禰豆子に異世界の食料は食べさせないようにすると炭治郎から聞いて数日……俺の姿はホワイトスターにあった。
耀哉の治療が終了し、ある程度の時間が経過したので、今日はいよいよ解呪の日だ。
本来なら輝利哉やあまねといった家族達が来るという話もあったのだが、エヴァからのアドバイスによって最終的にそれは却下されている。
耀哉の呪いは、鬼舞辻無惨の呪いという訳ではなく、鬼滅世界そのものによる呪いだ。
そのような呪いである以上、例え家族であっても鬼滅世界の人間はいない方がいいと。
実際にはもし輝利哉達がいても、そこまで問題になるような事がないという話だったが、それでも万が一を考えて完全な状態でやるのなら……と。
それに耀哉のいない鬼殺隊を運営するとなると、当然だがかなり忙しくなる。
鬼殺隊としての仕事が忙しく、そういう意味でもホワイトスターに来るのがちょっと難しいというのは、事実でもあった。
そんな訳で、現在耀哉に用意された個室にいるのは……俺、レモン、エヴァ、耀哉、木乃香、刹那の6人となる。
レモンはいざ解呪が成功した時に耀哉の身体に異常がないかどうかを確認し、もし何らかの異常があった場合は即座に治療に入る為に。
エヴァは呪いの解呪という事で、そっち方面に深い知識を持っているので。
耀哉は解呪される対象で、木乃香は解呪をする人物。
刹那は木乃香の護衛なので。
俺は……俺は何でここにいるんだろうな?
いやまぁ、俺がいれば何かあっても対処出来るからとレモンに言われているので、そういう意味では俺がここにいるのは当然の話なのかもしれないが。
「さて、ではこれから解呪を始めるわ。準備はいいわね?」
「大丈夫です。それにしても、いよいよこの呪いともお別れですか。そう考えると何やら感慨深いものがありますね」
「その感想はどうなんだ?」
耀哉の言葉に、思わずそう告げる。
この呪いが、具体的にいつから耀哉の身体に影響を起こしていたのかは分からない。
耀哉の長男の輝利哉は、現在のところ特に呪いとかは関係なく暮らしているのだから。
それを思えば、輝利哉がある程度の年齢になって、初めて呪いが影響してくるといったところか。
……そういう意味では、耀哉もこの呪いとは生まれた時からの付き合いという訳でもないのだろう。
もっとも、将来的に確実に呪われるという事を考えると、生まれた時からの付き合いと言っても間違いではないのかもしれないが。
「もしかして、呪いに対して寂しいものを感じてるとか、そんな事はないよな?」
「ははは。そんなことがある筈がないだろう? 私にとって、この呪いは私の代でどうにかしたいと思っていたんだ。だからこそ、鬼舞辻無惨をどうにかして殺そうと思っていた。だが……そのような事をしなくても、呪いが解ける。これに勝る幸せはないよ」
そう言う耀哉の言葉には本気の色がある。
とはいえ、その気持ちは分からないでもない。
耀哉の一族は、その呪いによって皆が短命なのだから。
俺が初めて耀哉に接触した時も、布団から起き上がるのがかなり難しいくらいには弱っていた。
その後、ホワイトスターに来た事によって鬼滅世界からの呪いから逃れることに成功し、治療を受けた関係でかなり回復したが……それでもやはり鬼滅世界に戻ると再び呪いの影響を受けていた。
治療のおかげで、ある程度回復したのは耀哉にとって幸運だったのだろうが……そうしてある程度回復し、更には鬼殺隊を率いる人物としての仕事もあって、すぐに解呪という事にはならなかったのだが。
「そうだな。今日の解呪で耀哉の呪いがなくなれば、それこそ元気に鬼殺隊の運営も出来るしな。……さて、いつまでもこうして話していてもしょうがない。木乃香、準備の方は?」
「任しといて。ばっちりや」
見ている方が幸せになるような、そんなほんわかした笑みを浮かべて木乃香が言う。
なお、そんな木乃香の側では耀哉の呪いが木乃香に攻撃するといったような場合はすぐに反応出来るようにだろう。
刹那もまた、木乃香とはまた違った意味で意識を集中させていた。
「じゃあ、お願いね。私の方でも解呪の最中に何か分かったらすぐに言うから」
レモンの言葉に頷くと、木乃香は耀哉に向かって口を開く。
「では、解呪をさせて貰いますね」
「お願いします」
そうして言葉を交わすと、木乃香は意識を集中して呪文を唱え始める。
その呪文は……いわゆるネギま世界の魔法として広まっているようなものではなく、和風の呪文とも呼ぶべきものだ。
同時に、木乃香の魔力が爆発的に増していく。
……ここまで魔力を使わないと、耀哉の呪いの解呪は出来ないと木乃香は判断したのだろう。
魔力を感知出来る訳でもない耀哉も、周囲で何かが起きているというのは理解出来るのだろう。
真剣な表情で木乃香のいる方を見ている。
そして……呪文が紡がれると同時に、木乃香から放たれる魔力は更に強くなっていき……解呪の魔法が発動した瞬間、木乃香から感じられる魔力は爆発的に増え、その魔力が耀哉に流れていく。
いや、正確には耀哉にではなく、耀哉の身体を蝕んでいる呪いにという表現の方が相応しいだろう。
「ぐ……」
魔力を感知出来ない耀哉だったが、それでも魔力が存在しているのは間違いなく、そして魔力は耀哉を呪いから解呪すべく次から次に流れ込んでくる。
耀哉にしてみれば、完全に未知の感覚といったところか。
そんな様子を眺めていると、次第に耀哉だけではなく木乃香の額にも汗が浮かび上がり始めた。
それでも木乃香は解呪を諦めるようなことはなく、一心不乱に集中して解呪を試し……
「このちゃん!」
一瞬、本当に一瞬だったが、木乃香の身体がふらついたのを見た刹那が鋭く叫ぶ。
木乃香はそんな刹那の声で我に返ると、再び意識を集中して解呪に挑み始めた。
治療の専門家の木乃香でもこれか。
……同じ治療の専門家でもある千鶴もここに連れてくるべきだったか?
そうすれば木乃香の負担も少しは軽くなっていた可能性がある。
「うちは……絶対に勝つんやぁっ!」
その言葉と共に一際強烈な光が木乃香から放たれ……やがて、その身体から放たれる光は消えていく。
木乃香は魔力を使い切ってしまったのだろう。
そのまま床に崩れ落ちそうなところを、刹那が受け止めていた。
そして、部屋には沈黙が満ちる。
「エヴァ、どうなったか分かるか?」
「心配するな。呪いはもうない。解呪は無事に成功した。しかし……まさか、ここまで強力な呪いだったとはな」
しみじみと呟くエヴァ。
そんなエヴァの言葉に、改めて耀哉に視線を向ける。
するとそこでは、耀哉が自分の手を握ったり閉じたりといった真似をしている。
「耀哉、どうだ? 呪いが解除したといった実感はあるか?」
「分からない。分からないけど、以前と比べれば身体が軽くなったような気がする」
自分でも分からない? って事は、解呪は失敗したのか?
一瞬そう思ったが、エヴァは解呪を成功したと言っていたのだから成功はしている筈だ。
だとすると、やはり鬼滅世界ではなくホワイトスターにいるからか?
元々ホワイトスターの中で呪いは影響していなかったから、それが影響してるのだろう。
「そうなると、後は……眼だな。やっぱり駄目か」
耀哉の顔を確認するが、呪いが解呪されたにも関わらず、やはり頭部には以前のように呪いの影響が出たままだ。
「一応聞くけど、眼は見えるのか?
「生憎と、その辺は以前と変わらないよ。……出来れば、自前の眼でしっかりと見たかったんだけどね」
「エヴァ、どう思う?」
耀哉の言葉を聞いて、俺はエヴァにそう尋ねる。
するとエヴァは、そんな俺が何を聞きたいのかは理解しているのか、面倒そうに口を開く。
「呪いの影響で視力を失った以上、解呪されても眼球が元の機能を取り戻すといったことはないだろう」
やっぱり駄目か。
もしかしたらと思ったが。
「木乃香も随分と頑張ってくれたんだけどな」
気絶して、現在は刹那に世話をされている木乃香を見ながらそう言う。
しかし、エヴァはそんな俺の言葉に鼻を鳴らす。
「ふんっ、そもそもその男の呪いは誰か個人が呪った訳ではなく、世界に呪われたようなものだ。そんな呪いを解呪したのだから、そこまで消耗するのは当然だ。……正直、無理かもしれないと思っていたんだが。大したものだよ」
エヴァがこうして褒めるという事は、木乃香がやりきったのはかなりの偉業なのだろう。
見方によっては、個人で世界に勝利したと言っても間違いではないのだから。
「このちゃん……」
エヴァの説明を聞いた刹那は、笑みを浮かべて木乃香の髪を撫でる。
てっきりエヴァに対して、もしくは俺達に対して怒るのかと思ったが、これはちょっと予想外だったな。
「アクセル、私の解呪をしてくれた人物は大丈夫なのかい?」
今のやり取りを聞いていた耀哉が、そんな風に尋ねてくる。
耀哉にとって、木乃香は恩人だ。
それだけに、自分の解呪をした為にどうにかなってしまったのではないかと、心配になったのだろう。
「気にするな。魔力を使い果たして眠っているだけだ。眠れば回復する。……だよな?」
「うむ。魔力を最大限になるまで使い切ったからな。少し安静にしていれば大丈夫だ」
確認の為にエヴァに尋ねると、そんな言葉が戻ってくる。
「だ、そうだ。心配するな。耀哉はまず自分の身体の事を考えろ。……レモン、これからの予定は?」
「そうね。まずは数日様子を見るわ。今はまだ盲目のままのようだけど、時間が経てば見えるようになるかもしれない。そうね。……取りあえず治療をした時と同じく3日。3日様子を見て、それでも駄目なようなら義眼の手術をするわ」
「私は今からでも構わないのだが……」
耀哉にしてみれば、解呪が終わった以上は少しでも早く鬼滅世界に戻りたいのだろう。
鬼殺隊は非常に忙しい。
そうである以上、自分だけがいつまでもホワイトスターにいる訳にはいかない。
そう思ってもおかしくはないのだが……だからといって、治療の件でレモンの指示を聞かない訳にはいかない。
「駄目よ」
だからこそ、レモンがそう言えば耀哉もそれ以上は何も言えなくなる。
耀哉もレモンに逆らってはいけないと、そう理解しているのだろう。
「とにかく、耀哉は大人しくしていろ。身体を動かして体力をつけておくというのもいいな」
現在の耀哉は別に太っている訳ではないが、その身体は筋肉が殆どない。
とはいえ、これは仕方がない事だろう。
少し前まで、耀哉は呪いの影響で布団から起きるのも大変な状態だったのだから。
そんな耀哉に身体を動かして体力を付けろ、筋トレをしろというのは文字通りの意味で自殺行為だ。
だが、その呪いも今はもうない。
呪いの影響で失った光こそまだ取り戻してはいないが、それでも身体を自由に動かせるようになったのは間違いない。
であれば、何もしていないのが嫌だという耀哉にとって、軽い運動をするのはお勧めだろう。
盲目である以上、自由に走り回るといったような事は出来ないが、決められた場所を歩くというのは問題ない。
何かあった時の為に、量産型Wかコバッタ辺りを耀哉と一緒に行動させておけば間違いないだろうし。
「なるほど、運動か。……久しく激しい運動はしていないし、これからの事を考えればそれもいいかもしれないね」
激しい運動か。
……あまねとの夜は、主にあまねが主導権を握っていたのだろう。
「アクセル、耀哉の義眼は……アクセル? 何か妙な事を考えていない?」
「いや、そんな事はないぞ。義眼だったな。それについてはレモンに任せる。ただ、耀哉は行冥と違って最前線で戦うタイプじゃないから、義眼の性能は今の耀哉に相応しいものにしてくれ」
レモンの勘の鋭さに驚きつつ、それを表情に出さないようにしながらそう告げる。
気絶している木乃香はともかく、刹那やエヴァも俺が何を考えているのかは全く理解出来ていなかった様子だったのに……何でレモンだけ?
前から思っていたが、俺の恋人達は揃って女の勘が鋭すぎるような気がする。
今回は何とか誤魔化せたので、特に問題はないのだが。
「今の耀哉に相応しい、ね。……どういうのがいいのかしら?」
「千里眼とか……いや、それはさすがに無理か」
「そうね。望遠機能を付ける事は出来るでしょうけど、それでも千里眼とまではいかないわ」
千里眼か。
ちなみにこの千里眼の千里というのは、大体4000kmくらいの距離らしい。
そんな距離を見る事出来たら、それは凄いよな。
ちなみに4000kmが具体的にどのくらいの距離なのかと言うと、日本北海道から沖縄までで3000km強というところらしい。
つまり千里眼というのが本当に存在したら、日本中どこでも見られるという事になる。
実際には、家の中や木々に隠れたりして見る事は出来ないだろうが。
「千里眼は無理でも、何か耀哉に相応しい機能を頼む」
そんな俺の言葉に、レモンは何故か笑みを浮かべて頷くのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1810
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1730