「きゃあ、きゃあ、きゃあ、きゃあ」
影のゲートを通って鬼殺隊の里とも呼ぶべき場所に戻ってきたのだが、蜜璃にしてみれば初めての魔法。
影に身体が沈む感触に思うところがあったのか、蜜璃の口からは悲鳴が上がり続けていた。
それが嫌悪感からの悲鳴なのか、未知の行動を楽しんでの悲鳴なのか、俺には分からない。
ただ、蜜璃の様子を見た限りでは特に嫌そうにしているようには見えないし、もし本当に嫌そうにしているのなら凛が止めたのは間違いないだろう。
その凛が俺を止めるといったような真似をしなかったのだから、多分蜜璃は影のゲートをそんなに嫌っている訳ではない……と思いたい。
凛の性格を考えれば、普通に走って移動するより影のゲートで移動した方が一瞬で移動出来るので、その際の感触が多少気持ち悪くても我慢しろと、そんな風に思った可能性も否定出来なかったが。
「ほら、落ち着け。もう目的の場所に到着したぞ」
「きゃあ……え? あら……」
俺の声で我に返った蜜璃が周囲を見回すと、見覚えのある場所だと気が付いたのだろう。
とはいえ、刀鍛冶達によって新たに鍛冶場が作られていたので、蜜璃にとってそれは初めて見る景色だったのかもしれないが。
「こっちだ。刀鍛冶達が待っている」
そう言い、俺は凛と共に蜜璃を連れて刀鍛冶達が集まっている場所に向かう。
建物の中に入ると、炭治郎達の姿はない。
蝶屋敷の方に戻ったのだろう。
あるいはエヴァが連れ戻しに来たのか。
俺の使う影のゲートは、エヴァも使える。
そうである以上、エヴァから逃げるのは……不可能とは言わないが、かなり難しいのも事実。
炭治郎達とは裏腹に、荒垣、綾子、円、美砂の4人はまだ残っている。
特に荒垣以外の3人は、刀鍛冶達に頼まれたのか日輪刀を渡されては赫刀にしていた。
「あれは……一体、何です?」
赫刀を見て蜜璃はいつもとは違う真剣な表情で俺に聞いてくる。
蜜璃にしてみれば、鬼との戦いに関して重要な意味を持つ日輪刀の刀身が赤く変わっているのは、気になったのだろう。
ここに炎の呼吸の使い手……杏寿郎がいれば、話はまた別だったかもしれないが。
それに赫刀の刀身は赤ではあるが、炎の呼吸の赤とはまた違っている。
「以前、俺が実弥の刀身を握った時に、刀身が赤くなっただろう? あれの再現だ。実際には赫刀は俺が握ったのとはまた別なんだが」
少なくても、俺が握って色が変わった現象では赫刀と違って熱を持ったりといったような事はない。
そういう意味では、俺が握って刀身の色が変わった件についてはまだ全く解析されていないんだが。
「ああ、そう言えば……」
蜜璃も柱合会議の時の事を思い出したのか、納得した様子を見せる。
そうして話をしたところで、改めて蜜璃は赫刀に視線を向けた。
「私が呼ばれたのは、その赫刀というのに関係があるんですか?」
「そうなるな。今のところ赫刀を発動させることが出来たのは、シャドウミラーの者達だけだ」
そう言う俺の言葉が聞こえたのだろう。荒垣はそっと視線を逸らす。
荒垣だけが赫刀を発動出来なかったんだから、仕方がないが。
ただ、荒垣以外は皆がエヴァの訓練を受けて魔力や気による身体強化を使えるようになっている。
そういう意味ではペルソナで多少の身体強化は出来るのだろうが、赫刀を発動出来ない荒垣には色々と思うところがあるのだろう。
「で、検証してみたところ、別にシャドウミラーでなくても……いや、この鬼滅世界の者でなくても、圧倒的な力で日輪刀の柄を握れば赫刀になるのでは? という予想がされた。それで鬼殺隊の剣士に試して貰ったけど、駄目だったんだよな」
炭治郎達は鬼殺隊の剣士になってからまだ短いし、何よりも機能回復訓練の途中だ。
そう考えれば、赫刀を発動出来なくてもおかしくはない。
この世界の主人公だからこそ、もしかしたら何らかの手段で赫刀を発動するのではないかと、そんな風に思ったんだが……そちらについては失敗だったらしい。
「で、ならもっと力の強い奴という事で選ばれたのが……」
そこで言葉を止め、蜜璃を見る。
そんな俺の様子に何故か薄らと頬を赤くする蜜璃。
凛が蜜璃のそんな様子を見てジト目を向けてくる。
いや、別に俺が何かをした訳でもないのは、一緒に行動した凛が一番分かってるだろうに。
「ん、こほん。とにかく剛力の持ち主として知られている蜜璃だった訳だ」
「……私がですか? はい、頑張りますね」
きゃーっと、嬉しそうな悲鳴を上げそうな様子を見せつつ、蜜璃はそう言う。
「アクセル君、随分と楽しそうね」
美砂が面白そうな表情をして、そう言ってくる。
凛はジト目であるのに、美砂の方は面白そうな様子を見せているな。
「そうだな。楽しいのは間違いないかもしれない。それはともかく、俺達がいない間に何か赫刀について分かったか?」
「今のところ、そういうのはないわね。やっぱり実際に鬼と戦ってみないと何とも言えないわ」
「そうなるか」
美砂の言葉を聞くと、やはりここは行冥の任されている場所……現在ムラタや獪岳のいる場所に行って試してみた方がいいかもしれないな。
「蜜璃、早速だけど試して貰えるか? 蜜璃の力なら、もしかしたら赫刀が発動するかもしれない」
そう言って刀鍛冶に視線を向けると、俺の視線を受けた刀鍛冶は蜜璃に日輪刀を渡す。
その日輪刀を見て、そして美砂達が赫刀を発動しているのを見て、そして蜜璃は握っていた日輪刀の柄を思い切り握る。
「やあああっ!」
気合いの声と共に日輪刀の柄を握る蜜璃。
力一杯といった様子なのは、今の蜜璃を見れば間違いない。
しかし、そんな蜜璃の握る日輪刀は桃色のまま赫刀に変わる様子はなかった。
蜜璃が無理である以上、鬼殺隊の剣士は誰もが無理なのかもしれないな。
「やああああっ!」
自分の握っている日輪刀が赫刀にならないのを気にしてか、蜜璃は更に声を上げながら必死になって日輪刀を握る。
しかし、それでも全く赫刀に変わる様子はない。
「はぁ、はぁ、はぁ……すいません……」
蜜璃が申し訳なさそうに謝ってくる。
蜜璃にしてみれば、自分の力を理由にこの場に呼ばれたのに役に立てなかったという思いがあるのだろう。
「気にするな。……取りあえずこれでも食って休んでろ。耀哉も美味いと保証したどら焼きだ」
そう言い、空間倉庫の中から耀哉に渡したのと同じどら焼きを取り出す。
ただし、耀哉には1個だったのに対し、大食いの蜜璃には10個程だが。
普通ならどら焼きを10個も食べれば腹一杯……というか胸焼けしてもおかしくないのだが、蜜璃の場合はその程度の量を食べても問題ない。
以前TVで見たんだが、どら焼きというのは大正時代には普通に存在しているらしい。
そもそも、どら焼きの起源は江戸時代まで遡れるらしい。
そして俺が蜜璃に渡したような形のどら焼きになったのは、明治時代らしい。
だとすれば、大正時代の今は普通にあってもおかしくはなかった。
とはいえ、大正と平成では当然平成の方が後の時代だけに洗練された味となっている。
そう思えば、恐らく……本当に恐らくだが、このどら焼きはこの鬼滅世界で最も美味などら焼きと言っても間違いではないのかもしれなない。
職人が作ったどら焼きに対抗出来るかどうかは……微妙なところだが。
蜜璃はどら焼きを美味そうに食べている。
そんな中、俺はシャドウミラー組に声を掛ける。
「どう思う? 鬼殺隊の中でもトップクラスの腕力を持つ蜜璃でも赫刀を発動しないとなると、やっぱり赫刀を発動するのは鬼滅世界以外の世界の者じゃないと無理だと思うか?」
「けど、炭治郎だっけ? あの子は赫刀らしいのを発動させたんでしょう?」
「美砂の言いたい事も分かるけど、本人がうろ覚えに近い状態だったって話でしょ? 何らかの見間違いという可能性も十分にあるんじゃない?」
「それは……まぁ、そうかもしれないな」
美砂と円の会話を聞いていた俺も、そうかもしれないと同意してしまう。
同意してしまったのは間違いないが、炭治郎が主人公であるというのを考えると、もしかしたら……と思わないでもないんだよな。
それに炭治郎の家に伝わる呼吸の型の件もあるし。
「彼女でも駄目なら、後は……ホワイトスターで義眼の手術をしてリハビリしている人がいたでしょう? その人ならどう?」
凛の言葉に、それしかないかと思う。
実際に蜜璃以上の力の持ち主となると、行冥くらいしか思いつかない。
……実はこれで、行冥よりも蜜璃の方が力が強いとかなったら、どうすればいいんだろうな?
その場合は……柱にシャドウミラー式の訓練をするとか?
それこそ現在炭治郎達が受けているエヴァに任せて。
ただ、柱の一部はエヴァの訓練を受けるのかどうか微妙だよな。実弥とか実弥とか実弥とか。小芭内とかもそうかもしれないな。
杏寿郎は、一度認めればあっさりとエヴァの訓練を受けそうだ。
他の面々もそれなりに訓練を受けてくれそうな気はするが、結局のところ実際に試してみないとなんとも言えない。
「その辺は気長に待つしかないだろうな。呼吸を……あ」
そこまで言って、今更、本当に今更だが今までとは違う仮説を思い浮かべる。
「なぁ、もしかして赫刀は呼吸を使えない者が一定以上の力で日輪刀を握る事で発現するって可能性はあると思うか?」
その言葉は、シャドウミラー勢だけではなく刀鍛冶達の方にも届いたらしい。
ああだこうだと議論をしていた刀鍛冶達が、ピタリと会話を止める。
そしてギギギ、という音が聞こえてきそうな動きで、こちらに視線を向けてきた。
ひょっとこのお面を被ってはいるが、それでも強烈な視線をこちらに向けているというのは十分に理解出来る。
「アクセル王、その話……本当なのでしょうか?」
刀鍛冶の一人が尋ねてくるが、それに対して素直に頷くといったような真似が出来る筈もない。
「分かる訳がないだろう。あくまでもこれは仮説だ。だが、実際に呼吸を使えない者達が握れば赫刀になるんだ。それを考えると、もしかしたら赫刀というのは呼吸を使えない者が日輪刀を使う上での奥義……というのは少し大袈裟かもしれないが、そんな感じなんじゃないか?」
「それは……」
刀鍛冶は俺の仮説を信じたくないといったように黙り込む。
刀鍛冶にしてみれば、自分達が必死になって打ってきた日輪刀が、呼吸を使えない者に限って赫刀になる……というのは、あまり愉快なことではないのだろう。
とはいえ、現在の状況を考えるとそんな仮説が一番可能性が高いのも事実。
その仮説を否定する唯一の出来事が、炭治郎が赫刀らしきものを使ったという事だろう。
主人公補正とか、あるいは眠っていた力が解放されたとか、そんな感じであってもおかしくはないと思うんだが。
「何度も言うようだが、これはあくまでも仮説だ。今まで幾つも仮説を話してきたが、そのどれが正解なのかというのはまだ分からないだろう? なら、俺が思いついたこの仮説も、もしかしたら間違っているかもしれない」
「ですが、恋柱ですら赫刀を発動出来なかったとなると、やはり呼吸を使えるから赫刀にならないというのは納得出来ます」
「そうかもしれないな。けど、呼吸を使える者が赫刀を使えるようになるという可能性も否定は出来ない」
そもそも日輪刀の形態の一つが赫刀だと考えると、やっぱりこの鬼滅世界の者達が赫刀を発動出来ないのはおかしいと思うんだよな。
これも仮説……というか、今まで多くの世界と接触してきた身からすると、多分間違いないと思う。
とはいえ、実際にどうすれば呼吸の使い手が赫刀を使えるようになるのかといった事は分からないが。
「そう、ですか。……難しいですね」
「そうだな。ただ、日輪刀の事は当然ながら鬼殺隊の剣士や、お前達刀鍛冶が一番分かっている筈だ。特に刀鍛冶のお前達は日輪刀の産みの親と言ってもいい。そうである以上、赫刀にする方法を見つけるのは、お前達の役目だと思うぞ」
ある意味丸投げに近いが、今の状況を考えるとこれが最善だろう。
俺達もこれ以上出来る事はないんだし。
「分かりました。今の様子を考えると、やはり赫刀についてはこちらでどうにかするしかないですね。……ただ、赫刀について調べたいので、その協力はお願い出来ますか?」
「それは構わないぞ。赫刀がどのような性能を持っているのか、実際に自分の目で確かめてみたいしな。ただ、確認するとなると実際に鬼と戦ってみる必要がある。……蜜璃、お前の担当している地域に、現在鬼の情報はあるか?」
「いえ、今は特にそのようなことは……」
首を横に振る蜜璃を見れば、鬼の情報がないのは間違いないだろう。
柱として活動している以上、それこそ休む暇もないくらいに忙しいのかと思っていたが。
あるいは、十二鬼月の1人が倒されたので、その影響で鬼の行動が大人しくなっているのかもしれないな。
そうなると……
「ムラタ達だな」
そう、心当たりについて口にするのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1810
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1730