオーラコンバータから火が出たしな。
その為に、魔力の吸収効率を落とすといったような、特殊なオーラコンバータをゼットには開発して貰っていた。
このオーラコンバータがあれば、ようやく俺もゲドに乗れる。
今まではマーベルがゲドに乗っているのを見ているだけだったしな。
俺が出来るのは、あくまでもマーベルの乗っているゲドと協力しつつも、生身で恐獣と戦うといった事だった。
そういう意味では、これでようやくオーラバトラーを……という思いがある。
「それで、これは俺も初めてのオーラコンバータだ。当然テストをする必要があるんだが、今から時間は大丈夫か?」
「それは問題ない。今からすぐにでもいいぞ」
「なら、そうしよう。こっちもすぐにでも準備が出来るから、テストを行うのもそんなに時間は掛からない。それに……これでようやくアクセルをオーラバトラーに乗せる事が出来るんだ」
そう言い、ゼットは嬉しそうな笑みを浮かべる。
俺をオーラバトラーに乗せるのが、そんなに楽しいのか?
いやまぁ、それを俺が楽しみにするというのは分かるんだが……うん。取りあえず今はそんな事を考えるよりも前に、新型のオーラコンバータをしっかりテストする事にしよう。
そんな風に考えながら、俺もまたやはりオーラバトラーに乗れるということに期待しながらゼットの実験に付き合うのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1400
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1648