超包子。
それは四葉がホワイトスターで運営している店だ。
四葉の料理の技量もあって、ホワイトスターの中ではトップクラスの人気を誇る料理店だ。
中華料理がメインなのは麻帆良時代と同じではあるが、今となっては頼めばそれ以外の料理も……材料があり、作れる料理なら作ってくれる。
勿論、それでも四葉が得意としている料理は中華料理だし、肉まんを中心とした中華まんの類も有名だ。
特に中華まんの類は昼に忙しくて店に食べに行ったり出来ないような者達にとっては、サンドイッチのように食べながら仕事を出来るという点でも大きい。
……もっとも、サンドイッチと比べて肉まんは熱いので、サンドイッチと完全に同じようにするといったような真似は出来ないだろうが。
「これが超包子ですか? 随分といい香りが漂ってきますね」
バスから降りたしのぶが、目の前にある超包子の店舗を見て感心したように呟く。
現在の時刻は、午後2時30分といったところか。
本来なら料理店は夕食の準備に向けて休憩するなり、下準備をするなりしているのだが……転移区画にいた技術班の男に連絡を入れて貰っているので、問題はない。
「中に入るぞ」
本来なら耀哉や行冥と共に義眼の件についてもう少し話したかったのだが、その辺は実際に治療したり、義眼を用意したりするレモンと一緒の方がいいだろう。
そんな風に思いながら、超包子の扉を開けて中に入る。
――いらっしゃいませ。アクセル君。
四葉が俺を見て、そんな風に言ってくる。
連絡があったので、俺が来るのを待っていたのだろう。
ちなみに君付けなのは……まぁ、今となっては直しようがないので、既に諦めている。
「悪いな四葉、急に押しかけて。無理に豪華な料理とかはいらないから、何か軽く食べられる料理を適当に頼む」
「ちょっと、アクセル。そんな言い方はないでしょ。さっちゃんは料理に関しては本気なんだから。それより、戻ってくるのに随分と時間が掛かったわね」
そう言いながら、明日菜は俺を睨んでくる。
以前までは四葉のことを五月さんと呼んでいたんだが……まぁ、何年も一緒に仕事をしていれば、気安くもなるか。
「別に四葉を侮辱してる訳じゃない。これからエザリアやレモン達との会談があるからな。凝った料理を作って貰っている時間はないし、料理をゆっくり食べるような時間もないんだよ」
「む……そうなの」
俺の説明に納得したのか、明日菜は責めるのを止める。
何だかんだと、物わかりがいいんだよな。
――ラーメンで構いませんか? 刀削麺もありますが。
「いや、何で刀削麺? ラーメンでいいよ」
刀削麺というのは、練った小麦粉を専用の刃物で削ってそれを湯の中に飛ばし、茹でて作るという麺だ。
スープの方はラーメンと基本的に変わらないらしいので、麺の種類が違う程度だとか何とか。
ただし、この刀削麺。非常に高度な技術が必要らしく、普通なら刀削麺専門の技術者がいて、その技術者に頼むという形となっていた。
四葉の場合はその類い希なる才能で、刀削麺を作る事も出来るのだろう。
――ラーメンは醤油と味噌、塩がありますが、どうします?
「取りあえず醤油でいい」
個人的には味噌ラーメンが一番好きなんだが、ラーメンの基本は醤油だろ。
ちなみに豚骨ラーメンの類がないのは、手間が掛かったり、臭いの問題もあるんだろう。
「耀哉、醤油ラーメンを頼んだけど、それでいいよな?」
「ああ、構わないよ。私も楽しみだ」
フォークの類がいるのか? と思ったが、耀哉の様子を見る限りでは問題がないらしい。
行冥もまた特に問題はないらしい。
そう考えれば、ラーメンよりは炒飯とかにした方がよかったのかもしれないな。
まぁ、耀哉がいいと言うのだから、それを考えれば問題はないと、そう思いたい。
四葉は俺達のやり取りを見ると、厨房に向かう。
それを見送ると、明日菜はテーブルに着いた俺達に水を置いていく。
「冷たい?」
その水を飲んだ無一郎が、小さく呟く。
当然ながら、超包子で出される水は冷水だ。
頼めば冷水ではなく、氷水にもしてくれる。
大正時代には冷蔵庫は……あったのか? いや、冷蔵庫は昭和の家電三種の神器というのを聞いた覚えがある。
勿論氷室とかそういうのはあっただろうが、それだって使える者は限られている。
「え? そこで驚くの!? あ、でもこの人達の格好って昔の人っぽいわよね? そう考えると、おかしくないのかしら?」
冷水……いわゆるお冷やに驚く無一郎に、明日菜も驚く。
そして驚いた明日菜は、他の面々の前にも冷水を置いていき、それから俺の方に視線を向けてくる。
「で? アクセルは今度はどんな世界に行ってたの?」
「色々と……本当に色々とあったから、今はまだ詳細は話せないんだが、簡単に言えば別の世界に行ってそこで色々とあった結果、鬼滅世界……この連中の世界に飛ばされて、そこでゲートを設置して戻ってきた」
「それはまた……随分と驚くような展開ね」
俺の言葉に納得した様子を見せる明日菜だったが、その割にはそこまで驚いている様子はない。
正直なところ、今回の一件で一番納得出来ていないのは俺なんだよな。
マーベルとシーラの力によって、ダンバイン世界から脱出出来たのはいい。
あの場にあったオーラマシンを全て入手出来たのも、俺にとっては大きな収穫だろう。
ましてや、転移先の鬼滅世界には鬼や血鬼術、日輪刀、鎹鴉、呼吸……半日くらいいただけでも、様々な収穫があった。
だが……それでも、やはりここにマーベルとシーラの2人がいないのは、悲しい。
そんな風に思っていると、不意に明日菜が俺の頭を撫でてくる。
「明日菜?」
「っ!? ちょっ、これは別にその……ちょっとあんたが落ち込んでるように見えたから、その……あ、ステラちゃんの様子をちょっと見てくるわね!」
明日菜にとっても無意識の行動だったのか、俺の頭を撫でていた手を素早く引っ込めると、厨房に向かう。
ステラ? ……何でステラが超包子で働いてるんだ? バイトか?
「へぇ……さすがアクセルだ。女関係も派手だな」
水を美味そうに飲みながら、天元がそう言ってくる。
その口元には笑みが浮かんでおり、俺をからかう気満々だが……
「別に明日菜とはそういう関係じゃないぞ?」
「何? 嘘……だろ……あんな美人だぜ? 何で手を出さねえんだよ」
「そう言われてもな。俺は既に恋人が10人以上いるし」
「嘘だろ!?」
天元の声が超包子の中に響き渡る。
天元にしてみれば、俺に恋人が10人以上いるというのは、驚きだったのだろう。
「俺でさえ、妻が3人なのに……俺が負けた、だと?」
「いや、それは十分凄いだろ」
あくまでも俺のイメージ的なものだが、大正時代ってのは一夫一婦制といったイメージが強い。
それでも妾や側室といった制度があったのを思えば、実質上の妻が3人以上いてもおかしくはないのかもしれないが。
――お待たせしました。
そうして話をしていると、四葉と明日菜、そしてステラがラーメンを持ってくる。
出されたのは、典型的な醤油ラーメン……いわゆる、昔ながらの醤油ラーメンだ。
鶏ガラで出汁を取り、醤油で味付けがされている。
麺は中太の縮れ麺で、半熟の煮卵、メンマ、チャーシュー、刻み葱といったように具もシンプルだ。
いわゆる、こういうのでいいんだよ、といったラーメンだ。
醤油ラーメンにも豚骨醤油だったり、ダブルスープの醤油だったり、背脂系の醤油だったりと色々とあるが、こういうさっぱりとした醤油ラーメンも美味いよな。
そして鬼滅世界の面々にとっても四葉の作ったラーメンは美味かったらしく、必死に食べている。
ラーメンって、大正時代にはあった……よな?
確か日本で初めてラーメンを食べたのが水戸黄門だったとか何とか、ペルソナ世界のTVか何かで見た記憶がある。
とはいえ、そこからラーメンが日本中に広がったのかどうかは、俺にも分からないが。
ただ、この様子を見る限りでは鬼滅世界からやってきた面々は恐らく初めてラーメンを食べたといったように見える。
そうしてラーメンを全て食べ終えると、四葉に話し掛ける。
「ご飯を1杯くれ」
その注文はすぐに叶えられ、炊きたてのご飯が茶碗に入れられて盛ってこられる。
それをあまったスープの中に入れ、雑炊風にして食べる。
「お、それ美味そうじゃねえか。姉ちゃん、俺にも飯をくれるか?」
天元がそう言うと、他にも何人かがご飯を欲し、俺と同じようにして食べる。
……蜜璃が恥ずかしそうにしながら、それでもご飯を注文していた光景はどこか微笑ましいものがあった。
そうして食事を終えると、支払いを済ませて店を出る。
「ごちそうさん。美味かったよ。……ステラも明日菜のフォロー頑張れよ」
「ちょっとアクセル。フォローって何よ、フォローって! 私がステラちゃんに仕事を教えてるんだからね!」
「嬢ちゃん、苦労してるな。ま、頑張れ」
何故か天元がそんな明日菜に同情したように言う。
言われた明日菜は、何故そのような事を? と疑問に思っていた様子だったが。
そんな明日菜を、ステラは首を傾げて見ており、四葉は慈愛に満ちた視線を向けているのだった。
「アクセルさん、あれ……一体何です? 何だか空中を走ってるように見えるのですが」
バスの中、不意にしのぶが声を上げる。
そんなしのぶの指さす方向には、虚空瞬動を使って逃げているロイドと、それを追って同様に虚空瞬動を使っているセシルの姿。
研究者という点では、ロイドの方がセシルよりも上だが、これが身体を動かすこととなると、立場は完全に逆転する。
何しろギアス世界では、セシルはKMFのパイロットもやっていたらしいし。
ロイドはKMFの新型機を作るのは得意だが、乗るというのは出来なかったらしいし。
いや、基本的に動かすといったような事は出来るみたいだが、KMFで戦うといったような真似は出来ないらしい。
……そんなロイドでも虚空瞬動が出来るくらいに鍛えられているのだから、エヴァって教師役として優秀なんだよな。
「技術班のロイドとセシルだな。多分、ロイドが何か馬鹿な真似をして、それでセシルに追われてるんだろ。……あ、捕まった」
視線の先では、ビニールのハンマー……いわゆるピコピコハンマー、略してピコハンと呼ばれる代物がロイドの頭部に振り下ろされる。
ドゴッ、というピコハンで叩いたとは思えないような音が周囲に響き、その音を聞いた他の面々も慌てて視線をしのぶの見ている方に向けた。
何でピコハンでああいう音がするのか、正直なところ分からない。
分からないが、それでもあの2人の事だし、どうせ悪いのはロイドだろう。
ブルーベリージャムのおにぎりでも食わされてればいいんだ。
「アクセル……今、もの凄い音がしたのだが、構わんのか?」
行冥が不思議そうに尋ねてくる。
目が見えないので、具体的に何が起きたのかは分からないまでも、聞こえてきた音が音だけに、疑問に思ったのだろう。
「ああ、構わない。あの2人……というか、技術班にしてみればいつもの話だしな。バスの外にいる連中も、気にしている様子はないだろ?」
「そうか」
行冥は俺の言葉を無理矢理納得した様子を見せて黙り込む。
とはいえ、俺の言葉は決して嘘という訳ではない。
事実、バスの外ではいつもの事だといったように騒動にはなっていないのだから。
技術班が魔法球から脱出して逃げるのを、エキドナや茶々丸、セシルといった面々が追うのは、実際にそこまで珍しくはないのだから。
まぁ、逃げ出したロイドがここまで到着したというのは、少し珍しいかもしれないが。
そこまで運動神経がいい訳ではないロイドだけに、ある意味で魔法球を脱出してここまで到着したという時点で、進歩と言ってもいいのかもしれないが。
「今のを見て貰えば分かったように、シャドウミラーの国民は大抵が相応の実力を持つ。さっき追い付かれて地面に叩きおとされたのは、実働班……鬼殺隊的に言えば剣士でも柱でもなく、裏方の人間だ。それこそ何か装備品を作ったりとか、そういう連中だと覚えておいて貰えれば、それでいい」
俺の言葉に、何人かが驚きの表情を浮かべる。
俺が知ってる限り、鬼滅世界の中には空中を蹴るといったような技術の類は存在しない。
それを思えば、こうして驚くのは無理もないだろう。
空を飛べる――正確には空中を蹴るのだが――というのは、戦いにおいて大きな意味を持つ。
普通は人が跳躍した場合、空中で出来る身動きというのはそこまで大きくはない。
だからこそ、敵の攻撃を跳躍して回避するというのは自殺行為でしかないのだ。
それは、鬼殺隊の面々でも同様だろう。
もしかしたら呼吸の力で似たような真似は出来るかもしれないが、多分虚空瞬動の方が自由度は高い。
「それは……頼もしいね。鬼と戦う時、シャドウミラーの人達がいれば、かなり有利になるのは間違いないだろう」
そう耀哉が呟き、他の面々もロイドとセシルの動きを見て納得したのか、頷く。
何人かは悔しそうな様子だったが。
そうして話をしながら移動し、やがてバスは目的の場所に到着するのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1810
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1730