その部屋はベッドが多数ある。
いわゆる病室と言うべき場所なのだろう。
だが、予想外だったのはベッドに寝ているのは3人しかいないという事だろう。
俺が転移した山の一件……十二鬼月と戦った時には、怪我人がかなり出たといった話を聞いている。
だというのに、この病室はベッドが多数あるにも関わらず使われているのは3つだけ。
こことは別の部屋にいるのか、それとも実はそこまで怪我は深くなかったのか。
「アクセルさん!」
病室に入った瞬間、炭治郎が俺を見て叫ぶ。
嗅覚の鋭い炭治郎だけに、俺が近付いて来るのに気が付いていたのだろう。
「元気そうだな……というのは、この場合ちょっと相応しくないか」
「あははは。そうですね。現在治療中ですし」
そんな風に炭治郎と話しているものの、炭治郎の両隣のベッドで寝ている2人は何故か動く様子はない。
何故か布団に潜り込んでいる誰かと、何故か猪の被り物をしている誰か。
猪……何で猪?
いやまぁ、鬼殺隊の面々は色々と特徴的な奴が多いので、それを思えば猪の被り物をしてる奴がいても、おかしくはないんだろうが。
にしても……と疑問を思って俺をここまで案内してくれたアオイを見ると、そのアオイは布団にくるまっているベッドを不気味そうに眺めていた。
アオイの様子からすると、恐らくあの布団にくるまっているのが我妻とかいう奴なんだろう。
その割には、アオイから聞いたようにうるさくはない。
それどころか、布団が微かに揺れているのを見ると、震えているのか?
寒いから……いや、蝶屋敷の中はそこまで寒い訳ではない。
だとすれば、それは恐怖か?
そして誰に対して恐怖しているのかと言われれば、やはり俺だろう。
……炭治郎の存在に対して、最初から怖く思っていたといったような事でもあれば話は別だが。
ただ、ここに来る途中にアオイから聞いた話によると、我妻と炭治郎との関係は決して悪くない筈だった。
それを考えると、やはり我妻が怯えている原因は俺の可能性が高い。高いのだが……何故俺に怯える?
当然ながら、あの山で俺は我妻とは会っていない。
つまり今日が初対面となる。
そんな状況で俺の事を知っている理由としては……しのぶ辺りから何か聞いたとか?
いや、しのぶから何か聞いたとしても、俺が今日ここに来るのは当然のように知らなかった筈だ。
分からない以上、直接聞いてみた方が手っ取り早いか。
「炭治郎、お前の隣のベッド……そっちの猪の被り物じゃなくて、布団にくるまっている方だけど、何でこんな状況になってるんだ?」
そう尋ねるも、炭治郎も理由が分からないらしく首を横に振る。
「分かりません。アクセルさんが来る少し前に、善逸は突然こんな状況になったので。アクセルさんの足音を聞いたのが原因なんじゃないかと」
「俺の足音を?」
それだけで、そんな風になるのか?
というか、足音を聞いただけで怖がられるって、一体俺は何なんだ?
炭治郎の言葉に戸惑いつつも、取りあえずこのまま怯えられている状況では色々と問題が起きそうなので、我妻……いや、善逸のくるまっているベッドに近付く。
ここに向かってる途中の足音を聞く事が出来たとなると、当然ながら今こうして近付いている俺の足音にも気が付いているのは間違いない。
実際、こうして俺がベッドに近付くと同時に、布団の震えが一層強くなっていくのだから。
……いや、本当に俺は何でこんなに怖がられてるんだ?
「我妻善逸だったな。善逸と呼ばせて貰うが、何で俺をそこまで怖がる?」
そう尋ねるも、善逸は布団の中で震えたまま何かを言ったりする様子はない。
これは、本当に一体何がどうなってこんな風になっているのやら。
そんな疑問を抱きながら、言葉を続ける。
「俺はアクセル・アルマーだ。鬼殺隊と協力することになった組織の長でもある」
実際には国の王と言った方が分かりやすいし正確なのだが、善逸のこの様子を見る限りでは、そのような事を言った場合、間違いなくもっと怯えたりしそうだ。
そんな俺の自己紹介が多少ではあっても効果があったのか、布団の震えは多少……本当に多少ではあるが、小さくなる。
「俺とお前は初めて会う筈だよな? なのに、ここまで怖がられる理由が分からない。よければ、その理由を俺に教えてくれないか?」
そう言い、少し待つ。
すると、丸まっていた布団が少し空き、そこからこっそりとこっちを窺っているのが理解出来た。
さて、この状況から一体どういう風になるのか。
出来れば友好的に接したいところなんだが。
「あ……あんたの音が……」
布団の中から聞こえてきたその声に、どういう事だ? と疑問を抱く。
音? 音って足音の事か?
「あ、善逸はとんでもなく耳がいいんです。多分、その事を言ってるんだと」
「耳が? ……なるほど」
五感が鋭いという意味では、混沌精霊になった俺も同じだ。
俺の持つ五感は、それこそ普通の人間とは比べものにならない程に鋭い。
炭治郎の話を聞く限り、この善逸という奴の耳はそんな感じなのだろうと、そう思っていた。思っていたのだが……そんな俺の予想は、善逸の次の言葉で吹き飛ぶ。
「あんたから聞こえてくる音……人でも鬼でもない、もの凄い複雑で深い、深い、深い、深い、そんな音がしてるんだよ!」
「深い音?」
善逸が具体的に何を言ってるのかは、正直なところ分からない。
だが、俺から聞こえてきた音という事は……もしかして、足音とかそういう意味じゃなくて、俺の体内からも何らかの音を聞いてるのか?
それでも複雑で深い音という言葉の意味は分からないが。
「その音というのは、何だ? それが聞こえると不味いのか?」
「不味くはないよ。けど……それでも、こんな音を出す人は初めてなんだ」
つまり普通の人間や鬼には出せない音か。
その言葉で、何となく納得する。
つまり善逸が聞いている音というのは、混沌精霊である俺が出す音。
そして人間ではなく、鬼でもないからこそ、俺の中から聞こえる音は善逸が今まで聞いた事がない音なのだろう。
さて、どうするべきか。
善逸の言葉に、炭治郎は戸惑った様子を見せているだけだ。
だが、アオイの視線には疑惑が強くなっている。
というか、相手の体内の音を聞き取るとか、反則だろ。
まさか、混沌精霊の俺よりも五感が鋭い相手がこういう形で見つかるというのは予想外だった。
とはいえ、混沌精霊としての俺の五感は鋭いが、それでも絶対的なものではない。
ましてや俺がシステムXNで転移する世界――鬼滅世界はダンバイン世界から弾かれて到着したのだが――は、基本的に何らかの原作が存在する世界だ。
そうである以上、その原作によっては俺の五感より鋭いような者がいても、おかしくはない。
あるいはこれがPTとかの人型機動兵器で戦うような世界であれば、そこまで五感の鋭い者はあまりいなくてもおかしくはない。
しかし、この鬼滅世界は人が生身で鬼と戦うといったような……ネギま世界やペルソナ世界といったような世界だ。
そうなると人間以上の五感を持っている者がいてもおかしくはない。
「アオイ、悪いがしのぶを連れて来てくれ」
「……何故です?」
「俺の無実を証明する為には、しのぶがいた方がいいからな」
「分かりました」
完全に俺の言葉に納得した様子という訳ではなかったが、アオイは部屋から出ていく。
そうなると、この部屋に残ったのは俺と炭治郎、善逸、そして猪の被り物をしている奴だけだ。
「なぁ、善逸。アクセルさんはそんなに悪い人じゃないと。俺の鼻もそう言ってる。……何だか色んな女の人の臭いがあるけど」
「何だとぉっ!」
……何故か炭治郎の一言で、先程までは俺の存在に怯えていた善逸が丸まっていた布団を吹き飛ばして姿を現す。
金髪。
うん、これは間違いなく金髪だ。
どちらかと言えば黄色に近い色だが。
大正時代に、名前や顔立ちから見ても外国人じゃないのは確実なのに、金髪?
これ、もしかしてエヴァがこの世界にいても目立たないんじゃないか?
ふとそう思ったものの、善逸は先程までの怯えは何だったのかといったような強烈な視線を俺に向けてくる。
「お前ぇっ!」
ろくに身体は動かないものの、その気迫はもの凄い。
一体何が善逸をこんな風に? と思ったものの、それが炭治郎の一言が原因なのは間違いなかった。
そして女の臭い云々というので反応するという事は、この善逸という男は女好きなのだろう。
であれば、俺が昨夜久しぶりにレモン達と熱い夜を楽しんだ事は十分に理解出来ている筈だった。
「女を紹介してもいいぞ」
「師匠!」
うわぁ……
あの妙な迫力がなくなればいいと思って女を紹介すると言ったのだが、まさかその迫力が霧散し、ましてや師匠呼ばわりされるとは思わなかった。
予想通りというか、予想以上すぎて寧ろちょっと戸惑うな。
「なるほど。お前の性格は理解した。俺も女を口説くのが上手いって訳じゃないが……」
そこまで言った時、何故か頭の中のレモンを始めとする恋人達が呆れの視線をこっちに向けているのを感じるも、それについては気が付かない振りをして言葉を続ける。
「俺の知り合いには、フリー……恋人のいない女もいる。もしお前が相応の実力を身につけたら、女を紹介してもいい」
「本当ですか、先生!」
師匠じゃないのか?
そう思うも、今までの善逸の様子からすると、かなり軽い性格をしているのは間違いない。
とはいえ、ここまで女好きだとニンジンをぶら下げたら鬼殺隊の戦力補強になるか?
「ああ、本当だ。ただし……今のままだと難しいな。お前がもっと強くなって、鬼殺隊の剣士として相応しい実力を持ったら、だけどな」
「そんなぁ……」
先程までの元気のよさは消え、善逸は一気に落ち込んだ様子を見せる。
これは、もう少し餌を用意する必要があるか?
「ちなみに、俺のいる組織では、一夫多妻も可能だぞ。何人でも妻や恋人を持つ事が出来る」
「え!?」
咲いた花がすぐに萎れ、そして次の瞬間にはまた咲いた。
忙しい奴だな。
とはいえ、一夫多妻というのは善逸にとってやる気を漲らせるのに十分な餌だったらしい。
「その……師匠。お聞きしますが、師匠は一体何人の女性の方と……?」
「10人以上の恋人と一緒に暮らしているぞ」
「先生!」
だから、師匠と先生のどっちなんだと。
ともあれ、今の善逸は布団にくるまっていた時の善逸とは全く違い、俺に対する畏怖や恐怖といったものは一切存在せず、純粋な尊敬の念だけが伝わってくる。
単純というか、何というか。
「へぇ、10人以上の恋人と一緒に暮らしているのですか。それは随分とお盛んですね」
と、不意に病室に響いたのはしのぶの声。
そう言えばアオイにしのぶを連れてくるように言っていたなと、そう思い出す。
……ちなみにそのアオイだが、先程の疑惑の視線はなくなったものの、その視線は軽蔑の視線に変わっていた。
見るからに生真面目な性格をしているアオイだ。
委員長気質なだけに、10人以上の恋人と同棲しているというのは許容出来ないのだろう。
とはいえ、日本は一夫一婦制ではあるが、権力者なら愛人を持っているのは珍しくはない。
ましてや、俺はシャドウミラーの王である以上、問題はない。
「盛んなのは否定しない」
「それで、そんな話を私に聞かせる為に、わざわざ呼んだのですか?」
「あー……そっちの件はもう大体解決したんだよな」
そう言い、善逸の耳の件を説明する。
しのぶは善逸の聴覚について知らなかったのか、もしくは知っているのかは分からない。
分からないが、俺の説明を聞いても特に驚くような様子はなかった。
「で、善逸が聞いたのは、俺が人間でも鬼でもない何かだって話になってな。俺の正体はエヴァから聞いてるだろうし、しのぶがいた方が色々と説明しやすいと思って呼んで貰ったんだよ」
そう言うと、しのぶも納得した様子を見せる。
俺が混沌精霊という人ではないというのは、エヴァから話を聞いた面々……具体的には耀哉とあまね、そして柱の面々しか知らない事だ。
そして鬼殺隊において、柱というのは下から絶大な信頼を得ている。
……個人的には、実弥や小芭内といったような、第一印象という点で問題ある奴もそこまで人望があるのは不思議だが。
しのぶとかは、鬼殺隊の中でも医者的な役割を持っているし、第一印象も決して悪くない美人なだけに、尊敬されてもおかしくはない。
「なるほど、そういう事でしたか。それなら問題はありません。彼は鬼殺隊と協力することになった組織を率いてる人物です。また、お館様の御友人でもありますので、心配をする必要はないでしょう」
しのぶのその言葉は……だが、何故か俺を師匠や先生と呼ぶようになった善逸や、禰豆子を庇った件から友好的な炭治郎には今更の話だった。
……あ、でももう1人の猪の被り物をしてる奴には効果があるのか?
そう思ってそっちに視線を向けるものの、猪の被り物をしてる奴は俺が視線を向けても一切動くといった様子はなかったのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1810
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1730