「うおおおおっ、何だこれは! 派手に凄いな!」
「はっはっは! このような生き物を見たのは、生まれて初めてだ!」
ホワイトスターの牧場にて、空を飛ぶワイバーンを見ながら天元と杏寿郎が大声でそう告げる。
こうしてワイバーンが空を飛んでいるという事は、誰かがあのワイバーンの背に乗っているのだろう。
ワイバーンに乗って空を飛ぶというのは、この牧場の中でも最も人気のアトラクションの1つだ。
ワイバーン……本物のドラゴンではないとはいえ、それに乗れるというのは、多くの世界の者にとって興味深い者が多い。
その傾向は、やはり科学文明の発達した世界……何らかの人型機動兵器を有している世界に多いな。
ペルソナ世界みたいに、生身での戦いが主な世界であってもワイバーンは珍しいので、この区分が絶対といった訳ではないのだが。
「取りあえず、エヴァが来るまで少し時間があるし、適当に牧場の中を見て回っていたらどうだ?」
そんな俺の言葉に、耀哉は頷く。
「アクセルがそう言うのなら、甘えさせて貰おうか。ただし……あまり羽目を外しすぎないようにね」
耀哉の言葉に、柱達はそれぞれ自分の興味を持った場所に向かう。
あ、しまったな。これならいっそ小遣いを渡せばよかったか?
当然だが、鬼滅世界の金というのはホワイトスターでは使えない。
つまり、ワイバーンに乗るといったようなアトラクションであったり、土産物屋で売ってるような商品を購入するといったようなことは、鬼殺隊の面々には出来ないのだ。
正式に国交――鬼殺隊は国ではないが――が出来れば、お互いの為替についても相談したり、両替についての話も出来るんだが。
「アクセルさん、私は出来れば先程のレモンという人と話したいのだけれど、無理ですか?」
しのぶのその言葉は、俺にも予想出来た。
何しろしのぶではどうしようも出来なかった耀哉の体調を、あっさりと治すことが出来ると、そう断言したのだから。
まぁ、実際には体力を回復してから解呪という流れである以上、回復はレモンだけの力ではない。
しかし、しのぶにしてみれば近親婚の悪影響が出ているというのは、完全に予想外だったのだろう。
その辺りの情報が科学的に証明されたのが、具体的にいつくらいなのかというのは、俺には分からない。
しかし、今のこの状況を思えばしのぶが知らなかったのは間違いなかった。
「落ち着け。無事に鬼殺隊と契約が結ばれれば、レモンと話をする機会はくる。それに、レモンはああ見えて忙しいんだ」
シャドウミラーの中でも最重要部署である、技術班。
さまざまな世界から多くの技術を収集し、それを解析、発展させる為の部所。
そこに所属する者達は、それこそシャドウミラー以外の場所でなら普通に有名な研究所の中でも最精鋭にすらなれる者が揃っている。……その分、変人も多いが。
そんな技術班を纏めている者達がおり、それ以外にもレモンは俺がシャドウミラーにいない間は実質的にシャドウミラーの最高責任者といった事になるので、そっちの関係もある。
他にも色々とあるのだが、とにかくレモンは忙しい毎日を送っている筈だった。
場合によっては、政治班よりも忙しい日があっても、おかしくはない程に。
「そう、ですか」
レモンが忙しくて、話が出来ないと言われるとしのぶは残念そうに呟く。
しのぶにしてみれば、出来るだけ早いうちにレモンと話がしたかったのだろう。
「しのぶも、ワイバーンを見てきたらどうだ?」
そう言われると、何故か微妙な表情を浮かべるしのぶ。
天元や杏寿郎は嬉しそうにワイバーンを見に行ってるのだが。
ただし、あの2人が……いや、2人に限らず、柱達が自由に動き回っているのは、ホワイトスターにいれば耀哉が元気だからというのもあるのだろう。
とはいえ、それで誰も護衛についていないという訳ではなく、耀哉と同じく目が見えず、牧場を十分に楽しむことが難しい行冥が護衛として残っているが。
「ワイバーンでしたか? 興味深い存在ではありますが……」
しのぶはそこまで気が進まない様子らしい。
ワイバーンは結構見応えのある存在だと思うんだけどな。
まぁ、本人がそこまで興味を持っていないのなら、無理をする必要もないか。
「なら、ワイバーンじゃなくても……ああ、そうだ。どうせここに残ってる連中は暇だろうし、ちょっと待ってろ」
この場に残ってるのは、俺、しのぶ、耀哉、あまね、行冥の5人だけだ。
戦う事以外にはあまり興味を持たないような無一郎ですら、どこかに行っている。
大正時代だと、こういう牧場は珍しいのか?
いや、普通に畜産とかはやっていたと思うから、牧場そのものはそこまで珍しいとは思えないんだが。
そんな風に考えつつ、俺は売店に行って量産型Wからソフトクリームを買ってくる。
量産型Wが機械を使ってソフトクリームを作っている光景は、慣れていない者にしてみれば驚いてしまうだろう。
俺にとっては量産型Wというのは普通に存在する相手なので、そこまで驚くような事はなかったが。
そうして戻ってくると、それぞれにソフトクリームを渡す。
「ほら、このままここで待ってるだけってのもつまらないだろ。取りあえずこれでも食え」
耀哉と行冥は盲目の分、ソフトクリームを食べるのに少し戸惑ったものの、一口食べたところで驚きの表情を浮かべる。
しのぶとあまねは、一口食べると動きを止めた。
……まさか、心臓の動きも止まっていたりしないよな?
そう思う程、唐突に動きを止めたのだ。
「これは……」
「凄い……」
そうしてしのぶとあまねの2人は動き出すと、再びソフトクリームを食べ始める。
ソフトクリームがいつ日本に来たのかは、分からない。
だが、この様子を見る限りでは大正時代にはなかったらしいな。
あるいはあっても都会のような限られた場所だけだったか。
全国共通……どころか、どの世界でも共通してることだが、女というのは甘味に弱い。
勿論全員が甘味に弱い訳ではなく、中には甘味を嫌いな女もいるだろう。
だが、甘味を好きな女と嫌いな女。どっちが多いのかと言われれば、やはりこれは前者だろう。
それを証明するのが、しのぶとあまねの2人だった。
特に、この牧場で売っているソフトクリームは、その辺で売ってるソフトクリームとは大きく違う。
具体的には、ソフトクリームの主原料となる牛乳が、この牧場の牛から取れた牛乳なのだ。
それだけならどこの牧場であっても同じような事をしているものの、ホワイトスターに存在する牛の牛乳は非常に質が高い。
何しろ量産型Wは疑似経験や疑似記憶といったものを使っており、最初からそういう技術を持っている。
そうした者達が多数集まっており、試行錯誤し……場合によっては魔法や科学技術の類までも使うといったような真似をした結果、この牧場の牛乳は最高品質のものとなった。
また、それ以外にもソフトクリームに入っている各種材料も特殊な物で、それがまたソフトクリームの味を上げるのに一役も二役も活躍している。
ともあれ、この牧場のソフトクリームが一級品なのは、牧場に来た客の殆どが食べているのを見れば明らかだろう。
「アクセル、これは……美味しいね。ここまで美味しい甘味は、食べた事がない」
耀哉が驚きの表情でそう告げる。
本来なら耀哉の身体は弱っているので、冷たいソフトクリームというのは食べない方がいいのだが、ホワイトスターにいる間は呪いの対象外になっているせいか元気一杯でソフトクリームを食べても問題はないらしい。
「だろう? この牧場の自慢の1つだ。ワイバーンを楽しませてやるような事は出来ないが、それなら舌で楽しんで貰えばいい。……お前もそう思わないか?」
「ふむ。この牧場のソフトクリームが美味いというのは否定せんが。……また、随分と愉快な者達を連れてきたものだな」
そう言いながら姿を現したのは、エヴァ。
いつものように茶々丸を引き連れているその様子は、吸血鬼らしい迫力に満ちていた。
「まぁ、色々とあってな。……で、どうだ? しのぶ、行冥。エヴァを見て鬼と認識するか?」
「鬼……と感じるかどうかと言われれば、鬼と感じるかもしれません。ですが、私達の世界にいる鬼とは大分違いますね」
「うむ。これは一体どういう事なのだ」
何故かそう言いながら涙を流す行冥。
いや、今の言葉のどこに涙を流す要素があった?
ともあれ、鬼殺隊の柱2人にとっても、エヴァは鬼と認識出来るものの、鬼滅世界の鬼とは随分と違うらしい。
600年以上を生きているエヴァにしてみれば、自分をその辺の雑魚鬼と一緒にするなと言いたくてもおかしくはないが。
「アクセル、どういう意味だ?」
「うん? レモンから事情を聞かされてないのか?」
「知らん。ただ、牧場に行けと言われて来ただけだ」
レモンにしては片手落ちだな。
そう思ったのだが、それを覆すように茶々丸が口を開く。
「違います。マスターはアクセルさんが牧場でマスターを待っているという話を聞いて、飛び出してきたのです。なので……」
「黙れ、茶々丸! 余計な事を言うな!」
叫ぶエヴァの頬は、照れか怒りか、あるいはもっと別の感情なのか。
その辺は俺にも分からなかったが、とにかく赤くなっているのは間違いなかった。
「何か用事でもあったのか?」
「ふんっ、久しぶりにアクセルの顔を見てやろうと思っただけだ。それで、事情は説明してくれるんだろうな?」
そう言うエヴァに、俺は鬼滅世界について大雑把にだが説明する。
俺が説明している間に、耀哉の側にエヴァや茶々丸がいるのに気が付いたのだろう。
柱の者達も牧場で楽しむのを中断して集まってきていた。
だが……そんな柱達は、エヴァに対して複雑な視線を向ける。
しのぶや行冥のように、鬼であるとは認識出来るものの、自分の知っている鬼の感覚とは違うような感覚があるのだろう。
鬼であって鬼ではない。
まぁ、実際には鬼は鬼でも吸血鬼であって、鬼滅世界の鬼じゃないのは間違いないしな。
「ふむ、鬼……か。面白そうな世界ではあるな。特に大正というのが気に入った」
「あー……だろうな」
エヴァにしてみれば、正直なところ鬼がどうといったのはそこまで興味はないだろう。
本当にエヴァが興味を持っているのは、大正というその時代だ。
日本的な物……いわゆる和風な物を好むエヴァにとって、大正時代というのは色々と興味深いのは間違いない。
「なら、大正時代……鬼滅世界を楽しむ為に、耀哉に恩を売っておいた方がよくないか? 上手くいけば、色々と助かるぞ?」
そう言い、耀哉の方を見ると、エヴァも俺に釣られて耀哉を見る。
すると一目で耀哉の状態を理解したのだろう。
ふんっ、と鼻を鳴らす。
「また、随分と厄介な呪いだな」
「どうにかなるか?」
「解呪なら、私ではなく専門家がいるだろう。私は吸血鬼だから、回復魔法が得意ではないというのは知っている筈だが?」
「それでも、魔法関係でエヴァに頼らないって選択肢はないだろ? ……他には凛とかもそっち関係は得意そうだけど」
「どうだろうな。ともあれ、私の方法で何とか出来なくもないが、それはかなり歪な事になる。そうならないようにする為には、やはり普通に解呪した方がいい」
駄目か。
まぁ、元から木乃香に任せるつもりではあったのだが、エヴァなら何らかの裏技を持っているのではないかと、そう思っていたのだが。
「それで……お前達は私の敵という訳か?」
エヴァのその言葉に、柱達……特に鬼に対する殺意の強い実弥や小芭内が露骨に反応する。
「その辺にしておけ。エヴァは俺達の仲間だ。敵という訳じゃない。ここで下手な真似をすれば、耀哉の治療も駄目になるぞ。それどころか、最悪シャドウミラーが鬼滅世界と敵対する事にもなりかねない」
これは、ある意味で鬼滅世界にとっての不運だろう。
鬼滅世界において、俺達が何も興味深いものがなかったら、敵対したという時点で接続を遮断すればそれで終わる。
しかし、鬼滅世界には鬼、血鬼術、呼吸、日輪刀、鎹鴉……俺が1日もいなかっただけで、それくらいに魅力的な存在があった。
そうである以上、それらを入手するまで俺達が鬼滅世界との関わりを断つといった事はまずないだろう。
そうなった場合、どうなるか。
普通に考えれば、1つの組織が1国を相手にどうにか出来る筈もない。
……まぁ、シャドウミラーの規模は国として小さいのは間違いないのだが。
何しろ、元々は特殊部隊だったシャドウミラーが国として活動するようになったのだから。
その後も色々と人は増えてきているものの、その国民は決して多い訳ではない。
「アクセルの言う通りだよ」
耀哉のその言葉に、実弥と小芭内は揃って戦闘態勢を解く。
「ふん」
エヴァとしては、今のやり取りはあまり面白いものではなかったのか、鼻を鳴らすだけだが。
「そうだな。なら……どちらが上なのか、一度しっかりと見せておいてやろう。どうだ?」
「いや、せっかく耀哉の言葉で収まりそうになったんだから、急にそういう事を言わないで欲しいんだが」
そう告げるが……
「それは面白い。では、試してみてもいいのではないかな?」
何故か先程二人を止めたばかりの耀哉が、そう告げるのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1810
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1730