この車両には、言っては悪いが色々な意味で悪目立ちする俺達がいる為に、俺達以外の客は……いない事はないが、それでもかなり数は少ない。
そんな車両に入ってきたのは一体誰だと思って視線を向けると、そこには何らかの制服を着た顔色の悪い男。
「誰だ?」
「え? 炭治郎や伊之助ならともかく、何で先生が知らないんですか?」
その言葉に伊之助の猪の被り物をした頭部が善逸を見たが、見られた本人は特に何も気にしている様子はない。
炭治郎は未だに杏寿郎と色々と話をしているが、何だか杏寿郎を尊敬の視線で見ている。
この短い間に一体何があったのやらと思いつつ、善逸に視線を向ける。
「知らないな。で、誰だ?」
「車掌ですよ、車掌。切符を確認して、きちんと料金を払っているという証拠に切り込みをしてくれるんです……けど……」
「善逸?」
車掌についての質問については、大体理解出来た。
とはいえ、俺の場合は車掌が必要な電車とかに乗った事がないのでこれが初めての経験だが。
今でも――シャドウミラー的にはその今というのがいつなのかは分からないが――こういう切符の切り込みをやる車掌っているのだろうか。
とはいえ、車掌の件はともかくとして善逸が不審そうに車掌の方を見ているのを疑問に思う。
伊之助もまた、善逸の様子を疑問に思っているのかそちらに視線を向けていた。
そんな俺と伊之助の視線を感じたのか、善逸は少し戸惑ったように口を開く。
「いえ、あの車掌から聞こえてくる音が、かなり弱ってるような……そんな音なんですよ」
音が?
善逸の聴覚の鋭さは、炭治郎の嗅覚と同様に人間離れしたものがある。
それこそ、混沌精霊の俺よりも上なのは間違いないだろう。
そういう意味では混沌精霊以上の能力を持ってる訳だ。
……シャドウミラーの面々がその話を聞くと、かなり驚きそうだな。
「切符、切ります」
そう言い、車掌はこっちに近付いてくる。
どうする? 車掌から聞こえてくる音が弱いからといって、それが元々身体が弱いという可能性もある。
とはいえ、鬼のいるこの汽車でこのように偶然身体から聞こえてくる音が弱い奴がいるか?
取りあえず、様子見だな。
ただし、この車掌が怪しい相手なのは間違いない。
この汽車だけで80人以上が行方不明になっているのだ。
そうである以上、車掌が鬼と繋がっていても不思議ではない。
人質か、単純に脅されているのか、鬼に協力する事で何らかの利益を得ているのか。
ただ、見るからに弱っていそうなこの男の様子を見る限り、何らかの利益を持っているとは思えない。
「一応、気を付けろ」
他の乗客の切符を切っている車掌を見ながら、善逸に注意する。
何しろ80人以上を食ってきた鬼だ。
一体どのような手段を取っているのかは、正直なところ分からない。
「え? はい。分かりました」
善逸は全てを理解出来ていないまでもそう言い……そして、車掌が俺達の前に来る。
「切符、拝見します」
その言葉に善逸と、善逸に促された伊之助、そして俺は切符を渡し……次の瞬間、ふと違和感があった
何だ、今の違和感は。
ともあれ、周囲の様子を確認した方がいい……と思っていると、何故か善逸と伊之助が眠っている。
それだけではなく、先程車掌が切符を切った数少ない俺達以外の乗客も眠っていた。
これは一体どうなっている? と考え、すぐに理解する。
先程の違和感。
あれがきっと、この眠りの正体だったのだろう。
そしてこの状況でこのような状態になっているという事は、恐らく……いや、間違いなく血鬼術。
今回の一件を仕組んだ敵が仕掛けてきたのだろう。
だが、何故その血鬼術が俺に効果がなかったのか。
考えられる可能性としては幾つかあるが、その中で一番可能性が高いのは、やはり俺が混沌精霊だからという事だろう。
この血鬼術は、一般人であろうが、鬼殺隊の剣士であろうが、柱であろうが恐らく問答無用で眠らせるといった効果を持つのだろう。
だが、それはあくまでも人間を相手にしてのものであり、俺は混沌精霊で人間ではない。
あるいは俺の持つ圧倒的な魔力や念動力が血鬼術を弾いたという可能性も否定は出来ない。
ともあれ、あの車掌が鬼……という可能性はないだろう。
善逸や伊之助、何よりも杏寿郎がいるのに、鬼がすぐ側にいるのに気が付かない筈もない。
あの車掌が鬼ではなくただの人である以上、今は様子を見た方がいいな。
あの車掌が鬼なら、すぐにでも倒したんだが。
そんな風に考えつつ、他の面々と同じように眠った振りをする。
炭治郎や杏寿郎もまた眠ってしまっていた。
そんな風に考えていると、車掌は車両を出ていく。
さて、こうなると問題なのは一体どうやって眠ってしまった連中を起こすかだな。
恐らく血鬼術で眠らされた以上、ただ揺すった程度で起きるとは思えない。
だとすれば、俺が鬼を倒さないと起きる事がないとか?
ただし、俺が鬼を殺してしまった場合、炭治郎達に実戦を経験させるというのが不可能になってしまう。
そうなると本末転倒だろう。
そんな風に思っていると……やがて前の方から何人かが歩いてくる気配を感じる。
鬼か? とも思ったものの、扉を開けて姿を現したのは数人の男女だった。
明らかに鍛えているようには思えない数人の男女は、縄を手にしている。
おいおい、もしかして首を絞めて殺そうとしてるんじゃないよな?
もしくは縛って身動きを出来なくするのか?
とにかく、ただ眠らせておくだけならそのままにしただろうが、さすがに殺されるかもしれないとなると、そのままにしておく訳にもいかない。
やってきた者達は、まず扉から一番近い場所にいた炭治郎に向かって近付いていき……
「その辺にしておけ」
『っ!?』
まさかこの状況で声を掛けられるとは思わなかったのか、入ってきた者達は全員が驚愕の視線をこちらに向けてくる。
そんな中、先頭にいた女が信じられないといった視線で俺を見るも、次の瞬間には短刀を手にしてこっちに襲い掛かってくる。
混乱しつつも、その表情には憎悪の色が濃い。
自分の邪魔をする相手を排除するといった様子だったが……特に戦闘訓練をした訳でもなければ、呼吸の類を使える訳でもない相手の攻撃で俺をどうにか出来る筈もない。
混沌精霊である俺は、気や魔力を使った攻撃でなければダメージを受けない。
この世界では気の亜種に近い呼吸では多分ダメージを受けると思う。
血鬼術も多分同様に。
だが、この女が……特に戦闘訓練をしている訳でもない女の放つ一撃は、当然ながら俺にダメージを与えるような真似は出来ない。
そう考えると素直に攻撃を受けて、身体を一旦白炎にしてから再構成する……といった真似をしてもよかったのだが、この状況を鬼が見ている可能性が高い以上、わざわざこっちの手の内を明かす必要もないだろう。
短刀を握っている手を掴み、そのまま身体を入れ替えるようにして女の後ろに回り込むと首筋に手刀を放って気絶させる。
これ、簡単に見えるけど実は結構難しいんだよな。
下手に力を入れすぎると、手刀で首を切断するといったような事にもなりかねないし。
そうして気絶した女をそのまま床に寝かせると、残りの者達にも視線を向ける。
ビクリ、と。
今の一連の動きを見て、生身での闘いでは絶対に自分には勝ち目がないと判断したのだろう。
それでも逃げるような真似はせず、こちらを睨み付けてくる。
この状況で逃げない?
普通なら、それこそすぐにでも逃げてもいい筈なんだが。
俺が気絶させた女だけではなく、この場にいる全員が戦闘訓練をしていないのは、身体の動かし方を見れば明らかだ。
それはつまり、この状況であっても逃げられない何かがあるという事だろう。
とはいえ、だからといって炭治郎や杏寿郎に危害を加えさせる訳にもいかないので……
「取りあえず、眠れ」
そう呟くと鬼の手先と思われる者達を全員気絶させる。
当然ながら、最初の1人と同様に苦戦らしい苦戦はしていない。
「後は……そうだな。このロープで身動き出来ないように適当に縛っておくか」
簡単に抜け出せないように、持っていたロープで手足を縛る。
これで気絶から目を覚ませば色々とうるさいかもしれないし、猿轡でもしておいた方がいいか?
そう思ったが、下手に猿轡をして呼吸が出来ずに死なれても困る。
普通なら鼻で呼吸するだろうけど、この連中がその普通に入るかどうかは分からないし。
なら、いっその事このままにしておいた方がいい。
いつ気絶から目が覚めるのか、全く分からないし。
不幸中の幸いと言うべきか、俺達は色々な意味で――主に悪い意味でだが――目立っていた。
そんな俺達と関わり合いたくないと思ったのか、この車両に乗っている客の姿は少ない。
つまり空いている座席は結構な数があるので、気絶した鬼の手下を置いておく場所には困らなかった。
とはいえ……鬼にとって人間というのは食料という認識だったんだが、人のままでも鬼に協力する奴がいるんだな。
何らかの手段で脅されて渋々なのかもしれないが。
ともあれ、ひとまずこの連中の事はいいとして……
「どうやれば目覚めるんだ?」
未だに寝ている鬼殺隊の面々を眺めつつ、どうやって起こすべきかを考える。
血鬼術で眠っている以上、普通に起こすだけではそう簡単に起きないだろう。
それでも念の為に、炭治郎の身体を揺すってみる。
「炭治郎、起きろ。炭治郎」
1分程頑張ってみるものの、炭治郎が起きる様子は全くない。
やっぱりこれは起こすのは無理か?
そうして迷っていると、不意にカリカリといった音が聞こえてくる。
何だ? と思って視線を向けると、そこにあるのは禰豆子の入っている箱。
そうか、汽車の中だから普通にあの箱の中から出られるのか。
そう判断し、木の箱を開けてやる。
「むー!」
木の箱から出て来た禰豆子は、いつものように竹を咥えた状態のままだ。
俺を見ると短く言葉……というか、声? を発し、炭治郎の方に向かう。
鬼になった影響で精神的に幼くなっている禰豆子だったが、それでも炭治郎が自分にとって重要な相手であるというのは分かっているのだろう。
「むー! むー! むー!」
必死になって炭治郎を揺する禰豆子。
木の箱にいた禰豆子にしてみれば、炭治郎はただ眠っているようにしか見えない筈だ。
それでもこうして必死になって炭治郎を起こそうとしているのは、多分炭治郎が血鬼術によって眠らされた事と関係があるのだろう。
同じ鬼である禰豆子だからこそ、炭治郎やそれ以外の面々も眠っているのが血鬼術によるものだと理解したのだろう。
「禰豆子、炭治郎を起こす方法は何かないか?」
「むー!」
俺の言葉を聞いても、禰豆子はそんな言葉しか返さない。
本当にこのままずっと眠ったままの場合、最悪ホワイトスターに連れていってレモンに治療して貰う……いや、血鬼術の影響だとすると、木乃香の魔法で解呪をした方がいいのか?
ともあれ、そんな方法をする必要があるが、今の状況を考えるとそう簡単に連れて行く事も出来ないだろう。
ニーズヘッグがあれば、システムXNでいつでもホワイトスターに戻れるんだが……まさかこんな場所でニーズヘッグを出す訳にもいかないだろうし。
さて、どうしたものか。
そう思っていると、何故か眠っている炭治郎の目から涙が零れ……それを見た瞬間、禰豆子は叫ぶ。
「むー!」
「って、おい!?」
俺が焦ったのは、叫んだ禰豆子が血鬼術を発動した為だ。
禰豆子の血鬼術は、炎。
正確には血を炎にするんだったか?
ともあれ炎を生み出す血鬼術だったんだが、その炎を何故炭治郎にやるのか。
炭治郎を殺すつもりか? と一瞬思ったが、その考えが見当違いだったことが次の瞬間に理解出来た。
何しろ、炎に包まれた炭治郎は全く怪我をしていなかったのだから。
それどころか、気のせいかもしれないが炎に包まれてどこか安心したようにすら見えた。
「むー!」
そんな炭治郎の様子を見て再び声を上げた禰豆子は、じっと座席に座って寝たままの炭治郎を見る。
そして……
「はっ!?」
今まで眠っていた炭治郎が、不意に目を覚ます。
「炭治郎、どうやら目を覚ましたか」
「アクセルさん!? 禰豆子も!?」
現在の状況が理解出来ない炭治郎は、周囲の様子を確認する。
ちなみに炭治郎の身体を燃やしていた炎……禰豆子の血鬼術によって生み出されたそれは、炭治郎が目覚めた瞬間には既に消えていた。
禰豆子の性格を考えれば慕っている炭治郎を攻撃するとは思わなかったが……あの様子から考えると、禰豆子の炎は回復の炎といった感じなのだろう。
ある意味禰豆子らしいと言えるのかもしれない。
「ああ、禰豆子がお前を眠っている状態から目覚めさせたんだが……」
「はい。夢の中でそれは分かりました」
禰豆子の炎についてどう説明すればいいのか少し迷ったのだが、この様子だとどうやら俺が何かを言うよりも前に炭治郎はそれを悟っていたらしい。
なら、これ以上話す必要もないか。
後の問題は……他の面々をどうするかだな。
まだ眠っている杏寿郎、善逸、伊之助を見ながら、そう思うのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1810
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1730