身体が毒に汚染されている。
そう言ったしのぶの言葉は、俺に驚きを与えると同時に納得させるような一面があったのも間違いない。
「それは冗談とかそういう訳じゃなくて、本当の話だよな?」
一応念の為に尋ねてみるが、そんな俺の言葉に対してしのぶは当然のように頷く。
真剣な表情からは、冗談を言ってるようには思えない。
「……一応聞いてもいいか? 何でそんな真似を?」
「鬼を殺す為ですよ」
「それなら別にそこまでしなくてもいいだろう。それこそエヴァに長くないと言われるくらいに身体が毒で汚染されてるんだろう? というか、藤の花の毒は鬼に対してはともかく、人に対しても効果があるんだな」
「そうですね。ですが、それは覚悟の上でしたから」
藤の花の毒で鬼を殺せるというのは、実際にしのぶが今まで何匹もの鬼を殺しているのを見れば明らかだ。
だが、その毒は鬼にだけ効果があるのだと思っていたのだが……人にも効果があるんだな。
「何故そこまで鬼を憎む? 俺が聞いた話だと、しのぶは鬼とも友好的な関係を築きたいと、そう思っていたんだろう?」
その言葉は決して嘘ではないのだろう。
実際、それを示すかのようにしのぶは禰豆子とも仲がいいし、炭治郎の後見役的な事もしている。
炭治郎達が蝶屋敷を拠点にしているのは、その辺の理由も大きい。
そんなしのぶが、何故鬼をそこまで憎むのか。
そのような疑問を抱くのは当然だろう。
「そうですね。出来ればこの話はしたくなかったのですが……アクセルさんには私の身体のことを知られてしまいましたし、それを知られた以上は話しておいた方がいいでしょう」
「そうしてくれると、俺も助かるよ」
「……私には、姉がいました。鬼と共存が出来るかもしれないというのも、元々は姉の考えだったのです。花柱にまでなったのに、甘い考えですよね」
「そうか? その辺はひとそれぞれだろ。勿論、鬼殺隊の中には鬼に近しい人物を殺された者が多いから、そう簡単に受け入れられたりはしないだろうが」
俺がそう言えるのは、やはり禰豆子という存在を知っているからだろう。
そして禰豆子以外にも、猗窩座とは……今もまだ敵同士なのは間違いないが、それでも俺とそれなりに友好的にやれている。
もっとも、それはあくまでも俺が猗窩座より強いからというのが前提条件にあるのだが。
今の猗窩座の性格からすれば、もし俺ではなくその辺の奴が迂闊に話し掛けた場合、相手にされないのはまだしも、場合によっては邪魔だと殺されてもおかしくはない。
結局のところ、猗窩座にとっては強さこそが最大の理由なのだろう。
「そう言って貰えると嬉しいですね。……とにかく、私には姉がいました。ですが、その姉も……」
それ以上は何も言わなかったしのぶだったが、その先は何となく予想出来た。
花柱という柱の1人にも関わらず、今の鬼殺隊には存在していないのだ。
そしてしのぶの身体には鬼に対する毒がある。
そう考えれば、一体何がどうなったのかは明らかだった。
つまり、鬼との共存という考えを持っていたしのぶの姉、花柱は鬼によって殺されたのだろう。
「つまり、しのぶが殺そうとしているのは姉の仇か?」
「はい」
この状況ではいと頷くという事は、その仇の鬼はまだ生きているのだろう。
「……一応聞いておくが、その姉の仇。どうしてもしのぶが殺さないといけないのか? こう言ってはなんだが、今の鬼殺隊はかなり戦力が増強されている。そうである以上、仇の鬼をしのぶが殺すよりも前に、別の奴が殺さないとも限らないぞ」
「分かっています。ですが、それでも……私は自分で姉の仇を取りたいと思っています」
「そうして殺すにしても、別に自分の身体に毒を使う必要はないだろう? しのぶの日輪刀を使えば、鬼に対しても十分な殺傷能力がある筈だ」
「それでも駄目だった場合のことを考えてですよ。念の為です」
「念の為って……」
念の為で、自分の寿命を犠牲にするのか?
そんな疑問があるが、しのぶにしてみればそうしてまで殺したいと思う相手なのだろう。
「だが、いざという時の為なら俺がやったリボルバーがあるだろう? それを使えば、相手の意表を突ける筈だ」
マリューが作ったリボルバーは、大正時代であるということを考えれば、オーパーツ的な意味を持つ。
勿論リボルバーである以上、この世界でも既に存在はしているのだろうが……それでもまさか鬼殺隊がリボルバーを使うとは思わない以上、相手の意表を突ける筈。
とはいえ、例えば猗窩座であれば銃弾であっても咄嗟に回避したりといったような真似は出来るのだろうから、使う相手にもよるだろうが。
「それでも駄目だった場合……本当に奥の手として考えれば、やはり自分の身体に毒を使うというのは間違ってないと思います」
「間違ってると思うけどな。……そもそも、もし本当に鬼を殺したいのなら呼吸だけではなく神鳴流が使っているような気による身体強化を習得したらどうだ?」
しのぶの弱点は、その非力さだ。
だが、神鳴流の中にはしのぶよりも華奢な身体の持ち主であっても、行冥や蜜璃並の力を持っている者もいる。
この辺りは、呼吸と気による違いだろう。
呼吸も決して弱いとは言わないが、人によって合う合わないもあるだろうし、純粋に身体強化という一点で考えれば、どうしても気の方が上だ。
「……ですが、私は呼吸でここまでやってきました。そうである以上、今からそのような真似をしても、時間が……」
「まぁ、そうだろうな」
気の習得というのは、そう簡単に出来るようなものではない。
長年の修行が大きな意味を持つのだから、習得しようと思って、はい出来ましたとはいかない。
いやまぁ、世の中にはあっさりと気を習得出来るような天才とかもいるけど。
しのぶは秀才タイプのように思えるので、もし気を習得するのなら相応の時間が必要となる。
相応の時間か。
正直なところ、シャドウミラーにはその相応の時間というのをどうにかする方法がある。
そう、魔法区画に存在する魔法球だ。
とはいえ、魔法球はシャドウミラーにとっても重要機密である以上、そう簡単にシャドウミラー以外の者に使わせるといった訳にはいかない。
これでしのぶが鬼殺隊ではなくシャドウミラーに所属しているのなら、問題はないんだが。
「けど、習得出来ないかもしれないからといって、挑戦しないのか? 呼吸は気の亜種のようなものだと聞いている。そうである以上、呼吸を使えるしのぶなら、気を習得するにしても、もしかしたらあっさりと習得出来るかもしれないだろう?」
これはお世辞でも何でもなく、単純に俺が思っている事だ。
だが、呼吸が気の亜種なら、その呼吸を習得しているのなら気を習得するのに必要な能力もある程度備えていると考えてもいい。
「どうだ? もし試してみるのなら、気を使える奴を誰か紹介するけど」
「アクセルさんは、何故そこまで私に?」
俺の言葉に疑問を抱いたのか、しのぶがそう尋ねてくる。
しのぶにしてみれば、俺にそこまでして貰う理由はないと、そう考えているのだろう。
「そうだな。しのぶが美人だからとか言ったら説得力あるか?」
「嬉しいですけど、説得力はありませんね。いえ、アクセルさんは何人も恋人がいるので、説得力はあるかもしれませんけど」
「マスターもそれには納得するかと」
俺としのぶが話しているのを大人しく聞いていた茶々丸だったが、不意にそんな風に告げる。
「まぁ、冗談はこの辺にしておくとして……」
「あら、冗談なのですか? 私はアクセルさんに美人と言われて嬉しかったのですが」
「一応言っておくが、しのぶが美人だと思ってるのは本当だぞ。だが、だからといって俺がしのぶを口説くつもりはないが」
「ふふふ。それは残念ですね」
しのぶにとって、俺が口説くとかどうとかはあまり本気で思っている訳でもないのだろう。
「実際には……そうだな。俺がこの世界に来て最初に会ったのが義勇やしのぶであったのも事実だし、炭治郎達が蝶屋敷を拠点にするのを受け入れてくれたというのもある」
「それだけでそこまで協力して貰えるのは、少し疑問ですけど」
「普通に考えればそうだろうな」
とはいえ、炭治郎はこの世界の原作の主人公で……といったような事を話しても、しのぶには理解出来ないだろう。
理解出来れば出来たで混乱するだろうが。
自分が物語に登場するキャラの1人でしかないと悲しむのか、あるいは自分の活躍が物語になっているという不思議さに驚くのか。
その辺りは正直なところ俺にも分からない。
分からないが、それでも今の状況を思えば話す訳にはいかないだろう。
……そもそも、この世界の原作云々といった話をしたところで、俺はその原作の方を覚えていない。
元々俺がこの世界について覚えていなかったのか、それともペルソナ世界での戦いで失った知識の中にこの世界の原作知識もあったのか。
後者の場合、もしかしたら鬼舞辻無惨のいる場所をすぐにでも見つけられていたかもしれないとなると、ちょっと惜しい気がする。
今の状況でも異世界……というか、世界の狭間と思しき場所にいるのは間違いないんだろうけど。
「普通に、ですか? では普通にではない場合は、一体どのような理由からなのでしょう?」
「禰豆子は鬼だが、普通の鬼じゃない。それはつまり、鬼舞辻無惨にとってのジョーカー……切り札になり得る。そんな禰豆子の家族が炭治郎で、善逸や伊之助は炭治郎の仲間だ」
「……なるほど。そう言われると、少しは納得出来ますね」
言葉通り、本当に心の底から納得しているといった様子ではなかったが、それでも俺の言葉にはそれなりに説得力があると判断したのだろう。
そんな様子を見て、俺は取りあえずそれ以上は突っ込まないことにする。
ここでまた何かを言えば、そこからしのぶに何らかの事情を理解され、俺に対して何か言ってくる可能性が高いのだから。
「納得して貰えたようで何よりだよ。……さて。それでどうする? 気の使い手の件は」
「……お願いします」
「分かった。ただ、そうだな。その前にお前には一度ホワイトスターに来て貰って、身体にある藤の花の毒の毒抜きをして貰う」
「待って下さい。もし気の習得が上手くいっても、それで鬼に勝てるとは限りません。拳銃を使っても、鬼を確実に殺せるとは限りませんし、何かあった時のことを考えると奥の手を用意しておくのは悪い話ではないと思います」
この場合の奥の手というのが、しのぶの身体にある藤の毒なのだろう。
「奥の手を用意するのはいいが、しのぶの寿命を削るようなのは却下だな。俺の提案を受ける受けないに関わらず、俺に知られた以上は解毒をして貰う」
「そんな勝手な……」
不満そうな様子で俺を睨み付けるしのぶ。
その気持ちは分からないではない。
しのぶにしてみれば、自分の姉の仇を殺す為に自分の身体を藤の毒に侵させたのだ。
だというのに、それを俺が自分の都合だけで解毒すると言うのだ。
しのぶにしてみれば、決して許容出来るような事ではない筈だった。
「そうだな。勝手な事だ。それは分かる。だが……お前が自分を犠牲にして鬼を、姉の仇を殺したとして、それで蝶屋敷にいる者達が喜ぶと思うか?」
アオイやきよ、すみ、なほ。そしてしのぶの継子であるカナヲ。
蝶屋敷にいるそれらの人物は、心の底からしのぶを慕っている。
そんな者達は、しのぶが死ねば間違いなく悲しむだろう。
「本当にどうしようもなくて死んだのなら、悲しむだろうが納得するだろう。けど、自分の肉を相手に食わせるといったような真似をして殺すとなれば……その上、他に幾つも鬼を倒す方法があるのに、敢えてそれを選んだのだと知れば、どうなると思う?」
「それは……では、せめて鬼との戦いが終わるまでは……」
しのぶにしてみれば、鬼との戦いが終わるのはそう遠くない未来であると思っているのだろう。
実際、それは俺から見てもそう間違いではないと思える。
「藤の毒が人間にどのような影響を与えるのかは分からない。だが、全く影響が出ないという訳でもないんだろう?」
「……」
どうやら図星だったらしく、しのぶは無言になる。
具体的にどのくらいの悪影響を与えているのかは、俺にも分からない。
しかし、少なからぬ影響を与えているのなら、解毒してしのぶの速度と技術、毒を使った戦闘スタイルをもっと充実させた方がいいと思うんだが。
「俺から言えるのはそれだけだ。後はしのぶがどう判断するかだな。……しのぶにとって、最善と思える道を選んでくれ。幸い、今ならまだそこまで忙しくない。解毒する時間もあるだろう」
実際には、忙しくないとはいえ貿易商の青い彼岸花の一件や、遊郭の調査……それ以外にも日本中でそれなりに鬼の起こしている騒動がある。
だとすれば、今は静かかもしれないがいつその静けさが爆発するのかも分かったものではないだろう。
それでも、いざ何かが始まってしまえばそれをどうこうする事は出来ないのだから、今のうちに動いていた方がいいのは間違いなかった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1810
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1730