「アクセル? どうしたのだ、こんな場所で」
「こんな場所というか、もっと分かりやすい場所にいてくれてもよかったんだがな」
突然姿を現した俺を見て、ムラタが驚きと共に言ってくる。
そんなムラタに言葉を返しながら、俺は辺りを見回す。
ここは山小屋とでも呼ぶべき場所。
あまり使われることはないらしく、小屋そのものもかなり傷んでいる。
そんな山小屋が、ムラタと獪岳の拠点となっていた。
「で、獪岳は?」
「修行だ。雷の呼吸は強いが、獪岳はそれを十分に使いこなせてはいない」
あっさりとそう言ってくるムラタに、そういうものかと納得しながら空間倉庫から日輪刀を取り出す。
「日輪刀か? それをどうしろと? 獪岳の予備として使うのか?」
「いや、違う。この日輪刀はムラタに持ってきた」
「……俺に?」
何故自分に日輪刀を持ってきたのか、理解出来ない。
そんな様子を見せるムラタ。
ムラタは自分の武器を持っているし、鬼と戦っても神鳴流があれば問題なく対処出来ると、そう思っているのだろう。
なのに、何故自分に日輪刀を持ってきたのか分からなくてもおかしくはない。
「最近、日輪刀に赫刀という状態があるのが分かってな」
「赫刀?」
「ああ。論より証拠だ。気で身体強化をして、日輪刀の柄を握ってみろ。それなりに力を込めてな」
俺の言葉にムラタは取りあえず納得したといったように、気を使って身体強化をしながら日輪刀を握る。
少しずつ力を込めていくと、やがて日輪刀の刀身が炎の呼吸とは違った赤に変わっていき、熱を持ち始める。
「ほう、これは」
ムラタにとっても赫刀は興味深いものがあったのだろう。
驚きと面白さから目を開くと、日輪刀の柄を握る力に更に力を込めていく。
すると凛、綾子、美砂、円といった面々と同じように完全な赫刀となる。
「なるほど。日輪刀は色変わりの刀とも呼ばれていると聞くが、これは随分と変わっているな」
「だろう? ただ、問題なのは現在のところその赫刀を発動出来るのは、シャドウミラーの者達だけなんだよな」
「何? だが、日輪刀だろう? なら、この世界の者が発動してもおかしくはないと思うが」
「俺もそう思う」
ムラタの言葉に、俺は素直に同意する。
実際、何故このような状況になっているのか、全く分からない。
しかし、実際に現在の状況では鬼滅世界の者以外でなければ発動しないのは事実なのだ。
「ただ、鬼殺隊の中でも最高峰の力を持つ蜜璃であっても赫刀を発動させることが出来なかった。蜜璃で無理なら、恐らく他の鬼殺隊の剣士達でも無理だと思う」
「それは……だが……ふむ、なるほど」
何かを言おうとしたムラタだったが、結局は黙り込む。
「可能性としては、鬼殺隊の剣士が日輪刀を赫刀にするには何かもう一つが必要なのかもしれないと、そう思ってるんだけどな。問題なのは、そのもう一つが分からない事なんだよな」
「そうか。しかし、今の状況を思えばそれも仕方がないだろう。元々今は色々と不明な状況で動いているのだからな。鬼殺隊も鬼について知ってる事はそう多くはないらしいし」
「そうなんだよな。日輪刀の事だし、鬼が何らかの情報を持っているという可能性は否定出来ない。けど、鬼殺隊の連中は鬼は見つけたら捕らえるじゃなくて即座に殺すからな」
鬼殺隊になった理由の大半が、鬼によって家族や恋人、友人を殺されたからだと考えれば、鬼を見つけたら即座に殺すといったような真似をしてもおかしくはない。
おかしくはないものの、それでも少しは情報収集したりした方がいいと思う。
とはいえ、鬼の身体能力や血鬼術の類を考えると迂闊に捕らえて尋問をといった訳にもいかないのかもしれないが。
「ふむ。それで結局アクセルは何をしにここへ? 赫刀の件を俺に教える為か?」
「それもあるけど、それだけじゃない」
そう言い、ムラタが持っている赫刀……もう柄を握っている力を抜いているのか、大分刀身の色が元に戻り、熱も発さなくなった日輪刀に視線を向ける。
「その赫刀が、実際に鬼に対してどういう効果を持つのか、それを実戦で試してみたい」
その言葉にムラタは獰猛な笑みを浮かべた。
ムラタにしてみれば、赫刀が鬼に対してどのような効果を発揮するのか気になっていたのだろう。
「ほう。それは面白そうだな。その赫刀を使うのは、やはりアクセルか?」
「いや、ムラタだな。俺が握ると赫刀とはまたちょっと違う何かになる。それはそれで調べてみてもいいだろうけど、まずは赫刀がどういう性能を持つのかを確認する方が先だ」
実際に俺の握った日輪刀がどういう性能を発揮するのかどうか、分からない。
そっちも試してみたいとは思うが、まだ先の話だな。
「なるほど。では、任せて貰おう。アクセルはそれを見るのか?」
「ああ。映像でも記録しておく。……ちなみにムラタは鬼と戦ったのか?」
「戦ったぞ。思ったよりも弱かったから拍子抜けしたが。アクセルが戦った十二鬼月とやらと戦えば、また話は別かもしれないが」
「日輪刀を使わずに殺せたのか?」
基本的に鬼を殺す為には太陽の光か日輪刀で鬼の首を切断するといった方法が必要となる。
ゲイ・ボルクを使った攻撃で十二鬼月が死んだので、太陽や日輪刀以外の手段でも鬼を殺す方法はあるのだろう。
「ああ、神鳴流を使ったら鬼を殺せた」
「やっぱり神鳴流なら鬼を殺す事が出来るのか。そうなると、ネギま世界から神鳴流を呼び寄せるのは上手くいきそうだな」
元々神鳴流を一時的に雇うといった方向に話は進んでいた。
だが、神鳴流で鬼を殺せるかどうかというのは、少し疑問があったのだ。
勿論ネギま世界の鬼であれば、神鳴流で鬼を殺せる。
しかし、この鬼滅世界の鬼も神鳴流で鬼を殺せるかどうかは、試してみないと分からない。
それをムラタがしっかり殺せると証明したのだ。
そういう意味では、ムラタのやったことは大きな意味を持つ。
「呼ぶのか」
不満そうな様子のムラタ。
ムラタにしてみれば、ネギま世界から神鳴流の剣士を呼べば自分が戦える鬼の数が減ってしまうのは、出来れば避けたいのだろう。
とはいえ、この状況で一番適切な集団となると神鳴流であるのは間違いない。
「ああ、呼ぶ。どのみち、鬼の数はかなり多い。それこそ日本全国に散らばっているくらいにな」
日本全国を鬼舞辻無惨が歩き回って鬼を作っている?
まさかな。
やっぱり鬼の中には転移の血鬼術を使う者がいるのはほぼ確定か。
「まさか日本全国をムラタと獪岳だけでどうにか出来る訳がない。それは分かるだろう?」
「そうだな」
日本は狭いようで広い。
当然ながら、ムラタも自分と獪岳だけで日本全国にいる鬼をどうにか出来るとは思っていない。
「なら、神鳴流は必要だ。……まぁ、問題なのは神鳴流の持つ大太刀をどう隠すのかといった事だが」
鬼殺隊も廃刀令の為に日輪刀を持っているのが見つかれば警察に追われる。
神鳴流の剣士達が使う大太刀は、そんな日輪刀よりも明らかに大きいのだ。
そうである以上、隠すのも難しくなる。
ましてや、神鳴流の者達はネギま世界から来ている以上、この鬼滅世界に戸籍の類は存在しない。
それを思えば、もし捕まった時にどうなるか。
まぁ、神鳴流の剣士達が警察とはいえ一般人に捕まるとは思えないが。
……あれ? 呼吸を使えるのって、鬼殺隊の剣士達だけだよな?
実はこの世界では普通に警察も呼吸を使っているという事はない……筈。
俺が集めた情報では、そうなっている。
「分かった。……ただ、それでも神鳴流を呼ぶのは今すぐという訳ではないのだろう?」
「そうなるな。ネギま世界の方で交渉する必要があるし」
この交渉が難しい。
関西呪術協会のトップは木乃香の父親で、麻帆良とも友好的な関係にある。
しかし、木乃香の父親以外には未だに麻帆良を敵視している者も多かった。
せめてもの救いは、神鳴流は関西呪術協会に雇われる事が多いのは事実だが、別に関西呪術協会に所属している訳ではないという事か。
あくまでも神鳴流という1つの組織であって、きちんと報酬を支払えばこっちに協力してくれるのだ。
そして報酬に関しては、それこそ宝石とかならキブツを使えば幾らでも入手出来るし。
ただ、金や銀といった貴金属の類を大量に作ってネギま世界に持ち込んだ場合、最悪経済的な混乱になる可能性も否定は出来なかったから、その辺は慎重にやる必要があるが。
まぁ、その辺に関しては政治班に任せておけば問題はないだろう。
「ともあれ、ムラタには赫刀で鬼と戦って貰って、赫刀がどういう効果を発揮するのかを確認して欲しい訳だ。この近くに鬼が出るという情報はないか?」
「ある」
あるのか。
蜜璃の担当地区では今は鬼が出るといった様子はなかったんだが。
そう思ったが、考えてみればムラタと獪岳が担当しているこの地区は、柱の筆頭とでも呼ぶべき行冥が任されている場所だ。
そのような場所だけに、鬼の出現率が高くてもおかしくはないのだろう。
俺としては鬼を捜す手間が省けて嬉しいが、この地区に住んでいる人間にしてみれば鬼の出現率が高いというのは最悪なのは間違いない。
「そうか。なら、今夜にでも向かうか」
「そうしてくれ。……さて、俺はちょっと獪岳の様子を見てくるが、アクセルはどうする?」
ムラタのその言葉に俺も行くと答える。
何しろ今夜は鬼と戦うのだ。
つまり、夜になるまでこの場に残るという事を意味している。
すると問題なのは、夜までどうやって暇潰しをするか。
空間倉庫の中には本であったり携帯ゲーム機であったり色々とあるが、それを使わなくても暇潰しが出来るのならそちらを試してみてもいい。
獪岳の訓練を見学するというのは、俺にとっても決して悪い話ではなかった。
「というか……今更、本当に今更の話だが、ムラタはこうして俺と話をしていてよかったのか?」
「うん? どういう事だ?」
「獪岳が逃げ出す可能性もあるだろ?」
現在の獪岳は、柱の中でも最年長の行冥に恨まれている。
それこそちょっとやそっとの恨みではなく、殺されてもおかしくないような恨みだ。
獪岳が殺されなかったのは、俺やムラタが獪岳を庇ったからでしかない。
その結果として、獪岳は十二鬼月や鬼舞辻無惨を殺すまでは取りあえず現状維持という事になっている。
そのような状況である以上、ムラタが目を離して自由に修行をさせるといったような真似をしていた場合、このままでは自分は死ぬと判断して逃げ出してもおかしくはない。
以前刈り取る者を召喚して脅したが、現在の獪岳はムラタと2人で行動しており、俺はいないのだ。
獪岳にしてみれば、このままでは強敵と戦わされて危険だと判断して逃げてもおかしくはない。
そう心配したのだが、ムラタは笑みを浮かべる。
「獪岳は逃げるような真似はしない。もし逃げれば、それこそ自分は間違いなく死ぬと理解しているからな。転移が出来るアクセルから逃げて刈り取る者と戦うよりは、まだ鬼と戦った方が生き残れる可能性が高いと判断したんだろう」
「俺が転移魔法を使えるのを教えたのか?」
「ああ。別に隠している訳ではないのだろう?」
そう言われれば、俺も素直に頷くことしか出来ない。
実際、俺はこの世界でも普通に転移魔法を使ってるしな。
蜜璃を迎えに行った時も影のゲートを使ったし。
それを考えれば、獪岳を逃がさない為にムラタが転移魔法の存在について教えてもおかしくはない。
それに……転移魔法がなくても、刈り取る者なら普通に自分で獪岳を追っていくといった真似をしても、俺は驚かない。
刈り取る者は俺に忠実なのは間違いないが、何を考えているのか分からない一面もあるんだよな。
グリの場合は召喚されていない時はネギま世界で自由に行動しているが、刈り取る者は俺の影に潜んでいる。
それこそ影の中にずっといるというのは、一体どういう感じなんだ?
人間の場合は暗闇の中にいると気が狂うとか聞くけど。
刈り取る者を人間と同じ扱いにするのはどうかと思うんだよな。
実際、俺の影にいて不満そうな様子は全く見せないし。
刈り取る者が一体何を考えているのかは分からないが、血の契約を結んでいる以上、俺を裏切るといった可能性はまずないだろう。
「獪岳にしてみれば、逃げるといった真似も不可能な訳か。……そのおかげで獪岳が鍛えられたのなら、俺にしてみれば悪い話ではないな」
善逸と獪岳の関係はかなり複雑ではあったものの、それでも善逸は獪岳を慕っている一面はあるように思えた。
そうである以上、もし獪岳が逃げ出したりして刈り取る者に殺されたりしたら善逸は悲しんだのは間違いない。
この世界の主人公である炭治郎の仲間なのは間違いない以上、善逸の士気が下がるような真似は出来れば避けて欲しいと思うのは当然だろう。
「どうなるかは分からんが、獪岳の技量が上がっているのは間違いない。問題なのは、俺が十二鬼月の実力について分からない事だな。そういう意味では、少しアクセルに様子を見て貰うのもいいかもしれん」
そう言うムラタの言葉に、俺は頷くのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1810
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1730