俺が千鶴と共に蝶屋敷に行ってから少し時間が経つ。
その間は、多少の騒動はあったものの、そこまで大きな事件の類は存在しなかった。
例えば、刀鍛冶達がやって来て日輪刀を折った炭治郎を包丁で刺そうとしたり、伊之助の日輪刀が新しくなってきたかと思えば、石を使って刃をボロボロにして刀鍛冶を怒らせたり。
あるいは神鳴流と鬼殺隊の関係がそれなりに友好的になり、ネギま世界から本格的に神鳴流の集団がやって来て鬼殺隊と協力したり。
シャドウミラーとしては、ムラタではなく他の面々が行冥の担当地区で戦った結果、何匹かの鬼を確保する事にも成功している。
ちなみにその鬼を巡って鬼殺隊からは即座に殺すべきだといった意見も出たのだが、シャドウミラーとしては鬼を調べる必要があるのでそれを突っぱね、現在ホワイトスターで色々と調査中となっている。
そんな中で……
「準備はいいか? 久しぶりに鬼滅世界に戻るんだから、緊張はしてるかもしれないけど」
「お館様のご尊顔を直接見られるのだから、そのような事は……」
俺の言葉にそう答えたのは、ホワイトスターで行われたリハビリを終わらせた行冥。
そう、今日は行冥が鬼滅世界に戻る日なのだ。
久しぶりに耀哉に会えるというのもあるのか、相変わらずその目から涙が流れている。……義眼、大丈夫だよな?
ちなみに行冥はリハビリだけではなく、しっかりと訓練も行っていたので、目が見える事になった影響もあってか、その実力は間違いなく以前より増していた。
それだけではなく、行冥の義眼にはレーザーという奥の手もあるので、その辺の鬼は勿論、十二鬼月を相手にしても勝利するのは難しくないと思う。
とはいえ、鬼と鬼舞辻無惨の間で何らかの情報のやり取り……いや、寧ろ鬼舞辻無惨が一方的に鬼から情報を得ているのを考えると、鬼に対して一度レーザーを使えば、その情報が鬼舞辻無惨に知られるかもしれないという可能性は十分にあるが。
「そうか。なら、行くぞ。鬼滅世界でも行冥の事を待ってる奴は多いだろうし」
行冥は柱の中でも最年長で、他の柱からも慕われている。
その上、立場的には鬼殺隊で耀哉に次ぐNo.2といったような感じだ。
それだけに、行冥が戻るというのは今回大きな意味を持つのは間違いない。
こうして、俺と行冥は鬼滅世界に向かうのだった。
「岩柱!?」
鬼殺隊の隠里で、俺と行冥が歩いていると不意にそんな叫び声がする。
その声を発したのは、鬼殺隊の剣士の1人。
それだけに、岩柱の行冥に対して尊敬の念を抱いていてもおかしくはない。
その剣士の様子を見た行冥は、再び涙を流す。
「南無阿弥陀仏。鬼殺隊の剣士を自分の目で見る事が出来るとは……」
「え? 岩柱……私の姿が見えてるんですか?」
明らかに行冥の視線が自分を見ている事に気が付いた剣士の男が、驚きを露わにする。
「うむ。シャドウミラーの協力によって視力を取り戻す事が出来たのだ」
「それは……おめでとうございます」
驚きながらも、剣士の男は行冥の視力が回復した事を喜ぶ。
ちなみに行冥の目は一目で義眼と分かるようなものではない。
それこそ、何も知らない者が……いや、行冥の目が義眼であると知っている者であっても、普通の目との違いは分からないだろう。
その辺の技術力はさすがにレモンといったところか。
そんな目にレーザーが仕込まれているのだから、素直に凄いと思う。
……今回の件で得た技術で、エキドナの目にもレーザーが仕込まれたりしないだろうな?
とはいえ、エキドナの場合はレーザーが仕込まれると言われても特に気にしないどころか、寧ろ自分から進んでその手術を受けそうな気もするが。
それこそ技術班の面々に対してお仕置きする為に。
何しろ技術班の技術者達も頻繁にエキドナや茶々丸、セシルといった面々に追い掛けられている為に、自然と戦闘技術が上がっている。
何だかんだとエヴァとの模擬戦もやったりしてるので、下地という意味では十分にあるのだが。
そんな風に考えている間に、行冥と剣士の男の会話は終わったらしい。
「アクセル殿、感謝いたします」
相変わらず涙を流す行冥。
今までは声で……あるいは臭いも多少はあったのかもしれないが、直接相手を見るといったようなことは出来なかったのだろう。
しかしそんな中で、こうして直接自分の目で仲間の姿を見る事が出来たというのは感動出来たのだろう。
いや、そもそも鬼滅世界に転移してきた時から既に涙を流していたのは間違いない。
行冥にしてみれば、自分が今までいた場所ではあるものの実際に自分の目で見る事が出来るというのは行冥にとって非常に大きな意味を持つのだろう。
「ああ。とはいえ、今はまずこの辺りを見て回るといったような事はせずに、産屋敷家に行くぞ」
このままでは産屋敷家に到着するまでの間に一体どれだけの時間が掛かるか分からない。
そう判断した俺は、周囲の様子に感動している行冥を連れて産屋敷家に向かうのだった。
「おお、アクセル殿……それに悲鳴嶼! 戻って来たのだな!」
産屋敷家の前に到着すると、ちょうどそこには杏寿郎の姿があり、こちらを見るとそう声を掛けてくる。
「煉獄……なるほど、覚えがある」
杏寿郎を見た行冥は、再び涙を流す。
とはいえ、これは俺にも分からないでもない。
杏寿郎と行冥はお互いに炎柱と岩柱で、言ってみれば同僚だ。
そうである以上、行冥は杏寿郎の姿を直接見た事に感動し、杏寿郎は行冥の目が見える事を喜ぶのは当然だろう。
それ以外にも、杏寿郎の家の煉獄家は他の鬼殺隊の者達とは違って代々産屋敷家に仕えている家で、行冥は柱の筆頭とも呼ぶべき人物だ。
そう考えると、お互いに柱という以上に色々とあるのは当然の話だろう。
「悲鳴嶼、やはり目が見えるのか! これはめでたい!」
杏寿郎も行冥が自分を見ているのを理解してか、嬉しそうに言う。
「お互いに喜んでいる所に水を差すのはどうかと思うが、そろそろ中に入らないか? ……多分、耀哉はもう行冥が戻ってきた事は理解してると思うけど」
それは杏寿郎の叫びが周囲に……産屋敷家の中に響いているからこそ、恐らくそうだろうという予想だった。
「はっはっは。お館様は色々と鋭い御方だからな!」
杏寿郎のその言葉に同意したのか、行冥も頷き……そして俺達は産屋敷家の中に入る。
「そう言えば、この前も杏寿郎は耀哉に呼ばれていたみたいだったけど、今日もまた呼ばれるというのは珍しいな」
「そうだな。だが、お館様と色々と相談をする必要がある以上、それは仕方ない。今はまず色々と情報を集める必要があるのだから」
「情報を……? 煉獄、何か大きな問題でもあったのか? それこそ十二鬼月が現れたといったような」
俺の杏寿郎の話を聞いていた行冥が、そんな風に口を挟んでくる。
暫くの間ホワイトスターにいた行冥は、鬼滅世界の事情については疎くなっていた。
少しでも早くリハビリを終わらせる為に、鬼滅世界の情報は伝えていなかったのだ。
行冥がここまで早くリハビリを終わらせ、更には以前よりも強くなれたのはその辺も影響しているのは間違いない。
だからこそ、杏寿郎の今の言葉に反応したのだろう。
「うむ! 十二鬼月が現れたかどうかは分からんが、大規模に人が消えているのは間違いない! お館様はその一件の担当として私を指名したのだ! 今日こうして来たのも、その件の最終確認を……おっと、到着したな」
襖の前で足を止め、杏寿郎が言葉を途中で止める。
ただ、俺は鬼殺隊に全面的に協力しているのは事実だが、だからといって今の話を聞いてもよかったのか? と思わないでもない。
耀哉と俺が友人なのは間違いないが、それでも公私の区別はつけるだろうし。
「失礼します、お館様」
『ああ、入っておいで。アクセルと行冥も一緒で構わないよ』
当然だが、耀哉は杏寿郎と一緒に俺と行冥がいるのも気が付いていたらしい。
襖の向こうから聞こえてくる声が若干弾んでいるように思えるのは、ホワイトスターに行っていた行冥が戻ってきたからというのが大きいだろう。
耀哉にとって鬼殺隊の剣士達は皆が自分の子供のような存在だ。
それは耀哉と年齢がそう違わない行冥であっても同様だった。
杏寿郎が襖を開け、行冥と共に一礼して部屋の中に入る。
俺は特に一礼するといったような真似はせず、そのまま部屋の中に入った。
この辺は耀哉の部下である2人と、友人である俺の違いだろう。
そして中に入ると……
「お……お館様……」
顔を上げた行冥が耀哉の顔を見て涙を流す。
いつもなら色々と言いながら言葉を流すのだが、そんな行冥も現在は何も言う様子はない。……いや、言葉に出来ないというのが正しいか。
「行冥、戻ってきてくれて嬉しいよ。それで、目は見えるようになったのかな?」
「はい……はい……こうして初めてお館様のご尊顔を拝する事が出来て……出来て……」
最後まで言う事が出来ず、行冥の目からはただひたすら涙が零れ落ちる。
行冥にしてみれば、目が見えない時でも心の底から尊敬していた耀哉だ。
目が見えるようになり、そして初めて自分の目で耀哉を見て、その涙が止まらなかったのだろう。
多分、その涙には幾つかの理由がある。
まず第1に、初めて耀哉の顔を見ることが出来たという嬉しさ。
第2に、耀哉の顔の目の部分付近まで出ている呪いの影響だろう。
その呪いの影響で耀哉は視力を失った。
行冥もそれは知っていたものの、目の辺りに呪いの影響で出来物……それとも痣? とにかくそういうのが出来ているとは知らなかったのだろう。
「お館様! 早くホワイトスターで解呪をしましょう! 今なら、お館様もすぐにその呪いをどうにか出来る筈です!」
「そうだね。行冥の言葉も分かるよ。だから……そう、杏寿郎に頼んだ件が解決したら、アクセルに頼もうと思っていたんだ、どうかな、それで大丈夫かい?」
「大丈夫かどうかと言われると、こっちとしては全く問題ないぞ。寧ろ俺としては、今すぐにでも耀哉には治療を受けて解呪をして欲しいと思う。幸い……という表現が相応しいのかどうかは分からないが、行冥に移植手術をしたおかげで経験は上がった」
実際にはWナンバーズや量産型Wの件があるから、行冥に手術をする前であっても耀哉を手術するのは問題なかった。
ただ、鬼滅世界の人間という意味では行冥が初めてだったので、そういう意味では経験を積む事が出来たのは大きい。
鬼滅世界の人間は呼吸を使ったりするので、普通の人間と違う場所があるかもしれないな。
そういう意味では行冥はともかく耀哉は呼吸を使えないのだが。
ただし、呪われているという意味では大きく違う。
以前の調査でその辺は多少なりとも明らかになってるとは思うが。
「そうかい。なら、今回の一件が片付いたら頼もうかな」
「なら、お館様。その件には私も協力を……」
「いや、行冥はまだこの世界に戻ってきたばかりだろう? まずは鬼との戦闘でも義眼が問題ないようにした方がいい。それに……行冥の担当する場所は、現在シャドウミラーの人達に任せてるんだ。そちらをどうにかするのが先だろう?」
シャドウミラーに任せているという言葉を聞き、行冥の表情が微かに歪む。
これは別に行冥がシャドウミラーに対して思うところがある訳ではない。
寧ろ行冥にしてみれば、自分に義眼の移植手術をしてくれたシャドウミラーには感謝してるだろう。
行冥が今のような表情を浮かべた理由は1つ。
ムラタだろう。
正確には、ムラタと一緒に行動している獪岳か。
行冥と獪岳の因縁を考えれば、行冥の態度にも納得出来る。
あるいは視力を得た事によって、獪岳の姿を自分の目で見てしまう事に思うところがあるのか。
だがそれでも、シャドウミラーの先遣隊としてやって来ている者達に自分がいない間は担当地区を任せていたのだ。
ましてや、シャドウミラーの中で一番熱心に行動していたのはムラタだ。
そう考えると、ムラタに……そしてムラタと一緒に行動している獪岳に会いにいかないという選択肢は、行冥にはない。
そうしてムラタに会いに行った行冥が、一体どうなるのか。それは予想するしかないが、行冥にとって決して愉快な出来事にはならないだろう。
「分かりました。確かに私が治療をしている間に助けて貰ったのは事実。……感謝するのは必要でしょう」
そう告げる行冥は、言葉でこそ落ち着いている様子だ。
ただ、実際に獪岳をその目で見た場合どうなるのか。
……まさか、レーザーを使ったりはしないと思うが、一応何かあったら止められるように俺か、もしくはシャドウミラー側から誰か出した方がいいかもしれないな。
「さて、行冥の件は喜ばしい事だけど……アクセル、ここで提案があるんだ。そういう意味では、丁度いい時に来てくれたね」
「提案?」
「ああ、提案だよ。これはアクセル……というか、シャドウミラーにとっても決して悪くない話だと思う」
耀哉がこう言うという事は、恐らく何らかの確信を得ているのは間違いないだろう。
問題なのはそれが何なのかだが……
「具体的には?」
「杏寿郎に頼んでる件、アクセルも協力してくれないかな?」
そう、告げるのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1810
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1730