「ほう」
産屋敷家に到着すると、ムラタの口から感心したような声が漏れる。
まぁ、産屋敷家は見るからに和風の建物といった感じだ。
ムラタにしてみれば、落ち着く空間なのだろう。
何しろムラタ……ホワイトスターにある自分の家も和風にして、畳部屋にしているのだから。
「こちらです」
輝利哉の案内に従い、屋敷に上がる。
当然ながら靴を脱いで上がるのだが、ここにいるメンバーは俺、ムラタ、荒垣、凛、綾子、円、美砂といったように、日本出身の者が多い。
俺は外国人なのだが、前世が日本人だしな。
ともあれ、外国のように靴を脱いで建物の中に入るというのは、特に違和感がない。
そうして輝利哉に案内され……やがてとある部屋の前までやってくる。
ただし、その部屋は以前俺が来た耀哉の寝室ではない。
今回は耀哉も鬼殺隊を率いる人物として俺達に会う以上、寝室で寝たままといった訳にはいかないのだろう。
「父上、シャドウミラーの皆様をお連れしました」
『入りなさい』
襖の向こうから聞こえてきた声に、輝利哉が襖を開く。
その先では、耀哉が正座をしてこちらを待っていた。
「お待ちしてました、アクセル王」
律儀だな、耀哉。
とはいえ、ここは耀哉の流儀に従った方がいいのも事実、か。
部屋の中に入ると、そこには耀哉がおり、あまねがおり、そして……予想外の事にしのぶの姿もある。
いや、考えてみればそこまで予想外って訳でもないのか?
他の柱は基本的に自分の受け持ちの区域がある。
それに比べると、蝶屋敷の主人でもあるしのぶは他の柱達と比べると、産屋敷家からそう離れていない場所にいる。
また、医者として高い技術を持っているしのぶは、当然のように耀哉の主治医的な役割も果たしている筈だ。
そう考えれば、この場にしのぶがいるというのは全くおかしなことではない。
「待たせたようだな」
そう言い、俺は耀哉の向かい側に座る。
正座ではなく胡座だが。
俺と一緒に来た他の者達は、しのぶやあまねが耀哉の後ろに座っているように、俺の後ろに座る。
「いえ、シャドウミラーの方々はよくこの世界に来て下さったと嬉しく思います」
そう言い、頭を下げる耀哉。
それは、お互いの上下について如実に表している。
「さて、堅苦しいのはこの辺でいいだろ。これは別に公の場って訳じゃないんだ。ここからはいつも通りにしてくれ」
「いいのかい?」
「ああ。今の状況ではその方が手っ取り早い。こんな場所で、わざわざ堅苦しいやり方をする必要はないだろ?」
「……ありがとう。助かるよ」
耀哉にしてみれば、やはり普段通りの方がやりやすいのだろう。
俺としてもその方がやりやすいし、鬼殺隊とはこれから協力していくのだ。
そうである以上、今は儀礼云々よりもしっかりと話をした方がいい。
「ありがたがってくれ。感謝の品は日輪刀でいいぞ」
「ふふっ、参考にさせて貰うよ。……ああ、そう言えば結局アクセルが実弥の日輪刀を持った時に色が変わった理由ははっきりとしていないんだ。後でもう少ししっかりと試してみたいんだけど、構わないかい?」
「そうだな。日輪刀は俺達にとっても興味深い武器だ。……あるいは、この鬼滅世界以外の世界の者が日輪刀に触れれば赤く変わるのかもしれないな」
「なるほど。そういう可能性もあるのかい?」
「ああ、あくまでも可能性だがな」
純粋に可能性というだけなら、それこそ混沌精霊の俺が日輪刀を握ったから色が変わったり、あるいは呼吸……気の類ではなく魔力に特化しているから、という可能性も否定は出来ない。
その辺は実際に色々と試してみないと分からないんだよな。
「さて、日輪刀の件はともかく……現在俺の後ろにいるのが、先遣隊という形で鬼滅世界にやって来た者達だ。戦力的には何の問題もない」
「なるほど」
そう言いながら、耀哉は俺の方を見る。
正確には、耀哉は呪いの影響で既に視力を失っているので、見て分かるといった訳ではないのだろうが。
それでも雰囲気で何となく理解は出来る……といったところか。
この辺、何人もの柱を知っているからこそなのだろう。
「そんな訳で……どう行動する?」
「そうだね。アクセル達……というか、シャドウミラーとしては鬼を捕らえたいんだよね? そうなると、こちらの剣士と一緒に動くといったようにした方がいいのかな?」
「そうだな。出来ればそうしてくれると助かる。……それでいいのか?」
耀哉の言葉を聞き、後ろにいる者達に向けて尋ねる。
すると後ろにいる面々は頷き……いや、ムラタは違うな。
「ムラタ? どうした?」
「俺はあの獪岳という人物を鍛えてみたいと思うのだが」
「……なるほど」
そう言えば、ムラタはあの獪岳とかいう男を気に入っていたな。
それでもここでムラタがそのような事を言うのは予想外だった。
ムラタが鬼滅世界に来たのは、あくまでも自分の為だ。
具体的には、模擬戦の類ではなく実戦を行いたいからというのが大きい。
その相手が鬼という存在であるのは、ムラタにとっては望むべき事ではあっても、厭うべきような事ではない。
だというのに、そんなムラタが獪岳を預かりたいと言ってきたのは、かなりの驚きだった。
「そんな訳で、出来れば獪岳をムラタに預けて欲しいんだが、どうだ?」
「獪岳? 鬼殺隊の剣士にそのような名前の者がいたね」
「はい。実はその……」
耀哉の言葉に、輝利哉は少し言いにくそうにしながら先程の一件を説明する。
それを聞いた耀哉は溜息を吐いたものの、それ以上は何も言わない。
恐らく、何となくそんな騒動が起きるというのを予想していたのだろう。
「なるほど。……こちらの都合で迷惑を掛けてしまったようだね。すまなかった」
そう言い、頭を下げる耀哉。
そんな耀哉の様子に、しのぶやあまね、輝利哉といった面々が慌てる。
耀哉は鬼殺隊を率いる者だ。
そんな耀哉が俺達に向かって頭を下げるというのは、予想以上に大きな意味があるのだろう。
「気にするな。俺達との接触はいきなりだったからな。ああいう事が起きてもおかしくはない」
もし今回の一件でこのような事が起きなくても、そのうち同じようなことが起きていただろう。
そう思えば、早いうちに今回の一件が起きたのは、後々の事を考えると決して悪くはない。
問題なのは、この世界が大正時代で情報が伝わるのが遅いという事だろう。
獪岳の一件を知らないままで、鬼殺隊に関わってくるシャドウミラーを気にくわないと思い、ちょっかいを出してくる……といったような奴がいてもおかしくはない。
これがもっと後の時代なら、ネットとかで即座に情報が拡散するだが。
ゲートも設置されたし、いっそシャドウミラーの通信機を量産して鬼殺隊に渡すか?
けど、鬼殺隊の剣士というのは、鬼によって殺される可能性が高い。
その時、鬼に通信機を奪われたりしたら、色々と不味い事になる。
……あ、でもそうした場合、もしかしたら無惨と会話をする機会があるかもしれないな。
もし無惨と会話出来れば、その会話から性格とかを分析出来るし、何よりも通信機がどこにあるのかを調べれば、無惨がどこにいるのかを把握出来る。
現状で一番必要な情報は、無惨がどこにいるのかだ。
それこそ無惨がどこにいるのかが分かれば、俺の影のゲートで即座に無惨のいる場所に転移出来る。
そして無惨のいる場所に転移してしまえば、恐らく俺なら無惨を倒すなり捕らえるなりといったような事が出来る。
まぁ、耀哉とかの話を聞く限りでは、無惨はかなり用心深い。
通信機の類を入手しても、それをすぐに使うといったような真似をするとは限らない。
とはいえ、全員とまではいかずとも……
「耀哉、提案だ。柱と……他の数人に、シャドウミラー製の通信機を渡したいと思ってるんだが、どうだ?」
「通信機?」
「ああ、ゲートを設置したからこそ使える、持ち運びも出来る通信機だ。この時代にも電話はあるだろ? それをもっと小型化した物だ。映像スクリーンとか見ただろ? あんな感じで」
電話が日本で使われるようになったのは、確か明治時代だった筈だ。
ペルソナ世界で高校に通っていた時に授業でそう聞いた覚えがある。
つまり大正時代のこの世界にも電話はあるんだろうが……当然ながら、その電話も俺が知ってるような……精々が黒電話といったような電話ではなく、もっとゴツい電話だ。
そんな電話しかない時代に、シャドウミラー製の通信機というのは、完全にオーバーテクノロジーだろう。
というか、精々が日本国内……どう頑張っても地球でしか使われないのに、他の星や銀河でもタイムラグなしで会話が出来るというシャドウミラー製の通信機は性能過剰と言ってもいい。
例えるのなら、数十万……もしくは百万を超えるPCを購入したにも関わらず、テキスト文書くらいしか使っていないかのような、そんな勿体なさ。
そうなると、俺達が使っている奴をダウングレードした方がいいのかもしれないな。
「それはありがたいけど、いいのかい?」
「ああ。鎹鴉も便利だけど、それでも飛んで移動するのに時間が掛かるだろ? 通信機があれば、それこそ話そうと思えばすぐに話す事も出来るぞ」
鎹鴉も、シャドウミラーが欲している存在の1つだ。
何しろ普通に言葉を発する鴉なのだ。
そうである以上、シャドウミラーとしては鎹鴉を欲しない訳がない。
「それは便利そうだね」
「そうだな。かなり便利だ。だが……だからこそ、渡すべき相手は耀哉以外は柱とかの相応の強さを持つ者や、それ以外は少数にしたい」
具体的には、この世界の主人公と思われる炭治郎達だな。
……伊之助の場合は、炭治郎達から聞いた話が事実なら通信機を使うといったような真似は出来ないだろう。
だが、炭治郎や善逸なら問題なく使える筈だ。
操作そのものは、そこまで難しい訳じゃないし。
「なるほど。通信機が鬼に奪われると大変だろうしね」
「正解だ。まぁ、発信器の機能をつけて、通信機を奪った鬼が無惨にその通信機を届けるといったような真似をした場合、無惨の拠点がすぐに分かるかもしれないが……」
そう言った瞬間、耀哉の気配が変わる。
「アクセル、それは本当かい?」
「勿論だ。とはいえ、そうなる可能性そのものはかなり低いと言わせて貰うけどな」
無惨のいる場所に通信機を運ぶには、幾つもクリアすべきハードルがある。
まず第一に、鬼との戦闘で通信機が壊れない事。
第二に、鬼が通信機に興味を持ち、拾う事。
第三に、鬼が通信機がどのような物なのかを理解する事。
第四に、鬼が通信機を自分の物とせず、無惨に通信機について知らせる事。
第五に、無惨が通信機の有用性を理解したり、あるいは興味を抱いてそれを持ってくるように命令する事。
ざっと思いつくだけでも、これくらいのハードルがある。
勿論、今こうして思いついたのは、あくまでもざっとしたもので、実際に試すとなると想定していないような問題が出て来る可能性は十分にあった。
何よりこの作戦を行う場合、鬼殺隊剣士が1人、犠牲になる可能性があった。
「……なるほど。アクセルの言うように実行するまでには幾つもの問題があるだろう。だが、それでも無惨の拠点を見つけられるというのは、私にとって……そして鬼殺隊にとって、非常に大きな意味を持つ」
耀哉のその様子に、鬼滅世界側の面々は同意するように頷く。
まぁ、千年以上も鬼舞辻無惨と戦ってきたのだ。
そうである以上、耀哉にしてみればここで無惨を倒せるかもしれないというのは、大きな意味を持つのは間違いなかった。
もし無惨達が通信機を手に入れても、その解析をするのは無理だろう。
幾ら無惨が千年以上生きていても、それはあくまでも平安時代から大正時代までの知識でしかない。
ゲートを使った通信機についての技術を理解出来るとは思えない。
とはいえ、不安要素がない訳でもなかった。
鬼の中には血鬼術という特殊能力を使える個体が存在する。
そんな個体の中に、分析したりコピーしたりといったような血鬼術があった場合、それは最悪の結果をもたらしかねない。
血鬼術は鬼によって違う。
可能性としてはかなり低いものの、場合によっては……と、そう思うのは俺だけではないだろう。
「通信機については、取りあえず政治班や技術班との話し合い次第だな。ああ、それと……量産型Wをまずは蝶屋敷に派遣しようと思ってるんだが、そっちの方で問題はないか?」
耀哉から視線を逸らし、しのぶに尋ねる。
鬼殺隊の中で病院や医者といった役割をしているのは蝶屋敷やしのぶだ。
働ける者は多い方がいい。
それに蝶屋敷で使われている技術……主に薬についてだが、そちらに関しても仕事を手伝えば自然と習得出来て、アオイのように蝶屋敷で働く者達にしてみれば悪い話ではないだろう。
もっとも、今までがアオイのような女に世話をして貰ってたのが、ヘルメットを被った量産型Wになるのだ。
善逸のような女好きにしてみれば、あまり望ましい事ではないのかもしれないが。
「ええ、こちらはいつでも構いません」
しのぶの言葉に俺は明日にでも派遣すると返すのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1810
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1730