「では、アオイ。蝶屋敷の方は頼みますね」
「はい。お気を付けて」
蝶屋敷の前で、しのぶはアオイとの挨拶を終える。
他の面々とは、もう挨拶を終えているので、アオイが最後だ。
心配そうな様子のアオイに笑みを浮かべると、しのぶは俺に視線を向けてくる。
「では、行きましょうか。ホワイトスター……別にこれが初めてという訳ではないですが、それでも見るのが楽しみですね」
「楽しみって言うけど、今回は別に観光じゃないぞ?」
しのぶの解毒……つまり治療をする以上、当然ながらバルシェム生成チャンバーの中に入る必要がある。
そして一度中に入ってしまえば、次に起きるのは治療が終わった後だ。
ホワイトスターの中を見て回るような暇は……ないとは言わないが、少し難しいと思う。
「分かってます。それでも、何か楽しみがないとやってはいけないでしょう?」
そんな風に呟くしのぶを連れて、俺は蝶屋敷のすぐ近くにあるゲートに向かうのだった。
「相変わらず、ホワイトスターというのは凄く発展してますね」
ホワイトスターの交流区画をエアカーで走っていると、しのぶがそんな風に言ってくる。
あまり観光している時間はないとは言ったが、それでもレモンのいる場所まで移動するのに、どうせならとしのぶと一緒にエアカーで移動しているのだ。
正直なところ、単純に移動するだけなら別にエアカーに乗って移動しなくても、影のゲートを使えば一瞬だ。
そのような真似をしなかったのは、これから治療をするしのぶを少しでもリラックスさせるという思いがあったからだ。
しのぶにしてみれば、ホワイトスターの交流区画を見るのはかなり興味深く、治療に対してもやる気を見せてくれるだろう。
あくまでもそういう予想であって、本当にそのようになるのかどうかは、俺にも分からなかったが。
それでもやらないよりはやった方がいいのは間違いないだろう。
「ホワイトスターの中はそれなりに発展してるが、他の世界にはもっと発展してる世界もあるぞ」
ホワイトスターは一種の移動要塞、もしくはコロニーとでも呼ぶべき存在であり、建物には高さ制限が存在する。
そんなホワイトスターと比べると、例えばマクロス世界とかならそういうのは関係なく高層建築物を建てる事も出来るだろう。
とはいえ、ホワイトスターの交流区画に来る者はそれだけ多くはないだけに、別に高層建築物がなくても人の多さにうんざりとするといったような事はないのだが。
「そうですか。私達の世界で鬼舞辻無惨を倒す事が出来たら、他の世界にも行ってみたいですね」
「輝利哉とかは別の世界に行ってるけどな。月に直接移動したのは、鬼滅世界の歴史上では初めての快挙になると思う。もっとも、輝利哉が立ったのはあくまでもUC世界の月で、鬼滅世界の月じゃないけど」
「月ですか。……正直なところ、実感がありませんね」
「そうか? なら……そうだな。藤の花の毒の解毒が終わったら、しのぶを月に連れていこうか? それも輝利哉のように他の世界の月ではなく、鬼滅世界の月に」
「え……?」
しのぶは一瞬何を言われたのか分からないといったような表情を浮かべる。
大正時代の人間であるしのぶにしてみれば、まさか自分が月に行くようなことになるとは思ってもいなかったのだろう。
「本気……ですか?」
「ああ。俺なら月に行くのもそんなに大変って訳じゃないしな」
これは大袈裟な話ではなく、真実だ。
ニーズヘッグのシステムXNを使えば、それこそ一瞬で月まで転移出来る。
あるいは転移だと月までの移動に情緒がないと言うのなら、一旦宇宙に転移してから、月まで移動してもいい。
「そう言えばそうですね。アクセルさんは太陽にも行ってきたんでした。そう考えれば、月に行くくらいの真似は出来るんですね」
「大体そんな感じだな。……で、どうだ? 月に行くか?」
「楽しみしています」
こうして、しのぶは解毒が終わったら月に行く事になった。
どうせなら、月に行った時にどこか目立つ場所に日本の国旗でも突き刺してくるのも面白いかもしれないな。
将来的にこれがどんな騒動になるのかは分からないが。
「さて、話をしている間に到着したぞ」
エアカーを止め、レモンの研究所……もとい、病院を見る。
実際には病院というのは正しくないのだろうが。
バルシェム生成チャンバーがあるという点で、それははっきりとしている。
とはいえ、だからといって他に病院の類はないしな。
敢えて病院を上げるとすれば……木乃香のいる場所とか?
「以前に来た時もそうでしたが、少し緊張しますね」
「今回は自分が治療するんだから、当然だろう。……ほら、いつまでもエアカーの中にいてもしょうがない。とっとと行くぞ」
そう告げ、俺はエアカーから降りる。
しのぶもまた、俺の言葉に覚悟を決めたのかエアカーから降りるのだった。
「いらっしゃい」
バルシェム生成チャンバーのある部屋の中では、レモンが俺達を……というか、しのぶを待っていた。
待っている間は暇だったのだろう。何らかの書類を見ている。
一体レモンが何の書類を見ているのかは少し気になったが、今ここでそれは聞かない方がいいだろう。
もし部外秘の書類であった場合、しのぶにその件について話す訳にはいかないだろうし。
「レモン、以前も会って知ってると思うけどしのぶだ。しのぶ、こっちはお前の身体の解毒をするレモン」
「よろしくお願いします」
「ええ、任せておいて、こう言っては何だけど、耀哉の時よりは簡単な治療になると思うから、心配しなくてもいいわ。あなたはその容器の中に入って眠って……それで起きれば、もう解毒は終わってるから」
あっさりと言うレモンだったが、それはレモンだからこそ出来る事なんだろう。
もしレモン以外の医者がしのぶの身体の解毒をしようとした場合、不可能……とまでは言わないが、かなり難易度が高いと思う。
それを可能にするのが、レモンの技術力とバルシェム生成チャンバーの性能だ。
「じゃあ、これに着替えてちょうだい。ああ、着替えるのはそっちでお願い。アクセルが覗かないように、私はここで見張ってるから」
「おい、レモン。お前は一体俺を何だと思ってるんだ?」
「恋人が10人以上いる女誑しで、昨夜も散々私の身体を貪った女好き」
「ぐ……」
その言葉には反論出来ずに何も言い返す事が出来ない。
実際にレモンの言ってる内容が真実であるのは間違いではないのだから。
「……」
そしてレモンの言葉を聞いたしのぶは、俺にジト目を向けてくる。
何気なく自分の胸元を隠すような真似をしている辺り、レモンの言葉を真実だと思ったのだろう。
とはいえ、レモンの言ってる内容が真実である以上は何も言えないのだが。
するとしのぶはそれ以上は俺から目を離すような真似はせずに着替える場所に向かう。
「レモン、一体何のつもりだ?」
「あら、別に嘘を言ったつもりはないわよ?」
「それは否定しないが、わざわざしのぶの前でそんな風に言う必要はないと思うが?」
「聞かれると、ちょっと困る事でもあった?」
「そうでもないけどな」
別に俺はしのぶを狙っているといった訳ではない。
勿論、しのぶは美人だと思うが。
「ならいいでしょう? あの子、色々と無理をしてるわ。もしアクセルがあの子に妙な真似をしたら、それこそコロッと墜ちてしまってもおかしくはないくらいに」
「……まぁ、無理をしているというのは理解している」
姉の仇を殺す為に自分の身体を毒に侵させるくらいだ。
それでいながら、鬼と共存するという姉の理想も求めている。
そんな矛盾した思いを抱いているのが、しのぶだ。
うーん、そう考えるとレモンの心配は間違ってないのか?
「でしょう? まぁ、アクセルが彼女を欲しいと思うのなら、私からは何も言わないけど」
「幸か不幸か、今のところはそんなつもりはないな」
そんな風に話をしていると、やがて着替え終わったしのぶが戻ってくる。
俺とレモンの会話は聞こえてなかったらしいが、先程のレモンの言葉から俺を警戒してるのか、着ている服の上から手で自分の身体を庇うようにする。
……そうすることで、大正時代にしてはかなり大きめな双丘が目立つだけなんだが。
本人はそれを理解していないのか、こちらにジト目を向けていたが。
「じゃあ、早速だけどバルシェム生成チャンバーの中に入りましょうか」
「分かりました。……よろしくお願いします」
こっちに警戒の視線を向けつつ、しのぶはバルシェム生成チャンバーの中に入り……そしてレモンが操作すると、バルシェム生成チャンバーの中には液体が満ちていき、しのぶの意識はなくなるのだった。
「さて、後はもう本当にやる事はないわね」
「改めて思うけど、これって便利だよな」
「そうね。今まで何人もの命を救ってきたんだから、性能の高さが理解出来るわ。そうして助かった人達は、シャドウミラーの利益になるような真似をしてくれたから助かったけど」
「正確には、そういう連中を選んで治療した……というのが正しいんだけどな」
さすがにシャドウミラーに対して敵対的な相手が重病や重症だったとしても、そのような相手を治療してやるつもりはない。
あるいは、しっかりと報酬を支払うという形になれば、また若干話は違うかもしれないが。
「とにかく、しのぶの治療は後はバルシェム生成チャンバー任せでいいって事だな。なら、俺はそろそろ他の場所に行くよ」
「あら、もう少しここにいてもいいと思うけど?」
「しのぶの治療をしている場所だ。さっきの話を考えれば、俺がここにいるのはしのぶの為にもよくないだろ」
「眠ってるから、分からないわよ?」
「それでもだ。……レモンがさっきみたいな話をする前なら、また違った展開があったかもしれないけどな」
「あら、じゃあちょっと失敗したかしら?」
そう言いながらも、レモンの口元には笑みが浮かんでいる。
失敗したと言いながら、本人はそんな風には思っていないのだろう。
そんなレモンと軽く唇を重ねると、その場から立ち去ろうとし……ふとあの件についての進展はあったのかを疑問に思う。
「レモン、ダンバイン世界の件はどうなった?」
「難しいわね。そもそも今回の一件は色々な意味で特殊だもの。ゲートを設置してれば、話は早かったんだけど」
「そう言われてもな。ゲートが機能しなかった以上、出しっぱなしにする訳にもいかないし、何よりあんな展開になるというのは俺にとっても完全に予想外だったんだよ」
俺に抱かれた事によってシーラのオーラ力が増し、それによってオーラロードを開くというのは、ちょっと予想外だった。
いやまぁ、あれを予想しろというのが無理だろうし、シーラもその件については完全に隠していたしな。
「そう。……鬼滅世界を調べれば、何らかの情報があるかもしれないけど」
「鬼滅世界を? いやまぁ、ダンバイン世界から鬼滅世界に転移したのは事実だが、だからといってダンバイン世界と鬼滅世界に何らかの関係があるとは思えないんだが」
そう言いながらも、もしかして……本当にもしかしたらの話だが、鬼滅世界は実はダンバイン世界の過去で、世界観的な繋がりがあったりするのでは? と一瞬思う。
荒唐無稽な説だが、それでも絶対にないとは言い切れない。
俺に原作知識が残っていれば、その辺の判断も出来たのかもしれないが。
ともあれ、もし鬼滅世界がダンバイン世界の過去であった場合、俺が地上に出た時に耀哉を始めとした鬼殺隊の面々がまだ生きていた可能性があるな。
……でも、ダンバイン世界で呼吸を使う奴はいなかったしな。
あ、けど日本には殆どいなかったから、もし呼吸を使える奴がいても遭遇出来なかったという可能性もあるのか?
その辺についてはダンバイン世界に繋がれば判明するだろう。
ただ、何となく……本当に何となくだが、ダンバイン世界と鬼滅世界に繋がりはない気がする。
なら、何でダンバイン世界から鬼滅世界に転移したのかといった疑問もあるのだが。
「とにかく、アクセルには悪いけどダンバイン世界との繋がりはないわ」
「そうか。まぁ、しょうがないか」
世界というのは、無数に存在している。
そうである以上、その無数の中からたった一つの世界を見つけるというのは、どれくらい大変なのかは俺でも予想は出来る。
それでも、何とかしてダンバイン世界を見つけてマーベルとシーラを迎えに行く為には、レモンに頑張って貰う必要があった。
レモンもしのぶについてはともかく、マーベルやシーラについては特に反対する様子を見せない。
その差がどこにあるのか、正直なところ俺には分からない。
だが、それでも今の状況を考えると不思議と気になるような事はなかった。
ある意味、俺と一番付き合いの長いレモンだからこそ、そんな風に考えて、今のような状況になっているのかもしれないが。
ともあれ、今はレモンに気持ちよく仕事をして貰う必要があるという事だろう。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1810
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1730