「そうか! 上弦の陸を!」
上弦の陸を倒したという話を聞いた耀哉は、嬉しさのあまり叫ぶ。
普段物静かな耀哉にしてみれば、こういう様子はかなり珍しい。
それだけ耀哉にとって、上弦の鬼を倒したというのは大きかったのだろう。
以前聞いた話によると、鬼殺隊では下弦を殺す事に成功するというのはそれなりにあるのだが、上弦の鬼を殺したというのは、鬼殺隊の歴史上でも殆どないらしい。
そういう意味では、上弦の陸を殺した今回の戦いは耀哉にとって大きな……非常に大きな意味を持つ戦いだったのは間違いないのだろう。
ましてや、今回の戦いでは鬼舞辻無惨が堕姫や妓夫太郎の危機を察してか、猗窩座や他の鬼を援軍として派遣してきた。
そういう意味では、複数の上弦の鬼を相手にした戦いだったという事でもあり……それを誰も死なずに勝利したのだから、耀哉がここまで喜ぶのは当然の話だった。
「だが……これで鬼舞辻無惨も本気になって動いてくる可能性が高い。そういう意味では、かなり面倒なことになるかもしれないな」
天元と小芭内の言葉に喜んでいる耀哉に、そう告げる。
敬愛する耀哉の喜びに水を差したのが不満なのか、小芭内は険悪な視線で睨み付けてくる。
天元の方は、そこまで気にした様子はなく……あるいは忍者として現実を見ている為か、俺のその言葉に微かに納得した様子を見せていたが。
「ああ、そうだね。アクセルの言葉は正しい。だが……そうして向こうが動けば、それだけ相手の尻尾を掴めるという事でもある。そういう意味では、こちらにとっても好機ではある。それに……貿易商との件も、現在は上手く進んでいる」
「貿易商の? ……ああ、青い彼岸花の件か」
貿易商が少なくない額の費用を費やして探している、青い彼岸花。
それは恐らく鬼……それもここまで大規模で大胆に動いてるという事は、恐らくだが鬼舞辻無惨が直接動いている可能性が高い。
だからこそ、鬼舞辻無惨を誘き出すという意味で耀哉は慎重に……だが確実に事態を進めているのだろう。
「その通りだよ。やっと見つけた鬼舞辻無惨への手掛かりだ。焦ってはいけない。そういう意味では、出来ればもう少し時間が欲しかったのだが……今回上弦の陸を倒したおかげで、その時間が稼げそうだ」
耀哉のその言葉は自信に満ちていた。
今の状況を思えば、本当に貿易商とのやり取りは上手い具合に進んでいるのだろう。
「そうなると、これから鬼殺隊はどう動く? 出来れば向こうの戦力は減らしておきたいだろう?」
「そうだね。……ただ、ここでこちらの動きを変えると、それによって向こう側に何かを察せられる可能性がある。そうである以上は、あまり大きく動きを変えるような真似は出来ない。けど、今は他にもやるべき事があるしね」
「やるべき事?」
「ああ。そろそろ、珠世さんと接触しておきたいんだ」
珠世……そう言えば柱合会議の時にもその名前を言っていたな。
あの時は珠世というのが誰なのかは、俺には分からなかった。
だが、猗窩座との賭けによって得た鬼舞辻無惨の血を欲した炭治郎から、珠世という相手がどのような存在なのかは聞いている。
耀哉が珠世の存在を知っているのは少し驚きだが、あるいは珠世の存在があったからこそ、禰豆子の存在を受け入れるといった真似が出来たのかもしれないな。
とはいえ、珠世については本当に限られた者しか知らないらしく、天元と小芭内も不思議そうな表情を浮かべている。
つまり、柱の2人も珠世について知らない訳だ。
とはいえ、天元はともかく小芭内は鬼は即座に殺すといったような性格の持ち主だけに、鬼の珠世の存在を知ればどう反応したのかは分からないが。
「そこで、アクセルには炭治郎と一緒に珠世さんに会いに行って欲しい。鬼舞辻無惨の血を受け取ってから、それなりに時間が経つ。もしかしたら、禰豆子を人に戻せる薬が出来ているかもしれないしね」
「……そうかもしれないな」
俺が鬼舞辻無惨の血を入手していたのは、それこそ杏寿郎辺りから聞いていてもおかしくはない。
あるいはその後の俺と猗窩座の戦いにおいてそう考えたのか。
正直なとろ、その辺は分からない。だが、耀哉にしてみれば珠世に鬼舞辻無惨の血が渡ったというのが大きいのだろう。
「だが、何故俺が炭治郎と一緒に行動する必要がある? 珠世とかいう奴と接触をするのなら、別に俺が一緒に行く必要はないと思うが」
「そうかもしれないね。けど、珠世さんの存在を鬼舞辻無惨が知れば、一体どうなると思う? もっとも、知られる可能性はそう多くはないと思うけど、それでも万が一を考えると、アクセルに動いて欲しいんだ」
「……わざわざ俺が動かなくても、柱を動かせばいいと思うが?」
小芭内や実弥のような、鬼は絶対に殺すという奴ならともかく、しのぶや義勇、蜜璃、杏寿郎といったような、炭治郎と親しい柱なら珠世と接触してもおかしくはない。
いや、しのぶは現在治療中でホワイトスターにいるが。
「それもいいかもしれないけど、柱は忙しいんだよ。勿論、私が頼めばそれを聞いてくれるとは思うけどね」
「……で、俺か? 言うまでもない事だが、俺はあくまでもシャドウミラーに所属しているのであって、別に鬼殺隊に所属している訳じゃない。俺をいいように使おうと思っているのなら、それは間違いだぞ?」
「それは分かっているし、そんなつもりはないよ。ただ、アクセルにとっても珠世さんとの接触は悪い話ではないと思うよ? 彼女は鬼にして医者だ。私達……そしてアクセル達が知らない鬼について知っている事もあるかもしれないだろう?」
「それは……なるほど」
耀哉の言葉に興味を惹かれたのは事実だ。
何だかんだと鬼については、まだそこまで研究が進んでいないのも事実なのだから。
そういう意味では、鬼だからこそ色々と詳しい相手から話を聞くのも間違いはない。
「どうだろう? 勿論、無理にとは言わないし、アクセルに動いて貰う以上、何らかの報酬は用意するよ。そうだね。そちらに提供する布の量を増やすというのはどうだろう?」
この布というのは、鬼殺隊の隊服に使われている布の事だ。
鬼殺隊の隊服は、防刃でありかなり頑丈な布でもある。
シャドウミラーにとっても有益な素材であるのだが、鬼殺隊の生産量という意味ではそう多くはない。
鬼殺隊の隊員の隊服という意味で、どうしてもシャドウミラーに渡される布の量は多くない。
「なるほど。それは俺達にとっても悪い話じゃないな」
「そう言って貰えると、私も準備をした甲斐があるよ。……で、どうだい?」
「分かった、引き受けよう。珠世とかいう鬼には俺も興味があったしな」
珠世というのは、鬼ではあっても人を食う必要はない。
それだけではなく、炭治郎の妹の禰豆子と同じく鬼舞辻無惨との繋がりは切られているらしい。
そういう意味では、やはり特別な鬼なのだろう。
「では、出来るだけ早いうちに炭治郎と一緒に珠世さんを迎えに行って欲しい。場所に関してはこちらで大体調べてあるから」
この辺の用意周到さは、さすがに耀哉だよな。
珠世とかいう奴がどこにいるのか……正直なところ、どうやって調べているのかが全く分からない。
隠が調べているんだろうが。
ともあれ、俺は炭治郎にその件を知らせる為に、耀哉の前から去るのだった。
「あいたたたた! カ、カナヲ、もう少し丁寧に……」
蝶屋敷家に来てみると、当然のように現在は多くの者が治療の最中だった。
こちらには1人の死人こそ出なかったものの、それは怪我人が皆無という訳ではない。
致命傷を負った者こそいないものの、重傷と呼ぶには相応しい者達はいる。
蝶屋敷の面々……それこそ量産型Wも含めて、現在多くの者が治療を行っていたが、そんな状況なので比較的軽傷の炭治郎は、カナヲに治療をして貰っているらしい。
とはいえ、炭治郎とカナヲは仲がいい。
それが同じ鬼殺隊の剣士同士だからなのか、それとも男女間でのものなのか。
生憎と俺にその具体的なところは分からないものの、それでも2人の関係が悪くないというのは理解出来た。
ある意味、これは自然な結果かもしれないな。
なお、善逸は子供3人組が、伊之助はアオイが治療をしていた。
……そして当然のように、善逸は血の涙を流しながら炭治郎と伊之助を羨ましがっている。
善逸にしてみれば、子供3人組よりも自分と年齢の近い女に治療をして貰いたかったのだろう。
そうやってがっつくからこそ、年齢の近い女には引かれるのだろうに。
寧ろ子供3人組が善逸の手当をしてやってることそのものが、少し驚きだったりする。
「どうやら3人共治療中みたいだな」
「あ、先生!」
俺の言葉に真っ先に反応したのは、善逸。
というか、多分音で俺の存在に気が付いていたんだろうが。
炭治郎は嗅覚で、伊之助は触覚で気が付いていてもおかしくはない。
「それで……汽車の時は俺が猗窩座と戦うのを見ていただけだったが、今日は直接自分が上弦の陸と戦った。その感想は?」
そう尋ねると、3人が揃って複雑な表情を浮かべる。
上弦の陸と戦って生き残った安堵。
上弦の陸と戦って勝利した喜び。
自分だけでは上弦の陸には勝てず、仲間がいても勝利はかなり厳しかった焦り。
それ以外にも様々な感情を抱きつつ、炭治郎達は黙っていた。
……炭治郎と善逸の2人はともかく、伊之助までもが黙っているというのはちょっと驚きだな。
伊之助の事だから、獪岳に堕姫の首を斬られたのを許せないと、まだ怒っているのかと思ったのだが。
もっとも、伊之助は相変わらず猪の被り物をしてるので、その表情は分からないが。
そんな風に疑問に思っていると、やがて炭治郎が口を開く。
「強かったです。他の人がいないと、負けてました」
「だろうな」
特に炭治郎が戦った妓夫太郎は、堕姫よりも圧倒的に強かった。
天元の話によると、堕姫は上弦の鬼としては明らかに弱いという話だったから、上弦の陸というのは妓夫太郎の力があってのものなのだろう。
「けど、炭治郎は途中で天元や小芭内に勝る……とは言わないが、決して足を引っ張らない動きをしていたようだが?」
「あ、はい。実は日の呼吸と水の呼吸を組み合わせたら、あんな風に動けるようになったんですよ」
そう告げる炭治郎は、自分が戦いの中で強くなったことに喜びを感じているのは間違いなかった。
鬼との戦いが本格的に動き始めようとしているこの時にこうして強くなる辺り、さすが主人公といったところか。
「そうか。経験を積んだのは何よりだ。……それで、炭治郎。お前にちょっと用事がある。ついてきてくれ」
「え? はい。それは構いませんけど……ありがとう、カナヲ」
戸惑ったように言いつつ、炭治郎はカナヲに礼を言うと禰豆子の入った木箱を背負って俺の方に来る。
「あ、ちょっと先生。俺はどうするんですか?」
「今回用があるのは炭治郎だけだ。善逸は休んでろ」
「えええ、先生。俺を見捨てるんですか!?」
「いや、そもそもお前がこの話を聞いても……」
そこまで言ったところで一旦言葉を止めて少し考える。
珠世に会いに行くのだが、珠世というその名前からして間違いなく女だ。
そして善逸は鬼の禰豆子にも興味津々の様子だった。
だとすれば、珠世がどんな外見なのかは俺も会った事はないので何とも言えないが、それでも善逸にとっては直球ど真ん中で好みの外見をしているという可能性も否定は出来ない。
とはいえ、耀哉は恐らく珠世を鬼殺隊に引き入れる……とまではいかなくても、協力関係を築くつもりなのだろう。
そうである以上、もし珠世が善逸好みの女だとしてもいずれ会う事になる訳だ。
「そうだな。上手くいけば後で善逸にとってはいい事があるかもしれないな」
「え? 本当ですか!? 分かりました、大人しくしておきます!」
あっさりと納得する善逸。
これは善逸が素直すぎるのか、それともチョロいと評すべきか……うん。取り合えず俺にとっては悪い話ではないし、素直であるということにしておくか。
「炭治郎、行くぞ」
そう言い、俺は禰豆子の入った箱を背負った炭治郎を連れて蝶屋敷から出るのだった。
「え? 珠世さんを?」
「ああ。耀哉からの要望でな。それに……鬼舞辻無惨の血を渡したんだから、もしかしたら禰豆子を人に戻す薬が出来てるかもしれないだろ?」
今は箱から出て、むーむー言いながら周辺を歩き回っている禰豆子を見ながら、そう告げる。
俺が猗窩座から入手した、鬼舞辻無惨の血。
それを炭治郎が禰豆子の治療の為に珠世に渡しているのは、俺も聞いてる。
であれば、炭治郎としてもここで珠世に接触するのは悪い話ではなかった。
薬の研究が具体的にどこまで進んでいるのかは、生憎と俺にも分からないし、見た感じでは炭治郎にも連絡は来ていないようだ。
そうである以上、炭治郎が珠世に接触するのは望むところだろうと予想し……
「分かりました、俺も珠世さんには会って話をしたいと思っていたんです。アクセルさんと一緒に会いに行きます」
炭治郎はそう言うのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1810
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1730