育手の2人がホワイトスターで暮らし始めてから数日……いよいよ、耀哉に対する義眼の手術の日がやってきた。
ちなみに育手の2人は折角だからと耀哉の見舞いには行った。
それこそ毎日のように。
育手の2人が柱だった時に産屋敷家の当主が耀哉だったのか、あるいは耀哉の父親だったのか……もしくは耀哉の祖父だった可能性もある。
それでも耀哉が産屋敷家の当主である以上、それなりに顔見知りだったのは間違いない。
育手の2人も、耀哉を真剣に心配していたし。
しかし、耀哉の呪いが解呪されたというのを聞いて、それはかなり嬉しい事だったらしい。
そんな訳で、育手の2人にとってホワイトスターに来たのは悪い話ではなかったらしい。
「で、結局義眼にはどんな機能を付けたんだ?」
朝の諸々――昨夜の後片付けや体力回復の魔法球での休憩等――が終わり、現在は朝食の時間。
今日の朝食は昨夜の残りのビーフシチューを使ったパスタだ。
ビーフシチューに使われている肉は品質の高い肉だし、野菜もジャガイモ、ニンジン、タマネギといった定番以外にアスパラやエリンギ、シメジといったキノコ、そして珍しい事にキャベツも入っている。
ビーフシチューにキャベツ? と最初は思ったが、食べてみるとそれなりに悪くない味だった。
そんなビーシチューを煮詰めてパスタのソースにしたものと、サラダ、果実各種といったようなのが今日の朝食。
そんな朝食を食べつつ、俺はレモンに今日行われる義眼の手術について尋ねる。
「そうね。結局レーザーの機能は入れる事にしたわ」
レーザーについての話を口にするレモンに、俺は呆れの視線を向ける。
「レーザーはそこまで必要じゃなかったって話にならなかったか?」
「そうね。でもいざという時に耀哉の身を守る力は必要でしょう? 行冥に搭載したレーザーと比べると威力は低いけど、攻撃力は十分な筈よ。それにレーザーだけじゃなくて、相手の動きを先読みする機能も付けたわ」
「……そんな真似が出来るのか?」
最初は千里眼程ではないにしろ、遠くがよく見えるといったような機能とかいう話だった筈だが。
「出来るわ。ただ、これはあくまでも参考にしかならないし、それを使う本人も相応の情報処理能力が必要になるの」
「情報処理能力か。そういう意味だと耀哉には相応しいかもしれないな。……けど、参考にしかならないってのは?」
相手の動きを先読みするというのは、話だけを聞くとかなり便利なように思える。
戦う者にしてみれば、欲しいと思う者も多いだろう。
「簡単に言えば、相手が予想外の動きをした場合は予想出来るかどうか難しいのよ。それこそ普通の人を相手にした場合は十分確度の高い予想が出来るけど、相手が……そうね。シャドウミラーの人員が相手の場合は、殆ど役に立たないと思うわ」
「そういう事か」
シャドウミラーに所属する者は、瞬動や虚空瞬動といった技術を普通に使いこなすし、魔法や魔術を使ったりもする。
相手の先を読むとはいえ、その動きが完全に予想外のものであれば義眼の方で予想は出来ないらしい。
その辺は義眼の能力の限界といった事なのだろう。
「ええ。でもレーザーと同じく身を守るといったような真似は可能よ。……アクセルの鬼眼みたいに、複数の効果を発揮出来るようなら頼もしいんだけど」
「無茶を言うな、無茶を」
正直なところ、鬼眼は強力な……いや、非常に強力な魔眼であるのは間違いない。
だが、実際に使ってみるまではどのような効果を相手に与えるのかが分からないという点は非常に大きなマイナスだった。
相手を捕らえたいのに即死の魔眼が出たり、相手を殺したいのに回復させたり……場合によってはそんな結果にもなりかねない。
そういう意味で、鬼眼は非常にピーキーな性能を持つ魔眼だった。
……まぁ、複数の能力を持つ魔眼という点で考えれば、トップクラスの能力を持ってるのは間違いないんだが。
「そう? でも今は無理でもいずれはアクセルの魔眼を解析して、同じような能力を持つ義眼を作って見るのも面白そうね」
もしその辺の奴がこんな事を言った場合、無理だろうと断言出来る。
だが、それを言ったのがレモンであった場合は、それこそ本気でやってしまいかねないのが怖いところだ。
本人に言えば否定するだろうが、俺が……いや、俺だけではなくレモン以外の全員がレモンに感じているのは、何でも出来る天才というイメージだ。
実際にそう言われてもおかしくないだけの成果をこれまで何度も出してきている。
そうである以上、レモンがそんな風に思われるのは当然の話だった。
「あまり羽目を外しすぎないでくれれば、それでいい」
そう言う俺に、レモンは笑みを浮かべて意味ありげな視線を向けるのだった。
「耀哉、調子はどうだ?」
「やぁ、アクセル。調子はいいよ。呪いがなくなったというだけで、ここまで元気になれるとは思わなかった。いや、治療されたのも大きいのだろうけど」
「元々ホワイトスターでは、呪いの影響がなかったからな」
そう返しながら、ふと疑問を抱く。
呪いの影響がホワイトスターにいるとなくなる。
それは、鬼滅世界の呪いに限った事なのか。
あるいは他の世界であっても呪いはホワイトスターに来ればなくなるのか。
そして呪いと魔術、魔法はどう違うのか。
……取りあえず、呪い級と呼ばれている鵬法璽の効果はホワイトスターにいても普通にある。
それはレオンを見れば明らかだろう。
だとすれば、やっぱり鬼滅世界だけが特別なのか?
なら、何故鬼滅世界だけが特別なのか。
色々な意味で、その辺はちょっと分かりにくいんだよな。
後で調べてみれば、意外と面白い事が分かるかもしれないな。
「それで、今日義眼の移植手術をやる訳だが……義眼の能力は聞いたか?」
「ああ、レーザーと相手の行動を先読み出来るというものだろう? もっとも、後者はそこまで正確なものではないらしいけど」
「そうらしいな。それで耀哉としてはその義眼の能力をどう思ってるんだ?」
もし耀哉が嫌がっているのなら、レモンに言って普通の……何の能力もない義眼にしてもいいと思ったんだが、耀哉の口から出たのは予想外の言葉だった。
「私は今のままで構わないよ。私にとって、義眼の能力はあればかなり便利なものだしね」
「便利、か。……鬼殺隊を率いている耀哉がレーザーを使って戦うような場面になれば、その時点で鬼殺隊は負けに等しい状況だと思うんだがな」
「そうかもしれないね。しかし……アクセルが私達と接触してから……いや、竈門炭治郎が浅草で鬼舞辻無惨を見てから、事態は大きく動いている」
そう言う耀哉だったが、その言葉は実際に間違ってはいない。
鬼滅世界の主人公である炭治郎が本格的に鬼殺隊の剣士として動いた以上、事態が大きく動くのは予想出来る。
「つまり?」
「今までは名前だけしか知られていなかった鬼舞辻無惨の顔を確認し、十二鬼月も下弦とはいえ2人倒した。そしてアクセルは上弦の参と何度かやり合っているんだろう? そうなると、鬼舞辻無惨も自分の行動が上手くいかないということで焦る。だとすれば、結果的にこっちに向かって積極的に動く可能性は高い。つまり、上手くいけば鬼舞辻無惨が私を直接狙ってくるかもしれない」
鬼舞辻無惨が耀哉を直接狙ってくるのを、上手くいけばと表現するのは……正直どうなんだ?
そう思わないでもなかったが、実際に敵の組織の頭を潰すというのは効果的だ。
今までそんな事を数多くやってきただけに、それは十分に理解出来ていた。
「耀哉が手術とリハビリ……義眼に慣れて鬼滅世界に戻ったら、産屋敷家に量産型Wとコバッタを護衛として送るよ」
護衛という意味では神鳴流の剣士の方がいいのかもしれないが、量産型Wやコバッタは、その外見から迂闊に人前――この場合は鬼殺隊以外のという意味で――には出せない。
それに比べると、神鳴流は人間なので問題なく表に出せる。
……まぁ、神鳴流で使っている大太刀を持ってるのが目立つのがちょっと不味いが。
「そうかい? アクセルがそう言うのなら、引き受けるよ。……ただまぁ、そうなったらそうなったで、色々と面倒なことになるかもしれないけどね」
「面倒な事か。まぁ、柱達の中にはいい顔をしない者もいるだろうな」
柱達が耀哉に向けている忠誠心は本物だ。
それだけに、耀哉を守るのなら自分達がという思いがあるのは間違いないだろう。
とはいえ、それはそう簡単に出来ない事なのも間違いないのだが。
柱は自分の担当地域にいる鬼を倒すという役割があるのだから。
「面倒な事があっても、それで耀哉の命が守られるのなら、それはそれでいいけどな。……とにかく、今はまず義眼の移植手術だ。レモンが手術をするんだから、何も問題はないと思うが」
実際、義眼の手術をするというだけならレモンが直接執刀する必要はない。
それこそ量産型Wで十分に出来るだろう。
それでもレモンがやるのは、耀哉という鬼滅世界の協力者に対する礼儀という一面も強い。
それ以上に、量産型Wであれば万に一つくらいは失敗するかもしれないが、レモンの失敗確率は億に一つといったところだからだ。
……というか、俺個人としてはレモンは絶対に失敗しないと思うんだけどな。
ただ、何事にも絶対はないし。
「そうかい? アクセルの口から直接そのような言葉を聞くと安心出来るね」
「そういうつもりはなかったんだが、喜んで貰えたようで何よりだよ。……さて、手術の時間まではまだそれなりにあるけど、俺がいつまでもここにいるのは何だし、そろそろ行くよ」
「分かったよ。手術の前にアクセルが来てくれたのは嬉しかった。ありがとう」
そう言う耀哉の部屋から出ると、そのまま影のゲートを使って鬼滅世界に向かおうとしたところで……
「アクセル!」
不意に声を掛けられ、その声のした方に視線を向けると、そこには五飛の姿があった。
そう言えば、何だかんだで俺が五飛と会うのは珍しいな。
「五飛か。どうした?」
「俺を鬼滅世界に連れていけ」
「……鬼滅世界に? まぁ、行くというのなら別に断るつもりはないけど。何でだ?」
「俺には実戦経験が足りない」
「まぁ、それは否定しない」
五飛の出身世界のW世界において、5機のガンダムのうちの1機に乗って、五飛は戦った。
それこそ単機でOZを敵に回して戦い続けていたのだ。
連合軍もその中にはそれなりに入っていたのが少し問題だったが。
ともあれ、そういう意味では五飛に実戦経験が足りないという事はない。……普通であれば、の話だが。
そう、シャドウミラーはとてもではないが普通の国ではないのだ。
それこそ1つの世界で敵と戦った程度では、まだ一流とは言えない。
それは分かる。分かるんだが、だからといって鬼滅世界に行っても実戦経験は積めるだろうが、それは生身での戦いだ。
五飛が得意としているMSを使った戦いではない。
勿論、五飛もシャドウミラーの実働班である以上、エヴァとの訓練は受けているので、相応の実力の持ち主ではある。
それに五飛は元々生身でも相応の実力の持ち主であったので、下地が出来ていたというのも大きいだろう。
一瞬猗窩座と五飛をぶつけてみるのも面白いか? と思いはしたが、そうなると現在行っている猗窩座の心を折るというのが五飛へのライバル心から妙な方向に行きそうなので止めておいた方がいいような気がする。
ただ、猗窩座の心を折って俺の召喚獣としての契約を結んだ後なら、五飛と猗窩座は意外といい関係になりそうだな。
そんな風に考えていると、五飛の強烈な視線がこちらに向けられているのに気が付く。
「分かった。一緒に行くぞ。ただ、先に言っておくが鬼滅世界に行ったからって、すぐに鬼と戦える訳じゃない」
それに、こう言ってはなんだが神鳴流は鬼を倒した数が多くなれば特別な報奨金……ボーナスが貰える。
五飛が鬼を倒すとなると、そんな神鳴流の邪魔をするという事になるのだ。
出来れば神鳴流には鬼殺隊の手伝いをしっかりとして欲しいので、神鳴流の士気を下げるような真似はあまりしたくないんだよな。
とはいえ、それでも場合によっては五飛が鬼と戦うといった事になるかもしれないが……と思いながら、ふと気が付く。
「そう言えば、鬼滅世界に行くのはいいが、呼吸の訓練はどうなってるんだ?」
その言葉に、五飛は言葉に詰まる。
そして言葉に詰まったのを見て、何となく理解した。
「呼吸の訓練は上手くいってないのか」
「否定はしない。だが、だからこそ実戦を行って呼吸を習得したいのだ」
鬼との戦いにおいて、本当に呼吸を習得出来るのか。
それは正直なところ俺には分からないが、五飛にしてみれば上手く出来るかもしれないと、そう思っているのだろう。
俺は元々呼吸を習得出来ないだろうと言われているので、その辺については特にそこまで気にはしなかったが……それはあくまでも最初から駄目だからで、もし俺も呼吸を使えるのなら、どうなっていたのやら。
そう思いながら、取りあえず五飛の言葉を受け入れるのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1810
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1730