同じ雷の呼吸の使い手であっても、善逸と獪岳の関係が悪いというのは、これではっきりした。
「で、問題なのはだ。以前見舞いに来た時に善逸の訓練をしてやる奴を紹介するって話になってただろ?」
「え? あ、はい」
獪岳の話から当然話題が逸れた為か、不思議そうに答える善逸。
「あの時に善逸を紹介しようと思っていたのが、ムラタ……獪岳を引き取った奴だったんだよ」
「あ、そういう……」
善逸も俺の言いたい事を理解したのか、少し気まずそうな様子を見せる。
善逸にしてみれば、ムラタに自分の訓練をして貰うよりも前に、獪岳に先を越されたといった感じなのだから当然だろう。
寧ろここで不満を露わにせず、気まずそうな様子を見せるだけというのが、俺にとっては少し意外だった。
これは多分、善逸の自己評価の低さに関係してるんだろうが。
「そんな訳で、ムラタに訓練して貰うのは難しくなった。善逸が望むのなら先遣隊としてやって来た、ムラタ以外の奴もいるけど。どうする?」
「その、他の人ってどういう人です?」
「男が1人に女が4人」
女が4人と聞いた瞬間、善逸の顔が明るくなる。
あるいはその4人の女が自分に紹介して貰える人物なのではないかと、そのように思ったのかもしれない。
勘違いさせたままだと、色々と不味い。
なので、しっかりと言っておいた方がいいな。
「ちなみにその女4人は全員俺の恋人だから、下手な期待は抱かないように」
「師匠……狡い……」
「いや、狡いって言われてもな。それが不満なら、自分で恋人の1人や2人作ってみろよ」
「ぐぬぬぬ」
俺の言葉に、善逸は呻き声を漏らす。
女好きの善逸にしてみれば、俺が恋人を自慢していると思っているのかもしれないな。
とはいえ、今回の先遣隊として連れてくる面々として相応しい人物なのは、間違いない。
「言っておくが、別に恋人がどうこうってつもりで先遣隊を選んだ訳じゃないぞ。能力的に十分この世界でやっていける……それこそ、柱とも互角以上に戦える連中だ。女だからといったように甘く見たりすると、あっさりと負けてもおかしくないぞ」
俺の恋人以外という事であれば、それこそエヴァ辺りを連れてくるのがいいんだろう。
実際、政治班ではその辺も考えたのは間違いない。
人を鍛えるという意味では、シャドウミラーの実働班を鍛えているエヴァは実績もある。
それ以外にもエヴァ本人が大正時代に興味を持つだろうし。
だが……それでもエヴァが先遣隊に選ばれなかったのは、やはりエヴァが吸血鬼だからだろう。
鬼殺隊の面々にしてみれば、エヴァは鬼滅世界の鬼とは明らかに違うものの、それでも鬼であると認識出来るらしい。
そうなると、当然だが鬼に恨みを持つ者の多い鬼殺隊の剣士達の前にエヴァを連れてくれば……間違いなく大きな騒動になるだろう。
実際にホワイトスターでエヴァと柱の面々を会わせた時、実弥がエヴァと戦ったのを思えば、俺の杞憂といったように感じる訳にはいかないだろうし。
「先生の恋人って、そんなに強いんですか?」
「強いな」
そう、言い切る。
実際、凛、綾子、円、美砂といった4人は、生身での戦いという点に限るとシャドウミラーでも上位に位置する。
……綾子以外は生身の戦い専門だというのも影響してるのかもしれないが。
「だから、機能回復訓練が終わったら……あるいはその途中でも、動けるようになったら誰かと訓練をしてもいいかもしれないな」
「えっと、その……ちなみに獪岳が教わってる人以外の男というのは、どういう人なんです?」
「荒垣か。ペルソナ使い……分かりやすく言えば、守護霊的な存在を召喚して戦うタイプだな」
実際にはペルソナと守護霊というのは全く違う存在なのだが、鬼滅世界の住人にペルソナについて説明するのは難しい。
なので、取りあえず守護霊といった風に説明しておけばいいだろう。
「しゅ、しゅ、しゅ、守護霊ですか!?」
善逸にしてみれば、守護霊を召喚するというのは、完全に予想外だったのだろう。
これでもかと言わんばかりに驚きの表情を露わにする。
「そんな感じだ。正直なところ、かなり強いぞ?」
これは間違いではない。
鬼殺隊の剣士にしてみれば、荒垣はそれこそ血鬼術を使って戦っているのと似たようなものだろう。
カストールの能力は、普通に戦う分にはかなり厄介だし。
また、荒垣本人もカストールの影響で身体強化がされている。
そして何より荒垣が有利なのは、実戦経験の多さだろう。
鬼殺隊は鬼と戦っているものの、鬼の数はそこまで多くはない。
それでいて鬼と遭遇すれば、多くの剣士が死ぬ事になるのだが。
そのような鬼殺隊と比べて、荒垣の実戦経験はかなり豊富だ。
シャドウとの戦いを繰り広げ、更にはタルタロスの攻略にも参加していたのだから。
相手が鬼とシャドウという違いはあれど……いや、ぶっちゃけ敵の多様性という意味では鬼よりもシャドウの方が厄介だろうが、とにかく実戦経験の違いというのは大きい。
「そうなんですか。うーん……」
善逸は悩んだ様子でそう呟く。
「どのみち、善逸は今すぐに訓練が出来るって訳じゃないし、手足が治ってから機能回復訓練をやって、それからの話だ。実際に訓練をするまではそれなりに時間があるんだし、その時までに決めればいい」
「そうですね。師匠の言う通りにします」
そうして善逸が納得すると、そのタイミングで炭治郎と伊之助が病室に戻ってきた。
さっき俺が見掛けた時と比べると、それなりに復活はしたらしい。
とはいえ、それでもまだ疲れているのは間違いないが。
疲れ切った足取りでベッドまで移動すると、そのまま倒れ込む。
「うわぁ……まただ……」
善逸がそんな2人を見て、何とも言えない様子で呟く。
「先生、炭治郎達は何日か前からこんな様子なんですけど、どう思います?」
「どう思うかと言われてもな。……機能回復訓練はそれだけ厳しいだろう」
一応炭治郎から機能回復訓練の大変さは聞いているものの、今の善逸にそれを教えたりした場合、その時点で心が折れたりしかねない。
「俺、もう少ししたら機能回復訓練をしないといけないんですけど……」
「それをやらないという選択肢はないな。そもそも善逸の場合は身体が蜘蛛になりかけてたんだろう? それが治ったとしても、そのままだと思い通りに身体が動くかどうかは分からない」
大きな怪我をして治療した後でリハビリをしない。
善逸がしようとしているのは、そういう事だ。
もっとも、身体が半ば蜘蛛になった状態と怪我を一緒にしてもいいのかどうかは、正直なところ微妙だが。
「う……それはそうですけど……」
「言っておくが、善逸に女を紹介してもいいとはいえ、それは善逸がきちんと動けるというのが前提条件だぞ。もし善逸が機能回復訓練をしないで身体を動かすのに不具合があった場合、女を紹介するのはなしだ」
「そんなっ」
絶望。
そんな表現が相応しいような表情を浮かべる善逸。
「そんな目に遭いたくなければ、機能回復訓練はしっかりとやるんだな。それに……機能回復訓練が辛いのなら、こう考えろ。本来なら厳しい機能回復訓練を無事に終了すれば、アオイやカナヲ、しのぶといった面々がお前を見直すぞ」
薬が苦いという件でみっともなく騒いだ善逸は、少なくてもアオイからは軽蔑されていた筈だ。
しのぶやカナヲがどう思ったのかは分からないが。
今は不満を言わずに薬を飲んでいるが、それもマイナスが0になっただけで、プラスにはなっていない。
もっとも、これはあくまでも俺の予想であり、実際のところは分からないが。
ともあれ、そんな訳で今の善逸の好感度は、どう好意的に見ても若干のプラス。
場合によってはまだ0にも戻っておらず、若干のマイナスという可能性もあるだろう。
それを何とかするとなると、厳しいと言われている機能回復訓練をしっかりとこなして、出来るだけ早く終わらせる事だろう。
「本当ですか!?」
「恐らくはな。とはいえ、機能回復訓練をする時の善逸の態度にもよる。がっつくような真似をした場合、当然ながらアオイには引かれるだろう」
カナヲの場合は……どうだろうな。
俺が少し話した――正確には一方的に話し掛けた――感じだと、機能回復訓練を頑張っても特にどうといったように思われない気がする。
「分かりました。頑張ります」
「機能回復訓練を無事に終えたら……そうだな、女が一杯いる店に連れていってやるよ」
いわゆるキャバクラとか、そういう店。
ただし、俺の場合は酒を飲むのを禁止されているので、俺が直接善逸を連れて行くのではなく、ムウ辺りに頼むか。
ムウと善逸なら、そんなに相性も悪くない。
お互いに金髪だというのもあって、もしかしたら兄弟で通じるかもしれないし。
「本当ですか!?」
「ああ。ただし、あくまでもそれは機能回復訓練が終わってからだ。そこに時間を掛けすぎるような真似をしたら……この話はなくなるかもしれないな」
そう告げると、善逸はショックを受けた様子だが、それを無視してベッドに寝転がっている炭治郎と伊之助を見る。
機能回復訓練のご褒美となると、この2人にも何か用意した方がいいだろう。
特に炭治郎はこの世界の主人公だ。
善逸や伊之助は、そんな炭治郎の仲間。
だからこそ、この鬼滅世界での諸々をハッピーENDにする為には、今ここで炭治郎達を強化する必要があった。
ほぼ間違いなく、この世界……というか、この世界の原作のボスは鬼舞辻無惨だ。
1000年以上も生きている鬼だけに、そんな相手と戦って勝つには当然ながら主人公である炭治郎やその仲間の強化が必須となる。
まぁ……もしかしたら、鬼舞辻無惨の後ろにはそれを操っている裏ボスとか、そういう存在がいる可能性も否定は出来ないが。
「炭治郎、伊之助。お前達も機能回復訓練を終えたら、ご褒美を用意した方がいいな。……どういうのがいい?」
そう尋ねるとも、炭治郎と伊之助は何か喋るような余裕も今はないらしい。
さて、炭治郎や伊之助にとってのご褒美となると……まぁ、炭治郎に関しては考えるまでもないか。
「炭治郎、疲れているだろうが聞け」
俺の声音が変わったと気が付いたのか、炭治郎は顔を上げる。
「俺と善逸の話を聞いていたな? 善逸が機能回復訓練を終えた場合、褒美として女のいる店に連れて行くことにした。そうして善逸に褒美をやるんだから、炭治郎と伊之助にも褒美は必要だろう。……で、炭治郎。お前の褒美も善逸と同じ女のいる店に行くのでいいか?」
「え? それは……」
炭治郎が戸惑ったような声を出す。
勿論、炭治郎も年頃の男である以上、女に興味がない訳ではないだろう。
とはいえ、炭治郎の性格を考えれば俺の言葉に素直に頷くとは思えないが。
「それとも……禰豆子を調べる、というのでも構わないぞ」
「……え?」
一瞬、まるで呼吸が止まったかのように沈黙した後、意味が理解出来ないといったような若干間の抜けた声を出す炭治郎。
そんな炭治郎に言い聞かせるように言葉を続ける。
「俺の組織は高い技術力を持つ。炭治郎も耀哉は見たな?」
「え? あ、はい」
何故ここで耀哉が出て来るのかといった事が分からない様子の炭治郎だが、そのまま説明を続ける。
「詳しい内容は言えないが、耀哉のあの状況は一種の呪いだ。だが、そんな呪いを俺達の組織はどうにか出来る。それだけの力を持つ。そんな俺達の組織なら、禰豆子を調べれば何かが分かるかもしれない」
そう言った瞬間、ベッドで横になっていた炭治郎は跳びはねるようにして起き上がった。
「本当ですか!?」
「ああ。とはいえ、あくまでもそれは禰豆子を調べるというだけで、それで鬼から人に戻せるかどうかというのは、分からない。それこそ実際に試してみないと何とも言えないしな。だが……それでも、今の状況よりも詳しく禰豆子を調べられるのは事実だ」
詳しく禰豆子を調べられるというのは、大きい。
何をするにしても、禰豆子の状態が分からなければ難しいのだから。
だからこそ、禰豆子を調べるというのは炭治郎に対する褒美としては、かなり大きな意味を持つ。
あとは伊之助への褒美か。
うーん、伊之助の褒美というのは何がいいんだ?
「伊之助、お前が機能回復訓練を無事に終えた時、何らかの褒美をやろうと思う。けど、お前が一体何を欲しいのか分からない。何が欲しい?」
「……好きにしろよ……」
疲れているのか、伊之助はそんな風に投げやりに言ってくる。
伊之助としては、今の状況では何も考えたくないのだろう。
あ、でも声は以前来た時と違って普通に喋れるようになってるな。
他にも以前話した時はかなり弱気だったのに、今こうして話していると、疲れてはいるけど弱気という訳じゃない。
個人的にはあの時の伊之助の印象が強かったので、そういう意味ではちょっと意外だな。
とはいえそれをここで言っても仕方がないか。
「分かった。なら……そうだな。伊之助を鍛えてやる奴を紹介しよう」
取りあえず、そう告げるのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1810
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1730