「この……いい加減に死になさい、不細工!」
堕姫が苛立ちも露わに俺に向かって帯を放ってくる。
しかし、当然のようにそんな帯の一撃は俺の振るう日輪刀によって切断される。
「不細工ってのは酷いな。別に絶世の美男子とまでは言うつもりはないけど、それなりに顔立ちは整ってるつもりなんだが?」
「ふざけるんじゃないわよ! あんたなんか、あの御方に比べれば下の下の下の下なんだから!」
苛立ち紛れに振るわれた帯は、周囲に生えている木々を容易に斬り裂くだけの鋭さを持つが、だからといって俺を斬れるかどうかは別の話だ。
その攻撃を回避し、あるいは日輪刀で切断しながら、あの御方という言葉は恐らく鬼舞辻無惨についてなのだろうと理解する。
そう言えば鬼を使った実験でも、鬼舞辻無惨といった名前を口にしようとすれば鬼は死んだが、堕姫が口にしたようにあの御方とかそんな風に直接名前を言わなければ問題はなかったらしい。
とはいえ、そういう風になるのも当然か。
鬼同士で話をするといった事がどのくらいの頻度であるのかは、正直分からない。
だが、それでも全く皆無といった訳ではないのだろう。
そんな中で、鬼舞辻無惨についての話になった時、名前を出さないのは勿論、あの御方とかそんな表現でもNGだった場合、それこそ鬼の間で鬼舞辻無惨について話す事は不可能になる。
堕姫や猗窩座もそうだったが、鬼にとって鬼舞辻無惨は特別な存在だ。
何しろ自分達を鬼にしてくれた恩義のある人物なのだから。
……鬼になるのが、本当に望んでいた事なのかどうかは分からないが。
「そうか? 俺は話を聞いただけだが、鬼舞辻無惨ってのはそんなに特筆すべき顔立ちではないって聞くぞ?」
そう言えば、鬼舞辻無惨のモンタージュ写真を作るって話があったけど、あれってどうなったんだろうな。
本来は炭治郎に似顔絵を描かせるといったような話もあったらしいが、生憎と炭治郎に絵の心得はない。
いやまぁ、小さい頃から炭焼きをしてきた炭治郎だけに、絵を習うなどといった機会はなかったんだろうから、それも当然だが。
しかし……今の鬼殺隊にはシャドウミラーが協力している。
絵心がなくても、コンピュータを使って鬼舞辻無惨に似ている人物のパーツを組み合わせれば、鬼舞辻無惨の顔は容易に再現出来るし、それを印刷してコピーを大量に作るといったことも難しくはない。
……とはいえ、堕姫のように多少なりとも外見を変えられるとなると、厄介なんだが。
「鬼舞辻無惨は臆病者で、鬼殺隊の前に出て来るような事はないんだろう? もし出て来たら、俺が遊んでやるつもりだったんだが……残念だ」
「ふざけるんじゃないわよっ!」
鬼舞辻無惨を臆病者と評したのが気に触ったのか、堕姫の攻撃はまた一段と激しくなる。
猗窩座もそうだが、鬼舞辻無惨に対する忠誠心はかなり強いよな。
勿論、鬼舞辻無惨は鬼を自由に殺すといったような、絶対的な支配権を持っている。
しかし、猗窩座や堕姫の様子を見ると、そういうのとは関係なく鬼舞辻無惨に対して強い忠誠心を抱いているように思えた。
「おっと。惜しい惜しい。……もう少し堕姫と遊んでいたかったんだが、どうやらそろそろ終わりのようだな」
「は? 一体何を言ってるの?」
突然俺の口から出た声に、訝しげな様子で呟く堕姫。
だが、そんな俺の言葉を証明するかのように、やがて何人もが姿を現す。
「アクセルさん!」
真っ先に叫んだのは、禰豆子の入っている木箱を背負っている炭治郎。
その炭治郎の側には、善逸と伊之助の姿があった。
また、天元の姿もそんな炭治郎達の側にあった。
本来なら天元が真っ先にここに来てもおかしくはないんだが……多分、俺と堕姫のいる場所を見つける為に、炭治郎の嗅覚や善逸の聴覚を使ってやって来たのだろう。
だからこそ天元は炭治郎達と一緒に行動していたのだ。
「やって来たな。……相手は上弦の陸だ。お前達が倒せ」
「は? 派手にちょっと待て。あの鬼が上弦の陸だと? 何の冗談だ?」
俺の言葉にそう言ってきたのは、天元。
その言葉は俺にとっても完全に予想外だった。
それは堕姫も同様だったのだろう。帯を手元に戻しながら、不満そうに口を開く。
「何を言ってるのよ。アタシは上弦の陸よ。それは目を見れば分かるでしょう?」
そう言う堕姫。
実際に堕姫の右目には上弦、左目には陸という字がある。
それを見れば、堕姫が上弦の陸だというのは明らかだった。
俺……だけではなく、炭治郎達も天元に視線を向ける。
特に炭治郎にしてみれば、日の呼吸を使って堕姫と互角に近い戦い――若干押され気味だったが――をしていた。
それを考えれば、堕姫が上弦の陸ではないという天元の言葉は信じられなかったのだろう。
だが……そんな何人もの視線を受けながらも、天元は首を横に振る。
「違う。お前は上弦として考えれば弱すぎる」
そんな天元の言葉に、炭治郎はショックを受けた様子を見せる。
自分が苦戦していた相手なのに、そんな相手がこうもあっさり弱いと、そう言われたのだから当然だ。
「ふざ……ふざけるんじゃないわよぉっ!」
天元が口にした、弱いという言葉が許容出来なかったのだろう。
堕姫は天元に向かって帯を放つが……天元はそんな帯の攻撃を回避し、二刀流として二本の日輪刀を手にして堕姫との間合いを詰め、一気に首を切断した。
呼吸を使ったその動きはかなりの速度で、俺は特に問題なく見る事が出来たが、炭治郎、善逸、伊之助の3人は天元の動きを完全に見失っていた。
「……え?」
ポロリ、と。
堕姫は自分の首が切断されたのを両手で受け止め、そんな声を漏らす。
というか……あれ? これで本当に終わりなのか?
炭治郎達と堕姫を戦わせる事によって、実戦経験を積ませる筈だった。
なのに、天元の一撃であっさりと首が切断されてしまったのだ。
鬼というのは、日輪刀で首を切断されると死ぬ。
それは俺が知っている常識であり……だからこそ、今の天元の一撃は俺にとっても完全に予想外なものだった。
これなら、俺がわざわざ遊郭からここまで堕姫を連れてくる必要もなかったし、何よりも時間稼ぎをしていた理由もあっさりと消滅してしまう。
「ほらな、弱いだろ? 俺が知ってる十二鬼月はこんな程度じゃねえ」
「何を言ってるのよ! アタシは上弦の陸よ! それは目を見れば分かるでしょう! 一体何を考えているのよ!」
そう叫ぶ堕姫だったが、首を斬られている以上はそう遠くないうちに消滅するだろう。
だがそうなると、俺が考えた炭治郎に実戦経験を積ませるというのは到底出来ない。
「よくもアタシの首を斬ったわね! こんな真似をして、ただですむと思ってるの! 絶対に許さないんだからね!」
切断された首を持ったまま、堕姫は天元に向かって延々と文句を言い続けている。
そんなやり取りを数分見て……ふと、疑問を抱く。
何で堕姫はまだ生きてるんだ?
鬼というのは日輪刀で首を切断されれば、死ぬ筈だ。
だというのに、堕姫は騒いでいるようだが全く死ぬ様子がない。
首を斬られて数分……なのに、何故まだ堕姫は死なない?
「うわあああああああああん! 本当にアタシは上弦の陸だもん! 本当だもん! 数字だって貰ったんだから! アタシは凄いんだから!」
泣き叫びながら叫ぶ堕姫の様子に、我に返る。
……さっきまでは大人の女っぽかったのに、こうして泣き喚き、死ね、死ねと叫びつつ地面を殴っているのを見ると……外見はともかく、精神年齢は幼いんだろうな。
堕姫が具体的にいつ鬼になったのかは分からないが、あるいはその影響でこんな性格になったのか、それとも最初からこういう性格だったのか。
正直なところ、その辺は分からない。
「えっと……その……」
炭治郎もまた、遊郭では自分と互角……いや、自分の方が不利な戦いを繰り広げた相手がこんな風に泣き喚くというのは予想外だったのだろう。
戸惑ったように堕姫を見ている。
善逸と伊之助もまた、この状況でどう対応したらいいのかといったように迷っていた。
「うわああああん! 首斬られちゃった、首斬られちゃったよぉっ! お兄ちゃん、お兄ちゃあああああん!」
お兄ちゃん?
堕姫のその言葉に疑問を抱いた瞬間、首を切断された堕姫の背中から、不意に誰かが……いや、何かが現れる。
「は……? 鬼?」
突然現れたその鬼に対し、天元は危険だと判断したのか即座に攻撃する。
しかし、その攻撃が命中すると思った瞬間、新たに現れた鬼は堕姫を抱えてその場から離れていた。
炭治郎達は天元の動きを目で追えなかった。
そして天元は新たな鬼の動きを目で追えなかった。
これはつまり、新たに出て来た鬼がそれだけの実力を持っている事を意味していた。
とはいえ、そんな新たな鬼の動きも俺にはしっかりと見えていたのだが。
猗窩座の動きと比べれば、それなりに劣る。
とはいえ、それは当然の話か。
猗窩座は上弦の参なのに対し、この鬼は上弦の陸……なのか?
堕姫は目に上弦と陸とあるが、新たに現れた鬼は特にそういうのがない普通の目だ。
十二鬼月は目の刻印を自由に消せるので、それを思えばこの新しい鬼はそれを隠しているだけなのかもしれないが。
ともあれ、天元が言っていた上弦としては弱いというのは、これが理由なのだろう。
この新しい鬼の方が、本当の意味での上弦の陸……といったところか。
「炭治郎、善逸、伊之助。お前達の出番だ。堕姫とあの新しい鬼を倒してこい。天元と協力してな。ただし、あの新しい鬼は明らかに堕姫よりも強い。そうである以上、戦う時は注意しろよ」
「……え? その、アクセルさんは?」
何故俺が戦わないのかといったように、戸惑った様子を見せる炭治郎。
「せ、先生。先生も一緒に戦ってくれるんですよね!?」
善逸のその言葉に、俺は首を横に振る。
「お前達はもっと実戦経験を積む必要がある。そうでなければ、この先の戦いで生き抜くのは難しいだろう」
そんな俺の言葉に不満そうな様子を見せる善逸。
とはいえ、善逸は女にモテる為に強くなると決めたのだ。
そうである以上、ここで戦わないという選択肢はない。
幾ら訓練で強くなったとしても、それはあくまでも訓練での戦いでしかない。
そうである以上、実戦を積む必要があるのは間違いなかった。
……伊之助の場合は、俺が何かを言うよりも前に早く戦いたいといった様子を見せていた。
「ほら、早く行け。天元だけだと結構厳しい。堕姫の方も戦力を振り分けるのを忘れるなよ」
そんな俺の言葉に、善逸と伊之助が堕姫に、炭治郎が天元と戦っている新しい鬼に向かう。
この組み分けは意外と悪くない。
日の呼吸を使える炭治郎は、鬼との戦いで大きな力を発揮する。
そうである以上、天元を相手に有利に戦っている新しい鬼の方に向かうのは当然だった。
そして善逸と伊之助が向かう堕姫は、上弦の鬼として数えた場合、かなり弱いらしい。
とはいえ、そんな弱い堕姫でも炭治郎を相手に有利な戦いをするだけの実力があるのは間違いない。
善逸と伊之助の2人が、一体どこまで戦えるか……
「どう思う?」
夜の闇にそう声を掛けると、そこから弓を手にしたゆかりが姿を現す。
「どう思うって、鬼との戦い? あの戦力だとちょっと厳しいと思うわよ?」
何をどう思うのかといったような事を言ってないのに、ゆかりはすぐに俺の聞きたい事を察してそう答えてくる。
この辺りの察しのよさは、お互いに相手を深く理解しているという証だよな。
「やっぱりそう思うか? ……いざとなったら、回復を頼む」
その言葉にゆかりは即座に頷く。
ゆかりのペルソナのイシスは、回復魔法を使える。
炭治郎達の実戦訓練の付き添いとしては相応しい。
とはいえ、怪我をしても回復魔法があるからと考えて、無理な攻撃をしたりしたら実戦訓練としての意味はないので、回復はギリギリまでしないようにするが。
「それで、天元の方では何があったんだ?」
「地下にあの女の鬼に連れ去られた人達が、帯の中に封じられて閉じ込められていたのよ」
「……帯に封じる?」
一瞬、ゆかりの言ってる意味が理解出来なかった。
帯に封じるというのは、つまり帯で身体を縛って動けなくするようにしていることを意味してるのか?
一瞬そう思ったが、ゆかりから詳しい説明を聞くと、どうやら違うらしい。
血鬼術か何かで帯と同化するようにして、封じていたとか。
「それはまた、随分と個性的な血鬼術だな」
そう言うものの、基本的に血鬼術というのはその者の個性が表れるといった形でらしい。
だとすれば、帯に封じるといったような血鬼術を堕姫が使えるのも、当然の事なのだろう。
「始まったわよ」
そんな中、ゆかりのその声に視線を向けると鬼との戦いが既に始まっていた。
善逸と伊之助は堕姫とそれなりに互角に戦っているものの、堕姫の兄と戦っている天元と炭治郎は……ぶっちゃけ、炭治郎が天元の足を引っ張るという形になっていた。
これは炭治郎が堕姫との戦いで体力を消耗しているというのもあるのだろうが、それでも純粋に力の差が大きいのだろう。
日の呼吸をもっと使いこなせれば、多少は話が違ったのかもしれないが。
そんな風に考えながら、俺は戦いを見守るのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1810
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1730