「ここが……遊郭……」
影のゲートを使って転移をすると、すぐに俺とゆかりは宿から遊郭に姿を現す。
さすが遊郭と言うべきか、もう夜だというのに……いや、夜だからこそ、賑わっていた。
とはいえ、そうして賑わっている者の中には何人か落ち着かない様子の者達もいる。
恐らく、何かを見たか……あるいは見ていなくても勘が鋭いので、何かがおかしいと考えているといったところか?
「アクセル!」
ゆかりが弓を持っているので、遊郭の中に入っても街中に堂々と姿を現す訳にはいかない。
そんな訳で、俺とゆかりは建物の屋根の上にいたのだが……そんな俺達のいる場所に、天元が姿を現す。
「映像スクリーンで見ていた時も思ったけど……派手ね」
「おう、あんたがアクセルの女か。弓を持ってるって事は、それなりに戦えると考えてもいいんだよな?」
天元も通信機の映像スクリーン越しに何度かゆかりの姿を見ていたので、ゆかりを見ても特に何か反応する様子はない。
……ゆかりの方は、直接的に俺の女だといった風に言われたのが恥ずかしかったのか、夜であっても分かるくらいに頬を赤くしていたが。
夜目が利く以前に、遊郭だけあって夜であっても結構な明るさがあるので、ゆかりの頬が赤くなっているのは、はっきりと理解出来た。
「ゆかりをからかうのはその辺にしておけ。……それで、鬼が出たんだよな?」
「ああ。恐らくだが間違いねえ。蝶屋敷から連れて来た3人のうち、誰かが……もしくは全員で鬼と戦ってるみてえだ」
「なら、何で天元はそっちに助っ人にいかないんだ?」
「ちょっと気になる場所があってな」
そう言った天元の視線は、建物……ではなく、地面の方に向けられる。
「地面? それがどうかしたのか?」
「恐らくだが、地中には何らかの空洞がある。そこに鬼の重要な何かがあると見た」
「なるほど。なら、どうする? 俺が鬼に向かうか、地中に向かうか」
「アクセルは戦っている鬼の方に向かってくれ。忍の勘だが、恐らくそうした方がいい」
勘、ね。
今まで俺も勘……正確には念動力による勘によって、多くの危機や危険を潜り抜けてきた。
そうである以上、天元が言う勘というのを信じない訳にはいかない。
「分かった。なら、俺は鬼の方に向かう。ゆかりは……どうする?」
「鬼について調べるとか、そういうのはちょっと得意じゃないし。私もアクセルと一緒に鬼に向かうわ」
「分かった。けど、ペルソナを使う時は注意しろよ」
ゆかりのペルソナはイシス。
外見は他のペルソナ使いのペルソナと比べると、どことなく柔らかい感じがあるが……それでも、間違いなく目立つ。
鬼との戦いでペルソナを他の者達に見られた場合、それこそゆかりの方が鬼といったように見られてもおかしくはない。
鬼の血鬼術と比べても、明らかにペルソナの方が目立ってしまうしな。
「分かってるわよ。出来るだけ弓で戦うようにするわ。ペルソナは……どうしようもなかったら、その時かしら」
そんなゆかりの様子に、俺はそれならと頷く。
「じゃあ、そういう事で。何かあったら通信機で連絡をしてくれ。……ただし、言うまでもないと思うが、その通信機を落としたり、ましてや鬼に奪われたりとかはしないでくれよ」
「誰に言ってる? 俺は柱だぜ?」
その言葉には強い自信がある。
元々天元は自分の実力に強い自信を持っている。
これがその辺りの奴と違うのは、実際にそう出来るだけの実力を持っているという事だろう。
柱という地位にいるのが、そんな天元の実力を証明していた。
「天元なら問題ないと思うが、念の為にな。……それに敵は上弦の鬼の可能性が高いんだろう? その場合、天元であっても容易に勝つ事は出来ない筈だ」
その言葉に、天元は不満そうな様子を見せる。
実際、天元が柱であるとしても、猗窩座級の強さを持つ奴が相手だった場合、1人では勝ち目がない。
そうである以上、もし天元が上弦の鬼と戦いになった場合、最悪の結果が持っている可能性もある。
正直なところ、ゆかりには天元のフォローに回って欲しいのだが。
ゆかりのペルソナのイシスは、ペルソナの中でも珍しく回復魔法を使う。
それ以外にも攻撃魔法や補助魔法を使ったりもする。
もし天元が上弦の鬼と遭遇した場合であっても、ゆかりがいれば生き残れる……もしくは戦いに勝てる可能性が高い。
「ゆかり、さっきといきなり話が違っていてなんだが、天元と一緒に行動してくれないか?」
「おい、アクセル。それは俺の実力が信用出来ないってのか?」
「信用出来るかどうかと言われれば、ある程度信用出来ると思う。けど、その実力を信用した上でも、天元が上弦の鬼と戦って勝てる……いや、生き残れるとは限らない。だが、そこにゆかりがいれば、勝てるかどうかはともかく、生き延びる確率は跳ね上がる」
そんな俺の言葉に、天元は不満そうな顔をしながらもそれ以上は言い返すような真似はしない。
この辺も天元が自分の実力をしっかりと理解している証だよな。
本人的には面白くないと思っているのは間違いないが。
「本来なら私はお目付役なんだから、アクセルを1人にするのは問題なんだけど……鬼との戦いだと考えると、アクセル1人で十分なのに、そこに私が一緒にいても戦力にはならないでしょうし、それ以前に邪魔になるだけだわ。天元がいいのなら、私は構わないわよ?」
どうする? といった視線を天元に向けるゆかり。
天元はそんなゆかりを見て、やがて頷く。
「分かった、頼む。ここはどうやらアクセル達に頼った方がいいらしい」
あるいは、これが自分だけの問題なら天元もゆかりの助力を素直に受け入れるといったような事はなかったかもしれない。
だが、この遊郭では天元の妻が3人行方不明になっているのだ。
それを思えば、天元は自分のプライドよりも実際に何かあった時に対処出来るようにゆかりに協力して貰いたいと思ったのだろう。
あるいはゆかりのペルソナのイシスが回復魔法を持っているというのが大きいかもしれない。
鬼に捕まっていた場合、天元の妻がどういう目に遭っているのかも分からないのだから。
それこそ考えたくはないが、手足の1本を食われている可能性すらある。
そういう時、ゆかりのイシスが使える回復魔法の効果はそれなりに大きい。
「じゃあ、そういう事で。俺は……向こうだな」
遊郭の中で戦いが行われていると思しき気配を察知し、そちらに視線を向ける。
戦いの気配の方は、まだ大きく動き続けている。
それはつまり、鬼と戦っているのが誰なのかは分からないものの、まだ負けていないという事を意味していた。
「そっちは頼む」
「任せろ。天元とゆかりも頑張れよ」
そう言うと、その場から空中に浮かび上がって戦いの気配のある方に向かって飛んでいく。
今が夜だという事もあるし、何よりも普通に暮らしている者はそう簡単に上を見るといったような事はしない。
……そう言えば、以前何かで空を見上げる習慣をつければ、UFOを見つけられるとか何とかやっていたような気がするな。
TVだったか、雑誌だったかはちょっと忘れたけど。
ともあれ、そんな風に言われるくらいには日常的に空を見上げるような者はいない。
勿論、飛行機が飛んでいる音がしたり、花火の音がしたりといったように空で注意を引く何かがあれば話は別だが。
俺が飛ぶのは別に音がする訳もないし、何らかの目立つよう事をしている訳でもない。
そんな感じで何の問題もなく空を飛び……やがて戦いの行われている場所を見つける。
「炭治郎だけか?」
その場所で戦っているのは炭治郎だけだ。
善逸と伊之助の姿はどこにもない。
そして鬼とはかなり押されているが、それでも互角に戦っていた。
そんな炭治郎と戦っている鬼は、女の鬼だ。
いや、鬼にも女の鬼がいるというのは、分かっていた。
禰豆子なんかはその典型だし、炭治郎が協力しているという珠世とかいう鬼も、その名前からして恐らく女だろう。
そういう意味では女の鬼がいるのも珍しくはない。
ましてや、ここは遊郭なのだ。
そうである以上、女の鬼だというのは当然の話だろう。
「帯が武器なのか」
女の鬼が帯を振るうと同時に、周囲にある建物の一部であったり、地面であったりが斬り裂かれていく。
言ってみれば、あの帯は鞭と刃が合わさったかのような、そんな武器なのだろう。
あるいは、あの女の鬼の血鬼術なのかもしれないが。
そんな鬼を相手に炭治郎が1人でも何とか戦えているのは、やはりエヴァや杏寿郎、杏寿郎の父親といった者達との訓練のおかげと、何よりも日の呼吸を使えるようになったからというのが大きいのだろう。
とはいえ、炭治郎が不利な状況なのは変わらない。
そう考えてすぐ戦いに乱入しようとするも、ふと思いつくものがあってその動きを止める。
これは、ある意味で炭治郎に実戦経験を積ませる好機ではないか? と思ったのだ。
訓練というだけなら、エヴァ達との訓練で十分に……あるいは十分以上に行われている。
しかし、訓練はあくまでも訓練だ。
実戦経験と訓練では大きく違う。
そして、あの汽車の一件……俺が介入したせいで、汽車にいた下弦の鬼との戦いは炎柱の杏寿郎、炭治郎、善逸、伊之助の4人で戦い、半ば一方的なものだったらしい。
もし俺がいなければ、眠りから起きても汽車の乗客を守るべく行動する必要があり、全員で戦うといった事は出来ずにもっと苦戦しただろう。
あるいはそれでどうにかしても、猗窩座との戦いでかなり危険な目に遭ったのは間違いない。
だが、その猗窩座も俺の存在に興味を抱き、結局戦ったのは俺とだけだ。
そういう意味では、実戦経験……それもその辺の鬼ではなく、十二鬼月のような強敵との実戦経験がどうしても少ない。
というか、ふと気が付いたんだが獪岳ってどうなってるんだろうな?
行冥との件で出来るだけ十二鬼月を倒すといったような話になっていたが、今のところ十二鬼月を倒したという話は聞いていない。
下弦の鬼はまだ結構残ってると思うんだが。
そんな風に思いつつ、炭治郎と鬼との戦いを見ていたが……やはり炭治郎はまだ日の呼吸を完全に使いこなしている訳でもないらしく、時間が経つに連れて不利になっていく。
そうして帯が炭治郎の顔面に向かって放たれようとした瞬間……
「ここまでだな」
そう呟き、虚空瞬動を使って一瞬で炭治郎の前に移動すると、日輪刀……太陽の側に浮かんでいた岩塊から取り出した金属で作ったその日輪刀を振るって帯を切断する。
「っ!? 何!? 誰!?」
俺を見てそう叫ぶ女。
その女を見て、少しだけ驚く。
まず真っ先に目に入ったのは、その目。
右目には上弦、左目には陸。
つまり、この女は上弦の陸。
十二鬼月というのは、上弦が6人、下弦が6人。
だとすれば、この女は上弦の鬼ではあるが、上弦の鬼の中では一番地位が低い鬼な訳だ。
それに納得すると同時に、改めて女を確認する。
遊郭に潜んでいた以上、当然のように顔立ちは整っている。
それこそこの鬼滅世界の女は顔立ちが整っている者達が多いが、この女はそのような者達の中でもトップクラスの美貌を持っているのは間違いないだろう。
……ただ、見た感じでは猗窩座と違って俺との相性は決してよくないと思う。
そして帯を武器として使っている為か、女は半ば下着姿のような格好となっていた。
何だか俺の知ってるような下着に近いんだが……偶然か?
「アクセル・アルマー。鬼殺隊の協力者だ。俺が名乗ったんだから、お前も自己紹介をしてくれないか? 上弦の陸だってのは分かるけど」
そんな俺の言葉で女は少し落ち着いた様子で口を開く。
「ふーん。変な名前ね。……アタシは堕姫よ。アタシの名前を聞けたのを土産に……死になさい!」
そう叫び、堕姫は帯をこちらに向けて放ってくる。
炭治郎との戦いを見ていたが、帯の先端だけではなく、横に触れただけでも切断されるだけの鋭さを持っている。
だが……
「刀の扱いは慣れていないんだが……なっ!」
その言葉と共に振るわれた日輪刀は、赫刀とはまた別の赤い刃で俺に向かって飛んできた帯をあっさりと切断する。
「なっ!? そんな……嘘でしょ!?」
堕姫にしてみれば、まさか自分の帯がこんなにあっさり切断されるとは、思ってもいなかったのだろう。
信じられないといった様子で叫ぶ。
「どうした? この程度の攻撃で俺を殺そうとしたのか? 日輪刀を使い慣れている訳でもない俺を相手に? ……上弦の陸だから期待出来るのかと思ったんだが、俺が考えていたよりは随分と弱いみたいだな」
「な……何ですってぇっ! 許さないわ!」
俺の一言が余計に堕姫の気に触ったのだろう。
先程までは炭治郎を相手にかなり追い詰めていた帯の一撃は、その全てが俺に向かって放たれるも……俺は自分に向かってくる帯の全てを回避し、あるいは日輪刀で切断しながら、本当にこの女が上弦の陸なのか? と疑問に思うのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1810
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1730